初 夏 5   186句

初夏の乳房の筋の青さかな   野村喜舟

はつなつ  初夏

作品
作者
掲載誌
掲載年月
初夏を三つ折にして投函す 平野多聞 201707
珈琲は深煎り初夏のログハウス 楠原幹子 201708
暁闇の風初夏の湿りあり 中田禎子 201708
海の幸ににぎはふ初夏の富山湾 荻布貢 201708
初夏の光もろとも波砕け 成田美代 201708
初夏の海を見てをり観覧車 箕輪カオル 201708
たわいなき会話のはずむ初夏の午後 出口誠 六花 201708
気だるさの絶頂なりき初夏の午後 出口誠 六花 201708
ふうわりと風もないのに初夏の蝶 出口誠 六花 201708
飛行機のゆつくりおりる初夏の朝 出口誠 六花 201708
文化会館通りや初夏の花数多 橘正義 春燈 201708
曇天もまたよしとせむ初夏の旅 佐藤玲子 春燈 201708
初夏の富士頂点空の青を切り 大橋晄 雨月 201708
父訪ひし初夏の砂丘を踏みしむる 大橋晄 雨月 201708
初夏や藍の色濃き江戸切子 武生喜玖乃 雨月 201708
開け放つ茶屋縦横に初夏の風 善野烺 六花 201709
初夏や大正モダンの少女立つ 原田達夫 201709
初夏のかをり豊かに豆の飯 青山正生 201709
芭蕉翁ゆかりの宮に初夏一日 手島伸子 雨月 201709
初夏の出店に柘植の曲げわつぱ 渡邉孝彦 やぶれ傘 201709
ネクタイを手品のやうに結ぶ初夏 有賀昌子 やぶれ傘 201709
太陽も雨もこれから初夏の庭 湖東紀子 ホトトギス 201710
コテージの木椅子に初夏の風の音 土江 比露 春燈 201710
父訪ひし初夏の砂丘を踏みしむる 大橋晄 ホトトギス 201711
心地よき初夏の予定は過ぎ易く 稲畑汀子 ホトトギス 201805
降り立ちて初夏の空気に包まるる 稲畑汀子 ホトトギス 201805
邂逅の誰彼蝦夷の初夏の旅 稲畑汀子 ホトトギス 201805
蝦夷の旅終へしも初夏の一頁 稲畑汀子 ホトトギス 201805
長くなる滞在初夏の東京に 稲畑汀子 ホトトギス 201805
ともかくも集へば学ぶ会は初夏 稲畑汀子 ホトトギス 201805
讃岐では饂飩江戸では蕎麦の初夏 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
初夏の旅故郷と決めてより 稲畑廣太郎 ホトトギス 201805
初夏の鼻突き抜くる練り辛子 佐々木よし子 201807
初夏の味に憧れタイ住み十余年 大口堂遊 春燈 201807
昼過ぎの初夏の日差しは寄宿舎に 瀬島洒望 やぶれ傘 201807
氏神の森初夏は萌葱色 長崎桂子 あを 201807
初夏や木洩れ日といふ愛の中 有松洋子 201808
宇宙から見れば地球はつねに初夏 有松洋子 201808
初夏の海のキラキラ浴びに行く 久保夢女 201808
初夏や帆なき帆柱天を衝き 大沢美智子 201808
初夏の季の良けれど心重たしや 大橋晄 雨月 201808
喜びに悲しみに文字連ね初夏 安部和子 雨月 201808
初夏の湖に浮く竹生島 大石よし子 雨月 201808
初夏の窓横切る二羽の朝烏 細川コマヱ 雨月 201808
手を清め心も浄め宮は初夏 菊澤さち子 雨月 201808
初夏の空へ放てり竹とんぼ 岡田史女 末黒野 201808
受診待つ窓初夏のちぎれ雲 岡井マスミ 末黒野 201808
初夏の港せばむる豪華船 山口登 末黒野 201808
初夏の風にめくれる句帳かな 中島和子 やぶれ傘 201808
盲導犬主に添ひて初夏の駅 神田惣介 京鹿子 201809
初夏や手のりインコの怖面 田尻勝子 六花 201809
初夏の京の酒蔵ブラタモリ 鈴木みのり 201809
初夏の駅舎観光案内所 鈴木みのり 201809
初夏の一日百句メロン切る 鈴木みのり 201809
ほおづえの島耕作よ初夏の雨 鈴木みのり 201809
初夏のワンピースならAライン たかはしすなお 201809
初夏の光の写生没頭す 辻水音 201809
駅頭はビルばかりなり初夏の旅 佐藤花木 雨月 201810
微睡みて父に会ひけり初夏の風 小巻若菜 六花 201810
ビル掃除のゴンドラのオレ初夏の風 山口久子 船団 201811
千年の原生林とハグの初夏 山口久子 船団 201811
「喫茶去」の扁額仰ぐ四条初夏 山中正己 船団 201811
初夏の爪切る音のほの白く 中原幸子 船団 201811
初夏の返しそびれた白い石 陽山道子 船団 201811
初夏のじゃんけんぽんの肘きれい 陽山道子 船団 201811
