師 走 3          165句

女を見連れの男を見て師走    高浜虚子

十二月 霜月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
新しき時計を始動させ師走 前川明子 200701
点き揃ふ本の神田の師走の灯 安陪青人 雨月 200701
師走人向ふ側から手を振つて 堀内一郎 あを 200701
師走の街軒を連ねる立ち呑み屋 中西久美子 200702
風雅の名冠し師走の新車来る 小澤克己 遠嶺 200702
男坂下りて師走の電気街 山本浪子 風土 200702
日捲に追ひ立てらるる師走かな 長谷川たか子 酸漿 200702
煎餅屋は七つ年上町師走 田中藤穂 あを 200702
棒鱈のねぢれ師走の錦市 森ひろ 馬醉木 200703
師走満月走る白狐か白猫か 大島翠木 200703
靴ひもの解けし足もと町師走 長屋璃子 火星 200703
椅子五百並べ師走の講演会 加藤峰子 200703
SPとつめる師走の知事動線 加藤峰子 200703
早送り画像のやうな街師走 柴田久子 風土 200703
棒鱈の値を訊いてをる師走顔 鎌田篤 雨月 200703
風のごと過ぐる晩年師走来る 磯野しをり 雨月 200703
気働きとふを駆使せむ師走妻 久保田雪枝 雨月 200703
公園の大道芸や師走空 大石たか 遠嶺 200703
日付見て深き溜息師走かな 永田勇 六甲 200703
街師走封切館に人疎ら 北川光子 ぐろっけ 200703
六段の調べ流るる師走茶屋 松元末則 酸漿 200703
商ひの言葉巧みに師走かな 小牧喜美子 遠嶺 200704
板前の師走の動き追ふ目して 市場基巳 200704
版下を作つてゐたる師走かな 瀬川公馨 200704
加齢かな息もつがせず師走来る 北村香朗 京鹿子 200704
点滴の窓や師走の空青く 八木下巌 200704
師走てふ景気見られぬ町中を 松尾緑富 ホトトギス 200705
駅前の師走景気の今一つ 松尾緑富 ホトトギス 200705
銀行の椅子にうたた寝師走人 嶋田摩耶子 ホトトギス 200705
女子柔道二十四年を閉づ師走 角直指 京鹿子 200705
電飾は師走の絵巻街競ふ 吉年虹二 ホトトギス 200706
枯園に師走の空のうらゝかさ 瀧春一 200706
それほどに景気上がらず町師走 松尾緑富 ホトトギス 200707
流れにも師走の焦りありにけり 稲畑康太郎 ホトトギス 200712
赤煉瓦倉庫要塞めく師走 稲畑康太郎 ホトトギス 200712
ふり返る月日またたく間の師走 稲畑汀子 ホトトギス 200712
予定はや崩るることも師走かな 稲畑汀子 ホトトギス 200712
街師走運転免許更新す 稲畑汀子 ホトトギス 200712
欠席の多き師走の会となる 稲畑汀子 ホトトギス 200712
本当の師走まだ先稿を継ぐ 稲畑汀子 ホトトギス 200712
意に染まぬ仕事済ませて師走かな 稲畑汀子 ホトトギス 200712
人恋ふて師走の風の人となる 鈴鹿仁 京鹿子 200801
師走くる独語を晒すネオン灯 鈴鹿仁 京鹿子 200801
愚陀佛庵跡は師走の駐車場 品川鈴子 ぐろっけ 200801
道灌の首塚風の師走かな 中島玉五郎 200802
校了や師走の夕日待つたなし 杉本光 200802
飛び乗つて車内切符を買ふ師走 甲州千草 200802
師走雲吹き寄せられて山に拠る 宮津昭彦 200802
街へ出てついでの多き師走かな 大川冨美子 ぐろっけ 200802
又消ゆる古き豆腐屋街師走 森山のりこ あを 200802
師走来る傾山も由布山も 工藤はるみ 風土 200803
ゲーテ座へ坂下りてゆく師走かな 中村洋子 風土 200803
両口屋是清食して師走なり 中島陽華 200803
蛇口より神の水汲む師走かな 竹内悦子 200803
仲見世を行きて師走の顔となる 堀田こう 雨月 200803
天窓を師走の月の覗きをり 玉川悠 遠嶺 200803
