水温む 5       100句

母へ孝なす如水温みけり   柴崎左田男   俳句研究

水温む  温む水

作品
作者
掲載誌
掲載年月
計画の二転三転水温む 稲畑汀子 ホトトギス 201503
祝ぎの日の遠ざかりたる水温む 稲畑汀子 ホトトギス 201503
旅の雨止みさうに水温みけり 稲畑汀子 ホトトギス 201503
水温む原発汚染水までも 布川直幸 201503
水温む餌を欲しがるめだかかな 塩千恵子 201504
水温む生田川辺の処女塚 山口キミコ 201504
酒蔵をつらぬく疎水温みけり 服部鹿頭矢 馬醉木 201505
水温む太鼓橋より城に入る 鈴木庸子 風土 201505
水温むころに別れし記憶かな 野上杳 201505
野良猫の二匹連れ立ち水温む 森理和 あを 201505
石ころに顔描く遊び水温む 平野みち代 201505
金閣寺鯉が動きて水温む 永田圭子 ろんど 201505
昏れ泥む妹山背山水温む 山本喜朗 雨月 201505
水脈を引く上り下りや水温む 松本文一郎 六花 201505
大川の二川に分れ水温む 大橋晄 雨月 201506
水温む大蛇の酔ひしにごり酒 塩貝朱千 京鹿子 201506
水温む小さな神さま仏さま つじあきこ 201506
真つ白なままのキャンバス水温む 辻響子 201506
けつまづくものと野仏水温む 辻水音 201506
艇庫より塗料の匂ひ水温む 菊池洋子 やぶれ傘 201506
蹲踞のあたらしき杓水温む 菊池洋子 やぶれ傘 201506
水温む病院へ行く橋一つ 井口ふみ緒 風土 201506
細波に銀鱗光り水温む 牛込悦子 201506
水温む動揺隠せぬ再検査 牛込悦子 201506
谷と書きやつと読む町水温む 松本三千夫 末黒野 201506
浮き雲の羊の形や水温む 山崎稔子 末黒野 201506
池の面に鯉の久しや水温む 高橋光民 末黒野 201506
川沿ひに行けば近道水温む 佐々木永子 末黒野 201506
水温む見得を切るかに鯉うねり 山崎靖子 201506
水温むぶらり青春十八きつぷ 足立良雄 201506
水温む父に似て来し肘枕 山内碧 201506
水温むロボット歩きの一才児 吉村摂護 201506
水温むきらきら流る庭の川 水谷直子 京鹿子 201507
水温む紐吊るしたり網張つたり 高島正比古 京鹿子 201507
片言の稚の電話や水温む 今村千年 末黒野 201507
水ぬるむ向う岸より人の声 鎌須賀礼子 万象 201507
吃水を切り取るごとく水温む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
魚影をふはふはと抱き水温む 布川直幸 201603
野良めぐる本家の爺や水温む 井上石動 あを 201603
水温む水分石の出でしあと 千田敬 201604
水温む群れて重ぬる鯉の口 遠藤清子 末黒野 201604
老兵にも兆すものあり水温む 山本喜朗 雨月 201604
灯すこと無くなりし家も水温む 井上信子 201604
水温む年相応の恙にて 楠原幹子 201605
水温む昔名残りの貯木場 渡辺輝子 201605
啄木を偲ぶ渋民水温む 上野節子 201605
平城を包む内濠水温む 小林共代 風土 201605
通学の子ら一列に水温む 溝越教子 春燈 201605
わがままな雲を映して水温む 齋藤晴夫 春燈 201605
波映ゆる橋の裏がは水温む 小林文良 春燈 201605
バス停は寺の山号水温む 古川幸子 春燈 201605
ビバルディー流す一日水温む 篠藤千佳子 201606
じやんけんで母さんの役水温む 田邊豊子 201606
隆隆とくろぐろと畝水温む 田村園子 201606
重石置く生簀の蓋や水温む 土江比露 春燈 201606
水温む花器の面より泡一つ 佐藤喬風 末黒野 201606
三川を経て大川の水温む 大橋晄 雨月 201606
漣に又さざなみに水温む 石谷淳子 雨月 201606
ゆるやかに過ぎゆく日々や水温む 武生喜玖乃 雨月 201606
ランドセルニつが草に水温む 遠藤逍遙子 風土 201607
水温む蘆花に因みの逗子の浜 宮暗他異雅 末黒野 201607
水温む肩の凝らない人となり 熊川暁子 201607
水温む温まぬものを浮かべつつ 大久保白村 ホトトギス 201608
うたかたのぽこりと膨れ水温む 河野美奇 ホトトギス 201608
うたかたの草離れゆき水温む 河野美奇 ホトトギス 201608
