松過ぎ      194句

松過ぎの又も光陰矢の如く    高浜虚子

松過ぎ  松明け

作品
作者
掲載誌
掲載年月
松過ぎて都心に音の戻りたる 稲畑廣太郎 ホトトギス 199901
松過ぎて動き緩慢なる都心 稲畑廣太郎 ホトトギス 199901
松過ぎを待ちてひかへし用ひとつ 能村登四郎 199902
松過ぎや墨に仏の水を足す 神蔵器 風土 199903
松過の座敷に残るぬひぐるみ 水田清子 199904
松過ぎてとっぷり緑のバスクリン 三宅やよい 船団 199906
松過の蕉心会に和む顔 稲畑廣太郎 ホトトギス 200001
松過の石段しかと遍路杖 深見けん二 円虹 200003
松過ぎてみれば迫つてゐし一事 山田弘子 円虹 200004
松過ぎしことをも忘れゐたるかな 黒川悦子 円虹 200004
早耳の豆腐屋が来て松過ぎぬ 森沢義二 風土 200004
松過ぎの良きお湿りとなりにけり 森沢義二 風土 200004
松過ぎの影を地に置く大欅 森沢義二 風土 200004
松過ぎて修理をはじむ陣羽織 八牧美喜子 200004
猫笑うひとり遊びの松過ぎて 山田緑光 海程 200005
松過ぎてより旬日の忽ちに 稲畑汀子 ホトトギス 200101
挨拶にとまどふことも松過ぎぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200101
松過の片付け過ぎし探し物 真保喜代子 200101
松過ぎや椀にひらかぬ貝ひとつ 鷹羽狩行 200102
松過ぎのゆさりゆさりと裘 深澤鱶 火星 200103
松過ぎの手足の爪も伸びにけり 鷹羽狩行 十三星 200105
松過ぎて患者がどつと来院す 永野秀峰 ぐろっけ 200105
松過ぎやなすべきことの迫りくる 能村登四郎 200108
松過ぎてもとの怒濤の月日かな 鷹羽狩行 200202
松過ぎのこころ透きゆく吉野葛 都筑智子 200203
松過ぎの吊革の揺れみな同じ 今村恵子 200203
松過ぎの雁首灰を落しをり 栗栖恵通子 200203
松過ぎてつかはぬ葱の傷みたる 小山香月 酸漿 200203
松過ぎの父をひとりにしてしまふ 佐藤博美 200204
松過や着なれてかろき裾さばき 平田倫子 百鳥 200204
松過ぎの茶筌の里の茶筌買ふ 綿谷美那 雨月 200204
松過ぎて句はめでたさををさめけり 三由規童 雨月 200204
松過ぎの夕やジェツト機灯しゆく 市原詔子 雲の峰 200303
松過ぎて夜汽車欲しがる体あり 櫂未知子 銀化 200303
松過ぎの川を流るる杉の箸 吉田康子 青山椒 200303
空くじを貯めてどうする松過ぎて 澤田緑生 馬醉木 200303
夕月とセロリと帰路も松過ぎし 村上光子 馬醉木 200303
松過ぎぬ路地に筬音よみがへり 安達実生子 馬醉木 200304
松過ぎの畳紙の紐ちぎれさう 岡和絵 火星 200304
松過ぎの歯医者の椅子に深く掛け 鈴木とおる 風土 200304
気がつけばゑひざめのごと松過ぎし 秋葉雅治 200401
松過ぎの綿虫として流れけり 山尾玉藻 火星 200402
松過ぎの皿鉢(さはち)を囲む浜言葉 朝妻力 雲の峰 200402
松過ぎの郵便受をまた覗く 塩田博久 風土 200403
松過ぎて辞書の重みもなつかしき 門脇なづな 対岸 200403
松過ぎの少し疲れし顔揃ふ 田所洋子 雨月 200404
松過ぎて一人去りたる女弟子 淵脇護 河鹿 200404
松過ぎの机上にきざむ置時計 蓮尾あきら 風土 200404
