春 星    107句

春星の粒を揃へて耕土展ぶ  本橋仁  転生

春星  春の星

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春星や傷なき想ひ培へり 小澤克己 遠嶺 199805
杭深く打ち春星を殖やしたる 小澤克己 遠嶺 199806
春星や不意の握手の強かりき 野口光枝 高籬 199812
春星や湾へと長き坂のあり 小澤克己 遠嶺 199905
春星へ思ひ山列車発ちにけり 小澤克己 遠嶺 199905
いちめんの春星庫を開くなり 小形さとる 199908
春星や暗証番号は素数 橋場千舟 船団 199912
半球をつつむ春星かと思ふ 鷹羽狩行 200003
おほつぶの春星なりし眉の上 小山森生 200005
翼灯ゆく春星すべて置き去りに 藤田宏 200005

 第四句集『花狩女』

春星や句集一気に仕上げたり

小澤克己 遠嶺 200005
国境も春星も越えシャトル飛ぶ 三橋早苗 ぐろっけ 200005
春星の息吹きのなかの丘泊り 福場朋子 200006
蒼ざめた馬が春星拉し去る 松林尚志 海程 200007
春星のまばらなりける眉間尺 小形さとる 200007
春星をぽつりと生みし潦 松永典子 船団 200011
春星や母というもの仁王立ち 本田ひとみ 海程 200012
春星や潤んでゐたる駱駝の目 雨村敏子 200104
春星やまだ色生れぬ大欅 藤田宏 200104
春星を従へ籠松明進む 大竹淑子 風土 200105
春星の肝胆照らしゐる故郷 岸田爾子 200105
春星を止めて置きし森の上 栢森定男 あを 200105
震度五の夜の春星の座の確か 鷹羽狩行 200106
まなうらに春星一つ死者うばふ 原徹 銀化 200106
春星に容態はやや良しと聞く 和田祥子 馬酔木 200107
春星や水音に濡れ母を恋ふ 門伝史会 風土 200107
裏木戸の道は春星へと続く 山田弘子 円虹 200107
春星や弾けぬギターを膝に抱き 稲葉ちよこ 風土 200108
春星やわが原点に嶺のあり 小澤克己 遠嶺 200205
春星や妻の手塩の一書生る 川端実 遠嶺 200205
坩堝にて春星の溶けきらぬもの 中原道夫 銀化 200206
春星や松明の列動き出し 高橋将夫 200207
春星や水田のまたひとつ失せ 毛利慶子 200210
春星や遊行の旅の小づくろひ 小澤克己 遠嶺 200305
春星や木の名付けらるピアノ曲 土岐明子 遠嶺 200305
春星や髑髏そろそろ起きるころ 竹中一花 200305
中陰へ春星一つ発たれける 坊城としあつ ホトトギス 200306
春星や相模の海の静もりて 石井美代子 遠嶺 200405
春星や猫ゐる家に帰らうか 竹中一花 200407
けもの星目覚めて溢る春星座 禰寝瓶史 京鹿子 200407
春星や光年といふ夢の距離 松本圭司 200407
春星となりその数を増やしたる 宮津昭彦 200504
春星のなかの雄羊わが星座 関根義行 対岸 200506
春星のピチカートもて点さるる 大森春子 200506
春星やいくつ数へて名を知らず 鎌倉喜久恵 あを 200506
春星や並べてありし盾と鉾 高橋将夫 星の渦 200507
団欒や夜は春星も座を組める 奥澤和子 200508
春星へ夢の一つを預け置く 三橋泥太 遠嶺 200605
春星や湖にこもれる湖の音 本多俊子 さくらの音 200605
春星やましろき紙をひろげたる 本多俊子 200606
ひと逝けば春星ひとつ動くなり 竹下昌子 200607
天の弧へゆき春星となりしかな 小澤克己 遠嶺 200607
春星の真下にあれば夢ひとつ 川崎洋吉 遠嶺 200607
春星や酒中花根付かぬ話など 林いづみ 風土 200611
春星や第二書斎の調度選る 小澤克己 遠嶺 200704
けふよりは春星となるオリオン座 山下佳子 200705
春星やペン画のやうな児が二人 小澤克己 遠嶺 200705
春星うるむ後頭に指組むことも久し 松崎豊 200705
春星をもつとも被る柚の木なり 山尾玉藻 火星 200705
春星や人声に似てチェロの音は 柴崎則子 遠嶺 200707
春星やわすれられゆく逝きし人 大泉伸 遠嶺 200708
春星の一顆二顆三顆父母の上 神蔵器 風土 200804
春星や生まれ変はれるなら男 小林奈穂 200805
春星を据ゑ一堂の吉禅座 小澤克己 遠嶺 200805
ポリーニの韻き春星潤み出す 湯浅夏以 樹も鳥も 200806
夕日消ゆ春星ひかり始めたり 柳生千枝子 火星 200807
春星や墓地に使ひしマッチほど 岡本眸 200903
春星のきらめく五相成身観 高橋将夫 200906
春星や北の大地へ夫還す 片井久子 春燈 200906
春星座神話の扉開かるる 延広禎一 200907
春星やファドの余韻をテイジョ河 湯浅夏以 遠嶺 200909
春星や乙女の横に獅子がゐて 高橋将夫 201004
春星のきらめく方にかへるなり 上原重一 201004
春星の瞬き杉の秀から秀に 谷渡末枝 万象 201005
春星は永久かな人の世の須臾に 木村風師 馬醉木 201104
春星のびつしり津波引きし街 大畑善昭 201106
春星や地霊と交はすテレパシー 犬塚李里子 201205
島暮れて春星赤く潤みをり 梅田武 末黒野 201207
春星のひとつ震へてをりにけり 岡井マスミ 末黒野 201306
春星や人類たかが千万年 高橋将夫 201405
山国の父郷春星限りなし 豊田都峰 京鹿子 201405
春星に被曝燈台点りけり 鈴木漱玉 馬醉木 201408
一睡のあとは春星うるみたる 能村研三 201505
春星やポストの口の濡れてをり 黒滝志麻子 末黒野 201506
春星を沈めて川はゆるやかに 竹中一花 201507
春星の一等星追ふ誕生日 折田京子 風土 201605
春星の濃き日に死にき父ははも 荒井千佐代 201605

