秋 思 3  94句

大暴れせるその後の秋思の子   長谷部朝子   暖流

秋愁  秋思

作品
作者
掲載誌
掲載年月
一葉の櫛を見てゐる秋思かな 小原紀香 末黒野 201812
手のひらの林檎の重さほど秋思 火箱ひろ 201901
こっつんこっつん鉄球の秋思 つじあきこ 201901
X線に浮かぶ肋骨の秋思 辻水音 201901
秋思かな書架に溜めたる未読の書 川高郷之助 201901
見送るも見送らるるも秋思濃し 佐藤保子 馬醉木 201901
読み止しの嵩の増へゆく秋思かな 五十嵐貴子 末黒野 201902
珈琲の香の深めたる秋思かな 小田嶋野笛 末黒野 201902
栞紐切れたるままの秋思かな 石黒興平 末黒野 201902
捨てかぬるものに埋もるる秋思かな 石黒興平 末黒野 201902
丘の道秋思の影の逃げ易き 松本三千夫 末黒野 201902
深む秋思ひトコトコ独り歩きす 久保夢女 201902
秋思ふと水のあつまる一処 井尻妙子 京鹿子 201902
向かひ合ふ秋思の貌や深夜バス 大島寛治 雨月 201902
絵はがきの余白そこはかとなく秋思 平居澪子 六花 201902
病床に臥せてをりたる秋思かな 延川五十昭 六花 201902
懺悔室へと置いてくる秋思とは 和田華凛 ホトトギス 201903
小面を懸けて秋思の深まれり 森田明成 201905
地球儀を廻してつのる秋思かな 中島秀夫 王水 201909
被爆ビル秋思の蔦を絡めをり 亀井福恵 京鹿子 201911
動かざる慈悲の半眼秋思濃し 森村江風 201911
砂時計見えて音なき秋思かな 大谷満智子 春燈 201911
木の椅子に寝まる男の秋思かな 鈴木愛子 201911
待つ心失せかかりたる秋思かな 岡部名保子 馬醉木 201911
湿度高く意欲失せさう秋思かな 長崎桂子 あを 201912
わが秋思胡桃に皺のあることも 定梶じょう あを 201912
猫の目のなかに秋思をみる秋思 松井季湖 201912
曼荼羅へ迷ひこむ白象の秋思 辻水音 201912
鳴き砂を歩みにはかの秋思かな コ田千鶴子 馬醉木 201912
草に伏す蝶にも秋思あるらしき 中里よし子 春燈 201912
秋思たつぷり人たつぷりの動物園 笹村ルル 201912
三面鏡の三面を見る秋思かな 西村しげ子 雨月 202001
さざ波たぷん秋思たっぷん七十歳 火箱ひろ 202001
無人駅集札箱の秋思かな たかはしすなお 202001
江の島の砂に字を書く秋思かな 太田良一 末黒野 202001
文鎮の重さほどなる秋思かな 齊藤實 202001
海峡をタンカーよぎる秋思かな 安斎久英 末黒野 202001
若武者の影に秋思のゆらぎをり 佐藤千恵 京鹿子 202001
沈黙はどんな音する秋思かな 直江裕子 京鹿子 202001
少年の秋思空き缶蹴りてゆく 中野あぐり 春燈 202001
秋思ふと父母の写真を手に載せて 吉田順子 202001
不器用な指で眉引く秋思かな 岩月優美子 202001
森のなき文化の森にきて秋思 大久保白村 ホトトギス 202001
隕石は宇宙の秋思かも知れず 平居澪子 六花 202002
睫毛よりひとつぶこぼれたる秋思 藤井啓子 ホトトギス 202002
秋思ふとしめりだしたる五臓腑 安田優歌 京鹿子 202002
バームクーヘン秋思の穴の大きくて 片山煕子 京鹿子 202002
関西弁で言えば秋思をいらわれし 池田澄子 船団 202003
雑踏にぶつかる秋思いくつもいくつも 火箱ひろ 船団 202003
潮風に絡む秋思や鳶の笛 長尾タイ 末黒野 202004
走り根にひろがつてゆく秋思かな 岩岡中正 ホトトギス 202004
ヒトゲノム読み解く夜の秋思かな 近藤真啓 春燈 202007
初孫の笑顔に秋思解きゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
移されし虚子の机といふ秋思 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
寄せ返す波に濡れゆく秋思の歩 牛島晃江 202011
秋思にはかに快速の通過あと 辻美奈子 202012
「様」と「さま」のあはひに惑ふ秋思かな 塙誠一郎 202012
濁りなき水音に深む秋思かな 小倉征子 202012
榧の葉のそよぎかすかや秋思ふと 森清堯 末黒野 202012
池の面のさゆらぐ顔の秋思かな 森清堯 末黒野 202012
裏山の小川に拾ふ秋思かな 太田良一 末黒野 202012
船着場の波を見てゐる秋思かな 芝田幸恵 末黒野 202012
ひと先づは水音に癒す秋思かな 井尻妙子 京鹿子 202101
雲を追ひ雲の影ふむ秋思かな 小林陽子 202101
見るからに秋思の顔や古書店主 川高郷之助 202101
並走の快速離れゆく秋思 七田文子 202101
秋思かな寿命と思ふ齢越えて 永田万年青 六花 202101
頬杖のペンを持ちたる秋思かな 森清堯 末黒野 202102
幽かなる昨夜の秋思を持て余す 渡辺美智子 末黒野 202102
奉納の秋思の大き草鞋かな 住田千代子 六花 202102
なめらかに秒針廻る秋思かな 栗林圭魚 ホトトギス 202103
画廊よりついて来たりし秋思かな 能村研三 202111
秋隣藻屑のり来る秋思かな 山田佳子 202112
この星も地軸かたむけ秋思かな 三木亨 202112
秋思ふと些事に拘はる事なくて 瀬戸峰子 春燈 202201

 野毛山動物園

歩むほかなきライオンの秋思かな

松山三千江 春燈 202201
決着のつきたる後の秋思かな 川高郷之助 202201
秋思いま乳白色になりすます 鷺山珀眉 京鹿子 202201
密やかに星の煌めく秋思かな 綾戸五十枝 202201
病める師にいつも行き着くわが秋思 木村享史 ホトトギス 202203
禅寺に置き忘れたる秋思かな 持永真理子 ホトトギス 202204
レトロなる鞄に秋思詰め込みて 持永真理子 ホトトギス 202204
虚子よりも三つ生き過ぎゐる秋思 木村享史 ホトトギス 202205
母の声受話器はみ出す秋思かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202209
さてと腕組めば秋思の蹤いて来る 千田百里 202211
恋ひとつ秋思に揺るる日のメモリー 鷺山珀眉 京鹿子 202211
夕星や鳥にも秋思あるらしく 赤座典子 あを 202211
神域の走り根を踏む秋思かな 須賀ゆかり 202212
街灯の人影伸ばす秋思かな 森清堯 末黒野 202302
古本の書込み跡の秋思かな 六崎正善 末黒野 202302
発奮の四股によろめく秋思かな 伊藤鴉 末黒野 202302
古本の書込み跡の秋思かな 六崎正善 末黒野 202304
生家売る話の進む秋思かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202310
秋思解く天に弾ける子等の声 稲畑廣太郎 ホトトギス 202310
秋思 →1

 

2023年11月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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