竿竹売り極楽寺坂松過ぎて 下山田美江 風土 200404
松過ぎの古書店に買ふ師の句集 中沢三省 風土 200404
橋の灯の早く消えゐて松過ぎぬ 藤森万里子 百鳥 200404
松過の静かな朝となりにけり 水田清子 200404
松過やさしたる紅の芳しく 水田清子 200404
松過ぎの怒りを解かぬ閻魔王 安養寺美人 200405
松過ぎの附箋の手紙濡れて着く 八田木枯 夜さり 200409
松過ぎや時の流れの濁りそめ 鷹羽狩行 200501
権禰宜と酌む松過ぎの串割烹 朝妻力 雲の峰 200502
松過ぎの錠おろさるる神馬小屋 原茂美 雲の峰 200503
松過ぎや一塵もなき神の庭 白神知恵子 春燈 200504
松過ぎのしぐれてゐたるお開聞岳(かいもん) 淵脇護 河鹿 200504
松過ぎて赤のイレブン決勝へ 沼口蓬風 河鹿 200504
義経を読みさしに松過ぎにけり 高畠英 河鹿 200504
松過ぎの北ウイングの乙女かな 宮澤さくら 今生 200510
松過ぎと打てば松杉と出るあはれ 鈴木榮子 春燈 200603
松過ぎてをり百年の大木戸門 神蔵器 風土 200603
松過ぎの何も変らず日々過ぐる 大橋敦子 雨月 200603
松過ぎの出窓をよぎる鳥の影 淵脇護 河鹿 200604
松過ぎの仄暗き街声過ぎぬ 山田富朗 遠嶺 200604
松過ぎの画伯に送る郷土菓子 木下もと子 200604
松過ぎの野菜しめらす新聞紙 中村洋子 風土 200604
松過ぎの花のこぼるる墓の前 遠野萌 200605
松過ぎの大き病院動き出す 小阪喜美子 遠嶺 200605
松過の松のみどりの定まりし 鹿野佳子 200605
松過ぎや三和土を濡らす生簀籠 鷹羽狩行 200702
松過ぎの瀬音に糸をほぐしけり 渡真利真澄 万象 200703
松過ぎてもとの二人となりにけり 辻佳子 馬醉木 200704
松過ぎてそこはかとなくはかなけり 山田景司 遠嶺 200704
松過ぎの二階へ運ぶ経机 中山皓雪 200704
松過ぎの引き摺つてゐる悔のあり 竹下昌子 200704
松過の素顔の町に風吹けり 上林孝子 200704
気遣はれ時に頼られ松過ぎぬ 上林孝子 200704
松過の仕事の山を崩さねば 稲畑汀子 ホトトギス 200801
松過ぎの普段に返る日常時 鈴木榮子 春燈 200802
松過ぎの摩利支天様に障除け 鈴木榮子 春燈 200803
松過ぎの盛り砂崩る社殿かな 田中佐知子 風土 200804
松過ぎの劇場こやにただよふカレーの香 柿沼盟子 風土 200804
松過の店さき濡れてゐたりけり 十川たかし 200804
松過ぎの海亀祀る石の丈 高橋澄子 200804
松過ぎて靴揃ひたる珠算塾 島元文 遠嶺 200804
松過ぎのポケットにありロッテガム 坪内稔典 稔典句集 200804
松過ぎの学習塾へ急ぐ子ら 中沢三省 風土 200805
松過ぎや御陵の松のあをあをと 吉田康子 火星 200806
松過ぎてをりし挨拶ふと迷ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200901
松過ぎの鉄扉押し上げ女出づ 岡本眸 200901
松過ぎしプチ整形の少女かな 山崎ゆき子 炎環 200903
松過ぎの梅一輪の古刹かな 大西裕 酸漿 200903
松過ぎの雨に委ねしひと日かな 野口光江 遠嶺 200904
松過ぎてまた独り身の無聊かな 勝原文夫 春燈 200904
斯許りにかなしみさそふ松過ぎて 木下もと子 200904
