十二月 5   201句

十二月八日起立する肢が見ゆ   高島茂   暖流

師走 霜月  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
今日十二月八日稿債又一つ 稲畑汀子 ホトトギス 201212
牛丼を食べこぼしけり十二月 細野恵久 ぐろっけ 201212
戦士等は翼をたたみ十二月 木村茂登子 あを 201301
新参の野良猫がゐる十二月 木村茂登子 あを 201301
十二月LEDのごと流星群 斉藤裕子 あを 201301
冬景色の唱歌で体操十二月 仁平則子 201301
それぞれに十二月のドア開けられる 辻香秀 201302
テレビ欄に「終」の並べる十二月 吉田希望 201302
暮れてなほ槌打つ音や十二月 頓所友枝 201302
十二月八日陽落つる音を聴く 千田百里 201302
車中より十字切る子や十二月 竪山道助 風土 201302
美しきもの買ひに出る十二月 すずき巴里 ろんど 201302
十二月大きな旅行鞄干す 大西八洲雄 万象 201302
火伏札貼り替へし闇十二月 大山文子 火星 201302
十二月冷ゆる畳にミサ受けて 山本耀子 火星 201302
草色の馬の糞なり十二月 西村節子 火星 201302
特選の頬に朱の差し十二月 今澤淑子 火星 201302
十二月の航空公園相思鳥 須賀敏子 あを 201302
十二月朝は痛いと呟いて 長崎桂子 あを 201302
少年は尖りて立てり十二月八日 亀井紀子 201302
独り言多き厨や十二月 亀井紀子 201302
絵手紙に託す感謝の十二月 遠田澄子 馬醉木 201303
芯太き赤鉛筆や十二月 藤井彰二 馬醉木 201303
引き売りと橋に行き交ふ十二月 井上淳子 火星 201303
子規の本買うて帰るや十二月 山田春生 万象 201303
十二月八日靴の片減りただならず 宮沢治子 春燈 201303
はてこれは何の行列十二月 矢口笑子 春燈 201303
気忙しきなかの孤独や十二月 赤羽陽子 春燈 201303
京の良さ英語で伝へ十二月 ス丸田信宏 京鹿子 201303
十二月八日ひそやかに聴く挽歌 河内桜人 京鹿子 201303
十二月朝から夫は第九聴く 上村葉子 風土 201303
叡山の尖りきつたる十二月 浅田光代 風土 201303
急かされてひと日短き十二月 上村葉子 風土 201303
歯科の門くぐる決断十二月 田原陽子 201303
悠久の流れ平らに十二月 数長藤代 201303
十二月八日少年老い易く 中山皓雪 201303
地下深き書庫に眠る書十二月 宇都宮敦子 201303
足着かぬ回転木馬十二月 甕秀麿 201303
十二月八日を言ひぬ車椅子 甕秀麿 201303
十二月八日を言ひて疎まるる 森田尚宏 201303
集まればすぐ泡盛の十二月 石脇みはる 201303
失せ物の現れては隠る十二月 熊川暁子 201303
十二月八日生き生き生きて学芸会 吉田克美 ろんど 201303
日本記者クラブ十二月の扉 すずき巴里 ろんど 201303
鳥籠の隅まで陽射し十二月 古井公代 ぐろっけ 201303
忌のはがきポストに一枚十二月 松木アイ ぐろっけ 201303
金婚の報も訃報も十二月 吉田耕人 ぐろっけ 201303
十二月軍手軍足吊す店 小川滋 やぶれ傘 201303
約束を一つ増やして十二月 今橋眞理子 ホトトギス 201304
来年の逢瀬指切り十二月 三枝邦光 ぐろっけ 201304
麩の菓子のふわふわを食べ十二月 坪内稔典 船団 201304
雨の日は雨を聴き入る十二月 白石正躬 やぶれ傘 201304
十二月来し方見るに眼鏡選る 鈴鹿百合子 猫贔屓 201305
十二月十四日とふ冬霞 稲畑汀子 ホトトギス 201312
記具に懸想し居るや十二月 鳥居おさむ ろんど 201312
くつろぎてをり小禽の十二月 井上信子 201401
一刻の重さのなかの十二月 鈴鹿仁 京鹿子 201401
もののこゑものの影ふゆ十二月 鈴鹿仁 京鹿子 201401
平等な時間を使ふ十二月 能村研三 201401
十二月ビルの上には草が生え 佐藤喜孝 あを 201401
十二月何をなさむと生れけむ 神蔵器 風土 201401
十二月八日少女でありし直かりし 井上信子 201401
激励の句誌が届くや十二月 斉藤裕子 あを 201401
鍋磨く平和な暮し十二月 鈴木セツ 201402
三十三回忌追善終へし十二月 長崎桂子 あを 201402
