師 走 2     175句

仕事場に泊り込みたる師走かな    森川暁水

十二月 霜月

作品
作者
掲載誌
掲載年月

追悼三橋敏雄氏

死にかたを教へられたる師走かな

大串章
百鳥
200203
三鬼待つ師走の空へ敏雄逝く
平田安生
風土
200203
師走けふ姫運び来し鸛
本河康子
200204
盛り砂に雨の浸みゆく師走かな
藤原絹子
百鳥
200204
悪役に徹する吉良に師走来し
松田都青
京鹿子
200204
ただ歩く師走思はぬ暇を得て
岡本眸
200204
喪の知らせ師走は深き穴を持ち
星加克己
ぐろっけ
200204
美容師に髪をあづけてゐて師走
高橋笛美
ホトトギス
200205
客よそへ行きしと師走の美容室
三井孝子
六花
200205
時なしに宅配便の来て師走
杉良介
200212
刻々の二十四時間師走かな
稲畑汀子
ホトトギス
200212
暮れてよりもう一つ会師走なる
稲畑汀子
ホトトギス
200212
ふり返るときわが師走ありにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200212
この会の済めばいよく師走かな
稲畑汀子
ホトトギス
200212
十四人会五十年祝ぐ師走
稲畑汀子
ホトトギス
200212
落したる句帳探して会師走
稲畑汀子
ホトトギス
200212
廃業の酒屋三軒町師走
白鳥義岳
帆船
200301
旅にゐて師走はじめとなりにけり
能村研三
200301
たんぽぽに何気なく射す師走の日
阿部ひろし
酸漿
200301
旅人と呼べば師走の笈に風
山田六甲
六花
200301
師走かな蕪村の軸に皺よつて
山田六甲
六花
200301
追伸のやうに雨来る師走かな
斉藤静枝
あを
200301
赤信号背すぢ伸ばして師走なる
斉藤静枝
あを
200301
いつも来る鎌倉にけふ師走かな
平田紀美子
風土
200302
修行僧師走の街に擦れ違ふ
澤村一與
築港
200302
源平の寺に師走の一の市
林和子
雲の峰
200302
師走てふそれだけのことするめ噛む
伊藤とら
雲の峰
200302
だみ声もうはずる師走魚市場
浦野裕司
酸漿
200302
あてもなき失せ物探す師走かな
滝川あい子
雨月
200303
赤点の子と話しゐる師走かな
青池亘
百鳥
200303
掃除機が吸込んでゐる師走かな
浜崎壬午
円虹
200303
子の形に子のもの干され師走かな
城孝子
火星
200303
一と歳の流れは早しもう師走
岩崎憲二
京鹿子
200303
広重の青い切手で来る師走
笠間圭子
京鹿子
200303
寛ぐといふは罪めく師走かな
谷口みちる
200303
猿橋に四十雀来る師走かな
大塚洋子
酸漿
200303
レーザーにわが眼焼かれて街師走
村上光子
馬醉木
200303
海鳴の急かす沖より師走来る
新田巣鳩
馬醉木
200303
烈風に師走の室戸人気(ひとけ)なし
山口博通
ぐろっけ
200303
再建の寺の浄行師走来る
古田考鵬
雨月
200304
幽霊地蔵さん地に足つかぬ師走風
坂本敏子
京鹿子
200304
擦れ違ひしは濡れ身の魚か師走町
森茱明
京鹿子
200304
薬師寺の仏具勧進して師走
落合由季女
雨月
200305
天袋の影も曳きだす師走晴
山元志津香
八千草
200306

