鹿 4   172句

おく山や五聲つゞく鹿の聲   去來

作品
作者
掲載誌
掲載年月
宴席にぬつと顔出す神の鹿 金田美恵子 ぐろっけ 200812
踞る遠眼差しの神の鹿 金田美恵子 ぐろっけ 200812
神鹿の人に馴れたる眼と合へり 金田美恵子 ぐろっけ 200812
遠鹿や三角窓を月渡り 高橋芳子 火星 200812
雨となる八瀬に鹿鳴く夕べかな 佐用圭子 200901
火袋も覗きて鹿の飢ゑあらは 八染藍子 200901
鹿よぎる千尋の道バス止めて 島純子 ぐろっけ 200901
鹿鳴くや村の祭の果てたる夜 山田天 雨月 200901
闇裂きて牡鹿現れたる神の森 犬丸勝子 200901
潮騒の耳立ててゐる孕み鹿 遠藤和彦 彩雲 200901
橡の実や鹿の通ひし蹄跡 萩原渓人 やぶれ傘 200901
隠国のごとき輪中に鹿棲める 駒井でる太 200902
鹿撫でて古都巡礼の始まりぬ 水岡芳子 馬醉木 200902
大仏まで鹿の案内に委せ往く 千田敬 200902
夜や蒼き絶壁をもて若き鹿 梶浦玲良子 六花 200902
鹿肉を焙る猟師の手の厚く 國永靖子 ぐろっけ 200904
起つときの脚の四本孕鹿 城孝子 火星 200906
せんべいと角なき鹿にねだらるる 後藤とみ子 ぐろっけ 200906
よく辷る山の横腹鹿よぎる 丸山佳子 京鹿子 200909
啼く鹿に特急列車衝突す 高木みさ女 炎環 200911
鹿出でて食み荒らされし野菜畑 室谷幸子 万象 200911
鹿たちの中ゆき野守ごころあり 山尾玉藻 火星 200911
朝霧へ鹿の親子の逃げ込みぬ 山田六甲 六花 200911
果知らぬ追憶ばかり鹿鳴ける 杉本綾 200912
飛火野に立つ遠き目の鹿であり 安居正浩 200912
野にあらば鳴きたきものを檻の鹿 今井弘雄 春燈 200912
鹿鳴くや浅き眠りの旅ひとり 大橋伊佐子 末黒野 200912
鹿垣の潮さぶ崖に尽きゐたり 浜口高子 火星 200912
杉きりり洩れ日に鹿の声ともる 梶浦玲良子 六花 200912
勢子の追ふ鹿の逃げ込む神の杜 山口キミコ 201001
櫓の軋み水際の鹿に見送られ 山本信子 201001
鹿苑に角伐り神事朗々と 山口キミコ 201001
鹿を追ふ勢子の鉢巻凛々しかり 山口キミコ 201001
しなやかにつと立ちあがり月の鹿 大野崇文 201001
星空や闇を切り裂く鹿の声 芹沢かおる 末黒野 201001
えぞ鹿の大振りの角カムイかな 中田禎子 201001
柵越えて鹿ひるがへる月の径 手島靖一 馬醉木 201001
先頭は朝霧の中鹿の列 狭川青史 馬醉木 201001
鹿鳴くやをみなばかりの坊泊 佐藤いね子 馬醉木 201001
鹿の目はいつも遠くを見てをりぬ 和田政子 201001
お辞儀して餌乞ふしぐさ朝の鹿 福島せいぎ 万象 201001
大仏の遠まなざしや鹿の糞 福島せいぎ 万象 201001
一瞥を残し牡鹿の消えにけり 穂苅照子 万象 201001
老鹿の角あるやうに立ちにけり 杉浦典子 火星 201001
鹿の背にひと日のほてりありにけり 杉浦典子 火星 201001
神鹿の銜ふる穂草震へをり 丸山照子 火星 201001
鹿声にもう振り向かぬ山路かな 坂口夫佐子 火星 201001
頭の大き鹿が佇む夕紅葉 城孝子 火星 201001
鹿の妻寝ねしころなりみかん食ぶ 城孝子 火星 201001
飛火野に鹿の疾走神の留守 助口弘子 火星 201001
鹿に会ひ仔鹿に会うて日の昏れし 笠置早苗 火星 201001
鹿鳴いて若草山の暮れなづむ 細川コマヱ 雨月 201001
笛の音となる鹿声や十三夜 長田秋男 酸漿 201001
月の夜や鹿のぞきてふ露天の湯 柳沢典子 酸漿 201001
紅葉の庭に鹿来る奈良の宿 早崎泰江 あをかき 201001
われを見る鹿の眼は凸面鏡 相良牧人 201001
煎餅を買へば牡鹿に尻突かる 塩出眞一 ぐろっけ 201001
よく見れば鹿ことごとく長睫毛 塩出眞一 ぐろっけ 201001
お旅所の焚火につどひはぐれ鹿 小林成子 201002
鹿寄せに高鳴るホルン淑気満ち 小林成子 201002
