かたくり(片栗)    174句

うとうととしてかたくりの花ふえて  石田勝彦  秋興

かたくり  かたかご  堅香子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
片栗の花を見に行こ君の里 平井奇散人 船団 199903
かたくりの花ひとつづつ群れゐたり 山尾玉藻 火星 199905
娘の車にてかたくりの花を見に 森高武 風土 199906
かたくりや雲淡々と関所越ゆ 屋代弧月 遠嶺 199907
かたくりや音こまやかな山の水 屋代弧月 遠嶺 199907
群生の花片栗をこはごは踏む 渡辺美知子 199907
片栗の花のま中の山の神 武井美代子 風土 199908
片栗の花の出会ひとなる駐車 稲畑汀子 ホトトギス 200002
片栗の花に届かぬ木洩日も 稲畑汀子 ホトトギス 200002
片栗の花の山肌日を抱く 稲畑汀子 ホトトギス 200002
片栗の花の群落一花より 稲畑汀子 ホトトギス 200002
片栗の花に魅せられ散策に 篠田三七子 いろり 200004
木洩日のどれにもゆれて花片栗 村井久美子 200006
スタートを待つ片栗の花一列 野中亮介 馬醉木 200007
かたくりの花と見つめる夢の澱み 榎本祐子 海程 200007
片栗の花守黙し去りにけり 桑久保奈美子 酸漿 200007
かたくりの花を囲めり合羽着て 下島千代子 春耕 200007
かたくりの花に埋もれし父の墓 宮倉浅子 遠嶺 200105
かたくりの花のささめく風の中 梶田敬子 200106
かたくりの群生間近に慈しむ 桑原敏枝 いろり 200106
片栗の花敷きつめて風の彩 玉川悠 遠嶺 200107
かたくりの花腹這いのカメラマン 植山美代子 200108
片栗の花に陶狸の顔和む 駒井でる太 200109
かたくりは片顔のはな朝のミサ 奥田筆子 京鹿子 200109
日を置きて来て片栗の芽が赤し 阿部ひろし 酸漿 200204
片栗の咲くよとゆるむ山の色 海輪久子 円虹 200205
かたくりの花がふえしと妻が呼ぶ 海上俊臣 酸漿 200205
片栗へ近づきすぎて踏鞴踏む 椙山正彦 200206
片栗の花の見詰むる秘密の穴 木戸渥子 京鹿子 200302
俯きてより片栗の花らしく 稲畑廣太郎 ホトトギス 200302
片栗の花の木陰となりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200302
片栗の花の群落光りけり 稲畑汀子 ホトトギス 200302
片栗の花あかりして檜山 斉藤静枝 あを 200303
花を待つ片栗の葉の雨しづく 阿部ひろし 酸漿 200304
かたくりの芽の深々と雪の中 阿部文子 酸漿 200305
かたくりや昔をとめは俯向きし 林翔 200306
水の音ききてかたくり覚めるなり 村上一葉子 200306
かたくりを覗きし顔の大きかり 沖増修治 百鳥 200306
片栗の花の終りは知らざりし 河野美奇 ホトトギス 200307
花かたくり群れねば消えてしまひさう 直江裕子 京鹿子 200307
かたくりの花弁跳ね上ぐ地の息吹 隅田恵子 雨月 200307
仙境もかくや片栗群咲ける 隅田恵子 雨月 200307
片栗の行き来の人に反り返る 永田二三子 酸漿 200307
かたくりの風分かちあふ筑波嶺 柴田久子 風土 200307
下むいて咲く片栗や想ひ人 鎌倉喜久恵 あを 200307
かたくりの斜面谿へと続きけり 松木清川 ぐろっけ 200307
片栗は万葉の色無音界 島村絹美 200308
かたくりや責務重たき頭垂る 田中時子 八千草 200310
喉佛けふ片栗の花の上 岡井省二 省二全句集 200312
かたくりの群をはなれし花一つ 阿部ひろし 酸漿 200404
片栗の一番花は咲き迷ふ 浅野恵美子 酸漿 200406
片栗のそよ吹く風にゆれ止まず 設楽唱子 酸漿 200406
山神の径かたくりの花に消ゆ 武井美代子 万象 200407
花了へし片栗の実に觸れてゐる 三関浩舟 栴檀 200407
陽を浴びて片栗の花囁きぬ 上原口チヱ ぐろっけ 200407
片栗の花は山気に紛れざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200504
雪解を待たず片栗芽を伸す 阿部文子 酸漿 200505
かたくりの揺れて小さき風生まれ 釜井瞳子 対岸 200506
片栗の葉に包まるる蕾かな 小林幸子 酸漿 200506
片栗や薄日さす地に揺らぐもの 桑久保奈美子 酸漿 200507
