春 水     136

うしろより見る春水の去りゆくを    山口誓子

春の水  春水  水の春

作品
作者
掲載誌
掲載年月
手をのせて春水といふ平らかな 岡本眸 199807
春水に浸して鉈の歪みけり 山田禮子 きらら 199810
顔拭きし布春水の重さあり 土肥屯蕪里 俳句通信 199904
春水の明かるき方に志す 能村登四郎 199905
春水の杭としはじめから傾しぐ 岡本眸 199905
春水によるべなき刻流れたり 木内憲子 199905
春水のうしろ姿の大きかり 神蔵器 風土 200004
春水や僅かにうごく鯉のひげ 土肥屯蕪里 俳句通信 200004
春水のみなもと混めり昨日けふ 宇都宮滴水 京鹿子 200005
春水のささやき合ふは光りあふ 三神あすか ヒッポ千番地 200005
春水の透視図に住む家族なり 吉川真実 海程 200007
春水や刻来て時に鈍くをり 奥田節子 火星 200007
春水の烈しき相を滝に見ぬ 大串章 百鳥 200106
春水に跼みて裾を濡らしけり 近藤忠よし 百鳥 200106
春水にとどろく諏訪の大太鼓 前阪洋子 俳句通信 200106
春水の明るき方に志す 能村登四郎 羽化 200110
ひとまたぎして春水となりにけり 岩岡中正 ホトトギス 200206
春水の煌きに絹晒さるる 松田欽吾 雨月 200206
春水に水占の文字浮び出づ 林典子 雨月 200206
春水をたつぷりそそぐ母の墓 平尾隆士 ぐろっけ 200207
河烏浮き春水の瀞となる 丸川越司 円虹 200208
春水を見て橋の名を思ひ出す 後藤比奈夫 ホトトギス 200211
春水の行方は知らず真砂女逝く 神蔵器 風土 200305
春水の泡の中にひそむもの 戸田春月 火星 200306
匂ひたつところ春水とどまれり 木内憲子 200307
蛇口全開春水の勢ひかな 恒川絢子 対岸 200404
春水のあふれてをりぬヴィーナス像 小澤克己 遠嶺 200405
春水のやうに言葉が胸に満つ 小澤克己 遠嶺 200405
春水をかけ山窪の観世音 高村洋子 遠嶺 200405
今日晴れて春水となる坂の水 林翔 200406
春水の底まで届き棹しなふ 大串章 百鳥 200406
音たてて春水となる峡の川 喜多初枝 雨月 200407
春水に藁くずの浮く日和なり 近藤紀子 200504
春水に取残されてをりし石 山田六甲 六花 200504
春水となるべく暗き橋下出づ 岡本眸 200505
春水や犬ひた走る息づかひ 松山正江 河鹿 200506
馬孕みゐて春水の高鳴れり 古賀寿代 200506
春水の胃の腑を通り葦ありき 中野京子 200507
春水や声なく泣いて翁面 戸村よねこ 遠き海 200602
春水のみちにあふれてゐるところ 久保田万太郎 春燈 200603
春水でぬぐふ諸刃の剣かな 高橋将夫 200606
春水をみつめておれば流れけり 田尻勝子 六花 200606
春水や転がつてゆく日の欠片かけら 近藤喜子 200606
春水となるべく音を湛へをり 木内憲子 200606
盛り上がり春水堰を越えにけり 西屋敷峰水 河鹿 200607
春水の流れ光の宙返り 湯川雅 ホトトギス 200607
恋ひとつ抱く春水ゆるやかに 中島静子 酸漿 200704
春水を騒立ててゆくヘリコプター 清水幸治 200705
春水に差したる棹の震へをり 山田六甲 六花 200705
春水に米をすばやく磨ぎにけり 山田六甲 六花 200705
豊かなる春水飛ばし峡水車 木内美保子 六花 200705
春水の長洲に沿ひて急がざる 鷹羽狩行 200706
春水に忸怩じくじと指浸す 高橋道子 200706
椿の葉閼伽の春水したたらす 大山文子 火星 200706
春水や古藁塚の倒さ影 瀧春一 200706
春水の巌磨きてゆきにけり 永田勇 六花 200707
春水と思ふこころに流れ疾く 野路斉子 200707
釣糸の春水に張りつめにけり ことり 六花 200804
春水や天神さんは核の中 中島陽華 200805
磨崖仏に谿の春水昂りて 大石喜美子 雨月 200805
堰落つる春水泡と消えゆけり 小寺ふく子 六花 200806
春水にふはりと落ちし毛鉤かな 高橋将夫 200807
春水に手を入れ底に届くまで 徳丸峻二 風土 200807
春水の渦のとらへし羽毛かな 小山徳夫 遠嶺 200807
心労の眼に春水の深く迅く 瀧春一 深林 200901
春水の響きの中に草暮るる 山田六甲 六花 200904
春水を二筋に分け岩襖 五ヶ瀬川流一 六花 200905
春水を流して洗ふ皿一枚 佐橋敏子 春燈 200907
春水の音熊笹に榛の木に 谷村幸子 200907
春水の出雲の国へ旅の身を 佐藤ナオ子 遠嶺 200907
春水に沿ひ往く何も彼も忘れ 浅井青陽子 ホトトギス 200908
