花菖蒲      278句

風呂敷をほどいたやうな花菖蒲   星野恒彦   麥秋

菖蒲  花菖蒲

作品
作者
掲載誌
掲載年月
青畳を摩りおり花菖蒲はたしかに 廣嶋美恵子 船団 199811
パソコンは嫌だ毛筆花菖蒲 近藤熹治 船団 199811
花菖蒲渓を埋めて過疎の村 稲岡長 ホトトギス 199812
花菖蒲の白は恋人募集中 菊池和子 京鹿子 199901
紫の心に白の花菖蒲 稲畑汀子 ホトトギス 199906
花菖蒲化粧崩れの帯を解く 保坂加津夫 いろり 199906
雨を避け雨を見てゐる花菖蒲 稲畑汀子 ホトトギス 199906
花菖蒲いつも笑つて伐られ役 中原道夫 銀化 199907
水はほかの色を映さず花菖蒲 鷹羽狩行 199907
花菖蒲風と折り合ひつけて撮る 金子つとむ 俳句通信 199908
何もせで梯子してみる花菖蒲 松沢久子 いろり 199908
たこ焼きの釣銭で買ふ花菖蒲 保坂加津夫 いろり 199908
八ツ橋を渡る子犬や花菖蒲 山田京子 俳句通信 199908
花菖蒲撮るや水面の影までも 金子つとむ 俳句通信 199908
花菖蒲風に戯れゐたりけり 増田とみゑ 俳句通信 199908
花菖蒲古墳をめぐり二つ三つ 有賀たもつ 遠嶺 199908
目覚めゆく花しつとりと花菖蒲 大塚洋子 酸漿 199908
白川郷花菖蒲よく咲くころぞ 阿部ひろし 酸漿 199908
楼門へ小さき反り橋花菖蒲 深川知子 俳句通信 199908
水の洩る花瓶買はされ花菖蒲 保坂加津夫 いろり 199908
みたされぬことひとつあり花菖蒲 大平保子 いろり 199908
よき風を得て城山の花菖蒲 館林志津子 俳句通信 199909
花菖蒲自販機で買ふ釣りの券 藤村美津子 春耕 199910
曇りのち雨の予報の花菖蒲 大東由美子 火星 199910
揺れ易き風難き風花菖蒲 稲畑廣太郎 ホトトギス 200006
ほどけゆく源氏絵巻や花菖蒲 稲畑汀子 ホトトギス 200006
花菖蒲水の昏さをさかしまに 保坂加津夫 いろり 200007
木道は湿りがちなり花菖蒲 内藤八重 俳句通信 200007
花菖蒲活けて気配り出来る場所 松沢久子 いろり 200007
明日開く夢のふくらみ花菖蒲 小島とよ子 新樹光 200007
花菖蒲水の落してありにけり 保坂加津夫 いろり 200008
素通りのさうは行かない花菖蒲 松沢久子 いろり 200008
遣水のとどまる池の花菖蒲 中野菊子 春耕 200009
青銅の露坐仏在す花菖蒲 石田邦子 遠嶺 200009
へらへらの大方は花菖蒲なり 伊藤格 200009
待ちぼうけさせられてゐる花菖蒲 保坂加津夫 いろり 200009
水染めて舞ひ立たんとす花菖蒲 清水明子 遠嶺 200009
高きより見て花菖蒲撮る水辺 渡邊牢晴 雨月 200009
献体の壁塗りこめて花菖蒲 阿辺一葉 海程 200009
花莟には雨滴とどめず花菖蒲 矢島久栄 200009
水琴の音静もりて花菖蒲 大村真佐子 遠嶺 200010
花菖蒲一輪そよぐ風の筋 内山和江 奧嶺 200010
栄転も左遷も昔花菖蒲 苑田ひろまさ 200105
花菖蒲より一枚の案内状 稲畑汀子 ホトトギス 200106
ポスターの先づは屈きぬ花菖蒲 稲畑汀子 ホトトギス 200106
刀箪笥遺る書院や花菖蒲 大曽根育代 遠嶺 200107
花菖蒲見ゆる仏間となりゐたり 山本潤子 いろり 200107
頭を上げて龜甲羅干す花菖蒲 高橋ふじ 酸漿 200108
花菖蒲江戸美人てふたたずまい 芝宮須磨子 あを 200108
花菖蒲足の弱さを知らされて 松沢久子 いろり 200108
長屋門の門川うづむ花菖蒲 渋谷照代 200109
花菖蒲ぽつぽつ咲いて近寄れず 松沢久子 いろり 200109
花菖蒲もう一度とは云はざりき 松沢久子 いろり 200109
花菖蒲佇む人と揺れてをり 岩田育左右 遠嶺 200109
人去れば木霊あそぶ花菖蒲 石田邦子 祭笛 200109
