雁帰る     94句

帰雁  雁帰る

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雁帰る塔の裳階のふくよかに 星佳子 199806
オカリナの透る渚や雁帰り 井関昌子 馬醉木 200005
草庵に小机ひとつ雁帰る 小澤克己 遠嶺 200005
雁帰る母の形見の袖衣 稲辺美津 夏椿 200007
雁帰る力尽きれば落ちるのみ 須藤常央 ホトトギス 200008
燈台を陸の果てとし雁帰る 阿部寒林 「夢」 200010
雁帰る牧の起伏に沿ひてのち 鷹羽狩行 200105
烈風に棹きしませて雁帰る 高橋好温 馬酔木 200106
雁帰る先に戦火があらうとも 稲畑廣太郎 ホトトギス 200203
晴雪の佐渡の夕空雁帰る 根岸善雄 馬醉木 200204
省略の過ぎし手紙や雁帰る 大塚まや 京鹿子 200205
雁帰り行く広重の絵の中へ 笠間圭子 京鹿子 200206
町の鐘聞くやのこりの雁帰る 武井玲子 八千草 200309
雁帰る日当りのよき大手橋 藤田輝枝 対岸 200404
抱きし嬰の温み夕空雁帰る 渡邉友七 あを 200405
雁帰る漫々の紺空を占め 伊藤希眸 京鹿子 200408
雁帰る小学校に馬頭琴 中嶋陽子 風土 200505
雁帰る頃そば好きとうどん好き 杉浦典子 火星 200505
雁帰る遅刻童子の仰ぐ時 定梶じょう あを 200605
雁帰る紅絹の汀の上をかな 大島翠木 200605
燃えるごみ出す日たまたま雁帰る 定梶じょう あを 200605
引出しの奥にへその緒雁帰る 高畠陽子 河鹿 200605
雁帰る韃靼の地は遙けしと 有働亨 馬醉木 200606
片頬にしばし夕映え雁帰る 佐藤よしい 風土 200606
雁帰るこゑひといろに湖と空 禅京子 風土 200607
竹トンボとばす青空雁帰る 佐原由紀子 200706
大同を早立ちするに雁帰る 松崎鉄之介 200707
どの水もつめたからむに雁帰る 竹貫示虹 京鹿子 200803
雁帰るまでの毎なる水面かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200804
見事なるボスの決断雁帰る 楯野正雄 200806
雁帰る道頓堀に空残し 堀江惠子 200806
山寺に物見の窓や雁帰る 岸はじめ ぐろっけ 200806
みづうみと空を残して雁帰る 竹貫示虹 京鹿子 200904
宅急便の手作りクッキー雁帰る 神宮安見子 炎環 200906
乳色の空に溶け込み雁帰る 伊藤美音子 万象 200906
川沿ひを海の空へと雁帰る 大崎紀夫 やぶれ傘 201005
風荒き空を一周雁帰る 和田森早苗 201005
朝な朝なけいこ重ねて雁帰る 吉田和子 ぐろっけ 201006
雁帰る津波警報出でし夜 浜口高子 火星 201006
雁帰り合せ鏡の妻とをり 久津見風牛 201006
雁帰る故郷いつも波の音 西川五郎 馬醉木 201007
雁帰る先へ先へと空広げ 布川直幸 201104
一途なるこころ抱きて雁帰る 和田森早苗 201105
かろがろと旅立つ娘雁帰る 高木篤子 ぐろっけ 201106
雁帰る四阡粁を竿になり 三浦澄江 ぐろっけ 201202
雁帰る空の円周率のごと 七種年男 201205
雁帰る里の暮しに添ひながら 高野春子 京鹿子 201206
水を張る田の面の光り雁帰る 鈴木礼子 末黒野 201207
再びは逢へぬ人かな雁帰る 上野紫泉 京鹿子 201207
雁帰る二神山のどんよりと 山田六甲 六花 201303
頑として動かぬ鯰雁帰る 高橋龍 201304
雁帰る水面雄雄しく蹴り上げて 門間としゑ 末黒野 201305
雁帰る流木寝返り打ちにけり 梶浦玲良子 六花 201306
雁帰り蔵王の空に星うるむ 和田和子 馬醉木 201306
朝まだき声をこほして雁帰る 岡野ひろ子 201307
雁帰る日の雁のこゑ聞きにけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201405
雁帰るみちの閂はづされし 佐藤凉宇子 ろんど 201405
雁帰る人忙しくなるころに 高橋将夫 201406
雁帰る瓦礫の山に声落し 渡部良子 馬醉木 201406
雁帰るむらさき深き着物吊り 浜口高子 火星 201406
命とは光とおもふ雁帰る 本多俊子 201406
ゆふぞらは夜空のはじめ雁帰る 井原美鳥 201406
雁帰る墓石に印す桔梗紋 北村淳子 ろんど 201407
雁帰る藻塩を焚きし土器の煤 田中佐知子 風土 201411
直線のうねりの松や雁帰る 矢崎すみ子 201505
雁帰るヘリコプターを下に見て 大坪景章 万象 201505
雁帰るわれは見送る役回り 時澤藍 201506
水底に月を沈めて雁帰る ふじの茜 201506
雁帰る明暗綴る朝刊紙 久保東海司 201507
雁帰る背に払暁の空を負い 江口九星 201508
我が田より二棹となり雁帰る 門間としゑ 末黒野 201605
雁帰る恙の友の文絶えて 安斎久英 末黒野 201606
雁帰るこれより越ゆる幾山河 室伏みどり 雨月 201606
朱鷺いろに明けゆく空を雁帰る 室伏みどり 雨月 201606
みちのくのゆるがぬ雲居雁帰る 柴崎甲武信 春燈 201607
幾棹となく雁帰る城の空 水野節子 雨月 201607
吾が道は往路のみなり雁帰る 阪倉孝子 201607
耳の垢とれば雁帰るなり 中島陽華 201608
水を蹴る音谺せり雁帰る 山本無蓋 201705
竹生島に声を落として雁帰る 駒井でる太 馬醉木 201705
大橋の落暉の中を雁帰る 赤松赤彦 六花 201805
半鐘のありし辻なり雁帰る 小宮山遠 201805
遣唐使絶えしが千年雁帰る 栗坪和子 201806
雁帰る行きも帰りもフリーパス 呂秀文 春燈 201807
おおぞらをわれに残して雁帰る 本多俊子 201811
遣唐使絶えて千年雁帰る 栗坪和子 201901
水を蹴る音を残して雁帰る 竹中一花 201904
雁帰る切株に置く旅鞄 近藤暁代 馬醉木 201905
斑鳩の旅びと我に雁帰る 安立公彦 春燈 201906
遠のくは降下に似たり雁帰る 井原美鳥 202001
むらさきに筑波嶺けぶり雁帰る 塙誠一郎 202006
むらさきの総の遠嶺や雁帰る 中村紀美子 春燈 202007
雁帰る常磐線に今も貨車 近藤牧男 春燈 202107
大空へ楔打つやに雁帰る 森川享 末黒野 202107

 

2022年3月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。