東 風 3     110句

あゆの風 いたく吹くらし奈呉の海人の釣する小舟漕ぎ隠る見ゆ  大伴家持

東風  梅東風  鰆東風

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夕東風や橋くぐり来る舟の音 岡本眸 200403
葉を揃へ篁東風に応へけり 朝妻力 雲の峰 200404
朝東風に吉の兆しや框拭く 北吉裕子 雲の峰 200404
荒東風に沖波高し黒木御所 酒井多加子 雲の峰 200404
強東風や波間に弾む朱い玉 竹内弘子 あを 200404
石仏の蓑のほつれや鰆東風 田中佐知子 風土 200404
海越えて来し東風佃三丁目 福井隆子 対岸 200404
上甲板母なる瀬戸の東風まとも 品川鈴子 ぐろっけ 200404
梅東風にきりこんで来る鳥のあり 大島翠木 200405
朝東風を吉兆として框拭く 北吉裕子 雲の峰 200405
夕東風や何か耐へゐる人の顔 若山実 雲の峰 200405
東風ぬけるくぐり戸に猫寝そべつて 信崎和葉 六花 200405
夕東風やしるべ小さき五条坂 門伝史会 風土 200405
窓硝子揺る強東風に目覚めけり 岡村容子 築港 200405
強東風に帽子とられてしまひけり 松山佐治彦 河鹿 200406
桜東風一番電車灯し来る 石平周蛙 対岸 200406
梅東風や宿場東西十三町 矢田邦子 栴檀 200406
梅東風や坂道上る車椅子 水谷節子 栴檀 200406
鈍色に湾の満ちゐる雲雀東風 荒井千佐代 200406
梅東風や曾我兄弟の五輪塔 池田加代子 風土 200406
鳶舞へる灘まだ暮れず桜東風 工藤義夫 馬醉木 200406
聖玻璃の切子びかりや桜東風 中村房子 馬醉木 200407
上流へ薮動きだす東風遠見 丸山冬鳳 京鹿子 200407
激戦地東風の腹切坂のこす 角直指 京鹿子 200407
おくれ毛のしき少女や桜東風 野中啓子 200407
先生は怒るがよかり桜東風 今瀬一博 200407
東風の波足元濡らす旅の朝 桑原泰子 八千草 200408
桜東風ジーパン叩き干しゐたり 増田幸子 万象 200409
スカーフの蝶々むすび桜東風 川島和 帆船 200412
水仙やすでに東風吹く波がしら 水原秋櫻子 馬醉木 200502
荒東風や頸椎五番調整中 北嶋ひさ子 帆船 200502
荒東風の眼下燈台径を絶つ 有働亨 馬醉木 200503
東風の雲ぐらりと抜けて空の旅 稲畑汀子 ホトトギス 200503
心地よき東風吹き抜ける渡り廊 稲畑汀子 ホトトギス 200503
降り出して東風のしづまる午後となる 稲畑汀子 ホトトギス 200503
鰆東風坂道で売る吊し雛 松崎鉄之介 200504
寄進竹に師匠の一句椿東風 深川知子 雲の峰 200504
雲雀東風臥竜の松は湖を恋ひ 橋添やよひ 風土 200504
さくら東風ひとこと攫つてゆきしかな 福山悦子 200504
東風吹かば大猩猩の大胡坐 吉弘恭子 あを 200504
朝東風や自分史序章は父母のこと 吉田かずや 春燈 200505
夕東風や干されしうつぼ歯のこまか 内海保子 万象 200505
音たてて水を呑む壜桜東風 甲州千草 200505
梅東風や戦死の汝の老いざりき 大島翠木 200505
東風吹くや天守に探す一夜城 布施まさ子 風土 200505
しわしわと海膨れくる東風岬 西屋敷峰水 河鹿 200505
東風吹かばといへども我は花粉症 佐々木秀雄 帆船 200505
奥宮への鎖たぐるに鰆東風 牧野睦子 200505
急磴を来て思はざる椿東風 佐東志乃 200505
島繋ぐ橋のはるけさ桜東風 石本百合子 馬醉木 200506
東風吹くや干す扇骨の花模様 西村博子 馬醉木 200506
東風吹くや腕に羽根の生えさうな 石川笙児 200506
交はし合ふ船笛韻きさくら東風 大沢美智子 200506
夕東風や古町水路楯となし 出口賀律子 雨月 200506
書に倦みて夕東風に顔さらしけり 堀田恵美子 雨月 200506
夕東風や軋みどほしの裏の木戸 横尾恵子 200507
櫻東風唐子ののぞく皿のふち 堀本祐子 遠嶺 200507
桜東風眼あけたりつむつたり 近藤公子 200507
養生の素顔を東風に晒しけり 大竹淑子 風土 200507
裏門の広きを出づる桜東風 柿沼盟子 風土 200507
東風吹いて十三七つほどの花 吉田多美 京鹿子 200507
工事場に社旗安全旗さくら東風 斉藤利男 百鳥 200507
欄干に鳥のレリーフ桜東風 新保文子 百鳥 200507
東風波へ船出しさうな海ホテル 山田弘子 ホトトギス 200508
分水領やがて合流東風の海 水野範子 ぐろっけ 200508
東風心地よしと十石舟を御す 高木智 京鹿子 200508
錆寄せぬ北前船や鰆東風 鈴木漱玉 馬醉木 200512
夕東風や婚近き子を駅に待ち 糸井芳子 200601