閉ざされし回廊風の花菖蒲 大曽根育代 遠嶺 200109
花菖蒲庭の垣根の高からず 永岡セツ 酸漿 200110
巫女の手に雨の匂ひの花菖蒲 阿久津都子 春耕 200110
山国の少しおくれて花菖蒲 寺田善樹 風土 200110
走り根の土へもどりぬ花菖蒲 山田六甲 六花 200206
改修に空を拡げて花菖蒲 稲畑廣太郎 ホトトギス 200206
花菖蒲山より雨の毛越寺 菅原修子 春耕 200206
島長は源氏の裔や花菖蒲 山口順子 200208
花菖蒲見てをり故郷異にして 辻のぶ子 雲の峰 200208
棚田いま行きかふ人や花菖蒲 菊地英雄 酸漿 200208
花菖蒲の色のあやなす斎宮址 谷口ふみ子 雨月 200208
紫は優位なる彩花菖蒲 塩川雄三 築港 200208
湧水の絶えることなく花菖蒲 須賀敏子 あを 200808
一棹にぐいと近づく花菖蒲 鈴木多枝子 あを 200810
雨空に溶け込んでゆく花菖蒲 森山のりこ あを 200909
水際を白に染めたる花菖蒲 嘉住きよ美 末黒野 201004
共にゐることの安らぎ花菖蒲 鴨下昭 201007
城跡に花菖蒲咲く一眺め 阿部ひろし 酸漿 201007
列正し未だ蕾や花菖蒲 阿部ひろし 酸漿 201007
花菖蒲爪紅と言ひ花白し 阿部ひろし 酸漿 201007
花菖蒲紬娘はまだ咲かず 阿部ひろし 酸漿 201007
花菖蒲五三の雪の明るさよ 阿部ひろし 酸漿 201007
花菖蒲おきつしらなみ咲きそめし 阿部ひろし 酸漿 201007
己が科(しな)池に写して花菖蒲 北尾章郎 201008
料亭の紙燭に浮かぶ花菖蒲 松田とよ子 201008
花菖蒲活け甲冑の華やぎぬ 城戸緑 末黒野 201008
無造作に活けてしみじみ花菖蒲 大松一枝 201008
百選の墨たまはりぬ花菖蒲 神蔵器 風土 201008
雨しづく蕊の重たき花菖蒲 荒井書子 馬醉木 201008
水楢の木の間明るし花菖蒲 夏目満子 酸漿 201009
唇弁は笑ひ上戸に花菖蒲 川井秀夫 ろんど 201009
滲ませて雨色に描く花菖蒲 沼崎千枝 末黒野 201009
絵の中のひと色招き花菖蒲 黒澤登美枝 201009
由布を背に和名ゆかしき花菖蒲 清水佑実子 201009
花菖蒲風に清濁ありにけり 冨松寛子 201009
手のひらを開くがごとし花菖蒲 坂本幸子 酸漿 201009
花は垂れ背丈はすくと花菖蒲 梅田秀子 酸漿 201009
水音より昏れてゆくなり花菖蒲 川崎かずえ ろんど 201009
濃く淡く互ひに目立つ花菖蒲 米山喜久子 201009
王朝の和歌守展や花菖蒲 橋添やよひ 風土 201009
さはりなき言の葉返す花菖蒲 小瀧洋子 ろんど 201009
一枚は花菖蒲なり千枚田 山崎真義 201009
花菖蒲開けつぱなしで出で来たる 城孝子 火星 201010
花菖蒲巡り朱塗りの膳につく 長節子 201010
雲厚き空へほぐるる花菖蒲 松下信子 万象 201010
池尻の水音たたず花菖蒲 森清信子 末黒野 201010
山雨絹の如くにとざす花菖蒲 竹下陶子 ホトトギス 201011
雨似合ふ水辺の似合ふ花菖蒲 稲畑汀子 ホトトギス 201106
人ごゑの三々五々や花菖蒲 神蔵器 風土 201107
落書はそつと机に花菖蒲 吉弘恭子 あを 201107
花菖蒲余震の揺れに箸置きて 鴨下昭 201107
古代てふ江戸てふむらさき花菖蒲 田中佐知子 風土 201108
県花観る人の混雑花菖蒲 長崎桂子 あを 201108
花菖蒲峡にひとつの生水端しょうずばた 松岡和子 201108
凛として水面に映えし花菖蒲 小野喬樹 馬醉木 201108
花菖蒲賜ばり仏間に暫し坐す 大橋晄 雨月 201108
花菖蒲まつさらの色ひろげけり 楠原幹子 201108
花菖蒲いま盛りなり休耕田 北尾章郎 201108
命名は男の美学花菖蒲 阪本哲弘 201108
嬰のかほ既に整ひ花菖蒲 山口ひろよ 201108
天上の音楽こぼれ花菖蒲 神蔵器 風土 201108