暮れ初めし草原渡る鹿の声 原和三 末黒野 201002
夕鹿の空にのこせし声ひとつ 川崎かずえ ろんど 201002
夕鐘に角なき鹿の虚ろなる 金山藤之助 201002
夕さりの峪を彷徨ふ鹿のこゑ 遠藤和彦 遠嶺 201002
鹿のこゑぬばたまの夜は更けゆけり 曷川克 遠嶺 201002
湿原の白樺の森鹿鳴けり 岡田誠吾 201002
垣根なき苑易々と鹿渡る 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 201002
旅疲れ消えて鹿の家居かな 稲畑汀子 ホトトギス 201003
風の鹿おどろき易き足もてり 岩岡中正 ホトトギス 201003
濃紅葉や狗犬の座に鹿の坐る 北村香朗 京鹿子 201003
鹿鳴くや京菓子にある山の色 あさなが捷 201004
焼芋の笛動かざる夜の鹿 堀江惠子 201004
神苑の茶屋の灯鹿の親子臥す 中山良子 末黒野 201004
谿径の絡む走り根鹿の声 森清尭 末黒野 201004
仮囲ひひよいとひととび鹿母子 東亜未 あを 201007
一騎打めく小牡鹿の真向へば 片山由美子 201010
尻声をあらはに鹿の啼きにけり 片山由美子 201010
渚まで一気に駆けて島の鹿 片山由美子 201010
群鹿の憩ふ境内草の花 笠井清佑 201011
鹿鳴くや潮の満ち来る灯の廻廊 長谷川閑乙 馬醉木 201011
杜を洩る日矢背景に角なき鹿 豊田都峰 京鹿子 201011
真夜に聞く罠にかかりし鹿の声 山崎里美 201012
ひと夜さの鹿の音寒し山番屋 山本雅子 馬醉木 201012
鹿の眸の貴石めきたる潤みかな 石黒興平 末黒野 201012
鹿たちの古き世の貌水澄めり 山尾玉藻 火星 201012
猪も鹿も出没せしと坊が妻 山本漾子 雨月 201012
猪鹿の足跡のこる畑起す 川端郷思 雨月 201012
庭先に鹿の来てゐる湖畔宿 黒坂紫陽子 馬醉木 201101
深吉野の霧に籠れり鹿の声 西村節子 火星 201101
鹿笛の坂ゆるゆると二月堂 堀江惠子 201101
牡鹿立つ座しても威風損なわず 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 201101
神鹿は終始耳立て夜の神事 小林成子 201102
列なして鹿過りけり神の前 宮田香 201102
鹿と眼を合せ歩を止む上の茶屋 手島靖一 馬醉木 201102
夕時雨さつきの鹿の戻り来し 助口もも 火星 201102
しろがねの月をまぢかに鹿ねむる 梶浦玲良子 六花 201102
孕鹿人を疑ふまなこせり 大谷昌子 馬醉木 201105
蝦夷鹿の塒へ戻る尻明り 金山藤之助 201107
鹿鳴けりさつき聞きたるより遠く 細野恵久 ぐろっけ 201110
牡の鹿のおののきて群おののきぬ 河崎尚子 火星 201112
鹿鳴きて牌を自模(つも)りし手の止る 中島玉五郎 201112
鹿鳴ける仏の山に先師句碑 田所節子 201112
どの鹿も尻毛は同じ量の白 吉田希望 201112
老鹿に松ぼつくりの散らばれる 大川八重子 火星 201201
柵へだて角突き合はす鹿の秋 藤岡紫水 京鹿子 201201
餌漁る鹿の来てをり背戸の闇 渡辺崖花 末黒野 201201
山間の暮れて鹿鳴く遠谺 伊東和子 201201
山荘や妻恋ふ鹿の闇深し 渡辺崖花 末黒野 201201
鹿の目に吸ひ込まれたる不覚かな 安居正浩 201201
悉く田水のおちし鹿の声 飯塚ゑ子 火星 201201
出迎へは沿道の鹿涯の宿 三崎千恵子 ろんど 201201
西行のあはれと聞ける夜の鹿 手島伸子 雨月 201201
青垣の夕づく静寂鹿鳴けり 植松昌子 馬醉木 201201
赤き旗振りて鹿追ふ勢子若し 堀口香代子 ぐろっけ 201201
古都に飼はれ夜を長啼けりさ牡鹿は 手島伸子 雨月 201201
追ひ追はれ勢子より早き鹿の足 堀口香代子 ぐろっけ 201201
奈良町のお尻美人で鹿の去る 三枝邦光 ぐろっけ 201202
はぐれ鹿老の歩みでありにけり 古賀しぐれ ホトトギス 201202
