水を打つ            160句

立山のかぶさる町や水を打つ     前田普羅

水を打つ  打水

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夜更けなほ商ふ水を打ち直し
土田栄
199809
水を打ち石の実相顕るる
大橋敦子
雨月
199909
長かりき昼寝よりぬけ水を打つ
神蔵器
風土
199910
考への更に小路へ水を打つ
岡崎るり子
銀化
200008
こころのみ豊かに暮らし水を打つ
大関靖博
200009
大脳の事故多発点水を打つ
原徹
銀化
200009
賑やかな声を待ちつつ水を打つ
野口光江
遠嶺
200010
心へもしたたるほどの水を打つ
一瀬昭子
馬醉木
200010
失敗を許されぬ日の水を打つ
加古みちよ
火星
200011
丹田に力込めては水を打つ
庄中健吉
200012
夕障子水を打つたるごとくなり
佐藤喜孝
あを
200102
所詮来る人もなき道水を打つ
泉田秋硯
月に逢ふ
200103
鴎外忌恋に水さす水を打つ
原徹
銀化
200108
江戸漆十一代目水を打つ
林裕子
風土
200109
気休めと思へど水を打ちにけり
桑垣信子
いろり
200109
旅終へし鶏舎の周り水を打つ
鈴木石花
風土
200110
水を打つ人と親しくなりにけり
渡邊春生
百鳥
200110
胸中に揺れやまぬもの水を打つ
坂本京子
200208
急行のあとは鈍行水を打つ
宮原みさを
花月亭
200208
水を打つ週に二日の診療所
頓所友枝
200209
弓道場一直線に水を打つ
中谷葉留
風土
200209
花形の顔して水を打ちにけり
篁李月
銀化
200210
今日誰も来ぬらし水を打つてをり
奥村啓子
200210
広重の富士の壁画や水を打つ
津田いちえ
遠嶺
200308
正面の山影太し水を打つ
高倉和子
200310
松坂の職人町や水を打つ
斉藤小夜
風土
200310
養生の細き二の腕水を打つ
中條ひびき
百鳥
200311
太陽の下僕となりて水を打つ
辻直美
200311
夕日射す袋小路に水を打つ
栢森定男
風よ
200407
ある時は己れへ向けて水を打つ
伊藤白潮
200408
向かい合う老舗の旅館水を打つ
細川知子
ぐろっけ
200408
通り庭父待つ水を打ちにけり
武田巨子
春燈
200409
胸中にとどこほるもの水を打つ
坂本京子
200409
ゆふべより広めに水を打ちにけり
佐渡谷秀一
春燈
200410
ふるさとの真水を汲んで水を打つ
中嶋陽子
風土
200410
下宿屋の往時を今に水を打つ
落合絹代
風土
200410
この世とは片道切符水を打つ
舩越美喜
京鹿子
200410
子の帰る朝より水を打つてをり
伊藤敬子
遠嶺
200411
争いの続く地球に水を打つ
松浦光子
200412
乾く間もなく仏具屋が水を打つ
青山丈
200509
あきらめと言ふ決断や水を打ち
野坂民子
馬醉木
200510
人に愛地球に愛の水を打つ
大川隆夫
ホトトギス
200510
俳人と生業比率水を打つ
能村研三
200510
沢水を打つや暮光の御師の宿
渡邉英子
馬酔木
200511
平穏といふまどろみに水を打つ
能村研三
200511
屈託はすぐに放たむ水を打つ
あさなが捷
200511
袂に手そはせて水を打つ夕べ
ことり
六花
200605
ひと昔の周期早まり水を打つ
能村研三
200607
祖父とまだ呼ばれずひたに水を打つ
伊藤白潮
200608
腰低く飛田新地の水を打つ
永嶋みね子
火星
200608
飯島晴子冥土に水を打ちゐるか
神蔵器
風土
200609
行啓の通る門毎水を打つ
鈴木石花
風土
200610
黒塀の神田藪蕎麦水を打つ
愛澤豊嗣
馬醉木
200611
水を打つ地球温暖化を思ひ
柳沢公美乃
200612