むらさきは業平の色花菖蒲 林いづみ 風土 201108
花菖蒲白のプライド輝きぬ 堀百合子 201109
嫁つ子の舟の着きたり花菖蒲 山田春生 万象 201109
山陰となりしまま暮れ花菖蒲 渡邊孝彦 やぶれ傘 201110
花菖蒲昭和名残のポンプ井戸 大村かし子 万象 201110
浮世絵の女振りむく花菖蒲 三浦澄江 ぐろっけ 201110
ほがらかな風の集まる花菖蒲 小林正史 201110
助六の世の色うつし花菖蒲 コ田千鶴子 花の翼 201111
花菖蒲今日が見頃といふ出会ひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206
花菖蒲一株はなれて咲きにけり 松本信子 かさね 201208
花菖蒲穢れぬ姿園に映え 菊地崇之 かさね 201208
花菖蒲水に溶けこむ花の色 吉田博行 かさね 201208
糸の雨蛇の目さされて花菖蒲 吉田啓悟 かさね 201208
浮世絵の美人のごとき花菖蒲 青木英林 かさね 201208
雨あとの色鮮やかに花菖蒲 安藤虎酔 かさね 201208
公園の緑を背に花菖蒲 吉田博行 かさね 201208
一茎の支ふる矜恃花菖蒲 野坂民子 馬醉木 201209
縮緬の重さだらうか花菖蒲 宇都宮敦子 201209
花菖蒲撮られ詠まれて描かれて 田伏博子 ろんど 201209
花菖蒲活けて背負はす一升餅 山口キミコ 九十九島 201209
写生会どの画用紙も花菖蒲 三橋早苗 ぐろっけ 201209
かはたれや生絹びかりの花菖蒲 藤井明子 馬醉木 201209
これ以上なき福耳や花菖蒲 甕秀麿 201209
雨雲の下りくる早さ花菖蒲 高倉和子 201209
足元のせまき八橋花菖蒲 丑久保勲 やぶれ傘 201210
花菖蒲手作りの旗客招く 福田かよ子 ぐろっけ 201210
母と子に賑はふ池や花菖蒲 岡本ヨシエ 末黒野 201210
ゆるやかに人流れゆく花菖蒲 岡本ヨシエ 末黒野 201210
花菖蒲三分や堀切との曇る 酒井秀郎 返り花 201211
色と彩競ひあふとも花菖蒲 嶋田一歩 ホトトギス 201211
降る雨の水面に消ゆる花菖蒲 齋藤朋子 やぶれ傘 201211
天上ヘアリアのやうに花菖蒲 岩岡中正 ホトトギス 201211
一面といふ満開や花菖蒲 嶋田一歩 ホトトギス 201211
一茎に支ふる矜恃花菖蒲 野坂民子 馬醉木 201301
花菖蒲夜は古墳の闇が抱く 原友子 201302
句仇のなきはさみしき花菖蒲 中江月鈴子 201305
花菖蒲紫がちの寺苑かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
紫は白従へて花菖蒲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201306
綿飴に顔うずめる子花菖蒲 斉藤裕子 あを 201307
花菖蒲恋のいろはの滲み出す 福永尚子 ろんど 201309
たいそうな名をもらひけり花菖蒲 松田明子 201310
花菖蒲祖母の面影神宮苑 伊吹之博 京鹿子 201310
花菖蒲見舟にちるや小座布団 佐藤喜仙 かさね 201310
花菖蒲影にも風の離れざり 金子野生 京鹿子 201310
風の日は力を抜けり花菖蒲 金子野生 京鹿子 201310
谷間や田の一枚に花菖蒲 福永幸子 末黒野 201310
風に揺れ雨に弾ける花菖蒲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403
雨粒の重さ諾ふ花菖蒲 久染康子 201407
花菖蒲己をただすごと立てり 本多俊子 201408
花菖蒲活けて老舗の蔵座敷 井口淳子 201408
ざつくりと剪つてくれたる花菖蒲 内海良太 万象 201408
咲き満ちて雅の池の花菖蒲 秦和子 201408
雨に映え揺るる湖畔の花菖蒲 西田史郎 201408
決断を迫られてをり花菖蒲 橋添やよひ 風土 201409