松過ぎの砂州に測量棒立てて 岩木茂 風土 200904
松過ぎの机辺に寄れる安けさよ 大泉美千代 雨月 200904
松過の検番に入る出前桶 蘭定かず子 火星 200904
松過ぎていつもの靴と提げ鞄 陌間みどり 200905
松過ぎて猫の納骨すみにけり 田宮勝代 酸漿 200905
松過ぎて参道の砂利静まれる 笠井清佑 201003
松過ぎや五十回忌を共に言ひ 伊丹さち子 馬醉木 201004
松過ぎの次に着てゆぐ服のこと 前川明子 201004
松過ぎのポテトサラダの出来上る 村上すみ子 201004
松過の昼や祇園の白々し 山本耀子 火星 201004
松過の林檎の蜜に夜雨きし 山田美恵子 火星 201004
松過の雑巾板となりゐたる 笠置早苗 火星 201004
松過や心の怠惰引き締めな 久保晴子 雨月 200804
松過ぎの佛に灯す小さき燭 藤岡紫水 京鹿子 201004
松過ぎや寿命石触れ爪立ちて 赤木和代 201005
直会のひじきめし炊く松すぎて 文田多加 201006
松過ぎて飯に卵となりにけり 白石正躬 やぶれ傘 201102
松過ぎのPETカプセルジャズ流る 仲田眞輔 ぐろっけ 201102
入院の夫の旬日松過ぎぬ 浅野洋子 春燈 201103
松過ぎのもとの一人となりにけり 鈴木とおる 風土 201104
懇に漆器納めて松過ぎぬ 名取袿子 201104
松過ぎややぶらる障子丸く貼る 松澤美惠子 201104
松過ぎの一人に戻る夕ごころ 藤岡紫水 京鹿子 201104
松過ぎのPETカプセルジャズ流る 仲田眞輔 ぐろっけ 201102
松過ぎて人情負ふばかりなり 神蔵器 風土 201202
松過ぎや日溜りに干す禰宜の沓 藤見佳楠子 201203
松過の夕星ひとつ新しく 辻美奈子 201203
松過ぎて歩幅大きくしてゐたり 細川洋子 201203
松過ぎの地下へとおりる小劇場 服部早苗 201203
松過ぎぬさあカレーでも煮ませうか 田中藤穂 あを 201203
松過ぎの小店を覗く花川戸 田中藤穂 あを 201203
松過ぎていつもの渋茶いつもの坐 中島芳郎 201204
松過ぎてなほ威儀正す神の森 大西よしき ろんど 201204
松過ぎてぶらつと歩く駿河台 亀田やす子 万象選集 201205
松過ぎの路地に三味の音向島 鈴木律子 万象選集 201205
松過ぎてなほ華やかや明石鯛 北崎展江 くりから 201209
松過ぎて長きふたりに戻りゐる 酒井秀郎 返り花 201211
松過ぎてゐて改る会となる 稲畑汀子 ホトトギス 201301
松過の災害の朝巡り来し 稲畑汀子 ホトトギス 201301
松過の旅とて常の如くにも 稲畑汀子 ホトトギス 201301
松過ぎのボトルキープに名を記す 田中貞雄 ろんど 201301
松過ぎて早立らしきバイク音 能村研三 201302
松過の埠頭に鹿の来てをりぬ 奥田順子 火星 201304
松過の水たつぷりと埴の甕 坂口夫佐子 火星 201304
松過ぎの艶めくへくそかづらの実 原田達夫 201304
松過ぎの日がたつぷりと機織場 渡真利真澄 万象 201304
松過や銀座の辻の日のぬくみ 瀧春一 花石榴 201312
松過ぎていわきの空の晴れわたる 渡辺安酔 201403
二人居に松過ぎの雨降りつのる 亀卦川菊枝 末黒野 201404
松過ぎて一直線に来る八十路 中山皓雪 201404
松過ぎの十二神将燭ひとつ 米山のり子 馬醉木 201404
松過ぎの日のよく入る美容室 坂場章子 201404