 悼・上山永晃氏

下野に春星ひとつふやしけり

松橋利雄 春燈 201605
春星の潤めど乏し安房の山 松本三千夫 末黒野 201606
春星やショパン洩れくる坂の町 大橋伊佐子 末黒野 201606
春星のひしめき合へる上高地 山田春生 万象 201607
春星や鳴るオルゴール開く空 栗山みどり 201705
春星をしばし眺めて吹かれをり 今井康子 201708
春星に願ひ託して至福かな 小林はじめ 六花 201805
春星の光年隔て人を悼む 辻美奈子 201807
春星や目抜き通りの乏しき灯 田丸千種 ホトトギス 201808
春星や余生の見ゆる眼鏡欲し 岸洋子 201808
警蹕の声か立春星走る 定梶じょう あを 201904
春星や十三回忌過ぎてなほ 林いづみ 風土 201906
春星へ回転木馬放とうか 土谷倫 船団 201906
春星の一つになれと野辺送り 大日向幸江 あを 201906
八丈島をおほふ春星ひとりじめ 稲田延子 やぶれ傘 201908
津波あと春星潤み音もなし 窪みち子 201909
春星やいよいよ高き防潮堤 窪みち子 201909
春星を伴ひ渡し舟すすむ 橋本順子 202107
春星や煙突一本藻塩小屋 石井美智子 風土 202206
春星のひとつ俄にまたたけり 笹村政子 六花 202206

 

2023年2月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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