地の声に聞耳立ててかたくりは 隅田恵子 雨月 200507
かたくり咲く唯静謐の濃むらさき 乗光雅子 雨月 200507
かたくりの花のなぞへも古戦場 村上沙央 200508
片栗の花を漢等とり圍み 北中みやこ ぐろっけ 200508
片栗の風怺へゐる薄茜 田所節子 涼しき嵩 200511
バス止めて路辺の片栗花を見す 河井富美子 ぐろっけ 200601
片栗が咲き木漏日のごとくなり 島谷征良 風土 200602
片栗や女はつねに無可無不可 小澤克己 遠嶺 200604
かたくりの咲けば林の透かす嶺々 豊田都峰 京鹿子 200605
花片栗鳥に囃されひらきけり 大島翠木 200606
西行の出家の寺に片栗咲く 松崎鉄之介 200606
遍路杖花かたくりに囲まれて 飯塚ゑ子 火星 200606
片栗の一つ離れて道の端 福澤乙 酸漿 200606
片栗の花微風にゆらぎけり 町田政子 酸漿 200606
野も山も花片栗に満ちあふれ 佐々木とく子 200607
片栗咲く野姫岐阜蝶に逢ひたかり 佐々木とく子 200607
片栗と名札のありて姿なし 渡辺暁 酸漿 200607
前うしろ左右かたくり極楽図 松村多美 四葩 200607
片栗の花咲く町に棲み古りし 小堀寛 京鹿子 200608
片栗の花の一つに跪く 鈴木石花 風土 200705
かたくりに屈み万葉言葉かな 天野みゆき 風土 200705
遠く来てかたくりの花篤と見る 堀すみ恵 200706
かたくりにはいつくばりてカメラマン 岩木眞澄 ぐろっけ 200707
峯々に星生れ片栗の花昏れぬ 藤岡紫水 京鹿子 200804
かたくりは寂しらの花うつむける 定梶じょう あを 200804
片栗のこぞれる蕾朝日待つ 阿部ひろし 酸漿 200805
片栗の花を窄めて山の雨 三輪温子 雨月 200807
かたくりの花に届けし母の風 直江裕子 京鹿子 200808
片栗の咲けば消えゆく山河かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
片栗の花の愁ひに佇みぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200902
逆立ちの花かたくりの盆の窪 高崎武義 200902
片栗の芽がまづ覗く庭の隅 阿部ひろし 酸漿 200903
にひばりの道のかたくり花ひらく 定梶じょう あを 200905
かたくりの花に近づく声なりし 戸栗末廣 火星 200905
かたくりの驚くさまに群れゐたり 垣岡暎子 火星 200905
別るるや片栗の花ただに揺れ 竹内慶子 春燈 200906
風紡ぐやうに片栗あまた揺れ 布川直幸 200906
鳥声にかたくりの花反りかへる 隅田恵子 雨月 200906
片栗の莟を抱き芽吹きけり 隅田恵子 雨月 200906
片栗の咲くと手をあげ呼びくるる 園多佳女 雨月 200906
草の中咲く片栗の初々し 永見博子 酸漿 200906
かたくりの花吹く風のひかりかな 久保田嘉郎 酸漿 200906
片栗の咲くてふ山を遠望に 荒尾茂子 京鹿子 200907
かたくりを覗き明日より三年生 西山美枝子 酸漿 200907
かたくりの花と吹かれて妻近し 淺場英彦 万象 200910
かがみ見ること片栗の花を見る 稲畑汀子 ホトトギス 201002
片栗の花に日の射し日の翳り 稲畑汀子 ホトトギス 201002
常識といふ片栗の花の向き 稲畑汀子 ホトトギス 201002
風に舞ふ片栗の花鳥となり 山本節子 201005
片栗の花を揺らして霊枢車 竪山道助 風土 201005
地に伏して片栗の花写す時 須賀敏子 あを 201005
かたくりの鬣風を解き放ち 中島あきら 201006
石垣の上にかたくり花一つ 土屋光男 春燈 201006
里山にかたくりの咲く頃となる 家塚洋子 酸漿 201006
花片栗あれば流れの遠からず 高橋道子 201007
片栗のこれほどにまで花の反り 定梶じょう あを 201007
見付けたる真紅片栗の芽の一つ 阿部ひろし 酸漿 201103
片栗のうながしつ咲く花二つ 阿部ひろし 酸漿 201104
ひしめきて咲く片栗や地震の後 阿部文子 酸漿 201105
片栗の芽吹き待つ日々大切に 石川元子 酸漿 201105
片栗のギフチョウを待つ息づかひ 大西よしき ろんど 201106
師は天にかたくりの花ひとり見る 小倉正穂 末黒野 201107
片栗の一群に日の留まりぬ 橋本順子 201107
片栗の花のこれより坂がかる 定梶じょう あを 201107
片栗の花騎馬武者の駆けし道 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
