十二月 1     200句

十二月電車後ろへ下がりけり    金子蛙次郎

師走 霜月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
丸の内車溢れて十二月
稲畑廣太郎
ホトトギス
199812
舐めて貼る切手百枚十二月
吉田呉天
風土
199812
包むもの選ばぬ風呂敷十二月
鷹羽狩行
199902
砂蒸しに五右衛門となる十二月
水原春郎
馬醉木
199902
文具屋の筆墨の香も十二月
斎藤道子
馬醉木
199902
花舗はみな赤を集めて十二月
山田弘子
円虹
199902
窯出しに貫入走る十二月
神蔵器
風土
199902
竹林に思ひごとして十二月
岡本眸
199901
形代に息吹きかけて十二月
木野本加寿江
火星
199903
結納を見にこいと言ふ十二月
小池横文
火星
199903
十二月三日の夜の武甲山
小山徳夫
遠嶺
199903
十二月公文書館窓開き
村上田鶴子
風土
199903
腹蔵にをんな焦がして十二月
丸山海道
京鹿子
199903
十二月六日の沖の帆が君か
坪内稔典
船団
199903
仏壇屋来てゐる医院十二月
三輪温子
雨月
199904
十二月八日病者に言葉無き
工藤伊代子
199904
海に来て星を見てゐる十二月
遠藤和彦
遠嶺
199905
声出して身を軽くせむ十二月
保坂加津夫
自在抄
199600
十二月ぎりぎり寄り目の内藏助
大倉郁子
ヒッポ千番地
199906
十二月極彩色の街にゐる
保坂加津夫
会者定離
199900
地底より三角に出て十二月
能勢京子
船団
199906
生き死は別からからの十二月
渡辺よし生
風土
199907
風呂で読む古今和歌集十二月
児玉硝子
ヒッポ千番地
199905
打楽器で明けて十二月八日
朝日彩湖
船団
199907
十二月とて変りなき街と見る
稲畑汀子
ホトトギス
199912
砂利取の一人となりし十二月
今木偉郎
200001
銀紙を皺つつみして十二月
能村研三
200001
十二月船の間へ船戻る
山田六甲
六花
199912
楽譜屋の抽斗浅し十二月
波多洋子
銀化
200001
人声に鯉のあつまる十二月
保坂加津夫
いろり
200001
竹林に竹寝かせある十二月
杉浦典子
火星
200002
かたまつてゆく鳥ばかり十二月
浜口高子
火星
200002
喪中とや又喪中とや十二月
宮川明子
200002
主税梅蕾も持たず十二月
阿部悦子
酸漿
200002
十二月畳に妻のこゑの湧く
神蔵器
風土
200002
喪心の再びよぎる十二月
雨宮照代
風土
200002
竹藪を満たして竹や十二月
岡崎るり子
銀化
200002
佃煮の小海老の赤き十二月
唐木和世
200002
老いというものには勝てず十二月
保坂加津夫
いろり
200002
くらぐらと臓腑写され十二月
田中藤穂
水瓶座
200002
十二月八日目薬さしてをり
木下野生
200003
磨きてもみがきても十二月の玻璃
小山森生
200003
笑面の裏の凸凹十二月
栗栖恵通子
200003
足音の遥かに十二月八日
玉川悠
遠嶺
200003
戯れに吊橋揺らす十二月
辻のぶ子
俳句通信
200002
青邨の梧逸の弟子に十二月
小林輝子
風土
200003
銘無事の茶杓細身に十二月
小島美智子
風土
200003
段畑に青菜の育つ十二月
梅田秀子
酸漿
200003
せはしくも吾子と待ち合ふ十二月
梅田秀子
酸漿
200003
十二月八日金属疲労深くせり
杉アちから
海程
200004
わはははと空が笑ふよ十二月
山岸みずき
船団
199912
十二月八日またたき点る蛍光灯
内田美紗
船団
199912
ポケットに地図のくしゃくしゃ十二月
坪内稔典
船団
199912
天窓に月ひとしずく十二月
坪内稔典
船団
199912
ブラックバス釣り捨て十二月八日
朝日彩湖
船団
200006
『大菩薩峠』五ページ十二月
児玉硝子
ヒッポ千番地
200007
あるだけの靴玄関に十二月
中原幸子
遠くの山
200010
ちょっとずつ割り込むお尻十二月
中原幸子
遠くの山
200010
ニクロム線徐々に火の色十二月
中原幸子
遠くの山
200010
エンピツは夜中に歩く十二月
中原幸子
遠くの山
200010
夕映えの風は消しゴム十二月
中原幸子
遠くの山
200010
十二月父は何でも火にくべて
津田このみ
月ひとしずく
199912
青空のつるりとしすぎ十二月
津田このみ
月ひとしずく
199912
電飾の闇に樹の形十二月
高木悠悠
200101
