ねこじゃらし        121句

ねこじゃらし靡き佛の去りゆくも   高島茂

ねこじゃらし  猫じゃらし  狗尾草  えのころ草

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ねこじやらしみんないつしよでなくていい 田畑幸子 火星 199901
酒ノホカ喉ヲ通ラズねこじゃらし 大島得志 船団 199903
駆け込んだ安全地帯ねこじゃらし 小倉喜郎 船団 199903
ねこじやらしいつもいつものねこじやらし 田畑幸子 火星 199912
筑波嶺はかげり青ねこじやらしかな 西村純吉 199912
ねこじやらしいつもの場所に舟浮かび 吉田島江 火星 200001
ねこじやらし猫の機嫌をとりそこね 鈴鹿百合子 京鹿子 200001
のりそこねしバス残しおくねこじやらし 大森美恵 風土 200002
無学で困ったあかのまんまとねこじゃらし 鴻巣又四郎 海程 200002
頬寄せてビルの谷間のねこじゃらし 尾上有紀子 わがまま 200002
道ゆけば新進気鋭のねこじやらし わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
ねこじやらし手押しポンプのすかすかと 吉田島江 火星 200011
ねこじやらし遊びではないなんて言ふ 田口傳右ヱ門 銀化 200012
ねこじゃらし空地に風が欠けている しらいししずみ 海程 200101
ねこじやらしあらぬ噂の風向きは 田口傳右ヱ門 銀化 200101
女医さんのハーブ畑にねこじゃらし 河原珠美 海程 200107
ねこじやらし揺れて日盛りなりにけり 田中英子 火星 200110
鋭角にジャンボの離陸ねこじやらし 玉川悠 遠嶺 200201
ねこじやらし枯れの極みを立ちゐたり 大東由美子 火星 200202
暾を迎ふ露滂沱たるねこじやらし 落合伊津夫 馬醉木 200203
担任を呼ぶ拡声器ねこじやらし 波田美智子 をりをりに 200208
ねこじやらし万葉苑の外にかな 中谷葉留 風土 200211
海原に日昇る露のねこじやらし 小野恵美子 馬醉木 200212
朝がたの鵜籠空つぽねこじやらし 浜口高子 火星 200212
巧妙なアドに見とれしねこじやらし 片山茂子 遠嶺 200212
ねこじやらし意外な急處(つぼ)を心得し 中原道夫 銀化 200212
声のよくとどく対岸ねこじやらし 木下野生 200301
結界は赤き橋なりねこじやらし 丸井巴水 京鹿子 200312
ねこじやらし手折ればまたも風の憑く 豊田都峰 京鹿子 200312
ねこじやらし路上運転訓練中 吉田康子 火星 200411
ねこじやらし揺れ止む夕ベ来りけり 大山妙子 酸漿 200411
むらがつてゐてばらばらのねこじやらし 岡田真利子 200411
雪の上に風の引き抜くねこじやらし 森屋慶基 風土 200411
墓苑出て暫く風のねこじやらし 岡本眸 200411
いつせいに風の虜のねこじやらし 伊藤和子 遠嶺 200412
ねこじやらし陶一片に韓の釉 伊藤希眸 京鹿子 200501
ねこじやらし学びて老を明るうす 沼田巴字 京鹿子 200501
ねこじやらし夕日をためてひと遊び 豊田都峰 京鹿子 200510
陵を遠拝みせしねこじやらし 高松由利子 火星 200511
船待ちのひととき扱くねこじやらし 梅村五月 栴檀 200511
保育所の跡ねこじやらしばかりかな 鹿野佳子 200601
ねこじやらし道路予定地埋めをり 眞榮城常子 酸漿 200602
背ナの子に一本抜きしねこじやらし 大城戸みさ子 火星 200611
風の尾を捉へて朝のねこじやらし 木内憲子 200612
やたら喪の矢印やたらねこじやらし 伊藤白潮 200710
代果てしさら地にそよぐねこじやらし 伊藤真代 200710
苦しみの一つ二つやねこじやらし 野澤あき 火星 200710
床の間に挿すたつぷりのねこじやらし 吉田康子 火星 200711
忘れもの不図思い出すねこじゃらし 井上あき子 ぐろっけ 200711
よく揺れてオルガン坂のねこじやらし 安居正浩 200712
来し方を諾うてをりねこじやらし 堀本祐子 遠嶺 200801
ねこじゃらし大山あかねさんが行く 坪内稔典 稔典句集U 200804
ねこじやらしわが一隅の風のなか 豊田都峰 草の唄 200805
光溜めねこじやらしの風となり 三井つう 炎環 200811
ねこじやらし神の芒にまじりたる 斉藤敬子 万象 200812
ねこじやらし猫にそつぽを向かれけり 芝尚子 あを 200812
伴走の先生の手のねこじやらし 浅田光代 風土 200901
遊ぶのも忙し風のねこじやらし 伊藤ふみ 馬醉木 200902
ねこじやらし急に結論出さずとも 川口襄 遠嶺 200903
んあううと児のねだりたるねこじやらし ことり 六花 200909
念入りに膝曲げ伸ばすねこじやらし 坂場章子 200911
野の風が猫を誘へりねこじゃらし 三川美代子 201001
