寒 禽      184句

寒禽の嘴をひらきて声のなき    長谷川櫂

冬の鳥 冬鳥 寒禽

作品
作者
掲載誌
掲載年月
枝切りし樹液寒禽まれり 黒坂紫陽 馬醉木 199903
寒禽や櫓に十字紋瓦 武久昭子 風土 200003
一渓をへだて寒禽応へあふ 朝妻力 雲の峰 200003
寒禽の影ゆれどほし藪どころ 岡和絵 火星 200004
寒禽のもてなしに吊る蜜の瓶 小林清之介 風土 200004
寒禽や疎林に日の斑ちらばりて 赤羽正行 遠嶺 200103
寒禽の晴く城址の雑木山 伯井茂 春耕 200103
寒禽や安土城址を登りきり 十河恭子 俳句通信 200104
奥秩父寒禽の声桑畑に 鈴木冽 春耕 200104
寒禽に水黒々とありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200112
寒禽とゐて大琵琶を欲しいまゝ 鈴鹿仁 京鹿子 200202
寒禽の山へ押し入る天狗かな 天野きく江 200202
寒禽の庭ゆつくりと母の試歩 水野邦夫 雲の峰 200202
寒禽や風にはがれし千社札 朝倉喜代子 春耕 200202
寒禽の羽搏くことのなく飛べる 杉浦典子 火星 200203
寒禽のこゑ渡るなり冠木門 宇田喜美栄 200204
寒禽のこゑ山襞の深まりぬ 大谷茂 遠嶺 200204
舎利弗の小さき卒塔婆寒禽群る 高橋正彦 200204
寒禽の鋭声の岩を射るごとし 杉良介 200212
寒禽の獣園の空思ふまま 吉川ハマ子 築港 200302
寒禽の声ひく里やせいろ飯 小林あかり 遠嶺 200303
寒禽に一樹ふくらむ神の庭 仲尾弥栄子 雲の峰 200303
寒禽のひかりの礫聖母山 一瀬昭子 馬醉木 200303
寒禽に徐々に晴れ来る空のあり 加藤君子 火星 200304
寒禽の貞一文字の鋭声かな 隅田恵子 雨月 200304
寒禽に口説かれてゐる遊子かな 葛馬房夫 雨月 200304
寒禽の猛る楽譜に真向へば 熊岡俊子 雨月 200304
寒禽の声の飛礫に渓深し 小西石蕗 円虹 200305
住み慣れて寒禽の名に親しめり 谷上佳那 百鳥 200305
寒禽を聞きて小藪に迷ひけり 朝妻力 雲の峰 200402
寒禽の去りて一樹の残りけり 金子つとむ 雲の峰 200402
教養学部寒禽声を零し過ぐ 伊藤葉 雲の峰 200402
寒禽や山車庫に金の葵紋 金子つとむ 雲の峰 200403
寒禽のこゑのたばしる湖の張り 野口香葉 遠嶺 200404
川風に向き寒禽の総毛立つ 川瀬さとゑ 雲の峰 200404
寒禽の声も洩らさず山暮るる 鈴木實 百鳥 200405
寒禽や膝に焦げある撫で仏 前阪洋子 雲の峰 200502
賑やかや寒禽が木に鈴生りに 大畑善昭 200503
寒禽の生きの証の鋭声かな 隅田恵子 雨月 200504
礫かと思ふ寒禽ぶつからず 真角多賀子 対岸 200504
寒禽や蓋に石据ゑ神の井戸 中條睦子 六花 200504
寒禽や光陰こぼす砦跡 木村倫三 遠嶺 200504
寒禽にちりちり鳴かれみかん挿す 乗光雅子 雨月 200505
寒禽の山を歩いて老いゆくも 市場基巳 200506
寒禽のひらりと翔てり取水口 酒本八重 里着 200506
寒禽の一声のこし隠り沼 浦野里山 200508
寒禽の羽音に余呉湖明け初むる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
一とところ寒禽寄せて川の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
寒禽の羽音を浴びし身の緊り 小田司 馬醉木 200603
寒禽の叫び古墳の揺るるほど 大串章 百鳥 200603
寒禽の杜となりたり水流れ 大竹淑子 風土 200603
寒禽や回廊川のごとく澄み 高橋さえ子 200603
寒禽を待ちて朝餉の卓となり 山田富朗 遠嶺 200604
後園の寒禽しきりなる木の間 松尾緑富 ホトトギス 200606
寒禽のこゑ交叉せり明日も晴 山元志津香 八千草 200607
懐に寒禽をさめ水の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 200612
寒禽の水に慣れたる騒きかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200612
寒禽の声の飛び交ふ雨の中 片山由美子 200702
