蝌 蚪 4       142句

天日のうつりて暗し蝌蚪の水   高浜虚子   五百句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蝌蚪寄りて離れて楽を奏でをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201004
蝌蚪の泡鯉が吸い込む座禅石 丸井巴水 京鹿子 201004
蝌蚪生まる盛り上がりたる池の面 鈴木多枝子 あを 201005
蝌蚪の陣水膨らんでゐたりけり 松本三千夫 末黒野 201006
朝の日や沼の水みな蝌蚪になれ 近藤喜子 201006
水面にも磁気うすうすと蝌蚪ぐもり 樋口英子 201006
通学に畦は近道蝌蚪の水 板橋昭子 201006
浮くでなし沈むでもなし蝌蚪泳ぐ 水谷芳子 雨月 201006
戯れの風と光や蝌蚪の水 松本周二 201006
団塊世代はこの指止まれ蝌蚪の水 網野月を 201007
峡の田の天地混迷蝌蚪の国 塩路隆子 201007
千の蝌蚪棲める水より昏れにけり 及川照子 末黒野 201007
蝌蚪の尾に日がたはむれてひとひねり 豊田都峰 京鹿子 201007
貌ひとつ取り残さるる蝌蚪の水 豊田都峰 京鹿子 201007
ガリバーの如くに蝌蚪の水跨ぐ 森岡正作 201007
蝌蚪増えて浄水場の聖地なり 葉山彰 ろんど 201007
岸辺より放射するやう蝌蚪生るる 森さち子 201007
蝌蚪群れて楽市楽座現じけり 柴崎甲武信 春燈 201007
水さびのゆるる日差や蝌蚪の群 吉村さよ子 春燈 201007
蝌蚪生るる屈めば妻も来てかがむ 柴田良二 雨月 201007
犇きて蝌蚪の命の一途なる 柴田良二 雨月 201007
池の端に犇めく黒さ蝌蚪の群 古川さかえ 酸漿 201007
田の水に湧きでるごとし蝌蚪の影 早崎泰江 あを 201007
蝌蚪の田に遠足しばしとどまれる 定梶じょう あを 201007
まほろばの筑紫に蝌蚪の生るるかな 和田あきを 風土 201008
蝌蚪生れて村の静かに動き出す 中条さゆり 201008
蝌蚪の水比叡映してなほ静か 三川美代子 201009
畦の溝蝌蚪遊びゐる泡かな 竹内喜代子 201009
てのひらをくすぐり逃ぐる蝌蚪の足 ことり 六花 201009
小流れに日のとろとろと蝌蚪の国 佐久間由子 201010
人の世を隔てて蝌蚪の犇けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201104
動くもの殆ど蝌蚪でありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 201104
大佛の水を濁さず蝌蚪生まる 山尾玉藻 火星 201104
里山の日差しに透ける蝌蚪の紐 竹内涼子 末黒野 201104
蝌蚪抱く子は全身を泥まみれ 中島玉五郎 201105
絡みたるなかに端ある蝌蚪の紐 きくちきみえ やぶれ傘 201105
蝌蚪に足天つ日とどく分校に コ田千鶴子 馬醉木 201106
はぐれ蝌蚪杭点々と手ぶらめく 木山杏理 京鹿子 201106
己が身の揺れは余震か蝌蚪ぐもり 宮内とし子 201106
木の橋の朽ちてゐるなり蝌蚪の国 福島茂 201106
離るるも寄るも梵字や蝌蚪の群 松岡和子 201107
合唱の手拍子蝌蚪の生まれけり 尾野奈津子 春燈 201107
集合に少し間のあり蝌蚪の池 吉田政江 201107
蝌蚪に足われに年金特別便 林昭太郎 201107
大小の蝌蚪住み分けて谷地の水 荒井千瑳子 201107
地震後の心ざらつき蝌蚪の水 五十嵐章子 201107
深吉野の凹みの水に蝌蚪の紐 西村節子 火星 201107
蝌蚪の水サーフボードが跨ぎけり 山田美恵子 火星 201107
孵りたる蝌蚪の水輪の生まれけり 井上幸子 酸漿 201107