まつさらなみどり児の手や初夏つかむ 安田優歌 京鹿子 201901
天帝に弄ばれて首都の初夏 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
句碑の字をなつかしみつつ初夏の旅 稲畑汀子 ホトトギス 201905
まだ初夏といふに追はるる心かな 稲畑汀子 ホトトギス 201905
街路樹をふくよかにして初夏の風 西本花音 春燈 201907
美容院出て初夏の光浴ぶ 西本花音 春燈 201907
初夏や檜の板の白き肌 曽根富久恵 201907
初夏をめぐる令和のひびきかな 玉仲里貞義 201907
初夏の朝のひかりの部屋に入る 白石正躬 やぶれ傘 201907
ブラウスの衿より初夏の香りかな 中野さき江 春燈 201908
浅草初夏まぎるる我も異邦人 平野加代子 春燈 201908
箪笥より水色の初夏とり出しぬ 近藤喜子 201908
初夏や令和の響き清々し 岩月優美子 201908
初夏のテニスコートに球の音 大塚たきよ 201908
初夏の風藍ののれんの揺れてをり 大塚たきよ 201908
義仲寺の芭蕉は初夏の日に咲ふ 平野多聞 201908
初夏に開く赤毛のアンの本 野村昌代 201908
初夏や一川弾く日のかけら 森清堯 末黒野 201908
初夏の風グリーンの海の古宇利島 枝みや子 やぶれ傘 201908
初夏やいよよ令和の朝ぼらけ 藤浦昭代 ホトトギス 201909
初夏が来て友も来てゐる居酒屋に 出口誠 六花 201908
自家製のちりめん山椒初夏の味 石川憲二 六花 201908
返納の思案を胸に初夏ドライブ 竹村淳 201909
和讃流る二十五菩薩初夏お練り 竹村淳 201909
初夏や古代微笑の如来仏 平野無石 201909
初夏や新元号の風わたり 高橋正江 末黒野 201909
まなざしの遠く遠くへ初夏の海 吉原ひろ子 末黒野 201909
南円堂より中金堂を仰ぐ初夏 大橋晄 雨月 201909
初夏の水に名のある色のある 直江裕子 京鹿子 201909
初夏やみすずの詩集ひもとかむ 山中志津子 京鹿子 201909
初夏の君のわがまま黒光り 中原幸子 船団 201910
初夏につき早稲田の森の哲学者 陽山道子 船団 201910
神主の沓パカパカ初夏の雨 高田留美 船団 201910
鴎群れ港横浜風は初夏 堀田こう 雨月 201910
修羅曳きて来る初夏の波頭 亀井福恵 京鹿子 201910
信徒等の声明聞こゆ初夏の風 増田裕司 やぶれ傘 201911
初夏のフルートにある反射光 本多俊子 201911
初夏や京の晩鐘山渡る 田代貞香 202002
市大病院ドア開け放ち初夏の風 落合由季女 雨月 202001
初夏の土佐友の思ひ出尽きざるも 稲畑汀子 ホトトギス 202005
初夏の旅終へていつもの日々となる 稲畑汀子 ホトトギス 202005
どこまでも人を見かけぬ大地初夏 稲畑汀子 ホトトギス 202005
足許に初夏の来てゐる大地踏む 稲畑汀子 ホトトギス 202005
人一人見かけぬ大地初夏の蝦夷 稲畑汀子 ホトトギス 202005
蝦夷に着き大地は初夏の中にあり 稲畑汀子 ホトトギス 202005
北海道降り立つ初夏の旅一歩 稲畑汀子 ホトトギス 202005
初夏の旅語れば尽きぬ蝦夷の友 稲畑汀子 ホトトギス 202005
世の中の過ぎゆく早さ初夏とても 稲畑汀子 ホトトギス 202005
スケジュール混みたることも初夏らしく 稲畑汀子 ホトトギス 202005
半世紀前の若さに戻る初夏 稲畑汀子 ホトトギス 202005
外つ国の元首迎へて首都の初夏 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
初夏や虚子の母恋ひ説く講師 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
星条旗色の電飾タワー初夏 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
二人分三個の卵を割り初夏 池田澄子 船団 202006
闇深き蘇鉄の翳や初夏の昼 間島あきら 風土 202007
ガマズミの虫食ひの葉に初夏の風 渡邉孝彦 やぶれ傘 202007
初夏やアダムの像に浮く肋 菊地光子 202007
初夏の日が百合樹を越えてゆく 藤井美晴 やぶれ傘 202007
初夏の空を横切るヘリコプター 山本久枝 やぶれ傘 202007
くり舟の舳に初夏の声立てり 間島あきら 風土 202007