寒禽の声高かりし聖地なり 岩月優美子 200703
寒禽と対話楽しむ神の杜 中上馥子 春燈 200703
名勝庭園寒禽池に囲ひけり 岩井泉樹 春燈 200703
霧笛橋行くに寒禽飛び立てり 菊池ゆう子 200703
寒禽に呼ばれ呼ばれて森の径 泉田秋硯 200704
寒禽の零るる青菜畑かな 山路紀子 風土 200704
寒禽を双眼鏡に捕へけり 須藤美智子 風土 200704
神籠の寒禽高く鳴き交し 大井彌雨 雨月 200704
高鳴きの寒禽のゐて宮の杜 大井彌雨 雨月 200704
寒禽の声貫ける神の杜 池田倶子 雨月 200704
寒禽や閉ざしてをりし貸ボート 廣畑忠明 火星 200704
寒禽の檻を走り根走り去る 鷹羽狩行 200802
寒禽の鋭声が庵をつらぬけり 小澤克己 遠嶺 200802
寒禽の声尾を引いて森へ消ゆ 笹村政子 六花 200802
寒禽の声の降りくる笠塔婆 村上絢子 馬醉木 200803
寒禽のひとつは鳩よ時計台 大竹淑子 風土 200804
寒禽や堅田湖族の常夜燈 大竹淑子 風土 200804
影ばかり飛ぶ寒禽の木立かな 落合絹代 雨月 200804
寒禽の杜のふところ深く棲む 田所洋子 雨月 200805
寒禽の声高くなる細くなる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200812
寒禽の声はお隣かも知れぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200812
寒禽の夢見の枝をきららにす 鈴鹿仁 京鹿子 200812
影と来て影一点となる寒禽 豊田都峰 京鹿子 200901
寒禽のこゑ眠る子の宙掴む 中田禎子 白猪 200901
楠の実の寒禽に喰ひ散らさるる 山田六甲 六花 200902
寒禽の高し連名工女墓 武田漣 炎環 200903
餌台に来る寒禽の序列かな 安部康子 万象 200903
寒禽に聞き入るかたち獅子の像 村上すみ子 200904
寒禽の瞬時のこゑやそれつきり 河口仁志 200101
寒禽の地を啄みて地へこぼす 菅谷たけし 200101
居つきたる鳩寒禽のかほをせる 井上信子 201002
寒禽のきらきら声をこぼしけり 小倉陶女 春燈 201003
寒禽の影の障子を飛び去りぬ 上野進 春燈 201003
寒禽の声あらたむる神の庭 村上洋子 201003
寒禽と思へばたのし鴉かな 吉弘恭子 あを 201003
寒禽の鳴きて落ちゆく波頭 矢野百合子 201006
寒禽の羽色に見入り忍び足 北川光子 ぐろっけ 201006
寒禽の声しぼり鳴く郭跡 山田春生 万象 201102
寒禽や八畳一間の童心居 山田春生 万象 201102
憑代に満つ寒禽の祝詞かな 土居通子 ろんど 201103
寒禽のことに孔雀の青深む 相良牧人 201104
寒禽の枝うつりして日をこぼす 青山正生 201104
寒禽や同姓多き島の墓 松本三千夫 末黒野 201104
動くもの寒禽のみの社頭かな 村田慶子 末黒野 201104
糞ひとつ残し寒禽翔ちにけり 藤井美晴 やぶれ傘 201105
寒禽の声にビル街縮みゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
寒禽の弧を貫きて歩みけり 和田政子 201203
寒禽の一声沼の昼さがり 成田美代 201203
寒禽の影飛んでゆく荒れ畑 小田嶋野笛 末黒野 201203
寒禽や工事現場の工程表 福本郁子 火星 201204
寒禽の影は地面へ届かざる 笹村政子 六花 201204
寒禽の鋭き声に川淀みなし 佐藤喜仙 かさね 201205
寒禽の声の幅増しマルカート 橋本くに彦 ホトトギス 201205
竹林の闇に寒禽声ひびく 高平タミ 万象選集 201205
寒禽の眼は煌煌と北を向く 松本文一郎 六花 201212
寒禽や想ひ到りしごとく覚む 田中貞雄 自註句集 201301
定番の紅葉天ぷら寒禽来 坂上香菜 201302
御狩場に潜む寒禽発つけはひ 塩路隆子 201303
寒禽の森に命を研ぎ澄ます 前田美恵子 201303
寒禽は風にのりけり越天楽 今澤淑子 火星 201304
寒禽の楠より零れ百度石 森清堯 末黒野 201305
寒禽も詩ふ頼山陽の詩碑 安武晨子 201305
寒禽の太古は陸を歩きおり 東英幸 船団 201306
寒禽の鋭声ひびけり雲巌寺 山田春生 万象 201402
耳鳴りに寒禽の声広がれり 和田政子 201402