蝌蚪泳ぐ友達ゐても居なくても 酒本八重 201108
蝌蚪生まる天拝山に抱かれて 井山幸子 万象 201108
掌の蝌蚪を見詰むる女の子 柳澤宗正 万象 201108
蝌蚪群れて水黒ぐろと動きけり 加藤静江 末黒野 201108
息づまるほどに蠢き蝌蚪の群れ 稲垣佳子 末黒野 201108
つきとほす嘘はまことに蝌蚪生る コ田千鶴子 花の翼 201111
僧院の蝌蚪にして黒まぎれなし 伊藤白潮 201203
全身を尾となし蝌蚪の泳ぐなり 岡崎伸 遠眼鏡 201203
蝌蚪群れて飛蚊症めく視界かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
太陽を水面に置きて蝌蚪の国 神谷さうび 末黒野 201204
蝌蚪生る小さき鼓動は唄となり 鈴鹿仁 京鹿子 201204
雲のゆく池やくにやくにや蝌蚪の紐 上原重一 201205
蝌蚪のくに天日ひとつはめゐたり 豊田都峰 京鹿子 201205
隠沼の日はしろがねの蝌蚪の昼 豊田都峰 京鹿子 201205
蝌蚪に足生れて水面の揺れどほし 藤田満枝 万象選集 201205
新薬のいつか出るはず蝌蚪の紐 石川笙児 馬込百坂 201206
吉野路の窪太々と蝌蚪の紐 森岡正作 201206
カーナビの道はここまで蝌蚪の紐 大沢美智子 201206
ゆるゆると蝌蚪の紐解く薄日かな 上田玲子 201206
古池や浮かびて来たる蝌蚪の紐 大坪景章 万象 201206
蝌蚪の国乱すりす組うさぎ組 井尻妙子 京鹿子 201206
眠る子のずつしり重い蝌蚪曇り 井尻妙子 京鹿子 201206
水底に円溜りありて蝌蚪生まる 池田光子 風土 201207
蝌蚪の紐大地の臍と結ばるる 相良牧人 201207
蝌蚪生るる千年杉の寺の池 小渕二美江 春燈 201207
みな帰りたる夕映えの蝌蚪の水 杉浦典子 火星 201207
根尾の水美しくて蝌蚪の紐三尺 大橋晄 雨月 201207
懸命な蝌蚪のいのちの水暗し 長山あや ホトトギス 201208
水底は蝌蚪の天国地震あるな 上原重一 201208
蝌蚪生るる綺羅の水辺の燥ぎかな 川井秀夫 ろんど 201208
傘さして蝌蚪を見てゐる双子かな 涼野海音 火星 201208
しなやかに尾を振る蝌蚪や一茶の地 新保ふじ子 万象 201208
尾の出でし後の修羅場や蝌蚪の国 北崎展江 くりから 201209
蝌蚪に尾のでて泳ぎゐる御饌田かな 北崎展江 くりから 201209
またひとつ尾を振り蝌蚪の群離れ 榎本文代 万象 201210
甌穴の水にたゆたふ蝌蚪の紐 小林はじめ 六花 201212
怪文書の尻尾つかめず蝌蚪の群 鈴鹿けい子 京鹿子 201301
蝌蚪の群先住民を脅かす 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
蝌蚪群るる水の分子を押し退けて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
影一つづつの華やぎ蝌蚪の国 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
蝌蚪生きる証とは影作ること 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
日矢ささるときひと揺らぎ蝌蚪の水 稲畑汀子 ホトトギス 201304
遠き日の畦今日の畦蝌蚪の紐 神田恵琳 春燈 201305
色黒の姉と妹や蝌蚪の国 塩貝朱千 京鹿子 201305
水底の百の目玉や蝌蚪の紐 黒澤登美枝 201305
長長と蝌蚪の紐置き今朝の池 森理和 あを 201305
あつはつはうつふつふ蝌蚪生まれけり 三上程子 春燈 201306
百日忌明日に蝌蚪の紐長し 綱徳女 春燈 201306
蝌蚪群れて同じ動きの同じ形 宮内とし子 201306
