翡翠/川蝉     196句

翡翠やひねもす一二三の淵    松根東洋城

かはせみ  翡翠

作品
作者
掲載誌
掲載年月
巣へ戻る翡翠の道三筋かな
吉永克巳
199808
翡翠の殺陣師のごとき鋭き眼
佐々木東道
199810
まばたきと川蝉大の仲良しなり
宮崎斗士
海程
199811
碧潭を打つて翡翠はやあらず
鷹羽狩行
199905
翡翠も去りてせせらぐ夕ごころ
加藤汀
馬醉木
199907
翡翠の一閃湖を彈ませて
小澤克己
遠嶺
199907
翡翠や梵字さまざまみてをりぬ
小菅佳子
199907
翡翠のかすめて流れ変はりけり
小澤克己
遠嶺
199908
翡翠やシャッターチャンス待つてをり
阿部正枝
遠嶺
199910
飛び去れる翡翠水をしたたらせ
今橋眞理子
ホトトギス
199911
翡翠の横切りしあとのかげろへり
星佳子
200005
姫路城より翡翠の急降下
山田六花
六甲
200005
翡翠の巣立ちに匂ふ山薄荷
岡田貞峰
馬醉木
200010
詮なくもふたたびの翡翠を待つ
大橋敦子
雨月
200102
いい人は去り翡翠の翔ぶ姿勢
藤田守啓
船団
200103
流れ急翡翠枝に思案顔
村井久美子
200108
翡翠のはづむごとくに水掠め
押切安代
200109
翡翠や土橋の下に鯉の群れ
北吉裕子
俳句通信
200109
翡翠の杭を離れぬ流れかな
川崎静園
風土
200110
翡翠が棲み紙切れが降りて寒
岡井省二
200110
翡翠の飛びたるあとの淵暗し
福永みち子
馬醉木
200111
一と筋に上り来し翡翠の碧
稲岡長
ホトトギス
200203
翡翠の源流の晴連れ来たり
伊丹さち子
馬醉木
200203
川凍てし岩を翡翠動かざる
中里信司
酸漿
200204
翡翠の影を映して寒の川
中里信司
酸漿
200204
翡翠の一閃瑠璃を放ちけり
檀原さち子
酸漿
200205
翡翠の翔ちて女神の使者となる
長田等
200207
漁りの翡翠藍を零しけり
中村風信子
馬醉木
200208
とび去って翡翠彩をのこしけり
堀田こう
雨月
200209
翡翠の奏でし彩のハープかな
若生まりあ
遠嶺
200210
翡翠の一瞬の色目裏に
八木岡博江
酸漿
200210
青き矢と紛ふ翡翠飛び立てり
川上恵子
雨月
200210
翡翠の飛翔軌跡を描きけり
菊地恵子
酸漿
200211
寒せうびん翔んで松脂一滴す
黒田咲子
200304
目に止めて見し川蝉の春めきし
市場基巳
200307
翡翠の鵜の瀬の岩にしばしば来る
田辺耕作
200308
花吹雪かわせみを待つカメラ群
林裕美子
六花
200308
翡翠に気をとられてや浮き逃がし
河村武信
ぐろっけ
200310
寒明の翡翠とべり湖の上
岡井省二
省二全句集
200312
翡翠を見てをり寒き覗き窓
諸橋廣子
対岸
200402
新雪の沼一閃の翡翠あり
駒井でる太
200403
翡翠の一直線の日のしぶき
豊田都峰
京鹿子
200408
翡翠の愛をつたへる尾のタクト
岩崎憲二
京鹿子
200408
身輕さが雌を虜に恋翡翠
岩崎憲二
京鹿子
200408
翡翠に一瞬水のはなやげり
日浦静代
百鳥
200408
翡翠の嘴の魚より銀雫
城間芙美子
対岸
200409
翡翠や紺碧の空欠くるなし
沼田巴字
京鹿子
200501
翡翠の翔ちてより沼冬ざるる
隈部郁子
200503
笑ひつつ逃げし翡翠神の水
今瀬剛一
対岸
200506
翡翠の瑠璃ひきとべる春の水
谷村祐治
雨月
200506
冬翡翠くうをはばたき心字池
松永ハツエ
200506
翡翠やレンズの視野で餌を呑む
石岡祐子
200508
翡翠を放ちし湖のさざれなみ
西山美枝子
酸漿
200508
翡翠の水面へ凝視つづきけり
渡辺立男
馬醉木
200509
翡翠の魚採るわざや身を投げて
渡辺立男
馬醉木
200509
遅れ着く池に翡翠見し人居
嶋田摩耶子
ホトトギス
200509
翡翠の瑠璃光り飛ぶ年の暮
増田八重
酸漿
200603
翡翠を置きたる磐のさむき貌
瀧春一
常念
200606
翡翠の発止と水面こぼちけり
鷹羽狩行
200606
翡翠を見つつ息詰め水温む
小林れい
酸漿
200606
翡翠の一閃ありて瀬の騒ぐ
岸本久栄
雨月
200607
春光や翡翠飛翔の水前寺
竹内志げ子
酸漿
200608
翡翠のいよいよ澄める眼かな
石脇みはる
200609
翡翠の水底けつてとびにけり
中野京子
200609