松過ぎの日和続きを賜りぬ 中村洋子 風土 201404
旅多き日々を思ひぬ松過ぎて 稲畑汀子 ホトトギス 201501
松過の気分なかなか戻らざる 稲畑汀子 ホトトギス 201501
松過の時間忽ち過ぎてをり 稲畑汀子 ホトトギス 201501
松過ぎの猫一歩ずつ後退す 笹村惠美子 201503
松過ぎや馬の映画に涙して 綱川恵子 万象 201504
松過ぎの月日これより新しく 水谷靖 雨月 201504
松過ぎの巣鴨老人闊歩せり 都築繁子 201508
松過ぎて労はり合うて踏む社 四條進 201603
松過ぎて茶漬けさらさら一人の餉 塩千恵子 201603
松過の静まり返る仏の間 押田裕見子 201603
松過の夜風うなじにやさしかり 松山三千江 春燈 201604
松過を待つて身の上話かな 豊谷ゆき江 春燈 201604
松過ぎていつもの日々となりにけり 山田佳子 201604
松過ぎの床にこぼるる実千両 服部珠子 雨月 201604
松過ぎの園や被爆の樹々仰ぎ 水田壽子 雨月 201604
松過ぎの飯白きこと癒きざす 高橋道子 201604
松過ぎの身を持て余し海を見に 矢野百合子 201606
松過ぎて老いには老いの一ト日あり 野沢しの武 風土 201607
松過の旬日の経つ早さかな 稲畑汀子 ホトトギス 201701
又常の一人の家居松過ぎぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201701
夫の炊きし飯艶やかに松過ぎし 井上正子 童女 201701
松過ぎの雨に舗道も街路樹も 安藤久美子 やぶれ傘 201703
鶺鴒がゐて松過ぎの畑かな 佐藤和子 万象 201704
松過ぎて身のほぐれゆく雨の音 大石喜美子 雨月 201704
松過ぎて心のゆるび無しとせず 高橋照子 雨月 201704
松過ぎて日記一行のみとなり 須賀敏子 あを 201703
松過ぎの平林寺道静と黙 七郎衛門吉保 あを 201703
松過ぎの重箱おうむ小町かな 中島陽華 201705
松過ぎや凛冽として勅使門 加藤静江 末黒野 201705
松過ぎて午後のひととき自服の茶 服部珠子 雨月 201804
松過ぎの客と茶の間のミルクティー 斉藤マキ子 末黒野 201804
五重塔過ぎ松過ぎの朱印所へ 安藤久美子 やぶれ傘 201903
足音は凡庸にして松過ぎぬ 澤田蔦惠 船団 201906
松過ぎの出張らしき鞄かな 斉藤マキ子 末黒野 202005
松過ぎてよりの望郷不倒翁 近藤真啓 春燈 202007
松過ぎの銅屋根放つ水蒸気 間島あきら 風土 202102
文机の上に赤べこ松過ぎぬ 半谷洋子 202103
松過ぎに水道屋きて直ぐかへる 大島英昭 やぶれ傘 202103
手作りの鯛焼みやげ松過ぎて 田中藤穂 あを 202103
松過ぎてひとり居にまた戻りけり 小林和子 202104
松過ぎの海平らかや楽を聞き 滝沢いみ子 末黒野 202104
松過の大海原へ澪を曳く 加藤あけみ ホトトギス 202106
松過の水音軽くひと日終 卜部黎子 春燈 202203
松過ぎて絵馬はなやぎを残しをり 赤座典子 あを 202203
松過の膳に白子の子持鮒 安立公彦 春燈 202204
松過の元に戻れぬ遅刻癖 小泉三枝 春燈 202204
松過ぎの万歳が降り文庫駅 青木重行 薫風 202205
松過ぎの渚に拾ふ白き石 長沢ひろり 202206

 

2023年1月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。