水温む 1     98句

金魚等に嬌聲のあり水温む    和田魚里

水温む  温む水

作品
作者
掲載誌
掲載年月
水温む樽ころがして洗ふ音
河合朋子
春耕
199805
水温む海女の髪梳く櫛光る
牧岡万里子
春耕
199806
鯉の鰭動きて池の水温む
中沢三省
風土
199901
もも色の猫の鼻先水ぬるむ
川井政子
風土
199901
わが影をしばらく映し水ぬるむ
能村登四郎
199902
水ぬるむ深みは魚の影ひそみ
能村登四郎
199903
 悼安藤妙子さん

君逝きてあばれし川の水ぬるむ

松崎鉄之介
199904
水温む母の漬菜の飴いろに
石本百合子
馬醉木
199905
きのふけふ釜底の煤水温む
根本孝子
春耕
199905
働きし息の汚れや水温む
木内憲子
199905
しばらくは受験の声に水温む
桑垣信子
いろり
199906
泥煙立てる大鯉水温む
中野菊子
春耕
199906
水温む疎水の角に砂膨る
境良一
京鹿子
199906
ながらへば季節嬉しや水温む
水田清子
199906
正体なく土嚢崩れて水温む
加瀬美代子
199906
産月の足首太し水温む
藤井勢津子
199907
飼育長もカバもテツオや水ぬるむ
能勢京子
船団
199909
水温む遠く鉄橋かすみおり
田中桜子
船団
199909
水温む鳥は反り身に羽ばたきて
田中美幸
199911
水ぬるむにはとり白きまぶた閉ぢ
千田百里
巴里発
199911
杭の頭の現れ沈み水温む
櫨木優子
199912
料亭の板場に活気水温む
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
水温む澱む勝手を少しづつ
中原道夫
銀化
200004
パン切れに浮きくる小蝦水温む
朝妻力
俳句通信
200004
遺伝子のクローンのとや水温む
嵯峨根鈴子
火星
200005
水温む人とひととの蝶番
鈴鹿仁
京鹿子
200005
大阪に人の名の橋水温む
水谷芳子
雨月
200005
啄木の追はれし村や水温む
伊藤伊那男
春耕
200005
水温むころの鎌倉行き約す
志方桜子
六花
200005
虚子のこともつと知りたし水温む
田中子
円虹
200006
やや傾ぐ笑ひ仏や水ぬるむ
禅京子
風土
200006
窓辺にも鳥の声して水温む
有山光子
遠嶺
200006
豆腐屋の笛飄々と水温む
大谷茂
遠嶺
200006
石に黄を点す鶺鴒水ぬるむ
中沢文次郎
200006
一度だけ泡立ちたり水温む
竹内悦子
200006
一幅に一葦一鱗水温む
水内慶太
銀化
200006
魚心あればかくやに水温む
水内慶太
銀化
200006
よろこびは自ずと声に水温む
安田登志子
ぐろっけ
200006
花柄のエプロンに替へ水温む
合川月林子
ぐろっけ
200006
船障子に嬰の泣き声水ぬるむ
浜口高子
火星
200008
浮島の姿くつきり水温む
朝妻力
春耕
200012
すべて捨てられて水軍の水温む
丁野弘
200103
西湖とて渡月橋とて水温む
堀内一郎
あを
200103
洗剤の淡き色粒水ぬるむ
重名逃魚
200105
父の忌の過ぎゆくころを水温む
長尾康子
風土
200105
杭一本残る渡し場水温む
鳴海清美
遊び蔓
200105
新しき杭の林立水温む
中村立身
百鳥
200106
水温む進水船は黄泉へ向く
岡田芳子
ぐろっけ
200106
蹲に映る浮雲水温む
会川昌子
春耕
200107
水温むわれの池には誰もゐず
松沢久子
いろり
200107
水温む鏡の中の朝の顔
久保田一豊
いろり
200107
モナ・リザの微笑むあたり水温む
鶴濱節子
船団
200107
別珍のリボンを買う日水温む
朝倉晴美
船団
200108
水温む遠回りする流れあり
中谷三千子
船団
200108
人を踏みつけて行く猫水温む
津田このみ
船団
200201
ほのあかき目高をしづめ水温む
竹内弘子
あを
200202
大川に雨吸ひ込みて水温む
稲畑廣太郎
ホトトギス
200203
水温む公園釣人を集め
稲畑廣太郎
ホトトギス
200203
水温む北国動き初めにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200203
水温む鴨に白鷺川鵜どち
稲畑廣太郎
ホトトギス
200203
水温む退院の日の近づきぬ
河合笑子
あを
200204
地の吐息田川濁して水温む
関口ゆき
あを
200204
鯉の口阿形にひらき水温む
池元道雄
馬醉木
200205
水温む物腰軽くなりにけり
門伝史会
風土
200205
老人の日溜りそれぞれ水温む
坂田和嘉子
京鹿子
200205
山里の臍の窪みの水温む
村越化石
200205
中陰の母の法要水温む
高尾豊子
火星
200205
ふくよかな鯉に津和野の水ぬるむ
谷合青洋
酸漿
200205
ひらがなに曲線おほし水温む
今村恵子
200205
水温むくりやの窓に砂時計
辻田明
200205
秀次の城の内堀水温む
永井一枝
200206
はじめての靴は真つ白水温む
佐野益子
百鳥
200206
転任は母校と決まり水温む
関薫子
百鳥
200206
水温むローラー引きを丹念に
関薫子
百鳥
200206
兄弟の内緒話や水温む
谷上佳那
百鳥
200206
スケッチの後ろの気配水温む
徳永真弓
百鳥
200206
来し方の修羅掌に水温む
福山悦子
200206
予約して民話の出前水温む
山路紀子
風土
200206
紙屋川瀬音の軽く水温む
福井鳳水
円虹
200206
橋桁に魚籠の影ゆれ水温む
岡本たか子
春耕
200206
諸鳥に日の色ありぬ水温む
木内憲子
200206
水温むときめきの瀬をはづませて
長沼三津夫
200206
水温む観音坂の乱れ石
小阪律子
ぐろっけ
200207
水温む万葉の野に出でにけり
門伝史会
風土
200211
動くもの色こぼしけり水温む
稲畑汀子
ホトトギス
200303
船頭のガイド軽快水温む
稲畑廣太郎
ホトトギス
200303
修司没後二十年てふ水温む
伊藤白潮
200303
水温むシルバーパスの小さき旅
宮崎千恵子
帆船
200304
雑巾の汚れたちまち水温む
鶴田武子
雲の峰
200304
遠き日へ流す笹舟水温む
清水節子
馬醉木
200305
水温む利根大堰の嵩増して
上田繁
遠嶺
200305
水温む素顔のままの厨ごと
山田弘子
円虹
200305
芋銭句碑舟石亀石水温む
宮本幸子
円虹
200305
水ぬるむ崖の端なる壇香梅
松崎鉄之介
200305
水温む舟に青竹積んであり
後藤茂
百鳥
200305
あきらめてゐし子授かり水温む
高木勝子
帆船
200305
水温む櫟林に光満ち
米倉よしお
雲の峰
200305
水温む2→      

 

2021年2月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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