十二月 3    194句

十二月どうするどうする甘納豆    坪内稔典

師走 霜月  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
オニバスに日の溜りゐる十二月 山尾玉藻 火星 200712
教へ子も傘寿とぞ聞く十二月 林翔 馬醉木 200801
北風の尖りて十二月八日 奈辺慶子 雨月 200801
たましひに薄着をさせる十二月 伊藤白潮 200801
「欠礼」の葉書や重し十二月 達山丁字 200802
ボタンかけ白衣の急ぐ十二月 四條進 200802
指揮棒に声をあつめて十二月 横田初美 春燈 200802
ぽつかりと洩れし一日や十二月 代田青鳥 風土 200802
十二月号峰打ちに似し誤植 大畑善昭 200802
見とほせる画廊の奥や十二月 辻直美 200802
まな板になる木ならぬ木十二月 藤原はる美 200802
ぬるぬるはぬるぬるを生み十二月 佐藤喜孝 あを 200802
ゐのししのうしろは淋し十二月 木村茂登子 あを 200802
たたら踏み尻餅をつく十二月 芝尚子 あを 200802
山歩きながら十二月八日暮れ 須賀敏子 あを 200802
昭和一桁話題の尽きぬ十二月 秋場貞枝 春燈 200803
先生のひげのび放題十二月 藤井圀彦 200803
空濠に日差しの届く十二月 生田作 風土 200803
十二月追はれどほしのおのが影 舩越美喜 京鹿子 200803
十二月日干しの畳叩きをり 大西八洲雄 万象 200803
ひたひたと何かつきくる十二月 近藤紀子 200803
八十の同級生逝く十二月 赤松丹山 雨月 200803
捨てかぬる小箱嵩なす十二月 詫摩まつ子 200803
嗽ひにも抑揚のつく十二月 中村恭子 200803
洗顔は高野の水よ十二月 山崎靖子 200803
レシートの膨らむ財布十二月 加藤峰子 200803
境内にござれ市立つ十二月 嶋木勝次郎 遠嶺 200803
十二月ソウルの猫の黒と白 坪内稔典 船団 200803
橋の上に鯰見てゐる十二月 丸山照子 火星 200803
ギヤマンの皿に塵泛く十二月 浜口高子 火星 200803
山陵の四方に定まる十二月 戸栗末廣 火星 200803
堀割へ水ころげ出づ十二月 前田忍 火星 200803
大いなる日の出を見たる十二月 浮田胤子 ぐろっけ 200803
布団屋に綿の荷届く十二月 西山美枝子 酸漿 200803
十二月苔青々と寺の庭 渡邉紅華 酸漿 200803
上りきて異国の花野十二月 中村輝子 酸漿 200803
また曲る佃の路地の十二月 藤井昌治 200803
ビル陰の小店湯気吐く十二月 坪井洋子 200803
山の日のありあり沈む十二月 宮尾直美 200803
駅前の古本まつり十二月 志立佐知子 200803
ブレーキの音尖りたる十二月 藤原はる美 200803
西海の大渦小渦十二月 七種年男 200803
鋳物屋の大鍋小鍋十二月 松嶋民子 200804
千の風に友また一人十二月 岡谷栄子 200804
十二月なれど熱海に吾の花壇 嶋田摩耶子 ホトトギス 200804
十二月八日鳴り出す古時計 田村善伴 万象 200804
フラダンス稽古休まず十二月 田村善伴 万象 200804
堀の水高鳴り走る十二月 中原吟子 雨月 200804
十二月豆腐屋の走る飲屋街 川合まさお ぐろっけ 200804
十二月二十五日の丸い月 倉持梨恵 200804
十二月局部麻酔に呻きけり 宮崎高根 200804
管八本身体に纏ひ十二月 宮崎高根 200804
十二月物ひと通り動かしぬ 松本文一郎 六花 200804
畳屋に猫の寛ぐ十二月 金子慶子 遠嶺 200804