 登四郎先生谷中句碑

開眼の読経たうたう桜東風

楠原幹子 白卓布 200602
強東風に処すもハンドルさばきかな 稲畑汀子 ホトトギス 200603
島繋ぐ釣橋長し鰆東風 渡辺玄子 酸漿 200603
東風吹かば案ずるよりは艶ばなし 鈴鹿仁 京鹿子 200603
朝東風や老いてゆくてふ富むること 東亜未 あを 200604
東風吹くやただそれだけの遊女の死 三宅文子 春燈 200605
炭竈の罅あらはなる雲雀東風 橋添やよひ 風土 200605
三斎井連歌井址碑桜東風 橋添やよひ 風土 200605
切り抜きはクワズイモとや鰆東風 中島陽華 200605
強東風や押されゆく身は帆船に 近藤喜子 200605
太陽の塔はるかなり雲雀東風 近藤きくえ 200605
ピカソ見にゆく梅東風をつつきつて 杉浦典子 火星 200605
東風吹くや虎河豚の糶すぐ了り 辻恵美子 栴檀 200605
呉服座の米若浪若浪曲東風にのり 梅村五月 栴檀 200605
イナバウアー真似ゐる子等や東風の中 隅田享子 200606
夕東風や干魚にのこる鋭き歯 石田阿畏子 馬醉木 200606
乳離れの子に乳の匂ふさくら東風 辻美奈子 200606
梅東風の相模潮路まつ平 遠藤真砂明 200606
梅東風や九九習ふ子の声彈む 鎌須賀礼子 万象 200606
桜東風児童分布図新しく 三谷道子 万象 200606
夕東風の木々に言葉を与へしよ 松村響子 四葩 200606
桜東風浮き立つ気分運びくる 伊藤やゑ 四葩 200606
桜東風発心の珠数とり出す 冨松寛子 200606
潮目いま男時となりぬ桜東風 延広禎一 200606
朝東風や茶房の窓の招き猫 田島勝彦 遠嶺 200606
能登東風の町に漆の香りけり 柴村郁子 遠嶺 200606
鰆東風風車の並ぶ岬道 横川あい 200606
荒東風に干して磯着の襤褸めく 玉置かよ子 雨月 200606
朝東風や人を見舞ふに橋二つ 廣瀬義一 雨月 200606
走者には向ひ風なる東風日和 合川月林子 ぐろっけ 200606
梅東風や棚田続ける平戸島 夏目満子 酸漿 200606
二連水車水汲み零す桜東風 西屋敷峰水 河鹿 200607
東風連れて大きな波の浜歩く 荒幡美津恵 遠嶺 200607
線香の火種大揺れ東風強し 野澤光代 ぐろっけ 200607
桜東風舞鶴松は舞ふさまに 守屋井蛙 酸漿 200607
人ごゑが影となりゆく椿東風 木内憲子 200607
夕東風や砂に埋もれし捨小舟 木原紀幸 河鹿 200608
強東風のたびのデフォルメ己が影 野中啓子 200608
強東風や竿の白シャツ大車輪 平野きぬ子 八千草 200608
南東風や青光りする福音書 小宮山勇 遠嶺 200611
東風吹くやモノクロ写真と取材メモ 林いづみ 風土 200611
干し棹の白に集まる余り東風 西村滋子 京鹿子 200701
東風 →4      

2021年2月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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