水温む釣り竿持つ子攩持つ子 広瀬済 やぶれ傘 201608
水温む若狭井以て二月堂 田岡千章 201608
水温むまた道草のランドセル 田岡千章 201608
水温むいつも真赤な郵便車 伊藤ふみ 船団 201612
今日よりは東大生や水温む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
野仏の四頭身や水温む 苑実耶 201704
金気水温む光琳模様なる 南うみを 風土 201705
楸邨と波郷の対話水温む 内藤静 風土 201705
水温む犬のぞき込むベビーカー 中嶋陽子 風土 201705
水牛車に渡る浅瀬や水温む 落合絹代 雨月 201705
水温む艇庫の扉閉されて 山本喜朗 雨月 201705
花嫁の衣裳選びや水温む 前田美恵子 201705
水温む妻によく効く置きぐすり 中川句寿夫 ここのもん 201705
預けある年金手帳水温む 中川句寿夫 ここのもん 201705
石段の下の水辺の水温む 渡邊孝彦 やぶれ傘 201705
水温む鼬が覗く農具小屋 戸栗末廣 201705
水槽のまだ覚めやらず水温み 山田六甲 六花 201705
おほどかな天平仏や水温む 栗山みどり 201705
水温む母娘いつしか仲直り 大口堂遊 春燈 201705
江戸川に残る渡しや水温む 新谷フクヱ 末黒野 201705
土佐堀川蕩々として水温む 大橋晄 雨月 201706
太陽を雲を浮かべて水温む 大石よし子 雨月 201706
水温む佐保の流れに塔映り 谷村祐治 雨月 201706
蹲に揺るる葉影や水温む 服部珠子 雨月 201706
水温み川辺に子等の声はづむ 堀田こう 雨月 201706
搗くものなく廻る水車や水温む 堀田こう 雨月 201706
水温む箒の雑巾出番かな 長崎桂子 あを 201705
水温むたちまち曇る刃かな 藤生不二男 六花 201706
水温む流るる雲を引きながら 安斎久英 末黒野 201707
水温む音の弾けてをりにけり 大久保白村 ホトトギス 201707
鳶の輪の大き広がり水温む 多田ユリ子 201707
水温む顔を洗ひてよろめけり 川田暢子 風土 201706
もうそこに傘寿来てをり水温む 落合絹代 風土 201706
子育の放任主義や水温む 足立良雄 201707
三ヶ月の胎児の写真水温む 今井康子 201706
帰られぬ白鳥一羽水温む 原田しずえ 万象 201707
上州から武蔵へ太る水温む 阿久津勝利 万象 201707
観覧車に緑の灯水温む 篠田純子 あを 201707
白鷺の一歩が軽し水温む 岡田正義 雨月 201801
釣殿の逆さ全景水温む 辻江けい 船団 201802
今ぼくは魚の末裔水温む 坪内稔典 船団 201802
船音を吸うて大川水温む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
妻への信もつこと確か水温む 沼田巴字 京鹿子 201803
水温む鯉も泥鰌も髭生やし 長尾タイ 末黒野 201804
点滴の落ちるリズムや水温む 竹内悦子 201805
水温む木橋木の音たて渡る 塩貝朱千 京鹿子 201805
鈴の音は神の依代水温む 平松うさぎ 201805
水温むみんな番になりたがる 兵藤惠 201805
来し方は折線グラフ水温む 中西恒弘 201805
旧かなの母校の校歌水温む 川高郷之助 201805
雑巾に赤い縫い糸水温む きくちきみえ やぶれ傘 201805
向う岸の木立を映し水温む 白石正躬 やぶれ傘 201805
水温む昭和の日々は抽斗に 赤石梨花 風土 201806
巻き舌の異国のことば水温む 苑実耶 201806
繋留の小舟ゆんらり水温む 篠田純子 あを 201806
水温むと誰か言ひたり確かめぬ 志方章子 六花 201807
三尺の草魚があるじ水温む 服部早苗 201807
水温む唱歌の中の幾山河 松尾龍之介 201807
水ナ底にうごめくものや水温む 落合由季女 雨月 201811
水温む流れ見つめる吾人あり 中川のぼる 201902
富士川の嵩となりゆく水温む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
山祇の神在す島水温む 石本秋翠 馬醉木 201904
騎馬武者の声閉ぢ込めて水温む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
