実 梅 2    114句

天地の恙なかりき実梅落つ   本橋仁   露光

実梅  青梅  梅の実

作品
作者
掲載誌
掲載年月
嫁ぎたる子も来て落す実梅かな 村上沙央 200710
生り年の実梅に貰ふ力かな 和田照子 200712
実梅落つ上野の森のかくれ茶屋 桑原泰子 八千草 200801
背をかがめ実梅の下を潜りけり 山田六甲 六花 200807
累代の墓に実梅を供へけり 山田六甲 六花 200807
花散りてすでに実梅の容あり 鈴木多枝子 あを 200807
前山に雨意のちかづく実梅かな 戸栗末廣 火星 200808
実梅落つ坂道多き裏高尾 沖倉好秋 酸漿 200808
我が家では大豊作の実梅もぐ 森山のりこ あを 200808
実梅捥ぐ力無き手が梯子持つ 森山のりこ あを 200808
今なほも晋作生家実梅満つ 長谷川史郊 馬醉木 200809
実梅ジャム作る子の手間ありがたき 渡辺安酔 200809
家中に実梅ジャムの香ゆきわたり 渡辺安酔 200809
実梅落つその音かとも昼下り 藤井昌治 200809
西行の井水に実梅洗ひをり 野上智恵子 万象 200810
ねんごろに実梅の産毛浸しけり 東芳子 酸漿 200810
狛犬に子が噛ませたる実梅かな 矢野百合子 200811
母の忌のその頃となる実梅かな 鷹羽狩行 200906
実梅捥ぐ葉陰の空に鶴見岳 川崎俊子 馬醉木 200908
玄関へ自家用リフト実梅落つ 山路紀子 風土 200908
天守台へ実梅の坂を昇りゆく 永島雅子 春燈 200908
訪うて来て実梅かぐはし門構 中原吟子 雨月 200908
実梅とり男手ほしき家系かな 森山のりこ あを 200908
実直に暮らしてゆかむ実梅捥ぎ 松岡和子 200909
山房の誉望に太りたる実梅 窪田佳津子 雨月 200909
主病み実梅熟るまま落つるまま 田中春子 雨月 200909
不揃ひの実梅今年の消息と 西村摩耶子 京鹿子 200909
どの家も留守ばかりなり実梅落つ 高倉恵美子 200910
実梅もぐ葉ごしの空の蒼さかな 芝尚子 あを 200910
存在の紛れてをりし実梅かな 稲畑汀子 ホトトギス 201006
実梅落つみな僧兵の顔をして 森岡正作 201007
木に見棄てられし実梅の落ちにけり 荒井千佐代 201007
記念館ベンチの実梅そのままに 森山のりこ あを 201007
雨兆す実梅しきりに落つる音 宮崎左智子 201008
偏照りの後の偏降り実梅濃し 能村研三 201008
拭へどもあばたの消えぬ実梅かな 岡野ひろ子 201009
実梅つく樹令百とも伝えしに 浜田南風 201009
一斉に脚立広げて実梅採る 石川裕美 ぐろっけ 201009
陶狸実梅に打たれじつと耐ふ 鈴木浩子 ぐろっけ 201010
実梅みな摘み納めたる後の雨 鎌田篤 雨月 201010
尺貫の表示小さく実梅売 松本文一郎 六花 201010
実梅捥ぐみるみる籠の青くなり 櫨木優子 201011
実梅熟るたましいの濃き雨一日 服部郁史 京鹿子 201104
又一つ実梅ころころ芝の中 稲畑汀子 ホトトギス 201106
あきしのの風のねぎらひ実梅熟る 鈴鹿仁 京鹿子 201107
よく見れば小さき実梅のぞきけり 東芳子 酸漿 201107
葉隠れの実梅つぶらや天神社 福本すみ子 201108
盆栽の実梅りりしき青さかな 鈴木セッ 201108
日面の実梅ぐんぐん太りけり 松木清川 ぐろっけ 201108
老い順に逝かぬが不幸実梅落つ 松本恒子 ぐろっけ 201108
後ずさりして見る実梅まだあるは 能村研三 201108
月の面の濃淡実梅こぼしては 甲州千草 201108
たわわなる実梅の幹の大洞ろ 柳澤宗正 万象 201108
葉に隠れ数へ切れざる実梅かな 大橋晄 雨月 201108
記念樹の実梅こまごま育ちをり 金森信子 雨月 201108
実梅落つ尼寺雨に鎖もるる 高木美波 万象 201109
パン屋出てその先の角実梅落つ 竹久みなみ 風土 201109
ブルーシートに落とす実梅の青さかな 仁平則子 201109
落梅の哀しき色や実梅塚 仁平則子 201109
隠れん坊実梅見つける脚立班 品川鈴子 ぐろっけ 201109
脚立より探せば実梅次々と 品川鈴子 ぐろっけ 201109
一つこぼれし山門の実梅籠 田中文治 火星 201110
ま緑に芽吹きて実梅待つこころ 大橋敦子 雨月 201207
白日の実をこぼしゐる実梅かな 山田六甲 六花 201207
濠端の其処は暗がり実梅落つ 河口仁志 201208
月光に拾ひし実梅ほのぬくし 浜口高子 火星 201208
礼かはす度に実梅の殖えにけり 城孝子 火星 201208
実梅煮てひと日とつぷり香にひたる 篠原幸子 春燈 201209
実梅捥ぐ大黒さんのスニーカー 千田百里 201209
天平の礎石に実梅はづみ落つ 山田春生 万象 201209
小田原かはた紀州かと選る実梅 箕輪カオル 201209
実梅捥ぐ転校生に友の出来 栗山恵子 雨月 201209
実梅もぐ雫の綺羅をふりかむり 大橋伊佐子 末黒野 201210