八日来る虚しき記憶十二月 鴨下昭 201402
風呂敷の結び目柔と十二月 前田忍 火星 201402
紫陽花の葉のはらはらと十二月 須賀敏子 あを 201402
分銅を上げて専ら十二月 石坂比呂子 ろんど 201402
米蔵の影分厚くて十二月 工藤義夫 馬醉木 201402
毛氈におでん待ちをり十二月 蘭定かず子 火星 201402
さんかくの蛹に日差し十二月 小林成子 火星 201402
十二月何でも大事にして不便 大畑善昭 201402
十二月闘ふ雲の流れをり 細川洋子 201402
十二月八日ひとに安けき目覚めあり 安立公彦 春燈 201402
十二月八日無人ピアノの鳴つてゐし 千田百里 201402
十二月櫂なき舟は繋がるる 辻美奈子 201402
俎の凹み気になる十二月 和田森早苗 201402
しんしんと青空湛ふ十二月 大木清美子 201402
寄進帳残り少なに十二月 中山純子 万象 201402
十二月忘れられたる土踏まず 頓所友枝 201402
点滴二つ競ひて落ちる十二月 田村すゝむ 風土 201403
雲水と行き会ふことも十二月 高橋照子 雨月 201403
一老の背の筋十二月八日 鎌田悟朗 ろんど 201403
雑念の身の置きどころ十二月 だいじみどり 201403
捨て難き人形の熊十二月 上月智子 末黒野 201403
主の逝く教え子涙十二月 水野弘 ぐろっけ 201403
取りくづす備蓄缶詰十二月 藤沢秀永 201403
手に熱き雑巾しぼる十二月 片山煕子 京鹿子 201403
木の瘤に注連を回して十二月 布施まさ子 風土 201403
目に浸みるイルミネーション十二月 田中淺子 201403
靖国へ急ぐ父の忌十二月 秋友昌子 雨月 201403
十二月かりかり揚がるパンの耳 佐々木紗知 京鹿子 201403
十二月ピザのチーズの伸びにのび きくちきみえ やぶれ傘 201403
十二月海に信号なかりけり 甕秀麿 201403
十二月書肆の閉店挨拶状 足立良雄 201403
格子戸に魔除けのちまき十二月 福本郁子 火星 201403
吹かれ飛ぶ紙の白さや十二月 山田美恵子 火星 201403
靴下の相手見つかる十二月 林田麻裕 201403
千社札隙無く貼らる十二月 池内結 ろんど 201403
窓に寄る自愛ごもりの十二月 北川孝子 京鹿子 201403
故郷は只今の国十二月 柳本渓光 ろんど 201403
駐車場まではみ出す花屋十二月 荒木稔 ぐろっけ 201403
空をゆく犀も鯨も十二月 竹内悦三 201403
孀ぐらしに慣れて華ぐ十二月 井上あき子 ぐろっけ 201403
連山の裾の淡さや十二月 高倉和子 201403
試し刷る版画のかすれ十二月 仙田孝子 風土 201403
闘病の日々となりけり十二月 大橋伊佐子 末黒野 201404
祈願寺へ磴の百段十二月 水田壽子 雨月 201404
十二月寂しいものは筆にぶる 東秋茄子 京鹿子 201404
十二月八日に作る握り飯 松田都青 京鹿子 201404
十二月八日夢道の獄中句 鴨下昭 201404
杼の音に断層潜む十二月 鴨下昭 201404
竹林に竹挽く音の十二月 山本耀子 絵襖 201404
十二月改札口に始まれり 藤井啓子 ホトトギス 201405
十二月八日うつすらと覚えてゐる 竹内弘子 あを 201405
十二月烏啼かぬをいぶかしむ 佐藤喜孝 あを 201412
風の色日の色重し十二月 吉弘恭子 あを 201412
職人のかたき笑ひの十二月 吉弘恭子 あを 201412
吊革にもろ手縋りの十二月 堀内一郎 堀内一郎集 201412
落語家の掃除講釈十二月 甲州千草 201501
複雑なビルの足場や十二月 成宮紀代子 201501
十二月みがききつたる厨かな 鈴木セツ 201501
古着屋の匂ひにゐたり十二月 山尾玉藻 火星 201501
真夜中の電話おぞまし十二月 谷口俊郎 201502
なす事の渦巻く今朝や十二月 山口キミコ 201502
煮魚の身のほろほろと十二月 森下康子 201502
白波の忙しき湖や十二月 中川すみ子 201502
十二月珈琲豆を粗挽きに 大川ゆかり 201502
十二月二十五日や聖歌あふれ 神蔵器 風土 201502
効く薬治るくすりや十二月 西村雪園 風土 201502
饂飩屋に四角い椅子や十二月 あさなが捷 201502
廃業の知らせも訃報十二月 鈴木セツ 201502
石段の欠けのあきらか十二月 中山静枝 201502
