東 風 6       217句

軍隊の短き言葉東風に飛ぶ   竹下しづの女

東風  梅東風  鰆東風   椿東風

作品
作者
掲載誌
掲載年月
東風吹いて酒旗翻る町外れ 王岩 あを 201503
朝東風に稜線立ち上がつてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
強東風や人は斜めに吹かれをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
大吉の一番嬉し初東風に 小西和子 201503
低き門をくぐる初東風九体堂 塩路隆子 201503
初東風にふだんの顔を晒しけり 森田尚宏 201504
初東風や水碧ければ碧き皺 當間シズ 万象 201504
湯の町の東風は海より白蓮忌 市ヶ谷洋子 馬醉木 201505
朝東風や戸口に転ぶ秣桶 石田阿畏子 馬醉木 201505
島唄や海を渡るか東風にのり 黒沢由紀子 201505
東風吹くや船旅に出る話など 松山三千江 春燈 201505
東風吹くや終着駅は知らぬ町 宮内とし子 201505
荒東風や舷に星近かりし 深川淑枝 201505
何の日の東風が翻弄国旗かな 定梶じょう あを 201505
砲台は海原へ向く鯖東風 永田圭子 ろんど 201505
初東風や野仏囲み木々をどる 丹羽武正 京鹿子 201505
川底を東風吹くがごと魚群れて 有松洋子 201506
バツカスは神話に在し梅の東風 塩貝朱千 京鹿子 201506
強東風や神の大樹の揺れどほし 塩貝朱千 京鹿子 201506
ことごとく死者の持ちもの東風 火箱ひろ 201506
強東風や白うさぎてふ波頭 生田作 風土 201506
夕東風の人のごとくに戸を叩く 生田恵美子 風土 201506
強東風や昔を今に松並木 堺昌子 末黒野 201506
強東風や内緒話の聞きとれず 堀岡せつこ 201506
夕東風やサーカス小屋の灯の漏るる 円城寺清 201506
釣人のにこにこ万歳櫻東風 竹中一花 201507
夕東風や親孝行の長電話 豊谷ゆき江 春燈 201507
いつよりの自愛の歩幅さくら東風 北川孝子 京鹿子 201507
強東風や忽と消えたる赤ポスト 野中圭子 京鹿子 201507
耳裏に山脈わたる東風をきく 河島坦 京鹿子 201507
強東風や虎のしやぶりし骨転げ 小林洋子 万象 201507
紙塔婆比良より高く東風に舞ひ 涌羅由美 ホトトギス 201508
東風と来る同級会の案内状 遠藤清子 末黒野 201508
夕東風のともしゆく燈のひとつづつ 木下夕爾 春燈 201508
強東風の果ての沖鳴り聴くばかり 久保東海司 風鈴 201512
初東風や妙正寺川神田川 神蔵器 風土 201512
朝の間の東風強き川沿ひの道 稲畑汀子 ホトトギス 201602
不用意に出掛け来しこと強東風に 稲畑汀子 ホトトギス 201602
初東風や明朝体の候文 鈴鹿呂仁 京鹿子 201602
初東風の匂ひを誰に告げやらむ 井上信子 201602
東風吹けば旅路華やぎをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201603
強東風にぐらり着陸態勢に 稲畑汀子 ホトトギス 201603
飛行機の夜景揺らして東風の中 岡野ひろ子 201604
初東風や磨きぬかるる連子窓 森清信子 末黒野 201604
強東風の波一湾を領しをり 松本幹雄 馬醉木 201605
強東風や透かしの入りし遊び紙 服部早苗 201605
荒東風の沖波せめぐ礁かな 安斎久英 末黒野 201605
弱東風を吸うてをりけり金の鯉 竹中一花 201605
初東風や東風に誘はれ北野まで 高野昌代 201605
菅公の坐せし石とや東風渡る 古川しげ子 雨月 201605
ちぎれ舞ふ船出のテープ東風曇 中澤弘 春燈 201606
荒東風やモデルルームの旗倒す 芝田幸惠 末黒野 201606