ぬめぬめと蝌蚪のうごめく溜まり水 加藤峰子 201306
丁寧にお辞儀する子や蝌蚪の紐 高尾豊子 火星 201306
百姓に謡ひ多し蝌蚪の紐 高尾豊子 火星 201306
蝌蚪の紐溶けて一尾は遠出せり 森理和 あを 201306
蝌蚪泳ぐ池や田んぼをなつかしむ 池田光子 201307
木洩れ日の燦めき踊る蝌蚪の池 松本周二 かさね 201307
幾百の生命をつなぐ蝌蚪の紐 古川千鶴 かさね 201307
古池やしきりに尾を振る蝌蚪のむれ 菊地崇之 かさね 201307
アメンボの足に喰ひつく蝌蚪のくち 篠田純子 あを 201307
蝌蚪太りゆく水を食べ泥を食べ 布川直幸 201402
動くこと忘れたら蝌蚪おしまひさ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
蝌蚪の水差し込む子の手又一人 稲畑汀子 ホトトギス 201404
蝌蚪の水覗けば次の子も覗く 稲畑汀子 ホトトギス 201404
蝌蚪を追ふ作曲家の目ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
うごめきて蝌蚪の命の確かなる 稲畑汀子 ホトトギス 201404
一斉にうごめく命蝌蚪の池 稲畑汀子 ホトトギス 201404
ここも又子等の寄り道蝌蚪の水 稲畑汀子 ホトトギス 201404
足生える今日手の生える明日の蝌蚪 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
蝌蚪になる夢見て覚めて手足あり 千田百里 201405
蝌蚪に聞かうか文明の千年後 大畑善昭 201405
蝌蚪群れて尾だけ躍つてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201405
蝌蚪に足出て水底を歩むかな 河口仁志 201406
観音の膝下に蝌蚪の国しづか 堀口希望 201406
水底の旋律となる蝌蚪の群 和田紀夫 201406
どうしての口癖の児に蝌蚪生る 深澤厚子 馬醉木 201406
生くるてふ力貰ひて蝌蚪の群 川上恵子 雨月 201406
飛び石を渡るや蝌蚪の国騒ぐ 神谷さうび 末黒野 201407
平和とは蝌蚪のしづかにゐる時間 大畑善昭 201407
蝌蚪の群れ終ることなき音合せ 石川寿夫 ろんど 201407
蝌蚪の瓶抱へ少年戻り来る 大石喜美子 雨月 201407
蝌蚪泳ぐ蛙泳ぎの未だ出来ず 西村しげ子 雨月 201407
蝌蚪群れて田ごと田ごとの泥けむり 河口仁志 201407
蝌蚪生れて梵字散らすや法の池 森脇貞子 雨月 201407
村へ行く道はひとずぢ蝌蚪の岸 梶浦玲良子 六花 201407
蝌蚪の紐水のゑくぼをくづしけり 村田岳洋 ろんど 201408
蝌蚪生るるそれぞれ未来ある如し 野村鞆枝 京鹿子 201408
蝌蚪生れて別れることをまだ知らず 中山皓雪 201408
峡の田の天地混迷蝌蚪の群 塩路隆子 璦別冊 201408
谷曇蝌蚪の塊尾を揃ヘ 藤本節子 万象 201408
蝌蚪にあし森青蛙になる途中 竹内悦子 201410
あれだけの蝌蚪の消えたる池一つ 河野美奇 ホトトギス 201410
大粒の雨を喜ぶ夏の蝌蚪 見田英子 春燈 201411
蝌蚪の紐産みつぱなしで親はどこ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201502
漣をゆりかごにして蝌蚪の紐 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
蝌蚪 →5      

 

2021年3月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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