破築地鹿行く方へ曲りけり 古賀しぐれ ホトトギス 201202
鹿の声女院は紅を捨て給ふ 吉田葎 201202
まなざしの親しげに寄る鹿の息 水田むつみ ホトトギス 201203
蝦夷鹿の群一瞬に過ぎにけり 赤座典子 あを 201204
鹿去りし山に法螺の音お山焼 横山昭子 雨月 201205
神鹿の疑ふことのなき眼 近藤喜子 201211
清盛の舞ひ治まるや鹿の声 前田美恵子 201211
煎餅を買ふや押し寄す鹿の群れ 宮元陽子 末黒野 201211
てのひらへ月に冷えたる鹿の息 山城孝子 火星 201212
目が合ひし鹿に蹤かれて困りをり 師岡洋子 ぐろっけ 201301
雨兆す風の中なる鹿の耳 師岡洋子 ぐろっけ 201301
山彦となりし一途な鹿のこゑ 近藤喜子 201301
飛火野に次々と立つ鹿の耳 中村洋子 風土 201301
霧立つや山小屋さけて野鹿棲む 田中清秀 かさね 201301
さ牡鹿の揺るる胸毛へ夕日影 藤井久仁子 ぐろっけ 201301
檜匂ふ白木のベンチに鹿来る 陳妹蓉 春燈 201301
鹿を追ふ話鹿笛吹きながら 柴田佐知子 201302
この森に果あるべし鹿の声 中尾安一 火星 201302
鹿の背に触れ千年の時とどむ 中尾安一 火星 201302
鹿争ふ角なき頭突き合うて 森礼子 雨月 201302
鹿鳴いて浅茅ヶ原の暮急ぐ 谷村祐治 雨月 201302
かはたれの杜の奥より鹿の声 谷村祐治 雨月 201302
人遠くながめて鹿の老いにけり 中尾安一 火星 201302
東大寺団栗も食む鹿の群れ 木本蓚 ぐろっけ 201303
寄つて来し鹿の目澄んでゐたりけり 石川叔子 201303
物言うてゐる鹿の目の寄つて来る 岩田公次 ホトトギス 201305
牡鹿の静かに座せり角落し 西村敏子 201306
お松明の散華を遠見鹿の影 小澤菜美 201306
幾度も舐められて鹿生まれたる 栗原京子 201310
木洩れ日や合ふ母鹿の大きな目 成田美代 201311
一声に二声応ふ鹿の森 植田桂子 馬醉木 201312
日没を急げよ鹿の声聞かな 山田六甲 六花 201312
鹿を聞く耳そばだててをりにけり 山田六甲 六花 201312
鹿鳴くやみささぎ脇の宿にゐて 井上石動 あを 201312
たてがみの鹿傲然と頭を上ぐる 田中たつを 雨月 201401
鹿道の木の実伝ひに浮見堂 田中貞雄 ろんど 201401
桟橋に神の使の鹿現れる 井上あき子 ぐろっけ 201401
逢魔ヶ時角切り前の鹿荒ぶ 村上倫子 201401
雨冷えの神鹿の角逞しき 村上倫子 201401
奈良の鹿韓語英語も分かるらし 池田かよ ぐろっけ 201401
飛火野や木の実と鹿の糞睦ぶ 田中貞雄 ろんど 201401
本籍は鹿鳴く頃よ父御座す 馬場由紀子 201401
夕さりも夜さりも鳴きて恋の鹿 塩路隆子 201401
秋深む啼くといふより吼ゆる鹿 田中貞雄 ろんど 201401
幾山河越えて妻恋ふ鹿の声 藤岡紫水 京鹿子 201401
マリモやマリモ牡鹿原野を駆け抜ける 吉田克美 ろんど 201402
奈良の鹿集合写真に加はりし 秋千晴 201402
首伸ばし掲示の紙を鹿が食む 秋千晴 201402
さを鹿や首で帰りし僧の墳 鳥居美智子 ろんど 201402
首筋に鹿の息あり朝の磯 0吉村摂護 201403
息白くホルンに寄り来鹿の群 中島知恵子 雨月 201403
神苑の落葉溜りを均らす鹿 久保東海司 201403
古都の景妻恋ふ鹿に暮れゆけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410
古都の夜を魑魅に還し鹿の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 201410
鹿→ 5      

2021年10月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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