城郭のくさぐさ古び東風強し 谷村祐治 雨月 201606
東風吹いて日本は戦争放棄国 坪内稔典 ヤツとオレ 201606
亀石の動くか東風の荒びけり 中村風信子 馬醉木 201606
宮址の草の波打つ雲雀東風 長谷川翠 馬醉木 201606
雲雀東風渡しに自転車乳母車 山口順子 馬醉木 201606
東風や東風信濃一宮幟旗 矢崎すみ子 201607
夕東風や旨み深まる吊し蛸 藤代康明 201607
借景に城おく園や雲雀東風 黒滝志麻子 末黒野 201607
強東風や埴輪の眼通り抜け 井上正子 童女 201701
瀬田川に初東風の吹きゐたりけり 山田六甲 六花 201701
初東風や手には取れねど播磨富士 山田六甲 六花 201702
鈴の緒の振れ巾に吉東風吹かす 鈴鹿呂仁 京鹿子 201704
初東風や碑文に蘭学事始 佐藤信子 春燈 201704
強東風やかもめの群の錯綜す 上野紫泉 京鹿子 201705
東風吹くや通ひ慣れたる淀屋橋 大橋晄 雨月 201705
東風のひとりの影となりて行く 川崎良平 雨月 201705
強東風の果ての沖鳴り聴くばかり 久保東海司 201705
菅公の詩口ずさむ東風の苑 久保晴子 雨月 201706
強東風に湖畔の鴨と竦みけり 中原敏雄 雨月 201706
夕東風や比良を遠くに遊覧船 中原敏雄 雨月 201706
東風吹くや準備いそしむ漁師どち 塩見治郎 雨月 201706
強東風や眼の痒き昨日今日 岡田史女 末黒野 201706
砂八方東風鳴る空を昏め飛ぶ 久保東海司 201706
強東風や七堂伽藍越えゆきし 岩田洋子 201706
朝東風や日かげる峡の水明かり 吉田きみえ 末黒野 201707
初東風やきしきしキャベツ剥がす音 北上正枝 201707
城跡や夕東風過ぐるふくらはぎ 深川淑枝 201708
ごみ収集東風の残せし網畳む 加藤翅英 京鹿子 201801
いま豚の乳のむ時間さくら東風 火箱ひろ 船団 201802
東風荒き日の思ひ出と記憶して 稲畑汀子 ホトトギス 201803
着陸をやり直す東風荒るる朝 稲畑汀子 ホトトギス 201803
東風強きことも承知の島泊り 稲畑汀子 ホトトギス 201803
東風を来てくつろぐ部屋の明るさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201803
朝東風に富嶽は雲を鎧ひけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
東風磨く東京駅の赤れんぐわ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
夕東風や筑波嶺淡きくれなゐに 多田ユリ子 201804
初東風や五山の空の雲置かず 森一枝 末黒野 201804
初東風や南大門の仁王尊 木村傘休 春燈 201804
東風の訪ふ汐の香満ちる旅の宿 小林はじめ 六花 201805
始まりは東風をうながす風見鶏 今井洋子 京鹿子 201805
強東風や若者並ぶラーメン屋 木村瑞枝 やぶれ傘 201806
強東風や沖へ拡ごる波模様 谷村祐治 雨月 201806
浮桟橋一夜きしませ東風荒るる 櫛橋直子 雨月 201806
強東風やマスト林立船溜り 塩見治郎 雨月 201806
桜東風石の堅さの通し土間 菊地光子 201806
こころちゃん東風もまぜまぜ玉子焼き 浅井洋子 201806
帆船の帆のたたまれて雲雀東風 加藤静江 末黒野 201806
初東風や石段多き港町 高倉和子 201806
強東風を鳥見の窓に受けてをり 中根美保 風土 201807
皮剥かれ東風のひかりの杉丸太 大沢美智子 旬日 201808
リハビリに東風の運んできし吉報 唐澤春城 ホトトギス 201808
切り岸を洗ふしら波桜東風 佐久間由子 201810
坊様の大股小股雲雀東風 つじあきこ 船団 201811
東風咲残る菊束ねたり 大日向幸江 あを 201901