寒禽や水甕を干す水天宮 永田圭子 ろんど 201402
寒禽の声の落ちゆく義士の墓 矢野百合子 201403
寒禽の声溢れゐる神の森 瀬戸峰子 春燈 201403
散策の歩を寒禽に囃さるる 山本漾子 雨月 201404
寒禽の群る一木も屋敷林 数長藤代 201404
寒禽の背に姦しくシーツ干す 高村令子 風土 201405
寒禽のこゑ高きより遥かより 天谷翔子 201406
名園に寒禽の声てふ静寂 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
寒禽のひとこゑ墳の深眠り 西村操 雨月 201503
寒禽となり雄鶏の荒々し 宮井知英 201503
寒禽の一声残る森の黙 成田美代 201503
寒禽の鋭声体温計はさみ 楠原幹子 201503
寒禽の目の輝きを糧とせり 田原陽子 201504
寒禽を放つ椿樹のひかりかな 比嘉半升 万象 201504
寒禽の気配いつしゆん海ひらく 比嘉半升 万象 201505
寒禽に児等のソプラノ割って入る 田中たつを 雨月 201603
寒禽の声のしきりと座禅窟 岡田史女 末黒野 201605
寒禽の声寒禽を飛び立たす 稲畑廣太郎 ホトトギス 201612
寒禽の来てはすぐ去る一位の樹 落合裕子 万象 201703
寒禽の紛れし空の青さかな 宮井知英 201704
寒禽や白一色の北近江 久保久子 春燈 201704
寒禽の人影のなき畑に鳴く 鶴岡節子 風土 201704
寒禽のひそみ鳴くなり身じろぎつ 富永小谷 馬醉木 201704
寒禽の餌の欲しさの愛想かな 七郎衛門吉保 あを 201703
間断のなく寒禽の寄る一樹 坂場章子 201705
寒禽のすぐ来る母の仏飯に 松原智津子 万象 201705
寒禽の紫煙の如き息吐けり 落合裕子 万象 201705
寒禽の声の澄みゆく谷戸の朝 大川暉美 末黒野 201705
寒禽や旧家の庭の茶筅塚 加藤静江 末黒野 201802
寒禽の声きらきらと水面刺す 南うみを 風土 201802
寒禽の声の一閃空青し 浅田セツ子 春燈 201803
寒禽の食みこぼす実や真紅 菅野日出子 末黒野 201803
寒禽や水面に声を落しゆき 安斎久革 末黒野 201803
寒禽の空へ大樹の黙通す 鈴鹿呂仁 京鹿子 201803
寒禽の森や白亜のアールデコ 田中たつを 雨月 201803
寒禽の鋭声山気を引き締むる 阪上多恵子 雨月 201804
寒禽の全容みせて枝移る 黒岩武三郎 201804
寒禽の声尖らすは吾を呼べり 武田巨子 春燈 201805
久女忌や玻璃に寒禽弾む影 榊山智恵 末黒野 201805
枝に刺す果実や寒禽今朝も来て 秋山文子 末黒野 201905
寒禽や池に痩せたる杭の数 森清信子 末黒野 201905
寒禽の行方知らずの空のあり 藤生不二男 六花 202003
木椅子三脚寒禽の寄り来たる 谷口摩耶 202003
寒禽の声降りかぶる寺無住 岡田ちた子 雨月 202003
山門不幸寒禽一羽又一羽 足立典子 雨月 202003
寒禽の塒しづもる落暉かな 小田嶋野笛 末黒野 202005
寒禽の影の過ぎたる自裁の間 柴田佐知子 202005
寒禽のこゑ石に撥ね水を刺し 南うみを↓ 風土 202102
寒禽の乾きし音を立てて発つ 中根美保 風土 202102
寒禽の声に脊山の竹撓る 間島あきら 風土 202102
寒禽や椨の木に注連食ひ込めり 田中佐知子 風土 202104
寒禽の声曇天に突き刺さり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202111
寒禽の場末の風に首っ丈 鈴鹿呂仁 京鹿子 202112
寒禽と耳が会話をしてをりぬ 山田六甲 六花 202202
寒禽の声ぴしぴしと父の斧 南うみを 風土 202204
寒禽や硝子のごとき朝の風 小田嶋野笛 末黒野 202205
寒禽や大釜に炊く山のもの 高倉和子 202205
寒禽は孤高なりけり富士遠き 日置瀞魚 202206
寒禽の声のみ通る竹林 岩井京子 202206
寒禽の声東雲を引き寄せて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202212
寒禽の声蒼天を引き裂ける 稲畑廣太郎 ホトトギス 202212

 

2023年1月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。