誰れ彼の見上ぐ師走の時計塔 戸栗末廣 火星 200803
月冴ゆる千夜一夜の師走かな 国永靖子 ぐろっけ 200803
ひきつゞき始末な暮し師走くる 林美智 ぐろっけ 200803
雑踏を別の雑踏へと師走 湯川雅 ホトトギス 200805
祝ぎ心師走心に優りをり 白根純子 ホトトギス 200805
板前の紺の前掛け師走来る 遠山のり子 200805
電飾に染まる師走や煙突も 森裕子 200805
詩人(うたびと)を招く師走の築地路地 府川房江 母の空 200808
猫の声師走の不協和音かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200812
坂といふ師走の歩幅ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200812
塀一つ隔て師走の街の音 稲畑汀子 ホトトギス 200812
街混みてはじまつてゐし師走かな 稲畑汀子 ホトトギス 200812
師走とてまだ実感のなきままに 稲畑汀子 ホトトギス 200812
病む人も師走の時間ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200812
もつたいな師走最中の誕生日 能村研三 200901
阿久悠に遠藤実逝き師走 大橋敦子 雨月 200901
幼らと師走電飾めぐりかな 阿部ひろし 酸漿 200901
師走日曜母の炬燵を奪ひしが 瀧春一 深林 200901
師走句会毛糸編機の音絶えず 瀧春一 深林 200901
「まねき上げ」師走の顔の勘亭流 飯田美千子 200902
たちどまる道具屋筋の師走かな 中貞子 200902
思ひたち京の師走でありしかな 門伝史会 風土 200902
百塔の街の師走や百の鐘 森川彩火 炎環 200902
芭蕉の謎まだまだあるぞ師走風 市ノ瀬遙 炎環 200902
師走とて心の何処も独りなり 柳生千枝子 火星 200902
鏡台の上のかつらに師走くる 木野本加寿江 火星 200902
髭剃つて師走の予定ひとつ足す 丸井巴水 京鹿子 200902
のほほんと生きてつれなき師走風 大島みよし 200903
師走風子の按配に胸痛む 吉田晴子 200903
師走旅バスは老人ばかりなり 能勢栄子 200903
振りむくや師走満月床屋の死 大島翠木 200903
鮨種の品書にある師走かな 川口襄 遠嶺 200903
処方箋に七種の薬師走かな 中村洋子 風土 200903
雨となる師走のチャリティコンサート 仙田孝子 風土 200903
木金星三日月の照る師走入 松林順子 雨月 200903
干支の絵馬替りをりたる宮師走 片岡良子 雨月 200903
カレンダーの日付の早き師走かな 大井彌雨 雨月 200903
大絵馬に牛ゑがかれて師走空 川崎良平 雨月 200903
片雲や師走を閉ざす旅ごころ 吉川隆 春燈 200903
送り出す背に朝の師走月 吉村さよ子 春燈 200903
師走空すずらん燈のふたつづつ 城孝子 火星 200903
人並に師走師走と言うばかり 羽生きよみ ぐろっけ 200903
天皇の誕生祝ふ師走富士 兼子栄子 酸漿 200903
御堂筋その南端の師走かな 稲岡長 ホトトギス 200904
刃物屋の窓の細目や師走晴 林友次郎 遠嶺 200904
師走に祝ふ東京タワー五十年 北村香朗 京鹿子 200904
一笑のあとのだんまり師走の座 北川孝子 京鹿子 200904
師走かな音色の違ふ鈴鳴るも 松本文一郎 六花 200904
庭掃除終りし庭に師走の日 鈴木幾子 酸漿 200905
朝風呂に体まかせる師走かな 湯本実 やぶれ傘 200905
人力に妻と揺らるる師走旅 阿部ひろし 酸漿 200907
坂上る師走心を忘れつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200912
紀の善の女将偲びもして師走 稲畑廣太郎 ホトトギス 200912
