寒 卵 2    200句

寒卵二つ置きたり相寄らず   細見綾子   冬薔薇

寒卵  寒玉子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ITを蔑視する罪寒卵 樋口愚童 200504
籠りゐる身のいとほしや寒卵 生方ふよう 200504
幸せは気付かずに居る寒卵 舩越美喜 京鹿子 200505
寒卵かつんと割つてひとりの餉 浜和佳子 百鳥 200505
耳にあて夢聴いてみる寒卵 ことり 六花 200505
寒卵いま春眠のもみの中 大高芭瑠子 炎夏 200507
一つ割りもひとつわりて寒卵 芝尚子 あを 200511
父の忌やこんもりと割る寒卵 一瀬昭子 馬醉木 200603
湯上がりの一汁一菜寒卵 山田六甲 六花 200603
盛り上がる黄味はればれと寒卵 丹生をだまき 京鹿子 200603
寒卵厨の日差し動きけり 尾辻のり子 河鹿 200604
寒卵日輪近づく韻のして 本多俊子 200604
寒卵ありしところの形而上学 西村純太 200604
寒卵長子生涯娶らずや 上野進 春燈 200604
寒卵筆圧強き男の手 遠山みち子 200604
寒卵だけの朝餉や夫の留守 鈴木栄子 酸漿 200604
炊きたての飯に落せり寒卵 大房帝子 酸漿 200604
かつぎ女の新聞紙から寒卵 高野明子 風土 200604
背水の陣や眩しき寒卵 前田倫子 百鳥 200604
手応へも音もたしかに寒卵 岩崎慶子 200605
寒卵生まれ変はるには遠し ことり 六花 200605
寒卵黄味盛り上げて朝餉かな 小林幸子 酸漿 200605
宇宙飛行士でんぐり返る寒卵 松下道臣 まんまる 200607
富士晴るる卓にぴしりと寒卵 塩田博久 風土 200701
寒卵ぴんぴんころり死を希ふ 澤田緑生 馬醉木 200702
球場の向うに淡路寒卵 田中英子 火星 200702
東雲や厨にことり寒卵 芝宮須磨子 あを 200702
父の歳越えてひととせ寒卵 堀内一郎 あを 200702
皿蕎麦にからみつき来る寒卵 ことり 六花 200702
神棚に籾殻こぼる寒卵 大城戸みさ子 火星 200703
声出してけふのはじまる寒卵 稲葉ちよこ 風土 200703
身の芯に落す太陽寒卵 山路紀子 風土 200704
食卓に踊る太陽寒卵 山路紀子 風土 200704
寒卵小さくなりし妻の顔 杉本薬王子 風土 200704
しがらみを割る寒卵沖冥し 大島翠木 200704
ぷるるうん黄身もり上がる寒卵 鈴木勢津子 200704
此のところ音沙汰なしや寒卵 折橋綾子 200704
掌にのせてほんのり温し寒卵 木内美保子 六花 200704
孫二人なり寒卵二つ割る 野路斉子 200704
寒卵日々息災でありにけり 赤羽正行 遠嶺 200705
うそひとつついて割りたる寒卵 上田敬 遠嶺 200705
子等帰り残るすきやき寒卵 稲畑汀子 ホトトギス 200801
寒卵上京前の膳にあり 稲畑汀子 ホトトギス 200801
体調の少し回復寒卵 稲畑汀子 ホトトギス 200801
我思ふ故に我あり寒卵 須田紅三郎 200801
寒卵しつかと黄味を盛り上げし 塚本泰子 酸漿 200802
まつすぐに朝が来てゐる寒卵 冨田正吉 200803
潮騒に生み落としけり寒卵 岩木茂 風土 200804
寒卵大人は大人のふりをする 倉持梨恵 200804
寒卵一割る一はもとの一 上谷昌憲 200804
寒卵割りて齢の加はる日 藤原照子 200804
軍鶏鍋の仕上げに落とす寒卵 鳥居秀雄 200804
寒卵提げて庭師の言訳に 山本喜朗 雨月 200804
妻留守の厨気ままに寒卵 倉科紫光 馬醉木 200805
割れば躁割らねば鬱や寒卵 藤井彰二 馬醉木 200805
癌封じ得たりと啜る寒卵 高木智 京鹿子 200805
ぼんやりと目覚めて生きて寒卵 指尾直子 雨月 200805
鳥骨鶏の寒卵とぞ力得て 指尾直子 雨月 200805
掌に宇宙のゆらぎ寒卵 林友次郎 天帝 200806
寒卵ひとりとなりて十年過ぐ 一ノ瀬次郎 春燈 200901
寒卵まるく大きく飯の上 滝沢伊代次 万象 200901
寒卵割るやごつんと音たてて 新関一杜 京鹿子 200901
吉祥や黄身二つある寒卵 藤見佳楠子 200903
寒卵いのちの限り立ちにけり 竹内悦子 200903
藻塩壺ぽんとふたつに寒卵 雨村敏子 200903