長尾ます様追悼

天界へ白寿を継がる師走星

鈴鹿仁
京鹿子
200307
模様替したくなりたる師走かな
稲畑汀子
ホトトギス
200312
屋根寄せし島の入り江も師走かな
柴田佐知子
200312
地下道の騙し絵顧みぬ師走
品川鈴子
ぐろっけ
200312
師走朔日海のしるべの崖マリア
能村研三
200401
白湯飲みて師走の取りをつとめけり
大串章
百鳥
200401
この坂を上り下るも師走なる
安陪青人
雨月
200401
潮掛の道や師走の麦とろろ
朝妻力
雲の峰
200401
薬師堂隙き間だらけの師走風
松岡映子
帆船
200402
また一つ用事を忘れ師走空
松岡映子
帆船
200402
現実の師走素直に受け入れず
福原信子
築港
200402
気分だけ忙しくなり町師走
福原信子
築港
200402
即入院即手術とぞ師走なれ
大橋敦子
雨月
200402
師走のオペ迫る覚悟のほど如何に
大橋敦子
雨月
200402
盲腸の不興買ひたる師走寒
大橋敦子
雨月
200402
ゴリラの正坐身じろぎもせず師走盡
堀内一郎
あを
200402
子の家と行き来三度も師走かな
芝宮須磨子
あを
200402
師走かな裸マネキン抱き走る
寺門武明
あを
200402
電気街師走満月のぼるところ
宮津昭彦
200402
黒文字の仄かな籬師走晴
北吉裕子
雲の峰
200402
公園に移動図書館師走晴
前阪洋子
雲の峰
200402
蕗の葉も青き師走の泉かな
中里信司
酸漿
200402
淡島のあはし師走の駿河湾
中里信司
酸漿
200402
濁りなき師走の空を鷺の過ぐ
中村しげ
酸漿
200402
楪の実の黒々と師走なり
阿部文子
酸漿
200402
師走来て伊豆の山辺の紅葉狩
阿部文子
酸漿
200402
俳縁を恃みて師走の街へ出づ
上薗櫨夫
河鹿
200403
硯など並べて師走あたたかし
竹内悦子
200403
師走満月くちの開かぬ貝ありぬ
大島翠木
200403
やう肥えし上六の鳩師走くる
城孝子
火星
200403
鮟鱇の腹のもも色師走かな
城孝子
火星
200403
師走空ぬれ手でサインしてをりぬ
吉田康子
火星
200403
ちゃぶ台の広くなりたる師走かな
林裕美子
六花
200403
魚臭まみれの旦暮師走の魚捌き
玉置かよ子
雨月
200403
とりあへず妻に従ふ師走かな
山本喜朗
雨月
200403
赤穂贔屓の母の忌修し師走かな
藤田誉子
雨月
200403
用も無く畑廻りゐる師走かな
若山実
雲の峰
200403
豆腐賣の笛流れきて街師走
濱口南子
京鹿子
200403
高々と掲げ師走のプラカード
伊藤早苗
200403
軽快に通す師走の定期券
加藤峰子
200403
着陸へ一気に殖ゆる師走の灯
藤原照子
余韻
200403
自動ドアー開き師走の人を呑む
三浦如水
ぐろっけ
200403
肩の荷をすり抜け師走問屋街
稲岡長
ホトトギス
200405
待たでよきエスカレーターに乗り師走
嶋田摩耶子
ホトトギス
200405
愛犬の散歩代行師走かな
芦川まり
八千草
200406
障子張りかへて師走の部屋となる
栢森定男
風よ
200407
著莪の葉の緑の深き師走かな
森屋慶基
風土
200411
探し物これも師走のこととして
稲畑汀子
ホトトギス
200412
駆けつけて師走の心解き放つ
稲畑汀子
ホトトギス
200412
歩き来し人先に来て師走かな
稲畑汀子
ホトトギス
200412
電話せずメールも打たず師走かも
山田六甲
六花
200412
湯の華を嘗めてもみたり師走晴
朝妻力
雲の峰
200501
絵の中の半身の鮭も師走かな
木村茂登子
あを
200501
十字架に鴉師走の街眺む
品川鈴子
六香
200501
老い二人雑踏に紛れ師走かな
芝宮須磨子
あを
200502
晩学に時の足りない師走かな
芝宮須磨子
あを
200502
公民館窓一列に師走の灯
中村葉子
帆船
200502
列なして膳待つ家族師走空
樋口育代
帆船
200502
メモ書きを忘れて走る師走かな
鏡山千恵子
帆船
200502
師走晴夢懸けて買ふ宝くじ
千田久美子
築港
200502
喪服着ることの続きて師走なり
笹倉さえみ
雨月
200502
誕生日の師走を待たで夫逝けり
野瀬マツエ
200502
世の中が回り始める師走かな
橋本之宏
風土
200502
句を拾ふ師走をひろふ多摩郡
小島禾汀
春燈
200502
北みなみ結ぶ師走の南武線
小島禾汀
春燈
200502
ひと日過ぐ師走半ばの空に月
山口トシ
酸漿
200503
師走てふ日毎を時に追はれける
山口トシ
酸漿
200503
日射し追ひ花鉢まはす師走かな
山口トシ
酸漿