強東風に旅路委ねてをりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201903
初東風や紀の沖波の豊かなる 松本幹雄 馬醉木 201904
東風吹くや信号音の「とおりやんせ」 七田文子 201904
春の東風ま向かへば湧く底ぢから 北川孝子 京鹿子 201904
補聴器に触れて騒めく桜東風 大森三保子 馬醉木 201905
東風わたる浅葱の池や鯉睦ぶ 松本鷹根 京鹿子 201905
朝東風や病窓海へ展かれて 安田優歌 京鹿子 201905
湖の東風青き韻律波にのる 安田優歌 京鹿子 201905
強東風や絵からはみ出す雲と水 安田優歌 京鹿子 201905
夕東風や待ち人多し再渡来 伊吹之博 京鹿子 201905
夕東風や駆けて戻れる子の使ひ 佐津のぼる 六花 201905
熊野より句碑なでてゆく桜東風 竹内悦子 201905
廃校のチャイム鳴りけり桜東風 植木戴子 201905
強東風やハンカチの花領巾のごと 川村欽子 雨月 201905
広縁に干さる大釜椿東風 小林共代 風土 201906
夕東風や唄つて囃す島暮らし 辻水音 201906
桜東風一気に茹でるちゃんぽん麺 波戸辺のばら 201906
夕東風や潮目濃き日の駅に立つ 黒滝志麻子 末黒野 201906
軍港にひびく喇叭や桜東風 森清堯 末黒野 201906
荒東風や波立ち上る安房上総 安斎久英 末黒野 201906
桜東風ホーム短き駅に降り 森なほ子 あを 201906
初東風とわたくしが押す車椅子 天谷翔子 201907
共に棲むうんめいだらう桜東風 はしもと風里 201907
桜東風海藻絡む船着場 森清信子 末黒野 201907
桜東風イージス艦の旭日旗 加藤静江 末黒野 201907
強東風や釣舟波に浮き沈み 小沼ゑみ子 末黒野 201907
刺網を干す沖島や桜東風 林未生 201910
雲雀東風一人に停まる里のバス 池野つむぎ 馬醉木 201912
東風吹くや富士くつきりと空の旅 稲畑汀子 ホトトギス 202003
悲しみの訃報に東風の荒るる日よ 稲畑汀子 ホトトギス 202003
句の世界携へ東風の黄泉路へと 稲畑汀子 ホトトギス 202003
強東風や火の見櫓の風見鶏 宮元陽子 末黒野 202004
本命や東風かき分けて女性騎手 吉田政江 202004
東風荒るる朝心して旅立ちぬ 稲畑汀子 ホトトギス 202004
ミキモトの真珠の海や東風強し 森なほ子 あを 202005
梅東風や滅ぶ平家の地に立ちて 谷陽右 馬醉木 202005
原発の反対デモや東風の中 須賀敏子 あを 202005
桜東風飯能行の三両目 須賀敏子 あを 202005
地球儀と語る少年東風の窓 安田優歌 京鹿子 202005
東風の月山襞あらはに比良比叡 宮岡弘 202005
魂遊べ東風檀林の杉叢に 能村研三 202005
雨戸開け東風の強さに吹かれけり 丑久保勲 やぶれ傘 202005
梅東風やひとつに揃ふ巫女の足 中村洋子 風土 202006
強東風に背を押さるる万歩計 門伝史会 風土 202006
東風吹くや仏を刻む鉋屑 岡尚 風土 202006
梅東風や巨大注連縄ゆるびなく 森田節子 風土 202006
梅東風や古刹に至る切通し 岡井マスミ 末黒野 202006
銀スプーン磨き朝東風すくひけり 安田優歌 京鹿子 202006
指櫛で梳く髪白し桜東風 岡田史女 末黒野 202006
荒東風を厭はず子らはボール蹴る 本郷美代子 やぶれ傘 202006
梅東風や剃り跡眩し僧急ぐ 中山未奈藻 202006
強東風の甲板にゐる船の旅 稲田延子 やぶれ傘 202007
櫻東風ペパーミントのガム口に 中田禎子 202007
辻棲をどう合はせよう桜東風 はしもと風裡 202007
朝東風や仏間の窓を少し開け 小原紀子 末黒野 202007
東風吹くやコロナ禍の世のよそよそし 大西由美子 京鹿子 202008
青東風の角を曲るやけやき道 植木戴子 202008
