帰 雁     54句

帰雁  雁帰る

作品
作者
掲載誌
掲載年月
なにゆゑの眼の潤み帰雁空 小澤克己 遠嶺 199805
受け取りし書簡の青し帰雁空 小澤克己 遠嶺 199905
橋立の松遠去かる帰雁かな 田中佐知子 風土 199906
帰雁かなけふの一燈献ぜしは 丸山海道 全句集 199910
帰雁東風農夫ら土を篩ひをり 佐藤国夫 馬醉木 200001
橋立の松遠ざかる帰雁かな 田中佐知子 風土 200001
書き上げし稿の昂り帰雁空 小澤克己 遠嶺 200005
朝月を廻りてよりの帰雁かな 出原博明 円虹 200106
バス停にしぶきのかかる帰雁かな 小林輝子 風土 200106
空の果帰雁の翼包みけり 稲畑汀子 ホトトギス 200203
嶺越えし帰雁の空に星光る 海老澤映草 春耕 200204
白汀の彼方へ消ゆる帰雁かな 松村富子 200206
帰雁あり何れの日にか我もまた 小澤克己 遠嶺 200305
高鳴ける帰雁のあとの空の碧 宮坂恒子 200305
狭間より海へと展く帰雁空 小山徳夫 小春の山河 200401
ビルの窓帰雁の窓として暫し 彦坂範子 ぐろっけ 200405
若ければ知らねば帰雁さへも見ず 長沼三津夫 200405
一陣の風や帰雁のつぎつぎと 宇田喜美栄 200406
ジャングルジムのてつぺんに見る帰雁かな 藤井智恵子 百鳥 200406
トーシューズ帰雁の空を漂へり 梶浦玲良子 六花 200407
帰雁かな天下分目の馬防柵 間島あきら 風土 200407

 兄逝く

胸中に帰雁のこゑの残りけり

石脇みはる 200505
夕空に雲の波たつ帰雁かな 西村博子 馬醉木 200506
闇せまる湖騒がしき帰雁かな 落合裕子 万象 200507
大津絵の鬼も見送る帰雁かな 丁野弘 200603
もう少し目を高く上げ帰雁追ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200703
仰ぎみし帰雁の空の茜いろ 宇田喜美栄 200705
食パンの耳きり落す帰雁かな 梶浦玲良子 六花 200708
一斉の飛翔帰雁の声となる 稲畑汀子 ホトトギス 200804
雲払ふ遠天の帰雁母思ふ 後藤大 春燈 200804
国宝の塔より高き帰雁かな 塩路隆子 200805
岬道に限りありけり帰雁以後 岡本眸 200805
シャープの芯取り替へてゐる帰雁かな 梶浦玲良子 六花 200807
山峡の長き葬列帰雁どき 中川すみ子 200905
礼服の父に帰雁の空のあり 蘭定かず子 火星 200905
国分寺の水煙茫と帰雁かな 和田幸江 春燈 200906
一縷なほ羽摶つよ帰雁海の上 定梶じょう あを 200906
帰雁追ふ児の指先の空を指す 小塩世津 200907
荒濤に声を落せる帰雁かな 水谷靖 雨月 201001
闘病の窓に帰雁の列長し 宮原悦子 雨月 201105
湖の波殖やしてゐたる帰雁かな 海老根武夫 201106
文に聞く帰雁の声とおぼしくて 藤兼静子 201107
岬離れ帰雁の高さ定まりぬ 久保東海司 201108
本日は直行直帰雁渡る 吉田希望 201111
悠久の大和帰雁の空のこり 渡辺輝子 201206
大菩薩越えて整ふ帰雁かな 森下岩男 風土 201207
乱れなき帰雁の列のあはれとも 神田恵琳 跫音 201303
はや帰雁吾に授かりし枷ありて 荒井千佐代 201305
花札のやうに帰雁の坊主山 瀧春一 花石榴 201312
さびしさが帰雁の前にたちはだかる 堀内一郎 堀内一郎集 201412
鳳凰よいくたび帰雁送りしか 西川保子 春燈 201605
棹低く構へて風の帰雁かな 那須重子 馬醉木 201705
確か今帰雁の声と気のつきし 稲畑汀子 ホトトギス 202003
天空の朝より晴るる帰雁かな 丸山千穂子 末黒野 202204

 

2023年3月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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