残る薔薇病む間に活けて十二月 塩千恵子 201502
捨てるもの山ほど積みて十二月 塩千恵子 201502
太鼓打つ構へ大きく十二月 高倉和子 201503
脚ひらく幕僚会議十二月 柴田佐知子 201503
降圧剤一錠増えし十二月 池田加代子 風土 201503
その中に動かぬ予定十二月 井口ふみ緒 風土 201503
電飾の街に疲れし十二月 鈴木庸子 風土 201503
踏台に乗つては降りる十二月 田村すゝむ 風土 201503
路線バスゆつくり走る十二月 小林輝子 風土 201503
兜煮の目玉ころがる十二月 佐々木紗知 京鹿子 201503
風神の閉ぢ紐ゆるむ十二月 丸井巴水 京鹿子 201503
十二月匣を開けば海の音 宇都宮敦子 201503
橋の影細く揺れをり十二月 高田令子 201503
逆回りする十二月のアトリウム 笹村惠美子 201503
とろとろと炊くもの多し十二月 中林晴雄 201503
無量寿仏ほほえみ給へ十二月 高野昌代 201503
ゴスペルにこころ痺れる十二月 岩月優美子 201503
夫の忌師の忌義妹の忌十二月 中島讃良 ろんど 201503
鍼灸に心身委ね十二月 佐瀬晶子 ろんど 201503
十二月空は広々窓を拭く 岡崎春菜 万象 201503
十二月八日の空の碧さかな 石田きよし 201503
神妙に採血の腕十二月 安斎久英 末黒野 201503
喪の葉書出すも貰ふも十二月 土田亮 末黒野 201503
おもちゃ屋は子らの楽園十二月 三川美代子 201503
黒ずめる潮紋十二月八日 荒井千佐代 201503
十二月地球の異変芝青青 水谷直子 京鹿子 201504
魚屋の鱗まみれや十二月 樋口みのぶ 201504
十二月八日と師走の十四日 遠藤逍遙子 風土 201504
ヒトに影ウマにはしっぽ十二月 坪内稔典 船団 201505
十二月八日あんパン半分こ 坪内稔典 船団 201505
夕刊のあと雨あがる十二月 小松ひろし 風土 201505
十二月妻の包丁研ぎて置く 小松ひろし 風土 201505
十二月きつねうどんの骨っぷし 中原幸子 船団 201508
日のいろの白きをあふぐ十二月 大崎紀夫 虻の昼 201510
十二月どぶから湯気が立つてゐる 原田達夫 箱火鉢 201511
シユレッダーに刻む秘密や十二月 川崎真樹子 春燈 201602
包装紙色華やぎて十二月 高橋まき子 風土 201602
青藍や濁りなき世の十二月 瀬川公馨 201602
大洗にさかな食ふ旅十二月 内海良太 万象 201602
十二月駈足に来る誕生日 佐藤淑子 雨月 201602
ビートルズ聴きゐて十二月八日 山田天 雨月 201602
十二月八日と思ふ晝すぎに 佐藤喜孝 あを 201602
十二月混む仲見世の善哉屋 田中藤穂 あを 201602
レジの人選んで並ぶ十二月 須賀敏子 あを 201602
十二月八日の朝やパン焦す 島田尚子 馬醉木 201603
十二月声嗄るるまで第九の灯 鴨下昭 201603
獺祭のごとき机上や十二月 和田政子 201603
銭洗ふ人を見てゐる十二月 菊川俊朗 201603
柿捥ぎしあとの青空十二月 森礼子 雨月 201603
納戸なき部屋に住みゐて十二月 高倉和子 201603
十二月ピエロは涙して笑ふ 風間史子 201603
川音に沿へば旅めく十二月 田村園子 201603
十二月八日の空のあけらかん 石田きよし 201603
十二月手錠のやうな腕時計 中山皓雪 201603
十二月気持ばかりが先走り 小林共代 風土 201603
一つ押す訂正印や十二月 鈴木庸子 風土 201603
マナーモードに着信多き十二月 土井ゆう子 風土 201603
門出でてすぐに躓く十二月 土井ゆう子 風土 201603
七十路へ一歩踏み出す十二月 上村葉子 風土 201603
直向きな金色毛虫十二月 辻響子 201603
十二月の顔にハローと挨拶を のざきまみこ 201603
電飾のトナカイ走る十二月 青木由芙 末黒野 201603
電飾の樹木痛まし十二月 伊藤由良 末黒野 201603
貼紙の猫の家出や十二月 松本文一郎 六花 201603
十二月石釜にピザふくらみて 青谷小枝 やぶれ傘 201604
うつせみのまなこ滔々と十二月 井上菜摘子 京鹿子 201604
十二月ゴム毬波を弾まする 井上和子 201606
十二月→ 6      

 

2020年12月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。