くさめ 1      200句

くさめ  くしゃみ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書その他
蘭学の代へこぼしたる嚔かな 山田弘子 春節 199503 適塾
したたかに嚔を浴びし小児科医 水原春郎 馬醉木 199812  
大嚔に同伴の夫恥入れり 金升富美子 199902  
ふたつめは逃げてしまひしくさめかな 柿沼盟子 風土 199902  
吐出さる電光ニュースにくさめせり 丸山佳子 京鹿子 199903  
診察を長く待たされ大嚔 関口昌代 199903  
侍りゐて嚔おさふる通夜の席 麻生當子 199905  
嚔せんとして合掌のかたちせり 藤田宏 199905  
地球儀の大海原へ嚔かな 嵯峨根鈴子 火星 199907  
うそ寒にくさめ七十二回かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 199910  
大嚔せり寂しさの吹っ飛べり 能村登四郎 芒種 199911  
まつ白な心にさせる大くさめ 丸山佳子 京鹿子 199912  
地球終末論者やくさめたてつづけ 折原あきの 船団 199912  
二つ目はロビーに嚔こぼしけり 稲畑汀子 ホトトギス 200001  
ふたつめは逃げてしまひしくさめかな 柿沼盟子 風土 200001  
二度くさめして湯上りの可憐さよ 高木智 京鹿子 200002  
小春日や空いっぱいの嚔かな 尾上有紀子 わがまま 200002  
川は日を流しつづける嚔かな 村岡悠 200002  
大くさめ魂すこしはなれけり 石川笙児 200003  
くさめ出るお寺の塀が長すぎて 丸山佳子 京鹿子 200003  
蘊蓄を吹き飛ばすごと大嚔 佐藤真次 200005  
嚔して胯間を揺れる馬糞峠 稲岡巳一郎 海程 200008  
こん畜生谺残せし大嚔 篠田純子 あを 200101  
中古の男の嚔山河飛ぶ 中原道夫 銀化 200101  
雨袖のK衣のくさめ臺詞飛ぶ 中原道夫 銀化 200102  
面接に大きなくさめしてしまふ 竹村良三 200102  
直立歩行以来代々大嚔 泉田秋硯 月に逢ふ 200103  
嚔する時は男でありにけり 新開一哉 円虹 200103  
赤ん坊のくしやみもらひし嚔かな 杉浦典子 火星 200103  
大くさめ笑ひ羅漢をみじんにす 豊田都峰 京鹿子 200104  
添へもののをとこの嚔花の所爲 中原道夫 銀化 200105  
さぬき山脈大霞してくさめ人 高重京子 200107  
畦に佇つ爺の嚔や雀翔つ 小池槇女 火星 200201  
一徹の苦言のあとのくさめかな 木場田秀俊 200201  
大嚔して何ほどの己なる 坂本京子 200201  
大くさめして救済を説きにけり 木場田秀俊 200201  
二つ三つ大くさめする女かな 芝尚子 あを 200201  
嚔して十七音が散らばりぬ 山田弘子 円虹 200202  
大くさめ右脳が確と目覚めたる 小野島淳 200202  
嚔して傷めし骨を疾かせる 山田暢子 風土 200202  
化けの皮はがれしほどの大嚔 石山正子 銀化 200202  
嚔して比翼塚より起ちあがる 武井清子 銀化 200202  
大嚔ロボット犬の踊り出す 中山勢都子 200203  
褒貶の声蹴散らしぬ大嚔 泉田秋硯 200203  
嚔して露天風呂まだ夢の中 浜崎良彦 円虹 200203  
くさめして無明の闇を揺らしけり 水野恒彦 200203  
嚔して翁の句碑を読みちがふ 志水芳秀 雲の峰 200204  
大くさめして説得のやりなほし 富川明子 200204  
嚔より入つて来たる漢かな 村田明子 円虹 200204  