暁光や袱紗びらきの花菖蒲 藤原照子 201409
花菖蒲水辺の匂ひ迫り来る 高橋照子 雨月 201409
花菖蒲終りは己抱きしめ 伊藤照枝 201409
夕暮れて紫消ゆる花菖蒲 大橋淳一 雨月 201409
風そよぐ水辺の詩情花菖蒲 桂敦子 201409
筆先を水にうすめむ花菖蒲 笹村政子 六花 201409
おほぶりの花よりゆるる花菖蒲 笹村政子 六花 201409
元録の妍を競ひて花菖蒲 石川寿夫 ろんど 201409
花菖蒲剪りおかれたる橋の濡れ 平居澪子 六花 201410
花菖蒲敗者のほこり秘めし沼 野村鞆枝 京鹿子 201410
花菖蒲疾く闇下りぬ濃紫 平居澪子 六花 201410
名刹の箒目すがし花菖蒲 野村鞆枝 京鹿子 201410
紫より暮るる山田の花菖蒲 岡野里子 末黒野 201410
もたれあふことなく揺れて花菖蒲 松田明子 201412
雨も又景引き締めて花菖蒲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
花菖蒲少なくなりし同期生 臼井珊瑚 201507
花菖蒲藍の深さに溺れをり 田原陽子 201508
気品とは斯くなる姿花菖蒲 山下健治 春燈 201508
富士山頂映せる池や花菖蒲 森清堯 末黒野 201508
横須賀も奥なる里の花菖蒲 岡田史女 末黒野 201509
就中江戸系の白花菖蒲 松本三千夫 末黒野 201509
侵略の反省は嫌花菖蒲 鴨下昭 201509
花菖蒲の茎も大事と齎さる 江木紀子 雨月 201509
棹を櫓に櫓をまた棹に花菖蒲 石黒興平 末黒野 201510
園内に竹の閂花菖蒲 渡邊孝彦 やぶれ傘 201510
明日はしぼむうすむらさきの花菖蒲 森清信子 末黒野 201510
土壁の苆の見えゐる花菖蒲 大崎紀夫 虻の昼 201510
助六てふ紫の濃き花菖蒲 石川賢吾 201602
花菖蒲滴るごとくひらきけり 升田ヤス子 玫瑰 201604
少年の発心赤し花菖蒲 鈴鹿仁 京鹿子 201605
水音の埋めゆく余白花菖蒲 中野あぐり 春燈 201606
将門の神を祀りて花菖蒲 内藤静 風土 201608
花菖蒲水車返らぬ時きざむ 門伝史会 風土 201608
八橋を子等と渡るや花菖蒲 成田なな女 春燈 201608
花菖蒲めぐる八橋真新し 志方章子 六花 201609
夕風に飛翔の構へ花菖蒲 小林陽子 201609
女にも男気ありぬ花菖蒲 小林陽子 201609
花菖蒲古桟橋を飾りけり 鈴木良戈 201609
水郷に遠き潮騒花菖蒲 福島せいぎ 万象 201609
水郷の町の小町や花菖蒲 加藤タミ 末黒野 201609
花菖蒲萎れし花に日のぬくみ 中根美保 風土 201609
風立つや水に色添ふ花菖蒲 藤岡紫水 京鹿子 201609
釣果なき人とめぐりぬ花菖蒲 佐藤康子 末黒野 201610
誰彼の腰掛石や花菖蒲 佐藤花木 雨月 201610
雨を待つ形にひらく花菖蒲 今井春生 201610
花菖蒲目に丁字麩を口の中 服部早苗 201611
花菖蒲時を宝と日々思ふ 安部和子 雨月 201611
きつさきの風つらぬける花菖蒲 竹下陶子 ホトトギス 201612
町店の閉ぢ軒先の花菖蒲 滝沢いみ子 末黒野 201704
人寄せて羽音沈めて花菖蒲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
絵図のごと烏城称へし花菖蒲 鈴鹿仁 京鹿子 201707
船頭の美声棹さす花菖蒲 大石誠 201707
気位のゆるぎなきかな花菖蒲 小嶋恵美 春燈 201709
濃むらさき濡れて立ちをり花菖蒲 吉澤恵美子 春燈 201709
たつぷりとある夕暮や花菖蒲 岸洋子 201709
いにしへの風はこの色花菖蒲 笹村政子 六花 201709
崖裾の沼の昏さや花菖蒲 森清堯 末黒野 201709
競ひなし江戸肥後系の花菖蒲 安斎久英 末黒野 201709
明日雨の予報出てをり花菖蒲 黒滝志麻子 末黒野 201709