今晩の食材沈め水温む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
突いて出る噂話や水温む 横山さくら 春燈 201904
水温む老いを友としビバルディ 大網健治 201904
漁を祝ぐ湖族太鼓や水温む 松本鷹根 京鹿子 201905
鳶は輸に鷺は沈思に水温む 亀井福恵 京鹿子 201905
水温む汀に深き轍跡 安斎久莫 末黒野 201905
水温む子らの少なき町となり 谷口摩耶 201905
青鷺は群れぬ鳥なり水温む 石田蓉子 201905
水温むめだかの影の走りけり 大嶋洋子 春燈 201906
水温む赤き線引く北の地図 宮内とし子 201906
仁右衛門島へ櫓音の軽く水温む 小形博子 201906
ブラウスに恋情少し水温む 藪ノ内君代 船団 201906
水温むみんな出かけてしまふのか 辻水音 201906
水温む逃亡するのによいボート おーたえつこ 201906
樹の中の小さき羽音水温む 笹村ルル 201906
予定なき午後の堤や水温む 森清堯 末黒野 201906
流れ藻の汀にからび水温む 安斎久英 末黒野 201906
水温む楽しむやうに川流れ 大橋晄 雨月 201907
水温む観光船に客数多 大橋晄 雨月 201907
小流れに親追ふ稚魚や水温む 菅野日出子 末黒野 201907
立ち泳ぎしている亀や水温む 大野芳久 やぶれ傘 201908
水温む38度の鼻の穴 静誠司 船団 201910
水温む三センチほど波立たせ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
水温む又旅多き日々となる 稲畑汀子 ホトトギス 202003
水温みたるに命の惜しまるる 稲畑汀子 ホトトギス 202003
朝より込み合ふ予定水温む 稲畑汀子 ホトトギス 202003
蕉心会雨の特異日水温む 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
姥が池謂れ悲しく水温む 稲畑廣太郎 ホトトギス 202003
水温む土黒黒と荒起し 宮元陽子 末黒野 202004
水温む母艦のごとく鯉の浮き 森岡正作 202004
繭いろの雲を映して水温む 石本百合子 馬醉木 202004
水温む流れは令和へと続く 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
海亀の鰭にあるタグ水温む 辻美奈子 202005
水温む吟遊詩人のやうに鯉 森岡正作 202005
橋脚にかかる流木水温む 柳橋繁子 202005
紅足の鳩の寄り来て水温む 松本鷹根 京鹿子 202005
からみ合ふ静かな魚紋水温む 藤岡紫水 京鹿子 202005
兄弟の喧嘩は遊び水温む 市村健夫 馬醉木 202005
担ぎ上げし艇の雫や水温む 広瀬済 やぶれ傘 202006
待ち合はす橋にも袂水温む 亀井福恵 京鹿子 202006
木の橋に並ぶ釣人水温む 伊藤美緒 末黒野 202006
反り深き城の石垣水温む 森田節子 風土 202006
鯉の名に昭和、大正水温む 岡本尚子 風土 202006
息かけて拭く手鏡や水温む 門伝史会 風土 202006
水温む釣り人糸を垂れしまま 石塚清文 やぶれ傘 202007
水温む沼の日向に休む鳥 湯本正友 やぶれ傘 202007
水温む小川に集ふ鯉の群 箕田健夫 やぶれ傘 202007
水温む海石を撫づる緩き波 久保寺眞佐子 末黒野 202007
餌を欲る鳩の瞬き水温む 田中嘉信 春燈 202007
水温む子らとの会話楽しめり 治部少輔 202009
隅田川故郷めいて水温む 稲畑廣太郎 ホトトギス 202103
水温む地球表情歪めつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202103
聞き返すことも会話や水温む 内山花葉 202104
堂売りの数珠に桃いろ水温む 中田みなみ 202104
懇に筆洗ひをり水温し 内田梢 末黒野 202104
水温む沼に降り立つ鳥の影 高埜良子 春燈 202105
山畑に動く人影水温む 小山繁子 春燈 202105
水温む茶巾干さるる茶室裏 西岡啓子 春燈 202105
水温む肩を寄せあふ長寿村 浅木ノヱ 春燈 202105
水温む→6

 

2022年3月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。