十二月脇のほころびいつのまに 坪内稔典 稔典句集 200804
大木に傷痕無数十二月 坪内稔典 稔典句集 200804
ぽかぽかの十二月にて奴死んだ 坪内稔典 稔典句集 200804
先輩になまこたまわる十二月 坪内稔典 稔典句集 200804
どの路地も海に通じて十二月 坪内稔典 稔典句集 200804
ぶつかって離れて河馬の十二月 坪内稔典 稔典句集 200804
セーターの草色選び十二月 坪内稔典 稔典句集 200804
人間は何故穴を掘る十二月 火箱游歩 船団 200806
南大門ナムデムン市場なんでも十二月 火箱游歩 船団 200806
蟷螂は念仏のいろ十二月 宮崎すみ 神々の交信 200808
しら鳥の白で無き箇所十二月 佐藤喜孝 あを 200809
青空にななかまどの実十二月 山尾玉藻 火星 200812
十二月壁の暦がひいらひら 渡部磐空 200901
一葉の頭痛親しき十二月 浅田光代 風土 200901
菩提寺よりの御幣新し十二月 谷榮子 雨月 200901
花豆に差し水しつつ十二月 安部里子 あを 200901
大封筒届きてどきり十二月 鈴木照子 200902
小走りに姉さん女房十二月 和田森早苗 200902
かいがねや忘れ潮ある十二月 栗栖恵通子 200902
みづうみの水の音なり十二月 大島翠木 200902
一筆啓上机の辺り十二月 雨村敏子 200902
家族てふ不思議な縁十二月 布川直幸 200902
易断に運勢を買ふ十二月 布川直幸 200902
少年のまま兄逝けり十二月 鈴木阿久 200902
太柱磨く僧ゐて十二月 黒澤登美枝 200902
十二月マーチのやうに刻過ぎて 米山喜久子 200902
藁ロール田にころがつて十二月 穐好樹菟男 馬醉木 200902
十二月骨の障子が干されあり 外川玲子 風土 200902
唐辛子ふた袋買ふ十二月 石寒太 炎環 200902
ローン果つ平成二十年十二月 内田玉G 炎環 200902
鰐の歯のばらばらに生え十二月 吉田悦花 炎環 200902
開いては閉ぢる瞼や十二月 三輪初子 炎環 200902
外し置く時計の振り子十二月 大畠響 炎環 200902
十二月母の指輪のちやうどよし 常盤優 炎環 200902
散る紅葉米びつ晒す十二月 中山純子 万象 200902
魚河岸の声は尖りて十二月 柴田佐知子 200902
酒蔵の階の中減り十二月 杉浦典子 火星 200902
古道具の間に顔や十二月 浜口高子 火星 200902
養命酒空つぽのまま十二月 木野本加寿江 火星 200902
壁布の大いなるしみ十二月 木野本加寿江 火星 200902
アンケートに一筆そぞろ十二月 丸山佳子 京鹿子 200902
十二月八日は尖る喉仏 丸井巴水 京鹿子 200902
十二月起きてみる夢ただひとつ 吉弘恭子 あを 200902
日めくりは八月十日十二月 芝尚子 あを 200902
大欅ほとり明るし十二月 富田志げ子 酸漿 200902
空高くビルの骨組み十二月 大崎紀夫 やぶれ傘 200902
讃美歌も街騒も好き十二月 三川美代子 200903
亡き母の文の色褪せ十二月 田中浅子 200903
信号待つ向うの顔も十二月 米山のり子 馬醉木 200903
歌垣の山の音きく十二月 水野恒彦 200903
茶柱にほつと息ぬく十二月 中野京子 200903
バロツクとロココの競ふ十二月 岩月優美子 200903
試し斬り勧むる研師十二月 小山百合子 遠嶺 200903
飾窓の天使笛吹く十二月 山口紹子 炎環 200903
夫婦連れの庭師来てゐる十二月 鈴木とおる 風土 200903
十二月高僧の筆「変」一字 門伝史会 風土 200903