舞扇広げるやうに水を打つ
百瀬七生子
海光
200705
武州無双刃物屋藤兵衛水を打つ
林いづみ
風土
200708
乱立のビルの谷間や水を打つ
黒澤登美枝
200709
いち日の齢のリズム水を打つ
伊藤真代
200709
長靴の姉様被り水を打つ
久米なるを
200710
あまたある心の傷に水を打つ
松田都青
京鹿子
200710
節水の解かれ隣家も水を打つ
飯田酔亥
200711
黒服のままにたつぷり水を打つ
山崎靖子
200711
店頭に四角四面の水を打つ
土井田晩聖
万事
200711
半円の膝の高さに水を打つ
田村すゝむ
風土
200711
旧き街古き敷石水を打つ
平照子
酸漿
200712
身の内にはがねの匂ひ水を打つ
井上菜摘子
京鹿子
200801
この思ひ思ひ切れぬと水を打つ
坂本俊子
200809
一生の中の夕べや水を打つ
神蔵器
風土
200809
足元にしまひの水を打ちにけり
山下由理子
200810
水を打つ水の地球の一隅に
林昭太郎
200810
師のこゑを聞きたく句碑に水を打つ
藤岡紫水
京鹿子
200810
水を打ち直してみてもまだ来ない
湯川雅
ホトトギス
200811
またしても愚痴っぽくなり水を打つ
宮村フトミ
ぐろっけ
200812
水を打つ日の傾ける軒先へ
久永つう
六花
200901
働く人の帰る道なり水を打つ
瀧春一
深林
200901
水を打つ何時帰つてもいいやうに
竹貫示虹
京鹿子
200907
水を打つにはまだ早きかと思ふ
片山由美子
200908
佃島手押しの井戸の水を打つ
米山喜久子
200909
亡き母の来てゐる水を打ちにけり
池田光子
風土
200909
水を打つ母は小さく唄ひをり
高倉和子
200909
使用済地球の熱に水を打つ
長崎桂子
あを
200910
水打ちてまた水を打ち人を待つ
横尾惠子
200911
父のごと父の忌日の水を打つ
安武晨子
200911
あかんぼが來るといふ道水を打つ
佐藤喜孝
あを
201001
振り向くはさらさらの髪水を打つ
甲州千草
201009
水を打つといふ快楽ある齢
小山ミツ子
末黒野
201010
落暉いま今日の別れの水を打つ
長谷川歌子
春燈
201010
水を打つもう晩年と言へる齢
松井志津子
201010
存分に水を打ちたるあとの雨
矢島久栄
201011
庭水を打ちて仏の母迎ふ
佐藤いね子
馬醉木
201012
遍路バス着く頃合の水を打つ
筒井圭子朗
ぐろっけ
201012
一日を上手に使ひ水を打つ
松田明子
201101
数へ日の水を打ちある母の家
小林成子
火星
201103
客を待つ二度目の水を打ちにけり
笹村政子
初鼓
201105
奥深き路地の旅籠や水を打ち 北尾章郎 201110
先生も研究生も水を打つ 高田令子 201110
正しきこと呟きながら水を打つ 大地真理 201110
訪ね来る人おらねども水を打つ 上田雪夫 ぐろっけ 201110
だんだんに背筋を伸ばし水を打つ きくちきみえ やぶれ傘 201111
夕べには夕べの水を打ちにけり 近藤牧男 六月 201206
茅葺きの大内宿や水を打つ 黒坂紫陽子 馬醉木 201210
たつぷりと夕べの水を打ちにけり 筒井八重子 六花 201210
舞ひ降りし鳩の視線に水を打つ 安永圭子 風土 201212
アスファルト融けさう水を打つ頃は 安藤久美子 やぶれ傘 201212
水を打つ匂ひ仏の薄まぶた 梶浦玲良子 六花 201212
水を打つバケツひつくり返りけり 小林正史 201310
水都大阪商ひの水を打つ 池田華甲 201311
糶あとの鱗だまりへ水を打つ 吉田政江 201401
頼むなき世へきつちりと水を打つ 佐伯星子 馬醉木 201509
夕刊の届くころほひ水を打つ 有賀昌子 やぶれ傘 201510
古本の臭ひの店主水を打つ 丸井巴水 京鹿子 201510