予定追ひ師走の街を抜けて来し 稲畑汀子 ホトトギス 200912
師走とて省略出来ぬ旅路かな 稲畑汀子 ホトトギス 200912
不意の客師走の予定崩れけり 稲畑汀子 ホトトギス 200912
知られたる師走の居留守許されよ 稲畑汀子 ホトトギス 200912
ロンの怪我一喜一憂して師走 稲畑汀子 ホトトギス 200912
師走なり病み疲れとふ思ひ引き 大橋敦子 雨月 201001
師走を病み心にかかることばかり 大橋敦子 雨月 201001
一の柝に京の師走の幕上る 小林久子 201002
負けさうな介護のいたみ師走来ぬ 宮崎左智子 201002
御堂筋をスケートボード街師走 坂上香菜 201002
舌の根も木の根も健やかに師走 千田百里 201002
噺家の座して駕籠舁く師走かな 千田百里 201002
街師走付録ぶくれの雑誌かな 上谷昌憲 201002
すれ違ふ車の顔も師走かな 諸岡孝子 春燈 201002
曇天の落ちてきさうな師走かな 池田光子 201002
明るさの見えぬ街中師走かな 佐藤健伍 201002
中天の月も下弦や師走入る 四條進 201002
店に樹に電飾灯り師走かな 松嶋一洋 201002
女房に誘はれ師走の街騒に 松嶋一洋 201002
抗癌治療拒みたる友師走の葬 山田をがたま 京鹿子 201002
鰻屋の昼の立て込む街師走 和泉重一 201002
たんぽぽの咲きて師走の道かざる 阿部文子 酸奬 201002
語るべき想ひ古りゆく師走空 吉原一暁 201003
どの店も声はり上げて師走かな 鎌倉喜久恵 あを 201002
ケ・セラ・セラ直面で入る師走かな 瀬川公馨 201003
また一人消すや師走の住所録 達山丁字 201003
五条大橋師走の風は頬を刺す 高根照子 201003
信号の向うの顔も師走人 柴田良二 雨月 201003
明あかと師走満月見てあかず 菅野日出子 末黒野 201003
窓拭いて富十よろこばす師走晴 林友次郎 遠嶺 201003
サッチモを流す師走の美容室 田村園子 201003
止り木に睡る梟師走来る 瀬戸悠 風土 201003
青空や師走の湖に帆曳舟 岡野ひろ子 201003
歳月の飛んで行きたる師走かな 長谷川歌子 春燈 201003
母の夢醒めし師走のねぶた汁 伊東湘三 春燈 201003
師走また木遣流れし父の葬 荻野嘉代子 春燈 201003
靴鳴らし師走の街を歩きけり 久米憲子 春燈 201003
畳屋の忙しき肘の師走かな 岩井泉樹 春燈 201003
街師走語尾に尖りのありにけり 小倉陶女 春燈 201003
それぞれの歩幅に急ぐ師走かな 佐渡谷秀一 春燈 201003
独りなり師走の日ざし変りなく 家塚洋子 酸漿 201003
内にきく師走屋根屋の足の音 井関祥子 酸漿 201003
橘の実のさはに照る師走かな 町田政子 酸漿 201003
クレーンの林立梅田の師走空 雨宮しをん 201004
ふり返るたびに師走の月の舟 川口襄 遠嶺 201004
師走顔して人込みにもまれゆく 田所洋子 雨月 200804
医療器の検査續きに街師走 北村香朗 京鹿子 201004
MRI検査につつまる師走かな 北村香朗 京鹿子 201004
摂氏二度のデジタル表示街師走 上月智子 末黒野 201004
師走来る豆大福買ふ京老舖 田部みどり 201004
パソコンの壊れしを抱き師走行く 松村光典 やぶれ傘 201006
芝浜の三題噺師走かな 中村則夫 やぶれ傘 201006
風音が奔る師走の千枚田 佐久間由子 201010
実感としての師走はまだ先に 稲畑汀子 ホトトギス 201012
足場まだ残されてゐし師走かな 稲畑汀子 ホトトギス 201012
館師走十周年を指呼にして 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012
      師走→ 4

 

2020年12月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。