200503
師走てふ肩に重たき言葉かな
山口トシ
酸漿
200503
改札を切符と走る師走かな
北圃愛子
帆船
200503
歌舞伎座に師走の風と別れけり
一民江
馬醉木
200503
海底をのぞいてゐたる師走かな
谷口佳世子
200503
口実の増えて飲み会町師走
中谷厚子
築港
200503
編集後記師走のこころ千々にして
佐藤淑子
雨月
200503
姉小路の師走表具屋柚みそ屋
山本耀子
火星
200503
旋頭歌で閉ぢたる講座師走かな
岡野恵美子
百鳥
200503
ヘリオスの子の弾け飛ぶ師走かな
山田富朗
遠嶺
200503
おもはくを写す師走の美容室
加藤峰子
200503
爪切られ和牛一声師走空
有島扇水
河鹿
200503
何にでも醤油をかける師走人
竹内太郎
200503
達治の詩に母の愛思ふ師走かな
加地芳女
雨月
200504
病む妻にかかはるのみの師走なり
朝倉富次
酸漿
200504
紅梅の咲き急ぎをる師走かな
朝倉富次
酸漿
200504
買物にいきなり誘ふ師走妻
小浦遊月
酸漿
200504
大根抜き師走の土産一抱え
山田耕子
京鹿子
200504
車座のひとりひとりにある師走
佐久間多佳子
京鹿子
200504
心して師走の句座に臨みけり
大谷茂
遠嶺
200504
配達終へ少年師走の顔となる
徳田正樹
河鹿
200504
耳札を付けし子牛や師走競り
有島扇水
河鹿
200504
荒れ狂う師走の波や日本海
永島よしお
200505
行き交いし人皆荷物師走かな
石山佳仙
200505
唇にしみるキムチの鍋師走
佐藤仁
200505
師走市の競りを背中に通り抜け
大山夏子
200505
言ひ遺す間もなく父の逝く師走
坂井光代
ホトトギス
200506
猫も又師走の顔をしてをりぬ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200512
師走とはいへど案外ある余裕
稲畑汀子
ホトトギス
200512
料理本主婦の立読む師走かな
奥田弦鬼
風土
200601
筆買うて師走の街を帰りけり
山田六甲
六花
200601
燃ゆる胸秘めて師走の岳目指す
徳田正樹
河鹿
200602
母在りてこその団欒師走来る
徳田正樹
河鹿
200602
トロ箱も累々積みて師走河岸
松村多美
四葩
200602
師の留守の師走を担ひ切れざる荷
大橋麻沙子
雨月
200602
娘の病みて心もとなき師走かな
高橋照子
雨月
200602
お手玉のははの針跡師走くる
園田その子
河鹿
200603
音たてて回廊をゆく師走かな
関口道代
200603
朝刊を円錐積みに駅師走
服部早苗
200603
中腰でロボット駆ける師走かな
小嶋洋子
200603
人右往左往東京駅師走
森澤とほる
春燈
200603
指の傷家事助けらる師走かな
間野暎子
春燈
200603
駅裏の師走第九の曲流れ
木暮剛平
万象
200603
太白の師走に入りて際立つも
宮津昭彦
200603
師走月静かに照らす五浦浜
関まさを
酸漿
200603
ワイン注ぎ海に師走の大落暉
西山美枝子
酸漿
200603
忙しなき師走に客の未だをり
大塚民枝
酸漿
200603
パソコンのフリースしたる師走かな
植松美根子
200603
抽斗の句屑を捨つる師走かな
山崎祐子
栴檀
200603
掃除機の裏返へる技も師走かな
横田晶子
風土
200603
寺の廊修理に大工来て師走
細川コマヱ
雨月
200603
師走窯吐き出だしたる干支の犬
博多永楽
雨月
200603
もの焼いて師走の空を汚しけり
吉原理夫
対岸
200603
勅使門入りてしづかな師走かな
坊城俊樹
ホトトギス
200604
南緯五十度紫外線降る師走かな
藤本章子
200604
湯気のもの買つて師走の中華街
館容子
200604
旅衣脱ぐや即ち師走妻
真虎竹世
200604
人波を縫ひゆき何となく師走
市場基巳
200605
見落せしものへ師走の歩を返す
市場基巳
200605
掉尾とす時時晴れの師走句座
森津三郎
京鹿子
200605
賣物の鮠群れ師走の人泳ぐ
瀧春一
常念
200606

「旭川」七百号祝句

師走てふ節目七百てふ節目

稲畑廣太郎
ホトトギス
200611
猫走り烏は鳴いて師走かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200612
ビル天に伸び切つてより町師走
稲畑廣太郎
ホトトギス
200612
師走 →3      

 

2021年12月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。