片栗の花まだ閑かなる吉野 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
片栗の花の斜面を転がる日 稻畑汀子 ホトトギス 201202
片栗の花を見しより旅心 稻畑汀子 ホトトギス 201202
椿山越え片栗の花を見に 金森教子 雨月 201207
山の風山を出るまで片栗に 古川忠利 ろんど 201208
満開のかたくり三毳山閑か 内田郁代 万象 201208
風やみてかたくりの花うなづきぬ 内田郁代 万象 201208
みひらいて花かたくりは蕊のばす 岡部玄治 201305
かたくりの花や風呼ぶ奥武蔵 小山繁子 春燈 201306
雨催片栗の花うつむいて 須賀敏子 あを 201306
片栗の花の香ほどの吐息かな 山田佳乃 ホトトギス 201307
カタクリや野仏もまた半日陰 石坂比呂子 ろんど 201208
かたくりの花は消えしや草若葉 瀧春一 花石榴 201312
先達のごとく片栗続きをり 坂根宏子 野山の道 201404
かたくりの花ひと日矢に開演す 豊田都峰 京鹿子 201404
片栗の花の仕種や風受けて 黒住康晴 201405
片栗の花おきざりにきし自愛 井上菜摘子 京鹿子 201405
かたくりの花や測量助手踏むな 定梶じょう あを 201406
気高くもかたくりの花うつむきぬ 赤塚篤子 末黒野 201407
かたくりや花の決めたるリーゼント 和田紀夫 201407
片栗の花に山風ころがり来 岡野ひろ子 201405
うなだるる姿とも片栗の花 稲畑汀子 ホトトギス 201502
ちかぢかと覗きかたくりはづかしめ 布川直幸 201502
かたくりの花ごと無人販売所 工藤ミネ子 風土 201506
片栗の花のささやき雑木山 上野進 春燈 201506
林間の淡き日差や花片栗 梅村すみを 201506
かたくりの花にかがめば雪匂ふ 小林輝子 風土 201507
ひらがなの形に咲いてかたくりは 溝呂木信子 201508
片栗の花の群生こぞり反る 塩見英子 雨月 201605
花の色見せて片栗芽吹き有り 加藤北天 雨月 201605
片栗や鴨飛び去りし沼の色 田中素直 201606
片栗の花に沢風容赦なし 稲垣佳子 末黒野 201606
片栗の花に揺れゐる薄日かな 住田千代子 六花 201608
片栗の花紫に暮れゆける 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
片栗の花シリウスの一ト雫 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
片栗の花飛びたくて飛びたくて 内藤静 風土 201705
かたくりの花に重たき今日の雨 是松三雄 末黒野 201707
片栗の花紫に暮れ初むる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
片栗の花謙遜といふ向きに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
片栗に大杉の日のこぼれけり 藤生不二男 六花 201806
かたくりのうつむき咲きの雨中かな 能村研三 201807
無口な友花片栗を好きといふ 窪みち子 201808
片栗の花咲く丘に建つ墓標 東木洋子 春燈 201909
片栗の花に斜面の喜べり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
片栗の花の香法衣絡めつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
片栗の花は富良野に尽きざりし 稲畑汀子 ホトトギス 202102
片栗の花に風来る古墳かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 202105
片栗の花の乱舞に踏み場無く 重原爽美 202105
山中にかたくりの花群生す 山田佳子 202106
片栗咲く傾りに抱かれ墓一基 加賀荘介 202107
かたくりの花や見るべししやがむべし 土井三乙 風土 202107
かたくりの一花一花に憂ひあり 森岡正作 202205
片栗はいつも遠くにみる花よ 笹村政子 六花 202205
かたくりや戦火を遠くうつむきて 赤石梨花 風土 202206
片栗の花の輝く山毛欅林 仁上博恵 202209

 

2023年2月20日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。