奪衣婆の前去るやすぐ大嚔 安西可絵 200205  
武蔵野のひとり止まざる大嚔 山越勝美 遠嶺 200205  
嚔出て一句の下五定まりぬ 三枝邦光 ぐろっけ 200206  
われ八十大くさめして恥ずかしや 芝尚子 あを 200212  
くさめして輝久居士に励まさる 神蔵器 風土 200212  
胃をとりし人と思へぬ嚔かな 佐々木悦子 帆船 200301  
大いなるくさめ鉄砲海へ向け 柴田久子 風土 200302  
くさめして遺影の機嫌損じたり 伊藤白潮 200302  
くさめにて話の終る夜更けかな 岩田育左右 遠嶺 200303  
死を白と思ふや否や大嚔 泉田泉一 200303  
腹筋の大きくうねるくさめかな 堀博子 火星 200303  
掌にをさまるほどに嚔かな 浜崎壬午 円虹 200303  
雲あしの軽ろさにくさめ繰り返す 市場基巳 200303  
小男の発する嚔豪快に 北原東洋男 200303  
七十年生きて縮んで大くさめ 滝沢環 京鹿子 200305  
大嚔して猿田彦驚かす 下平しづ子 雨月 200401  
大いなるくさめ鉄砲海へ向け 柴田久子 風土 200401  
大嚔顔整へてより発言 福山広秋 200402  
大嚔横断歩道につけ睫 篠田純子 あを 200402  
嚔して飛びこへられぬ川があり 秋岡朝子 200402  
寝入端くさめに枕直しけり 芝尚子 あを 200402  
托鉢僧大くさめして門に立つ 鎌倉喜久恵 あを 200402  
大くさめ茶飲み友達多き父 木村美猫 ぐろっけ 200403  
手をかけし欅の幹に大くさめ 戸栗末廣 火星 200403  
あこがれてならぬ物見てくさめせり 丸山佳子 京鹿子 200403  
起き抜けの嚔をふたつ近松忌 鈴木五鈴 草の花 200403  
胸の詩語微塵となりし嚔かな 杉山瑞恵 雨月 200403  
雑踏の背中の一つくさめせり 城間芙美子 対岸 200403  
くさめ児に母来る祖母が飛んで来る 大野伊都子 ホトトギス 200404  
太陽を探して二つ目の嚔 岩垣子鹿 ホトトギス 200404  
立て続け出でて嚔の繋がりぬ 生澤瑛子 ホトトギス 200404  
くさめして耳にぬけたる良寛忌 神蔵器 風土 200404  
くさめして威儀もへちまもなかりけり 大和勲 ホトトギス 200404  
嚔して一人の部屋を大きくす 湯川雅 ホトトギス 200404  
全身に響き残れる嚔かな 須藤常央 ホトトギス 200404  
笑うてもをれぬ嚔のなほつづく 千原叡子 ホトトギス 200404  
我慢するくさめ眉間に持て余す 中嶋陽太 ホトトギス 200404  
嚔してミス何某の日の遠し 生澤瑛子 ホトトギス 200404  
嚔して無器用が解く京土産 大木さつき ホトトギス 200404  
嚔してレッスンワルツより始む 大木さつき ホトトギス 200404  
まぶしさのきつかけとなる大くさめ 荒井和昭 200404  
一嚔して太陽を呼び出せる 岩垣子鹿 ホトトギス 200404  
一楽章耐へに耐へたる嚔かな 中嶋陽太 ホトトギス 200404  
教室をふるはすほどの嚔かな 大和勲 ホトトギス 200404  
顔中の鼻になりたる嚔かな 中嶋陽太 ホトトギス 200404  
嚔してNGとなる大女優 大野伊都子 ホトトギス 200404  
嚔してこなし切れざる予定組む 大木さつき ホトトギス 200404  
わが嚔鳩の百羽を舞ひ翔たせ 大和勲 ホトトギス 200404  
三つ目は自嘲気味なる大嚔 岩垣子鹿 ホトトギス 200404  
三度目の嚔小さく付け足しぬ 湯川雅 ホトトギス 200404  