筆ペンのどれもが乾き十二月
内藤悦子
あを
200101
死といふこと怖ろしからず十二月
内藤悦子
あを
200101
十二月の音かぶさって餅を搗く
堀内一郎
あを
200101
往来の喧嘩見てゐる十二月
篠田純子
あを
200101
腰椎を一ツ損じし十二月
芝宮須磨子
あを
200101
半島の大根あをし十二月
阿部ひろし
酸漿
200101
所在なく咲くたんぽぽか十二月
阿部ひろし
酸漿
200101
鮪の町柳が青し十二月
阿部ひろし
酸漿
200101
糶市の海女のたか声十二月
皆川盤水
春耕
200101
欲望の貌もて歩く十二月
島田和子
風土
200102
灰色の海を見て来し十二月
長尾康子
風土
200102
わが町も老人多し十二月
熊谷みどり
いろり
200101
記念樹に布巻かれあり十二月
松本茶昂
火星
200102
はかどらぬ普請場に雨十二月
今井千鶴子
円虹
200102
一日がまた目前を過ぎ十二月
高瀬哲夫
200102
十二月屋根より夫の声降りし
甲州千草
200102
うっしっし十二月だもん河馬にキス
尾上有紀子
わがまま
200002
十二月昨日の文の上今日の文
大橋敦子
雨月
200102
父越えて生きて来たよと十二月
保坂加津夫
いろり
200102
今日はけふ明日はあした十二月
保坂加津夫
いろり
200102
十二月肝硬変と告げられて
保坂加津夫
いろり
200102
祝電のメロディやさし十二月
保坂加津夫
いろり
200102
今世紀最後のぞろ目や十二月
桑垣信子
いろり
200102
十二月更地となりし老いの店
林田加杜子
いろり
200102
佛壇の母にせかさる十二月
中野辰子
いろり
200102
戦争の悲惨さ孫に十二月
中野辰子
いろり
200102
水際に流木の骨十二月
田崎凛
春耕
200102
湯気深き立食そば屋十二月
前田祐治
200103
本箱に俳誌の満ちて十二月
柴田久子
風土
200103
十二月湯屋の煙の折れてとぶ
根岸善行
風土
200103
たんぽぽの座に花黄なり十二月
阿部ひろし
酸漿
200103
飛石に明治の音や十二月
島崎晃
遠嶺
200103
十二月明治の井戸の迸る
島崎晃
遠嶺
200103
嘶くが如く十二月のブーツ
彌榮浩樹
銀化
200103
チロルハット被りいよいよ十二月
吉田久子
200104
昼月をいただき十二月の葬
山下由紀
200104
試着室の内から声が十二月
小林あつ子
火星
200104
天秤の揺れをみている十二月
わたなべじゅんこ
鳥になる
200003
船の吐く水を見てをり十二月
戸田喜久子
200103
枳殻の垣に鹿をる十二月
岡井省二
200105
十二月まであと五分割腹す
時枝武
船団
200105
枯井戸に声を落として十二月
時枝武
船団
200105
一枚の名刺机上に十二月
田中矢水
遠嶺
200105
スプーンの裏のふくらみ十二月
小枝恵美子
船団
200108
料金が不足で来たよ十二月号
松山律子
六花
200112
空箱を抱へて戻る十二月
井尻妙子
京鹿子
200201
骨酒をふたりで呑んで十二月
山尾玉藻
火星
200201
神鶏の砂ぼこり立て十二月
山尾玉藻
火星
200201
十二月一日や雲眩しくて
朝妻力
雲の峰
200201
椅子の脚人間の脚十二月
山野みどり
銀化
200201
風呂敷の隅が結ひ紐十二月
鷹羽狩行
200201
御仏はすこし猫背に十二月
平田紀美子
風土
200201
スムーズに改札ひらく十二月
竹内弘子
あを
200201
写実美の憂し美術展十二月
早崎泰江
あを
200201
十二月朝の鏡のすぐくもる
芝尚子
あを
200201
犬探すビラ電柱に十二月
久保恵子
200202
やどり木の宿る森あり十二月
村越化石
200202
十二月鮒の甘露煮黒光り
金丸鐵蕉
200202
鰓蓋のうちのくれない十二月
男波弘志
200202
エプロンの紐をきりりと十二月
大柳篤子
雲の峰
200202
枝吊りし縄ぴんと張る十二月
乾フジ子
雲の峰
200202
宝戒寺内陣に入る十二月
平田紀美子
風土
200202
丹波より黒豆着けり十二月
阿部ひろし
酸漿
200202
声嗄るる出初稽古や十二月
長田秋男
酸漿
200202
神泉に芹の青さよ十二月
岡田房子
酸漿
200202
十二月銀座の柳青々と
川原典子
酸漿
200202
鶯の来てゐていよよ十二月
川原典子
酸漿
200202
職辞すを心決めたる十二月
三井公子
酸漿
200202
たんぽぽの小花の咲きて十二月
東芳子
酸漿
200202