思はざる力に割りし寒卵 高橋道子 200903
良妻も賢母も難し寒卵 赤座典子 あを 200903
一日をいちにち使ひ寒卵 木山杏理 京鹿子 200904
運不運強きに生きて寒卵 豊谷ゆき江 春燈 200904
一病と生きるほかなし寒卵 布川直幸 200904
籾殻に深々とあり寒卵 前田美恵子 200904
働かぬ日の常温の寒卵 風間史子 200904
寒卵石の音たて割れにけり 山本ミツ子 六花 200904
いつせいに朝が鳴き出す寒卵 遠藤和彦 遠嶺 200905
寒卵こつんとたつた一人の音 山田弘子 ホトトギス 200906
寒卵量り売りする土曜市 小林玲子 ぐろっけ 200906
何個でもお代り自由寒卵 山田六甲 六花 200912
訃報欄の師と向き合うて寒卵 布川直幸 201003
ちちははの夢見たる朝寒卵 篠田純子 あを 201003
割り落とす初日のやうな寒卵 木村茂登子 あを 201003
あたたかき鶏よりの寒卵 野中亮介 馬醉木 201004
先づ妻へ黄身の色濃き寒卵 小川玉泉 末黒野 201004
寒卵鳥小屋に入り頂戴す 池部久子 酸漿 201004
寒卵こゑを真つ赤に産みにけり 戸栗末廣 火星 201005
幼な子の双手で包む寒卵 米山やすえ 末黒野 201005
寒卵割り真つ新な朝であり 山田弘子 ホトトギス 201006
今日もまた一人ぼつちの寒卵 松田都青 京鹿子 201006
ぐしやぐしやに泣きながら食ぶ寒卵 阿部知代 201007
寒卵とて二つ呉るふたりゆゑ 冨山俊雄 山居抄 201008
寒卵胸のあたりにもらひけり 冨山俊雄 山居抄 201008
寒卵主治医に優る妻がゐて 大沼遊魚 倭彩 201009
寒卵割る手に力こもりけり 鎌倉喜久恵 あを 201102
寒卵独りの朝の始まれる 小澤菜美 201103
寒卵年金といふ泰らぎに 田原陽子 201103
朝市や籾に埋もれし寒卵 安本恵子 201104
ぐいと混ぜる母異なりし寒卵 吉田希望 201104
薬より活力の欲し寒卵 宮野照子 馬醉木 201104
寒卵しづかに落とすフライパン 柿沼盟子 風土 201104
その中にほの温きもの寒卵 鎌田悟朗 ろんど 201104
立つ気なく寝る気もなくて寒卵 松田都青 京鹿子 201105
スーパーの目玉商品寒卵 川崎光一郎 京鹿子 201105
父の忌や碗にぼつてり寒卵 谷泰子 ぐろっけ 201105
縁側の下に矮鶏小屋寒卵 岸千手 201202
寒卵のごときカメオの人とゐて 池端英子 ろんど 201203
お呪ひ唱へて立たす寒卵 森下康子 201204
寒卵生きたる者の手の赫き 吉田葎 201204
朝粥やいのち養ふ寒卵 茂木なつ 春燈 201204
先づひとつ夫にすすめて寒卵 村上絢子 馬醉木 201204
寒卵のいのちを己が命とし 西出しず子 雨月 201204
テーブルに日のとどくなり寒卵 原田達夫 201205
病む友へいま生みたての寒卵 山本晴美 万象選集 201205
関東のあまねく晴れる寒卵 林昭太郎 あまねく 201210
母に割るしやう油うすめの寒卵 石井美智子 風土 201211
物故と言ひ故人と言へる寒卵 竹内弘子 201212
生き方に器用さはなし寒卵 齊藤實 201301
寒卵いのちはじめの日の出いろ 吉田陽代 201302
寒卵の手触り確と名産地 中川すみ子 201303
産土や藁色なせる寒卵 柴田佐知子 201303
無芸大食寒卵片手割り 上谷昌憲 201303
停滞の脳への活や寒卵 井口淳子 201304
母恋し半分づつの寒卵 松岡和子 201304
ときめきのなほあまたあり寒卵 新海英二 春燈 201304
双子にて飛び出してくる寒卵 竹内悦子 201304
巳の杉の洞天空へ寒卵 中田禎子 201304
寒卵置けば静かな刻生る 山田暢子 風土 201304
白蛇棲むとふ神杉へ寒卵 大崎ナツミ 雨月 201304
大鵬の訃報ありけり寒卵 藤山かもめ ぐろっけ 201304
独りの餉黄味ふたつなる寒卵 戸田澄子 末黒野 201304
立位より横になりたき寒卵 松田都青 京鹿子 201305
どことなく温もりありぬ寒卵 相良牧人 201305
炊立てや銀しやりに割る寒卵 辻井ミナミ 末黒野 201305
炊きたての飯に落とすや寒卵 松本善一 やぶれ傘 201306
産みたての寒の卵を呑みにけり 山戸暁子 円虹 200305
