白菖蒲        82句

かへり来し命虔しめ白菖蒲    石田波郷

白菖蒲  花菖蒲

作品
作者
掲載誌
掲載年月
水の面に風立ち上がる白菖蒲 小島とよ子 遠嶺 199908
未完の句添へて届きし白菖蒲 橋本良子 遠嶺 200009
昃りて姿くっきり白菖蒲 柴田美佐子 いろり 200108
白菖蒲殊に眞白き菖蒲池 長谷川登美 ぐろっけ 200108
白菖蒲凛々しく縦の男文字 栢森定男 あを 200204
天上の色のはじまり白菖蒲 高瀬志ず江 風土 200208
昼よりは雨となりしか白菖蒲 宇田喜美栄 200208
解れつつ水に揺れゐる白菖蒲 城尾たか子 火星 200209
そのなかにほのと浮びて白菖蒲 西山美枝子 酸漿 200209
花嫁の決意新たや白菖蒲 池田倶子 雨月 200212
自立心勁しと見たり白菖蒲 大橋敦子 雨月 200307
火の国は即水の国白菖蒲 伊藤白潮 200307
白菖蒲漢の垂直志向かな 小澤克己 遠嶺 200307
白菖蒲白の時間の流れゆく 塩川雄三 築港 200308
せせらぎの雨後をゆたかに白菖蒲 山口マサエ 雲の峰 200309
白菖蒲天に向きしを矜持とす 清水晃子 遠嶺 200310
白菖蒲水の調べの暮るるまで 若生まりあ 遠嶺 200310
白菖蒲茶室の棚の鍾馗さま 芝尚子 あを 200407
家毎に橋ある暮し白菖蒲 釜井瞳子 対岸 200408
母在せばこそのふるさと白菖蒲 白髭美佐子 200409
暇な身になつてしまひぬ白菖蒲 青山丈 200409
白菖蒲活けて八十路の背を正し 川勝春 馬醉木 200508
むらさきの闇に一本白菖蒲 中山純子 万象 200508
花びらを垂れ乱れなき白菖蒲 橘禮子 200509
清冽な風雅の句境白菖蒲 今井松子 遠嶺 200509
夕風に雨の匂ひや白菖蒲 鈴木和香 栴檀 200511
まつすぐに雨はしりくる白菖蒲 戸村よねこ 遠き海 200602
白菖蒲乳色をなす終の花 亀田やす子 万象 200606
佇める間も夕光の白菖蒲 大橋敦子 雨月 200607
ゆつくりと闇が濃くなる白菖蒲 望月晴美 200608
座りたる媼つぶやく白菖蒲 小澤克己 遠嶺 200608
白菖蒲久女伝説諾はず 冨田正吉 200608
たそがれの水面明るき白菖蒲 小泉万里子 200608
正直に生きて悔なし白菖蒲 白井友梨 馬醉木 200609
捨つるべきもの見定めぬ白菖蒲 清水晃子 遠嶺 200609
逡巡をはらひし朝の白菖蒲 今井松子 遠嶺 200609
月光を零してゐたる白菖蒲 湯浅夏以 遠嶺 200610
傍らの木立の深し白菖蒲 青山丈 200610
白菖蒲白をゆたかに垂れにけり 増田幸子 万象 200709
女人にも譲れぬ一分白菖蒲 高柳ちゑ 遠嶺 200709
川沿いの光秀塚に白菖蒲 奥田妙子 ぐろっけ 200710
降り出しの雨にすらりと白菖蒲 野口香葉 遠嶺 200809
作務僧の一人が若し白菖蒲 野沢しの武 風土 200901
父の忌や雨に有情の白菖蒲 望月晴美 200907
白菖蒲親鸞蓮如の連座像 岡田のり子 200907
信ずれば何とかなるさ白菖蒲 笠井清佑 200908
関宿に薄茶一ぷく白菖蒲 谷村幸子 200908
大槍の残る庄屋や白菖蒲 鈴木裕之 馬醉木 200909
綴ぢ糸の黄色残して白菖蒲 米田正弘 200909
白菖蒲途方に暮れてゐるやうな 原田達夫 200910
超然と生きぬく翁白菖蒲 今井松子 遠嶺 200911
どこからとなく水の音白菖蒲 渡井佳代子 201011
白菖蒲活け月忌僧むかへけり 川崎良平 雨月 201108
かはたれや目覚めの早き白菖蒲 岩永はるみ 白雨 201203
一弁は月に開きぬ白菖蒲 小林愛子 辻楽師 201206
白菖蒲最後の夕日ありにけり 吉清和代 万象 201208
雨足のどこか明るし白菖蒲 服部早苗 201209
百彩を三弁に秘め白菖蒲 竹下陶子 ホトトギス 201403
白菖蒲人待つ背筋かたくして 久保久子 湖心 201402
にべもなく風とほしけり白菖蒲 山尾玉藻 火星 201408
白菖蒲武家の老女と会ふごとく 伊藤照枝 201409
源平にゆかりの須磨や白菖蒲 堀井英子 雨月 201509
白菖蒲総揺れにして風白し 森脇貞子 雨月 201509
夕照に翳りを深め白菖蒲 森清信子 末黒野 201510
ひそやかに夕影させり白菖蒲 岡本敬子 万象 201511
雨の降る前の風来て白菖蒲 内海良太 万象 201607
白菖蒲はつかに池の水動く 松原三枝子 万象 201609
大利根の一徹そだち白菖蒲 渕上千津 201609
添へられし名札負けする白菖蒲 北村幸子 201707
古墳道紫菖蒲白菖蒲 飛高隆夫 万象 201709
帆船の連なるやうな白菖蒲 稗田寿明 201709
無垢にして孤高の色を白菖蒲 石黒興平 末黒野 201710
たそがれてなほ際やかや白菖蒲 森清堯 末黒野 201710
白菖蒲活けて八十路の背を正す 佐久間由子 201808
白蝶の舞ひ白菖蒲揺れにけり 山岸明子 201909
料亭のもと武家屋敷白菖蒲 浅井青二 雨月 201909
白菖蒲人近づけば穢しさう 森清信子 末黒野 201910
白菖蒲人のごとくにふりかへる 岩岡中正 ホトトギス 201911
現し世の塵に染まらず白菖蒲 礒貝尚孝 黄落 202003
名は小町蕾きりりと白菖蒲 伊藤美緒 末黒野 202108
白菖蒲白を極めて翳りけり 森清信子 末黒野 202109
白菖蒲子を恋ひをれば翳りけり 成瀬櫻桃子 春燈 202301

 

2023年6月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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