誰彼を待つにはあらず水を打つ 柴崎甲武信 春燈 201510
自らを中心に据ゑ水を打つ 高橋将夫 201610
木挽町角のたび屋や水を打つ 森田節子 風土 201610
水を打つ人のうしろを通りゆく 足立良雄 201610
鎮魂のごとく瓦礫に水を打つ 岩岡中正 ホトトギス 201611
水つぽくなりし優しさ水を打つ 井上菜摘子 京鹿子 201611
庭木それぞれに活入れ水を打つ 大島寛治 雨月 201708
諦めのあとの身かろく水を打ち 岡部名保子 馬醉木 201709
心経を唱へ夕べの水を打つ 山本喜朗 雨月 201709
苛だちの収まる水を打ちにけり あさなが捷 201709
町名に残る藩の名水を打つ 永井惠子 春燈 201710
戦争展見たる夕べの水を打つ 岡井マスミ 末黒野 201711
悔残るひと日のけじめ水を打つ 福山幸雄 馬醉木 201711
桃青句碑の日本橋「鮒佐」水を打つ 川田好子 風土 201808
夕されば吾に打つごとく水を打つ 大沢美智子 旬日 201808
遠き世へ追伸のごと水を打つ 北川孝子 京鹿子 201808
哲学の片鱗もなく水を打つ 北川孝子 京鹿子 201808
省略の過ぎたる暮し水を打つ 北川孝子 京鹿子 201808
水を打つ一心不乱という一語 北川孝子 京鹿子 201808
発心にためらひあらず水を打つ 佐藤保子 馬醉木 201809
省略の過ぎたる暮し水を打つ 北川孝子 京鹿子 201809
哲学の片鱗もなく水を打つ 北川孝子 京鹿子 201810
鬼平が門出る頃か水を打つ 千田百里 201810
水を打つ恙無き日を締めくくり 渡辺美智子 末黒野 201810
はんぶんはわが身の洞へ水を打つ 井上菜摘子 京鹿子 201811
出勤のナースヘがばと水を打つ 島玲子 風土 201811
母の家あちらこちらに水を打つ えとう樹里 201812
老婦人お不動に来て水を打つ 延川五十昭 六花 201909
人力車やり過ごしては水を打ち 笹村政子 六花 201910
年寄りのお隣どうし水を打つ 永田万年青 六花 201910
飛び石の浮いてくるまで水を打つ 田尻勝子 六花 201910
夕暮れの日照りの庭に水を打つ 冷泉花 六花 201910
桶水の槙の匂へる水を打つ 吉村幸子 雨月 201911
水打つて玉砂利ひとつひとつ映ゆ 天谷翔子 201912
水打つて戻りし家の暗さかな 柴田佐知子 201912
打たれたる水やはらかく踏みにけり 福井ひでとし 雨月 202001
水打つて玉砂利ひとつひとつ映ゆ 天谷翔子 202002
ままならぬ事に迷はず水を打つ 中野さき江 春燈 202009
水打ちて再開の日の下駄の音 谷口一献 六花 202009
水打てばにはかに風の生まるるや 澤田明子 春燈 202009
水打つて濁世を閉ざす躙り口 宮岡弘 202010
水打つて黄昏ながき離れかな 土井ゆう子 風土 202010
尼寺の尼たくましく水打てり 田丸千種 ホトトギス 202011
水打てば何か言ひたげ比奈夫句碑 星野椿 ホトトギス 202011
頃合のよき暮色かな水を打つ 矢野美沙子 202011
水打つと更にたかぶる大焚火 石橋幾代 202105
何よりも心届きぬ水を打ち 稲畑汀子 ホトトギス 202107
後ろなどあろうはずなく水を打つ 山田六甲 六花 202108
神楽坂路地の昔へ水を打つ 栗坪和子 202110
省略の過ぎたる暮し水を打つ 北川孝子 京鹿子 202110
門川のあらばと思ひ水を打つ 橋本貴美代 春燈 202110
古書店の気まま商ひ水を打つ 能村研三 202209
水を打つ昨日と同じ顔をして 高倉和子 202304

 

2023年8月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。