山翡翠に湖の流木疎林なす
小林碧郎
馬醉木
200610
山翡翠や竹竿ひさぐ川原茶屋
磯崎兼久
200610
大原の呂川律川蝉涼し
林日圓
京鹿子
200610
白磁皿に描かる翡翠爽やかよ
梅里全子
200611
翡翠の漁り自在や寺の池
阿部ひろし
酸漿
200611
払暁の翡翠の声聞えたり
印南美紀子
酸漿
200612
せめて顔見たしと思ふ冬翡翠
市場基巳
200703
またぎ村山翡翠の声ひとしきり
紺野とも子
200703
いいことのありさう冬の翡翠よ
近藤きくえ
200704
翡翠の冬の漁場は梵字池
阿部悦子
酸漿
200704
川蝉に大の男も喜々とせる
近藤てるよ
酸漿
200707
翡翠の川面飛来の離れ技
松波とよ子
春燈
200708
青梅のしづく翡翠に染まり落つ
中野英歩
八千草
200708
翡翠の一瞬の色水ひかり
中山純子
万象
200709
翡翠に動体視力たしかむる
塩田博久
風土
200709
常連のカメラマン来て翡翠飛ぶ
芹田敏子
200709
梅雨霧の湖岸声あり赤翡翠
中川悦子
酸漿
200709
翡翠の飛び立ちてより瀧の音
山田六甲
六花
200709
水嵩の増して大川蝉時雨
中貞子
200710
翡翠の一閃やぶる淵鏡
土屋啓
馬醉木
200711
翡翠に沈思の水面ありにけり
川口襄
遠嶺
200712
翡翠の飛翔眩しく春立てり
青木政江
酸漿
200804
翡翠の谷の急流さかのぼる
長田等
200807
翡翠の飛翔の刻を考へる
長田等
200807
翡翠の記憶と故郷の山河かな
長田等
200807
翡翠に一瞬願ひ事唱ふ
山田六甲
六花
200807
翡翠の止り木ばかり日の永さ
木村茂登子
あを
200808
翡翠もカメラも人も動かざる
齊藤實
200809
落つる滝翡翠の水に溶けゐたり
近藤きくえ
200810
翡翠の嘴決断の刻にあり
川口襄
遠嶺
200811
翡翠の声をこぼして渓住ひ
仲井多美江
京鹿子
200901
翡翠の後姿やしぐれつつ
三井公子
酸漿
200901
翡翠の水音冴ゆるあしたかな
伊藤いな栄
酸漿
200903
野良猫の眼の翡翠色春隣
山口天木
雨月
200904
翡翠の色のよぎりし二日かな
丸山照子
火星
200904
翡翠は残影ばかり春の川
森理和
あを
200904
翡翠は芦一茎に空を負ふ
岡佳代子
200906
翡翠の飛び立つて池しづかなる
卓田謙一
万象
200907
翡翠の青き残像川光る
鈴木照子
200908
目を凝らし翡翠を待つ雨の中
奥野初枝
万象
200908
翡翠の逆さ落しや水輪幾重
鈴木良戈
200908
薫風や翡翠を待つカメラマン
西岡啓子
春燈
200908
名城は見ず翡翠の漁れる
和田照海
京鹿子
200909
翡翠の消えたる後の流れかな
遠藤和彦
遠嶺
200910
翡翠の幼が揃ふ石の上
浅野恵美子
酸漿
200910
翡翠の影を置かざる早さかな
田中静龍
ホトトギス
200912
翡翠と蝶一枝にとまりをり
永岡セツ
酸漿
201001
翡翠指す翡翠の色のヤッケ着て
西山美枝子
酸漿
201005
翡翠のトルコブルーや春の池
坂根宏子
201006
翡翠を追ふやまなじり青くして
大東由美子
火星
201008
翡翠のその一瞬を眼裏に
高尾豊子
火星
201008
翡翠に水の濁りの要ることも
高尾豊子
火星
201008
一閃の翡翠水の騒ぎたち
水谷靖
雨月
201008
翡翠の特攻帰らざるはなし
泉田秋硯
201009
翡翠の水面切り裂く真珠光
千田敬
201009
発想の研がるるまでを翡翠と
森岡正作
201009
翡翠の孤愁の光ひるがへし
水谷靖
雨月
201009
翡翠や知らぬ人より双眼鏡
今井春生
201010
翡翠の杭に止まるや色となる
吉清和代
万象
201010
翡翠に退院祝すはるるごと
土屋喜美代
酸奬
201010
川蝉の岩の上にぞ美を放つ 榎本ふじえ 風土 201108
空の青水の青翡翠の碧 湖東紀子 ホトトギス 201109
翡翠や求愛の餌を口移す 野村由美 201109
翡翠を撃つかのごとき連写音 甕秀麿 201110
翡翠を見たやうな見ぬ様な日よ 中山純子 万象 201110
翡翠の川ばかり見てゐて孤独 伊藤希眸 京鹿子 201111
翡翠の青は后に捧げけり 栗原京子 201203
翡翠の色天空にきらめける 吉弘恭子 あを 201204
翡翠やむかし一揆の死出の川 桂樟蹊子 201205