嚔してだらりの帯の左右に揺れ 千原叡子 ホトトギス 200404  
大嚔居留守がばれてをりにけり 大野伊都子 ホトトギス 200404  
地震に揺れたるか嚔に揺れたるか 須藤常央 ホトトギス 200404  
天上天下我一人なる嚔かな 須藤常央 ホトトギス 200404  
噂とも風邪とも知れぬ嚔かな 並木重助 酸漿 200405  
独り居の家の揺れたる大嚔 谷村祐治 雨月 200405  
山旅の冷え持ち帰り大嚔 橘澄男 山景 200408  
肘雨にこぼす皐月の嚔かな 酒井多加子 雲の峰 200408  
過去があって今の私がある嚔 松山律子 六花 200410  
控室大き嚔の男かな 滝沢伊代次 万象 200411  
憚りのなきこと寂し一と嚔 森屋慶基 風土 200411  
男傘くさめを一つ放ちたる 中村房江 六花 200411  
余韻つきくさめは誰ぞ日本晴 樋口育代 帆船 200502  
閻王の嚔か地震のまた七度 伊藤希眸 京鹿子 200502  
嚔して文例集を範とせず 田村園子 200502  
くさめして玄海灘に日を落す 長野純顕 対岸 200503  
嚔して四百年の松の風 伊嶋淡々 200504  
くさめして洟水ずるりあららのら 横山迪子 六花 200504  
大楠の注連の吹かるる嚔かな 遠野萌 200504  
嚔して写楽の顔を思ひをり 中野あぐり 春燈 200505  
お位牌の長短嚔たてつづけ 今瀬剛一 対岸 200506  
くさめして目尻の皺を深くせり 清水ミツコ 200602  
大くさめして火の山の目覚めけり 沼口蓬風 河鹿 200603  
兜の緒締め忘れたる嚔かな 宮脇ちづる 200603  
くさめして妻の視線を外しけり 土屋酔月 火星 200604  
うつくしきくさめと共に乾杯す 田中眞由美 ぐろっけ 200604  
通夜の席不覚のくさめ数珠を揉む 三反田輝夫 河鹿 200604  
微笑みを使ひ果して大嚔 山元志津香 八千草 200605  
嚔して狭き個室のシャワー浴 中島英子 八千草 200605  
嚔して泰然自若獅子つ鼻 尼嵜太一郎 ぐろっけ 200609  
翁咳嫗嚔や真青空 林翔 200612  
即答となす受話器より大嚔 吉田明子 200702  
山風に一人が嚔飛ばしけり 村越化石 200702  
満堂の静寂を破る大くさめ 石川龍士 春燈 200703  
惚れられてゐるはずのなきくさめかな 上田敬 遠嶺 200703  
コンビ名は「変ホ長調」大嚔 森下康子 200703  
白梅や猫がくさめをして通る 山田六甲 六花 200704  
くさめして洟水ずるりあららのら 横山迪子 六花 200706  
うずうずと天しからしむ大嚔 浅井青二 雨月 200707  
言ひかけて嚔つづきや梅雨寒し 小林清之介 風土 200709  
黙祷の残り二秒の嚔かな 土井田晩聖 万事 200711  
くさめして山門潜る漢かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200711  
炭斗に大嚔せし男かな 滝沢伊代次 万象 200712  
ハンカチに嚔をこらへ話し出す 滝沢伊代次 万象 200801  
暗き日を大きくさめで払ひけり 四條進 200802  
吾が嚔川向うまで谺して 稲畑廣太郎 ホトトギス 200802  
黒板に向く先生の大くさめ 木村松蔵 万象 200803  
三番目物やくさめの鼻抑ふ 風間史子 200803  
亡母の仕草何時か吾にも大嚔 石岡祐子 200803  
嚔して話の接ぎ穂有耶無耶に 細川コマヱ 雨月 200803  
ひとつでは足らぬ嚔や春の風 きくちきみえ やぶれ傘 200804  
大嚔して龍の字が大空へ 直江裕子 京鹿子 200805  
