猫の子〈他の季も含みます〉      89句

猫の子のちよつと押へる木の葉かな    一茶

猫の子  子猫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
猫の子の跨いでゆきし通信簿 井上かほり 199806
猫の子に風のカーテン揺れ止まず 白根純子 円虹 199905
猫の子が歌舞伎役者の名をもらふ 夏秋明子 火星 199908
顔中が口猫の子の目覚かな 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
猫の仔に屈んでゆきし郵便夫 笹家栄子 200005
公園の猫の子甘き声をして 保坂加津夫 いろり 200009
猫の子が餌を食べ親の乳も飲む 久保田由布 ぐろっけ 200011
猫の子がほたえ回るや蚊帳の中 平井奇散人 船団 200106
猫の仔の美形が重荷間食す 木戸渥子 京鹿子 200107
猫の子と食べてゆければそれでよし 下平しづ子 雨月 200109
猫の子が潜みて車動かせず 丁野弘 200112
猫の子の四肢ばらばらの眠りかな 片山由美子 200205
猫の子に洗うてをりし哺乳瓶 桑田眞佐子 火星 200205
虎猫の子の六匹もぞろぞろと 武政礼子 雨月 200206
猫の子のすでに魔性の眼をもてる 下平しづ子 雨月 200211
親猫の子猫見守る闇の距離 稲畑汀子 ホトトギス 200304
猫の子の乳吸ふ音よ雨やさし 越野蒼穹 銀化 200305
月出でしより猫の仔の鳴くことも 山尾玉藻 火星 200305
もらはれてゆく猫の子の弾み鳴き 小澤克己 遠嶺 200306
掌に鳴かぬ猫の仔もち帰る 大森美恵 風土 200306
猫の子の去りたる膝の残りけり 堀義志郎 火星 200307
猫の仔の恋に方程式なんてない 松山律子 六花 200404
猫の仔にエンゲル係数高き家 小林かいう 200405
貰ひ手のなき猫の子と眠りけり 小田玲子 百鳥 200406
猫の子を抱き無防備となつてをり 高倉和子 200406
猫の仔を膝に桂馬の動くなり 秋田谷明美 帆船 200505
心音のととと猫の子両手抱き 今瀬剛一 対岸 200506
猫の子の売れ残りなる器量よし 松本恒子 ぐろっけ 200508
猫の子の覚めればいつも元気なり 柴田佐知子 200508
啓蟄や納屋に猫の子生まれたり 滝沢伊代次 万象 200603
猫の子は飲んで眠って鳴きにけり 里中章子 200607
猫の子の敷居を越えてゐなくなる 鷹羽狩行 200704
猫の子に墓碑の屹立啼きにけり 定梶じょう あを 200709
黒猫の子の白一つ月に捨つ 苑田ひろまさ 200711
好奇心とは人の子に猫の子に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200804
猫の子の一かたまりのみな眠る 柴田佐知子 200804
猫の子の跳び出して来し紙袋 大川ゆかり 炎帝 200804
猫の子に突き上げらるる涸乳房 山本伽具耶 200805
猫の子のじやれあひ球をころがせり 滝沢伊代次 火星 200904
猫の子の拾はれてゆく果報者 岩谷丁字 春燈 200906
猫の子の出入りをする消防署 山口輝雄 200907
黒猫の子猫と来たり良夜かな 細川和子 炎環 200912
猫の子の折り重なれる日向かな 苑実耶 201004
猫の子のレールを越えてゆきにけり 涼野海音 火星 201005
猫の子に顎さはらる日和かな 吉弘恭子 あを 201007
猫の子を咥へゆく親緑雨中 笠置早苗 火星 201008
野良猫の子の鳴く朝や梅雨晴間 島崎勇作 酸奬 201008
親猫の子を呼ぶ声や月の夜 山崎里美 201012
猫の子を啣えて路地に雨しとど 山根征子 201109
猫の子の横切るを待つ三輪車 岩永はるみ 白雨 201203
体温の重さふはりと猫の子や 辻美奈子 201204
猫の子の爪の先まで驚きぬ 柴田佐知子 201207
猫の子のかたまり眠る寺の廊 福田かよ子 ぐろっけ 201207
猫の子のつぎつぎと鳴き梅雨近し 城孝子 火星 201208
猫の子の何をされても眠たくて あさなが捷 201302
晩秋や茶トラの猫の仔も茶トラ 田中一美 ろんど 201303
拾はれし猫の子胸に啼くばかり 苑実耶 201303
名のついてより猫の子の末子めく 辻美奈子 201303
猫の子になつかる金を借りにきて 定梶じょう あを 201305
猫の子の女系家族に貰はるる 苑実耶 201305
猫の子にまだ玻璃越しの景ばかり 神谷耕輔 201305
見目の好き野良猫の子は独り立ち 古井公代 ぐろっけ 201307
猫の子の前脚揃へ咥へらる 紅谷芙美江 万象 201405
猫の子もコンピユーターも学習す 高橋将夫 201406
猫の子のちらばつてゐる日向かな 森真二 201504
猫の子の身を裏返す膝の前 亀井紀子 201506
猫の子のまなこ全開皆既食 福島せいぎ 万象 201507
猫の子の鉋屑にも飛びついて 秋千晴 201603
猫の子のぞろぞろ國勢調査かな 中川句寿夫 あを 201604
窓際にギリシャの壺と猫の仔と 瀬島洒望 やぶれ傘 201606
猫の仔を母へ預けて赴任せし 城台洋子 馬醉木 201606
猫の子をずらし新聞めくりたる あさなが捷 201704
猫の子は猫で決まりで初春で 久保夢女 201704
猫の子のぞろぞろ国勢調査かな 中川句寿夫 ここのもん 201705
猫の子に余る乳首の無聊かな 兼久ちわき 馬醉木 201705
猫の仔の顔を濡らして水を飲む 高倉和子 201705
猫の子の出てゐる寺町通りかな 苑実耶 201706
叱られし子に猫の子を抱かせやる 柴田佐知子 201709
猫の子に情け残して作家逝く 秋葉雅治 201806
猫の子はいらんかね満天星つつじ 大日向幸江 あを 201806
猫の子が鼻を突つ込むもぐら穴 柴田志津子 201906
猫の子の気になつてゐる靴の紐 近藤牧男 春燈 201907
猫の子にからまれてゐる厨かな 秋津令 201909
目の合ひしより猫の子の虜かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
猫の子の抗ふ脚を突つ張つて 柴田佐知子 202006
猫の子も交じりてゐたる朝の声 秋津令 202010
猫の子のどこも丸くて眠るばかり 高倉和子 202108
懸命に生きる猫の子拾ひけり 大日向幸江 あを 202203

 

2023年4月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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