翡翠の青一閃を曳きて消ゆ 寺田すず江 201208
カメラマン構ふ翡翠魚くはへ 松尾静代 ぐろっけ 201208
翡翠の翔ちて残りし杭ひとつ 北崎展江 くりから 201209
翡翠の滴る色に飛びにけり 北崎展江 くりから 201209
翡翠の来る度止まる池の杭 蒲田豊彦 雨月 201301
翡翠のかすめし水の温みけり 石田厚子 馬醉木 201305
翡翠のあをき一線のみのこる 神蔵器 風土 201305
翡翠に塗り替へられし朝の色 柳川晋 201310
悟られぬやう翡翠を待ち惚け 田中貞雄 ろんど 201309
水しぶき翡翠一瞬餌銜え 松村晋 ぐろっけ 201311
焦点の合いたる一瞬翡翠翔つ 井上あき子 ぐろっけ 201311
翡翠の瑠璃の一閃沼の杭 土田亮 末黒野 201312
水源に翡翠の影飛行機雲 森田利和 201407
翡翠の一瞬のいろ線となり 原田達夫 201408
翡翠の瞬時の技や魚捉ふ 笹井康夫 201408
漁りの翡翠水面を引き緊める 布川直幸 201408
待てば来ぬ待たねば不意に翡翠かな 石田きよし 201410
翡翠の水にオーロラ走りけり 北村淳子 ろんど 201410
翡翠の一閃に魚飛び出せり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
翡翠の現れて消えゆく水の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
翡翠や浄土曼陀羅称名寺 下山田美江 風土 201508
翡翠の鋭角に翔ぶ矜恃かな 山本明彦 201509
飛び立てば翡翠己が色曳けり 坂場章子 201509
翡翠の思ひもよらぬ裏の川 森理和 あを 201509
瑠璃光となり翡翠の狩刹那 山口誠 馬醉木 201510
翡翠の跳ぶ間も人の老いゆける 大矢恒彦 201510
翡翠や古刹に一瞬水の音 岸本順子 京鹿子 201601
雪吊の縄に翡翠飛び来る 桜井知恵子 雨月 201604
翡翠の魚ついばむその速さ 高野昌代 201608
翡翠の一閃渡し舟日和 小林陽子 201701
もてもての春の翡翠待つてをり 加藤みき 201705
翡翠の居りし汀の雁木かな 廣畑育子 六花 201707
翡翠の影を離るる迅さかな 笹村政子 六花 201708
翡翠の碧き軌跡のありしのみ 升田ヤス子 六花 201708
翡翠に思はず声をひそめけり 石黒興平 末黒野 201709
翡翠の切り裂く水の暮色かな 斉藤マキ子 末黒野 201710
翡翠の翔ぶや一瞬彩残し 小倉純 末黒野 201710
翡翠の背美しき沢の音 上辻蒼人 風土 201711
翡翠や見られて光る珠玉なり 江島照美 201809
水澄むや翡翠は色残し飛ぶ 森高さよこ 風土 201901
翡翠の瑠璃の際立つ寒さかな 齊藤實 201903
カメラ狙ふ杭の翡翠ショー未だ 森清信子 末黒野 201909
翡翠のダイビング待つ小半日 石黒興平 末黒野 201909
翡翠の飛び立つ色と風を撮る たかはしすなお 201910
翡翠の巣穴へ青き空曳けり 廣畑育子 六花 202006
翡翠は枝の先より飛び立つて 安齋正蔵 やぶれ傘 202007
翡翠に林中の黙深々と 山崎正子 202009
動かざる翡翠に息合はせをり 宮下桂子 202101
翡翠に機関銃めくカメラの目 斉藤マキ子 末黒野 202109
翡翠を待ちたる甲斐やカメラマン 森清信子 末黒野 202111
翡翠の止まりし杭や町師走 須賀敏子 あを 202202
翡翠のぢつと動かず杭の上 小池一司 やぶれ傘 202208
翡翠の立ち居緑につつまれて 佐藤竹僊 あを 202208
隠沼に一本の棒翡翠立つ 七郎衛門吉保 あを 202208
魚狙ふ翡翠ねらふカメラマン 森なほ子 あを 202208
幼さの残る翡翠降下せず 秋川泉 あを 202208
翡翠の睨む小流れ日を弾き 森清堯 末黒野 202209
翡翠の嘴に散る鱗かな 能美昌二郎 202209
池の辺はカメラポジション翡翠飛ぶ 岡野里子 末黒野 202210
翡翠や水面に写るシルエット 阿部重夫 末黒野 202210
ミニトマト翡翠のいろの実をつづる 中根美保 風土 202210
猫の日の翡翠の色や涅槃の日 山田六甲 六花 202303

 

2023年6月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。