つる草の螺旋伸ばして初夏の風 岡美智子 末黒野 202008
初夏の空の半分海の上 山内四郎 春燈 202008
松尾社の峯かけ降りる初夏の蝶 北川孝子 京鹿子 202008
初夏や白帆のごとく航け少女 有松洋子 202008
初夏の少女等語尾を弾ませて 岡田史女 末黒野 202008
暗渠へと逃げ込む真鯉初夏の風 本間せつ子 末黒野 202008
初夏や手くぼに受くる化粧水 有賀鈴乃 末黒野 202009
待ちわびた産声射貫く初夏の窓 伊吹之博 京鹿子 202009
初夏や昼間も灯す孫文館 志方章子 六花 202009
初夏の風牛の鼻づら撫でゆけり 石黒興平 末黒野 202009
初夏の空シャガールが描く空 仁上博恵 202009
初夏や水打ちつけてガラス拭く 服部早苗 202010
しろがねに葉を裏返す初夏の風 善野行 聖五月 202010
初夏や少女の腕に傷ひとつ 足立枝里 202101
もう初夏へ日差しの時を早めけり 伊藤照枝 202107
初夏のかんざしの街抹茶ラテ 鈴鹿呂仁 京鹿子 202107
初夏や自在に動く河馬の耳 塙誠一郎 202108
初夏や疫の世弾け繰り念珠 伊藤照枝 202108
山の色纏ひし初夏の草木染 孫野秀子 202108
初夏の深江にたたむ女波かな 久保久子 春燈 202108
初夏の北を占めたる灘の紺 柴田佐知子 202108
みづうみに佇ち初夏の稿起こす 井尻妙子 京鹿子 202108
初夏の沖の大波湾小波 岡野里子 末黒野 202108
初夏の海へ出てゆくタグボート 岡田史女 末黒野 202108
朝の手に初夏の青めるシャボンの香 本郷公子 京鹿子 202109
初夏やらくがき帖の青き鳥 本郷公子 京鹿子 202109
初夏の日差を弾く湖畔かな 森清信子 末黒野 202109
初夏の風や袖口捲り上げ 小林拓路 末黒野 202109
雲梯で初夏の空へと上りをる 中西厚子 202109
雲梯で初夏の空へと上りをる 中西厚子 202109
初夏の一樹ゆすれば空にほふ 井上菜摘子 京鹿子 202205
嵩を増し大小泳ぐ初夏の川 長崎桂子 あを 202207
柿色の草の花初夏を賛美して 長崎桂子 あを 202207
蒼空に蒼波の打つ島は初夏 伊藤希眸 京鹿子 202207
初夏のかをりや白き花づくし 荒井千瑳子 202207
初夏の波さはさはと渡りけり 辻泰子 春燈 202207
初夏の風湯島の坂を下るバス 安藤久美子 やぶれ傘 202208
初夏の川の流れを呑む烏 天野美登里 やぶれ傘 202208
初夏の男坂ゆき山門ヘ 佐藤稲子 やぶれ傘 202208
初夏や平和な国の片隅に 清水美子 春燈 202208
退院の祝さがすも初夏の書肆 藤原若菜 春燈 202208
初夏のカリヨンに歩を合はせゆく 井上宮子 春燈 202208
ボタン一つ外した胸に初夏の風 出利葉孝 202208
初夏の香は人を求道的にする 中西厚子 202208
初夏のしづかな午後を思ふべし 土井三乙 風土 202208
山路来て肌身に優し初夏の風 長山正子 202208
浄水を掬うて初夏をわが胸に 菊池和子 京鹿子 202208
ひと棹の澪曳く小舟初夏の湖 石川東児 202209
初夏をホップステップスニーカー 仁上博恵 202209
初夏の雲ひとひらや忌を修す 亀井福恵 京鹿子 202209
真つ直ぐに目指す帆船初夏の風 森清信子 末黒野 202209
紙飛行機ひらりと初夏の風となる 山内宏子 202209
初夏の片方だけのイヤリング 綾戸五十技 202209
初夏や豪華船抜く海神丸 永田万年青 六花 202209
初夏や水平線に豪華船 永田万年青 六花 202209
初夏や力の限り泣く赤子 高倉和子 202211
峠路の灯よ初夏のしづくとも 藤森すみれ 202301
邸の庭初夏の明るさ遠ざけて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202305
喪心を潤してゐる初夏の雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 202305
初夏の風君の悌運び来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202305
初夏の音階奏で鳥語降る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202305
初夏→ 1

 

2023年5月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。