降誕の号外走る十二月
阿部悦子
酸漿
200202
地を歩く鳩鳩十二月八日
千田百里
200202
高階の玻璃拭く技や十二月
秋葉雅治
200202
十二月まづ吉左右の走りけり
小野島淳
200202
十二月びんづるさんの両の膝
城孝子
火星
200202
ひしめける生簀の魚や十二月
平田良子
春耕
200202
宅配を濡れ手で受ける十二月
竹川美佐子
いろり
200202
アトリエに香を満たして十二月
稲用飛燕
船団
200201
目の澄みし馬に賭くるや十二月
泉田秋硯
200203
産声を待ちて号外十二月
白木美知子
円虹
200203
十二月夫と乗りたる観覧車
城孝子
火星
200203
地下街に鯉の揉み合ふ十二月
深澤鱶
火星
200203
十二月八日眼前の生地獄
鈴木節子
200203
十二月いのしし村に入りにけり
近藤きくえ
200203
十二月巨船と巨船すれ違ふ
遠藤美由樹
銀化
200203
山深くはたらく音や十二月
春川暖慕
銀化
200203
林中に穴掘る寺の十二月
藤井昌治
200202
わが影のわれより忙し十二月
加瀬美代子
200202
十二月歌はずに来いそつと来い
松田都青
京鹿子
200202
人の世の明暗ありし十二月
相澤健造
いろり
200203
新世紀されど十二月八日かな
山本喜朗
雨月
200203
ぼこぼこと穴ぼこの畑十二月
足立典子
雨月
200203
十二月隣家解体鼠来る
松村美智子
あを
200202
勁草のシヅエさん逝く十二月
松本米子
あを
200202
十二月漁場日記の余白かな
尾崎和子
百鳥
200203
恩人の手足となりて十二月
平田倫子
百鳥
200203
十二月八日真白な花生けて
石城幸子
百鳥
200203
店裏に河豚鰭干して十二月
門伝史会
風土
200203
糸に吊る椎茸涸ぶ十二月
百瀬虚吹
風土
200203
十二月八日川幅に水流れ
大野英美
風土
200203
取り寄せるバツクナンバー十二月
笹村政子
六花
200203
園城寺よりたより来る十二月
浜麻衣子
六花
200203
一年の彩の出尽くす十二月
滝青佳
ホトトギス
200204
干されある蒸籠五つ十二月
小宮山勇
遠嶺
200204
まごころのあふるる小箱十二月
野口光江
遠嶺
200204
鬼ごつこしてる親子や十二月
土岐明子
遠嶺
200204
流氷来と記録破りの十二月
尾崎マチ子
200204
振り替へる心と望み十二月
瀧新珠
京鹿子
200204
探しものして居る独語十二月
萩原記代
200203
金粉のこぼれる附録十二月
太田寛郎
200203
わが前をわが影急ぐ十二月
有山八洲彦
200203
足早の携帯電話十二月
中嶋陽太
ホトトギス
200205
マルボロの空箱溜めて十二月
田中武彦
六花
200204
十二月八日の米を掴み磨ぐ
鹿野佳子
200204
反古焚いて齢重たき十二月
上林孝子
200204
今日がすぐきのふに変はる十二月
岡本差知子
火星
200212
算用の美人任せや十二月
山田六甲
六花
200212
十二月空気吸うても歯にしむよ
山田六甲
六花
200212
十二月凶噐のやうに靴がくる
佐藤喜孝
あを
200212
富山から薬屋の来る十二月
野田光江
雨月
200301
極上の尻に敷かるる十二月
土井田晩聖
銀化
200301
総身の鏡の中の十二月
三枝きぬ子
帆船
200301
十二月八日過ぎゐておどろけり
阿部ひろし
酸漿
200301
変らぬは川音のみや十二月
水原春郎
馬醉木
200302
磔像に朝の日燦と十二月
渡邊千枝子
馬醉木
200302
お多福のえくぼ上向き十二月
信崎和葉
六花句集
200205
風折れの竹あをあをと十二月
加古みちよ
冬菜畑
200301
弁当の蓋に日当る十二月
城孝子
火星
200302
家の近くに信号の付き十二月
成宮紀代子
200302
枕木の値よく売らるる十二月
松島不二夫
200302
抽斗のひとつが空きし十二月
永井収子
200302
季節追ひ句作に励み十二月
沢畠トミ子
帆船
200302
穿かず捨てぬ靴箱を積む十二月
竹内弘子
あを
200301
お人形しつかり抱いて十二月
堀内一郎
あを
200301
うそまこと齢かさねて十二月
後藤志づ
あを
200301
十二月葬儀の立板太文字に
芝宮須磨子
あを
200301
十二月手足悴む雨の町
長崎桂子
あを
200301
十二月 2      

 

2021年12月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。