卵割る寒の卵を食べるため 常田創 201401
尖りたる遠嶺よく見ゆ寒卵 町上杳 201403
赤銅に遠峯かがよふ寒卵 坂口夫佐子 火星 201403
気の強き鶏の生みたる寒卵 中田みなみ 201403
寒卵命もらひて命伸ぶ 清水美子 春燈 201403
寒卵掻き溶く箸に抗へり 林昭太郎 201403
寒卵あさきゆめみしさくらいろ 火箱ひろ 201403
子の箸に解かれ黄の濃き寒卵 鈴木照子 201403
土鍋に炊く粥にとろりと寒卵 田中淺子 201403
寒卵いよよ緊まれる海の紺 水野恒彦 201404
割る音の朝の厨に寒卵 佐藤喜仙 かさね 201404
南国の夢か隅っこ寒卵 鎌田悟朗 末黒野 201404
鶏鳴にはなやぐ小屋の寒卵 久保東海司 201405
寒卵茹でてまともに剥かれざる 山田六甲 六花 201502
寒卵割ればひとりの音がする 矢野百合子 201503
障害者のスプーンフォークや寒卵 下山田美江 風土 201503
寒卵一貫目の子産みし朝 西郷慶子 201503
ぼつてりと御飯に落とす寒卵 塩千恵子 201503
父の座の軽さうべなふ寒卵 森岡正作 201504
甲高きこゑより生まれ寒卵 戸栗末廣 201504
寒卵桂郎明史に一つづつ 岩木茂 風土 201504
寒卵割ればひとりの音がする 矢野百合子 201504
オムレツの色のほどよし寒卵 中道愛子 201504
遺伝子のぎつしり詰まる寒卵 中島昌子 201504
寒卵月に見とれて騙さるる 鴨下昭 201504
父の呉るる頑張り時の寒卵 笠井清佑 201504
寒卵カ行ま白き一と並び 本多和子 201505
採血終へにゆう麺に割る寒卵 相沢有理子 風土 201505
初産みの桃色淡く寒卵 森理和 あを 201505
寒卵殻の内側白きかな きくちえみこ 港の鴉 201510
鶏鳴にはなやぐ小屋の寒卵 久保東海司 風鈴 201512
背信の指にて割るや寒卵 近藤真啓 春燈 201512
胸深き雪は昔よ寒卵 甲州千草 201603
一日一生掌中の寒卵 菊地光子 201603
寒卵啜り傘寿の血潮とす 室伏みどり 雨月 201603
病む母に赤き口紅寒卵 須賀敏子 あを 201603
寒卵そばの真中に割り落とす 久世孝雄 やぶれ傘 201604
信念は石より固し寒卵 高橋将夫 201604
あつあつの米の功徳や寒卵 阪倉孝子 201604
割り落とすいのちの色の寒卵 平野みち代 201604
手土産の口実に買ふ寒卵 箕輪カオル 201605
寒卵割れば寧けき色の出て 平野みち代 201605
入院の決まりし夜の寒卵 玉置かよ子 雨月 201605
廻りつつ元に戻らぬ寒卵 乳原孝 船団 201612
寒卵こだはりもして目玉焼 稲畑廣太郎 ホトトギス 201701
寒卵上寿に未来なしとせず 後藤比奈夫 ホトトギス 201702
寒卵割つで自愛の独り占め 沼田巴字 京鹿子 201702
寒卵日あたる方へころがりぬ 有松洋子 201703
寒卵あけぼの色のこころざし 細川洋子 201703
寒卵こつんと朝の動き出す 大矢恒彦 201703
銀舎利に目玉と落とす寒卵 秋山信行 やぶれ傘 201703
寒卵有精卵と書いてある 岩下芳子 201704
寒卵ぷりんと割れて誕生日 大畑善昭 201704
寒卵ぷるんと割って朝餉とす 大橋晄 雨月 201704
寒卵貰ひし礼を通夜で言ふ 中川句寿夫 ここのもん 201705
風呂敷を四隅結びに寒卵 中川句寿夫 ここのもん 201705
寒卵割りて一日の鬱晴らす 佐藤澄世 馬醉木 201705
縁先に一とまづ置きし寒卵 中田みなみ 201705
突かれて逃げ腰に得し寒卵 山内碧 201705
生みたての湯気あがりけり寒卵 志方章子 六花 201705
寒卵割れば未来の音がして 稲畑廣太郎 ホトトギス 201711
母と吾の粥に落とせし寒卵 コ田千鶴子 馬醉木 201803
寒卵茹で方を聞く母も亡し 山田六甲 六花 201803
明るさを取り出すや割る寒卵 近藤喜子 201804
熱々の御飯に落とす寒卵 向井芳子 春燈 201804
手秤で値踏みしてをり寒卵 柴崎甲武信 春燈 201804
卓の上に留守居の夫へ寒卵 宮口征子 馬醉木 201804
寒卵 →3

 

2021年2月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。