合槌に一歩おくれしくさめかな 北川孝子 京鹿子 200805  
老猫にくさめもたらす余寒かな 小池一司 やぶれ傘 200805  
花冷えの夜のくさめとなりにけり 大崎紀夫 やぶれ傘 200806  
胎内の子をおどろかす嚔かな 坂本緑 幸せのかたち 200808  
千体仏の千の視線や大嚔 小泉貴弘 筑波の道 200811  
大仏の嚔しさうな鼻と口 稲畑廣太郎 ホトトギス 200811  
くさめしてより坂一歩踏み出せり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200812  
長トンネルに貰つて来たるくさめ三つ 丸山佳子 京鹿子 200812  
くさめして十年過ぎてしまひけり 長谷川智弥子 炎環 200901  
大くさめして話はもとに戻りけり 芝尚子 あを 200902  
特大のくさめありけり隣より 松村光典 やぶれ傘 200902  
嚔して生命線の伸びたるか 掛井広通 200902  
くさめせる勢みに星を掴みけり 山本無蓋 200902  
特大のくさめありけり隣より 松村光典 やぶれ傘 200903  
久々の小春日和に嚔あり 牧原佳代子 酸漿 200903  
威勢よく女忘れて大嚔 北川キヨ子 200904  
厄年の詰めを怠る大嚔 加藤峰子 200904  
くさめして鳩と共遊するベンチ 丸山佳子 京鹿子 200904  
大嚔陶狸に紛れゐし漢 野中啓子 200904 信楽にて
春の闇百の嚔を繰り返す 山本孝夫 200905  
夜更しの嚔のあとのひとり言 半澤正子 馬酔木 200905  
児のくさめ白粉花の咲きにけり 松本周一 200911  
こぼしたるくさめは一つのみならず 稲畑汀子 ホトトギス 200912  
神官の嚔神燈揺らしけり 五十嵐勉 201001  
神殿に嚔の一つひびきけり 五十嵐勉 201001  
嚔にもいささか過敏ラッシュ刻 三川美代子 201002  
一喝のごとし老師の大嚔 曷川克 遠嶺 201002  
嚔して守衛やさしき顔となる 古屋元 201002  
諍ひの気勢殺がれて大くさめ 中原敏雄 雨月 201002  
くさめして酔ひ醒めにけり寒昴 川端俊雄 火星 201002  
新しき年の上下の嚔と屁 小林清之介 風土 201003  
嚔するたびにインフルエンザかと 吉原一暁 201003  
人は皆ときどき嚔まれに愛 川南隆 ろんど 201003  
大くさめして結論をくつがえす 岩永充三 201003  
大革の一打卑弥呼の嚔かな 土居通子 ろんど 201003  
楽章の余韻の中の大嚔 中嶋麿澄 201004  
嚔して目をつぶりたる運転手 鈴木てるみ ぐろっけ 201005  
嚔して一斉に発つ庭雀 宮村フトミ ぐろっけ 201006  
嚔して黙祷少し壊されし 松田都青 京鹿子 201006  
くさめして春の気配を取り逃がす 大沼遊魚 倭彩 201009  
秋冷のくさめ術後にひびきたり 大坪景章 万象 201012  
三度目は仏の顔や大くさめ 小林正史 201102  
健在を近隣に誇示大嚔 阪本哲弘 201102  
大嚔の止まらぬ漢着陸機 藤本章子 201102  
男酔ひ喪の家を出て大くさめ 鎌倉喜久恵 あを 201102  
微笑みは返すものです大嚔 本多俊子 201104  
嚔のつづけざまなる祝詞かな 岡田史女 末黒野 201104  
くさめしてバイオリズムの微調整 磯崎清 201105  
拙さのきはまるときの大嚔 竹内弘子 あを 201112 くさめ→2

 

2019年12月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。