梅園や実梅予約の大看板 松本文一郎 六花 201210
とりこぼしの実梅の落ちし音なりし 垣岡暎子 火星 201210
実梅落つ臍の真青を上にして 古川忠利 ろんど 201211
鉄下駄の名代の寺の実梅かな 酒井秀郎 返り花 201211
実梅落つ眉山に谺返しつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
実梅捥ぐまだ三つ四つは葉隠れに 斉藤祐子 あを 201308
実梅落つかはたれどきのいろ尽し 小林成子 火星 201309
実梅落つ桧枝岐には間引き絵馬 古川忠利 ろんど 201310
月上げて実梅の落つる宵の口 吉田きみえ 末黒野 201310
姉逝きて庭の実梅の落つるまま 大川暉美 末黒野 201310
目を凝らしやや間を置きて実梅捥ぐ 遠藤逍遙子 風土 201310
をちこちに実梅のこぼれ町古りぬ 田中文治 火星 201310
吊し雲二人に多き実梅もぐ 野畑さゆり 201310
欲しい人持ち帰られよ実梅落つ 稲畑汀子 ホトトギス 201406
取り置きし実梅如何と集め置く 稲畑汀子 ホトトギス 201406
明日から雨の予報や実梅もぐ 稲畑汀子 ホトトギス 201406
葉隠れに覗く実梅や神籤結ふ 松本鷹根 京鹿子 201508
来し方に悔いの数多や実梅もぐ 町山公孝 201508
陽の匂ひたつぷり吸ひし実梅かな 池田光子 201509
洗ひ了へ旅の実梅の香りたつ 棚橋朗 201509
実梅落ち亀の甲羅を打ちにけり 柳澤宗正 万象 201509
見上げては実梅の嵩を量る日日 笠井敦子 201509
宝前の実梅百余の熟れ競ふ 磯野しをり 雨月 201509
枇杷の実も実梅も青し母逝けり 山本則男 201510
身のほどを知り風もなく実梅落つ 中村三郎 京鹿子 201510
濛々と雨の家居や実梅落つ 深川淑枝 201511
腰笊にこぼるる実梅風渡る 町山公孝 201608
到来の実梅に仕事増えにけり 菅澤陽子 春燈 201609
勢ひの余り実梅は結界へ 安居正浩 201609
建長寺瑞の実梅の粒ぞろひ 西村しげ子 雨月 201609
この家もひとり暮しや実梅落つ 山田閏子 ホトトギス 201610
落つる実梅日毎に増ゆる里の道 小倉純 末黒野 201610
秀逸と書かれし実梅香をひろぐ 石川叔子 201610
尼寺の実梅に紅のはしりたる 佐藤花木 雨月 201610
色付いて実梅は風の一部分 稲畑廣太郎 ホトトギス 201706
枝撥ねて大き実梅を取り零す 吉武美子 201708
宅配の近づきしとき実梅落つ 小林愛子 万象 201708
電話鳴る固き実梅を捥ぎをれば 今井妙子 雨月 201708
海風にいよよつや増す実梅かな 須賀ゆかり 201709
実梅落つ無常迅速とはいへど 岩上行雄 末黒野 201709
午過ぎの卓に熟れくる実梅かな 笹村政子 六花 201710
岬寺の昼のしづけさ実梅落つ 水田壽子 雨月 201710
実梅落つ紀州これより農繁期 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
曇天を掻き回しつつ実梅落つ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201806
実梅こつと落ちて孤独を深めけり 中里よし子 春燈 201807
藤村の夫婦の墓碑や実梅落つ 持田信子 春燈 201808
毎年よ庭の実梅の十ばかり 佐藤淑子 雨月 201808
一つ二つと数ふることをして実梅 佐藤淑子 雨月 201808
実梅ころころ句作の机辺ころがりぬ 佐藤淑子 雨月 201808
十ばかり数へ実梅の香に酔ひぬ 佐藤淑子 雨月 201808
実梅落つ一刷ほどの紅つけて 武生喜玖乃 雨月 201809
手間かける楽しみもあり実梅拭く 柴田昭子 雨月 201809
実梅捥ぐ空に差し込む肘の皺 中島昌子 201809
実梅捥ぐ獣の四肢となりゐたる 中貞子 201809
目溢しの葉裏の実梅紅の尻 新井八重子 末黒野 201810
大仏顔に金箔実梅落つ 植木やす子 201904
十ほどの実梅数ふる幾度も 佐藤淑子 雨月 201907
含羞のさまの色づき実梅熟る 佐津のぼる 六花 201908
新聞紙に実梅を並べ香の厨 大庭美智代 末黒野 201910
梯子より実梅受けよと友の声 竹内喜代子 雨月 201910
熟れ落ちる寺の実梅や僧老いて 石川東児 201912
苔庭に転ぶ実梅や紅ほのか 遠藤清子 末黒野 202004
雨の実梅あばたゑくぼも拾ひゆく 塩貝朱千 京鹿子 202008
葉隠れにビースの如き実梅か 菅野日出子 末黒野 202008
雨後のふくらみきれる実梅かな 堺昌子 末黒野 202011
実梅拾ふ塩舐め地蔵までは坂 窪みち子 202101
実梅→ 1

 

2021年6月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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