花菖蒲城址の風のやや粗く 松本三千夫 末黒野 201709
彩りや朝日に映ゆる花菖蒲 吉田きみえ 末黒野 201709
愁ひ持つやうにむらさき花菖蒲 上辻蒼人 風土 201709
花菖蒲深紫は伊勢系と 内海保子 万象 201709
花菖蒲水のやうなる風の音 笹村政子 六花 201709
年輪をほどくかに揺れ花菖蒲 高木晶子 京鹿子 201709
花菖蒲フランスパンを太刀持ちす 丸井巴水 京鹿子 201709
駅頭の標や鉢の花菖蒲 森清堯 末黒野 201710
花菖蒲いとらうたげに萎みけり 升田ヤス子 六花 201710
囲みたる水の束縛花菖蒲 湯川雅 ホトトギス 201710
夕さりの色の淋しき花菖蒲 落合由季女 雨月 201802
花菖蒲館は年尾の世界かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
シャッターの音に震へて花菖蒲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
紫はカメラ目線や花菖蒲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
花菖蒲円周率は五桁まで 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
太宰府に偲ぶ悌花菖蒲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
根元から大きく風の花菖蒲 今井肖子 ホトトギス 201807
ひとところ川幅うめて花菖蒲 亀卦川菊枝 末黒野 201808
家ごとに三歩の橋や花菖蒲 森田節子 風土 201808
花菖蒲江戸伊勢肥後と競ふかな 大橋晄 雨月 201809
紫に濃淡ありて花菖蒲 大橋晄 雨月 201809
船頭の水棹の軽し花菖蒲 西村渾 201809
花菖蒲神の命の白さかな 竹下陶子 ホトトギス 201811
照り降りの忙しきひと日花菖蒲 望月晴美 201908
白の好き紫さらに花菖蒲 吉田順子 201908
久方の友とゆるゆる花菖蒲 長崎桂子 あを 201908
夫の父の晩年の世話花菖蒲 井上正子 春燈 201909
日の闌けて風に彩散る花菖蒲 大川暉美 末黒野 201909
白無垢の映る水面や花菖蒲 松橋輝子 末黒野 201909
むらさきの色の豊かに花菖蒲 宮内とし子 201910
醤油蔵匂ふ小路の花菖蒲 田中臥石 末黒野 201910
水音の小刻み瑠璃の花菖蒲 森清信子 末黒野 201910
また少し雨意ある風や花菖蒲 天野美登里 やぶれ傘 201910
腹見せてよぎる旅客機花菖蒲 瀬島洒望 やぶれ傘 201910
城山の影の被さる花菖蒲 藤原明美 201910
野花菖蒲穹(そら)に蕾を引き絞る 宇都宮敦子 琴引鳥 202002
しづけさを水に映して花菖蒲 礒貝尚孝 黄落 202003
さらさらと印南川の花菖蒲 延川五十昭 六花 202007
花茎摘み美のふたたびや花菖蒲 七郎衛門吉保 あを 202007
花菖蒲水辺にうすき影おとす 吉澤恵美子 春燈 202008
観音へつづくこの道花菖蒲 吉澤恵美子 春燈 202008
天人の衣むらさき花菖蒲 鈴木鳳来 春燈 202008
花菖蒲秘めし絞りを解きけり 森清信子 露の堂 202008
水口の音ちよろちよろと花菖蒲 山本久枝 やぶれ傘 202009
挨拶のごと頭垂れ花菖蒲 小林廣志 末黒野 202009
花菖蒲八ヶ岳麓より絵はがき来 本田武 やぶれ傘 202009
二の丸の雨に静もる花菖蒲 山田閏子 ホトトギス 202011
紫のひと色ならず花菖蒲 山田閏子 ホトトギス 202011
花菖蒲雨の過客でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202106

 

2021年6月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。