春水にして思はざる温みかな 布川直幸 201004
春水のきらめき華麗なるロンド 大山里 201005
春水にあらず肺腑に溜まりしは 井上春子 春燈 201005
クレソンの春水に臑光らせて 田中道江 万象 201008
身を屈め春水の綾見てゐたる ことり 六花 201104
春水の光ころがり易きかな 近藤喜子 201105
吾をのせて春水流るヴァイオリン 近藤公子 201105
ポリ袋の春水嬰のごと抱けり 安藤しおん 201105
春水の音絶え間なし賢治の碑 安井和恵 201106
春水やおのもおのもの鯉模様 西田美ち ろんど 201107
春水や堰越ゆるとき膨らみて 浅井吉雄慈 夕端居 201203
公園の春水溢る陶河馬口 水野範子 ぐろっけ 201205
体内もほぼ春水となりにけり 鳥居おさむ 万華鏡 201206
春水の浅黄色もて口すすぐ 加藤峰子 201207
春水の辿り着きたる茅渟の海 岩下芳子 201207
伏流水湧き春水としてゆけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201207
春水の光を縒りてせせらげり 土屋草子 ろんど 201207
棄老をもする世や春水ゆくばかり 豊田都峰 京鹿子 201208
春水を蹴つて翔ぶもの泳ぐもの 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
春水の昂る橋を渡りけり 宇都宮敦子 201305
春水の底を影ひくあめんぼう 上原重一 201305
せめぎ合ふこと春水のさだめとし 立村霜衣 ホトトギス 201306
われ情にもろし春水堰あふれ 丸山佳子 京鹿子 201403
春水を跳ね上げカヌー岩間縫ひ 大島寛治 雨月 201405
春水の一枚磐を渡りけり 山田六甲 六花 201405
春水にひざまづきたるをみなかな 山田六甲 六花 201405
春水の草書うねりを跳べば江戸 植村一雄 201406
春水の昏き流れを出でにけり 近藤紀子 201407
春水を揺らし釣竿揺らす水尾 稲畑廣太郎 ホトトギス 201502
春水の石の窪みに空映す 宇都宮敦子 201505
光芒となりて春水落つ水車 藤岡紫水 京鹿子 201505
春水の光あつめて渓を出づ 栗山恵子 雨月 201506
春水の水輪に心遊ばする 宮本俊子 雨月 201506
山畑や春水運ぶ猫車 太田良一 末黒野 201506
田の水の春水となる夜明けかな 太田良一 末黒野 201506
春水に映れば木々の寄り合へる 高橋道子 201506
春水のほとばしりたる掌 近藤紀子 201507
音立てて春水豊か里の山 羽賀恭子 201507
春水の底に七万トン眠る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
湧き出でてはや春水となりにけり 石川倜子 馬醉木 201604
筧より春水光の棒となる 池田光子 風土 201605
水滴に春水注ぐ玄武かな 雨村敏子 201606
春水に沈む剣山針にぶる 有松洋子 201606
春水にしたがふやうに歩きけり 亀井紀子 201606
彩競ふ鯉に春水滾滾と 松本鷹根 京鹿子 201606
春水の走り出したり実朝忌 岡田史女 末黒野 201606
春水や小橋渡れば小学校 田中たつを 雨月 201606
春水に桶のやうなる舟浮び 山田六甲 六花 201705
春水の流れ石抱き巌抱き 黒滝志麻子 末黒野 201706
小象嗤ふ春水の高く高く 鈴鹿呂仁 京鹿子 201805
春水に少し揺れゐる顔の皺 安藤久美子 やぶれ傘 201805
春水をざぶざぶ使ひ魚市場 河原敬子 201808
春水の堰越ゆる時ふくれけり 森脇貞子 雨月 201905
春水の堰乗り越ゆる音高し 瀬戸薫 風土 201906
堰落つる春水の翳鱗なす 間島あきら 風土 202002
春水のかがやき走る瀬音かな 吉田順子 202005
客間拭く春水かたく絞りては 升田ヤス子 六花 202005
春水の地にもの影のゆらめけり 藤生不二男 六花 202005
春水に手の平大き男の子 黒滝志麻子 末黒野 202105
父と子と春水を跳ぶ竹撓はせ 石川桂郎 風土 202109
春水よ色には色があつたのだ 篠田大佳 あを 202204
春水の走り出したり稲荷山 岡田史女 末黒野 202205
春水や緩び初めたる蛇籠の目 菅原末野 風土 202205
春水や柔き伏見の女酒 鈴鹿呂仁 京鹿子 202206
春水の池底見せて金の鯉 森清信子 末黒野 202206

 

2023年2月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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