泣きやまぬ児に握らせるねこじやらし ことり 六花 201011
当尾(とうの)なる笑ひ仏やねこじやらし 谷村幸子 201012
鉢植の紅葉してゐるねこじゃらし 東亜未 あを 201012
大夕日の包む一日ねこじやらし 中野京子 201101
ねこじやらし夫との約は違へがち 高橋道子 201101
投げ入れてワイングラスにねこじやらし 藤井美晴 やぶれ傘 201109
風過ぎしのちを戦げるねこじやらし 藤井美晴 やぶれ傘 201112
畑隅の捨て猫車ねこじやらし 松本三千夫 末黒野 201112
干されたる魚網のしづくねこじやらし 平野みち代 201112
ねこじやらしに遊んだ日々夢だつた ことり 六花 201112
マンホールの下の水音ねこじやらし 丑久保勲 やぶれ傘 201201
風渡る名草もろともねこじやらし 稲畑汀子 ホトトギス 201209
入院の手荷物に触るねこじゃらし 長谷川鮎 ぐろっけ 201209
茜雲手すさびにもつねこじゃらし 芝宮須磨子 あを 201211
薄暗き古美術店やねこじやらし 久米なるを 201212
ねこじやらし振つて家路を遠くせり 蘭定かず子 火星 201212
もつそりと手を逃げにけりねこじやらし 田尻勝子 六花 201212
ねこじゃらしを無視して歩く鬱の猫 伊東和子 201301
雨のくる気配いよいよねこじやらし 根橋宏次 やぶれ傘 201301
ねこじやらし呼べばこちらへ向き直る 高橋照葉 ぐろっけ 201302
ねこじやらし道路の割れ目てふ命 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
遺跡野へ辿る小径やねこじゃらし 大島みよし 201311
ねこじゃらしにも良し悪しの陶器市 常田創 201312
直球の口ぶり去なすねこじやらし 松木ひろ ろんど 201312
道草の理由は問はずねこじやらし 福島茂 201312
少々のことは許せりねこじやらし 上田雪夫 ぐろっけ 201312
老いらくはときに童心ねこじやらし 本間羊山 風土 201401
長州も会津もなくてねこじやらし 明石文子 ぐろっけ 201401
ねこじやらしばかり中央分離帯 根橋宏次 やぶれ傘 201411
仕上げは風金色をなすねこじゃらし 佐藤喜孝 あを 201411
足元に風立ちそめぬねこじやらし 岡田史女 末黒野 201412
この街も空き家の殖えてねこじやらし 久世孝雄 やぶれ傘 201412
遥かなる兵舎の跡やねこじやらし 田原陽子 201412
吹かれては楽しむさまやねこじやらし 松田泰子 末黒野 201501
ねこじやらし坊ちやん刈りの女の子 中島昌子 201501
ねこじゃらし片身かたみと寄り添ひて 佐藤恭子 あを 201503
枯れ切つて風に吹かるるねこじやらし 藤井美晴 やぶれ傘 201503
すぐそこに分るる瀬音ねこじやらし 黒滝志麻子 末黒野 201511
人ひとり通れる路地のねこじやらし 小張志げ 春燈 201512
ねこじやらし始末におへぬ朝の髪 江草礼 春燈 201512
ねこじやらしペダルに足が届きそう たかはしすなお 201512
邯鄲の夢のそのあとねこじやらし 荒木甫 201601
砂利山のてつぺんに枯れねこじやらし 大崎紀夫 やぶれ傘 201601
ねこじゃらし枯れていよいよ風と戯れ 杉山瑞恵 雨月 201602
ねこじやらし鎌倉の風もろともに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
ねこじやらし古都の風情に活けられし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
簡単な相続放棄ねこじやらし 岸洋子 201611
ねこじやらし判断力の危ふかり 楠原幹子 201612
まとまらぬ俳句を離れねこじやらし 邑田のり子 末黒野 201612
屍理屈に合うも合わぬもねこじゃらし 中谷三干子 船団 201702
ねこじやらしの一つ靡かづ風に立つ 加藤みき 201711
島径は起伏の多しねこじやらし 岡田史女 末黒野 201712
ぐい飲みにねこじゃらし挿し男の子 黒澤佳子 あを 201712
ねこじやらし判断力の危ふかり 楠原幹子 201801
実直な貌して奔放ねこじやらし 山中志津子 京鹿子 201801
ねこじやらし遊び心の揺れてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
揺るるとき孤独呟くねこじやらし 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
ねこじやらし淋しがりやの風集め 鷺山珀眉 京鹿子 201912
表現の自由不自由ねこじゃらし 中原幸子 船団 202003

 

2021年8月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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