青東風を聴き分けてゐる牧の馬 武田巨子 春燈 202009
梅東風に押されて杖の一歩づつ 大西乃子 202010
暁闇の遠より鴉声土用東風 岡野里子 末黒野 202011
山門へ猫の就きくる土用東風 小林共代 風土 202012
初東風やかごめは要らぬ尾長鶏 山田六甲 六花 202101
夕東風に菌に急かされ早仕舞 稲畑廣太郎 ホトトギス 202103
店仕舞荒東風反す玻璃引戸 七郎衛門吉保 あを 202103
初東風やみくじくるくる翅むすび 菊池和子 京鹿子 202104
東風に向き鴎つぎつぎ来て並ぶ 千田百里 202104
せんべい提げ町をぶらぶら桜東風 坂本依誌子 春燈 202105
梅東風にたたら踏んだる山路かな 後藤大 春燈 202105
桜東風この惑星を浄化せよ 鷺山珀眉 京鹿子 202105
荒東風や貝殻まじる磯の畑 南うみを 風土 202105
梅東風や気散じの試歩辺りまで 五十畑悦雄 202105
まつ新な木の橋匂ふ桜東風 佐々木よし子 202106
自撮り棒と乗る人力車桜東風 内山花葉 202106
桜東風抜ける老舗の通り土間 五十畑悦雄 202106
強東風や個食黙食慣らされて 中上馥子 春燈 202106
東風の試歩マーチ流れて恥づかしく 中田みなみ 202107
桜東風子に囲まるる実習生 吉田葎 202107
鰆東風埠頭に白き飛鳥U 長尾タイ 末黒野 202107
桜東風奉納絵馬の母の文字 長尾タイ 末黒野 202107
東風吹くや放生池の鯉浮きて 今村千年 末黒野 202107
帆船の帆のたたまるる雲雀東風 加藤静江 末黒野 202107
朝東風や声出して読む龍太の句 太田チヱ子 末黒野 202107
甕棺に水抜きの穴雲雀東風 深川淑枝 202108
夕東風の吹き残したる星一つ 湖東紀子 ホトトギス 202109
ビル街に東風の迷うてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202203
東風吹いて小さき「お塚」に小さき神 鈴鹿呂仁 京鹿子 202203
初東風や海石を洗ふ波しぶき 岡野里子 末黒野 202204
初東風や沖へ水脈引く漁船 池乗恵美子 末黒野 202204
荒東風やぶつきらぼうな子の返事 矢口笑子 春燈 202205
梅東風や目の黒々と御礼絵馬 浅木ノヱ 春燈 202205
ここは終点初東風にのりかへる 鷺山珀眉 京鹿子 202205
東風吹いて帰国の準備二年分 伊吹之博 京鹿子 202205
鰆東風波を逆手の真帆片帆 長尾タイ 末黒野 202205
強東風や谷戸の空掃く竹百幹 大川暉美 末黒野 202205
強東風や夕映えの川ほむらだち 上野静子 末黒野 202205
東風未だ吹かぬに暦春立てり 伴秋草 末黒野 202205
梅東風の丘の鉄塔ちぎれ雲 東小薗美千代 末黒野 202205
梅東風のいたづらにとぶ帽子かな 佐々木澄子 末黒野 202205
強東風や不意をつかれし真夜の地震 伊藤昌枝 202206
強東風に結願の絵馬音たてて 山下朝香 春燈 202206
梅東風やゆるやかに鯉動き初め 森清堯 末黒野 202206
朝東風や海へ張り出す雲一朶 黒滝志麻子 末黒野 202206
朝東風やミルクココアに平和の輪 新倉ゆき江 末黒野 202206
桜東風婆娑羅と大樹揺らしゆく 塩貝朱千 京鹿子 202207
波白きこゆるぎの磯桜東風 加藤静江 やぶれ傘 202207
桜東風分骨といふ愛し方 よしの公一 202207
鰆東風村に三年医師をらず 新井千佐代 202208
盆東風や二天門より馬車道ヘ 深川峰子 202209
盆東風や帰郷列車は窓開けて 町山公孝 202210
鳥の名の列車すぎゆく桜東風 兒玉充代空 202211
水底にさざ波走る桜東風 大西逸子 京鹿子 202301
東風 →1

 

2023年2月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。