畳屋に青き香りや十二月 山路紀子 風土 200903
父亡くて十二月過ぐ早さかな 安永圭子 風土 200903
身の内に鋼三片十二月 竪山道助 風土 200903
釘を抜く音の曲りて十二月 根岸善行 風土 200903
十二月八日雨垂れ打ちにけり 根岸善行 風土 200903
自分のもの買はぬつれあひ十二月 遠藤逍遙子 風土 200903
被爆大樹いよよ傾き十二月 水田壽子 雨月 200903
軒並に電飾増ゆる十二月 高橋みつ 200903
十二月八日の父へ電話せる 石田きよし 200903
濁世に黒豆浸す十二月 森さち子 200903
十二月花屋の赤のあわただし 吉川隆 春燈 200903
逆波の遊ぶ舟屋の十二月 深澤鱶 火星 200903
壁重き蔵の窓開け十二月 村田とくみ ぐろっけ 200903
御神籤にご利益期限十二月 七種年男 200903
味噌樽を積みし威容や十二月 阿部ひろし 酸漿 200903
岬打つ安乗怒濤も十二月 小山漂葉 酸漿 200903
蝋梅の蕾息づく十二月 青木陽子 酸漿 200903
アイロンを蘭に向け置く十二月 吉成美代子 あを 200903
山国に山がこぞりて十二月 柴田佐知子 200903
磨かれし柱の艶も十二月 愛甲厚子 200904
木星金星三日月揃ひ十二月 中島知恵子 雨月 200904
南天の実も葉も赤し十二月 鈴木幾子 酸漿 200905
十二月つねに用なきものに用 丸山佳子 京鹿子 200912
火を焚けば父母の集まる十二月 神蔵器 風土 201002
一水の一瞬光る十二月 藤澤陽子 201002
年金便相談多し十二月 佐藤健伍 201002
申告書「寡婦」に丸つけ十二月 鈴木セツ 201002
江ノ電の小さな窓や十二月 緒方佳子 火星 201002
矮鶏小屋にビニール張りて十二月 島崎勇作 酸奬 201002
蝋梅の一輪咲けり十二月 島崎勇作 酸奬 201002
蒼天に藤の実掲げ十二月 阿部悦子 酸奬 201002
ロボットもをどる世となり十二月 芝尚子 あを 201002
十二月ロボット力士はっけよい 藤野寿子 あを 201002
絨緞の柄につまづき十二月 芝尚子 あを 201002
十二月八日花屋に並ぶ人 赤座典子 あを 201002
辻褄をあはせて暮らす十二月 森山のりこ あを 201002
ショーウィンドウ破られてゐる十二月 篠田純子 あを 201002
公園の遊具退屈十二月 村上絢子(大分) 馬醉木 201003
十二月八日問はず語りの遠き日よ 北川孝子 京鹿子 201003
こんなにも強き光や十二月 松原仲子 201003
天平の満月出でし十二月 山根征子 201003
右向いて左日本の十二月 柳川晋 201003
冬らしくなくて暦は十二月 泉田秋硯 201003
駐車せる場所忘じけり十二月 田中敬 201003
腰強き竹箒選る十二月 久染康子 201003
電線に風の哭き癖十二月 柴田良二 雨月 201003
恵那の山笠雲かぶり十二月 奥村真人 雨月 201003
文机に本積みしまま十二月 斉藤雅子 末黒野 201003
単純な手帖を選び十二月 山崎靖子 201003
海老蔵の愛の行方や十二月 すずき巴里 ろんど 201003
糠床に仔細漬け込む十二月 金田けいし ろんど 201003
包丁の音まで忙し十二月 川井秀夫 ろんど 201003
銅鏡のみどり全し十二月 柴田佐知子 201003
材木市場みな材木や十二月 荒井千佐代 201003
電波時計受信の確と十二月 服部早苗 201003
亡妻宛に郵便の来る十二月 田村すゝむ 風土 201003
十二月地下鉄にチェロ運び入れ 瀬戸悠 風土 201003
うかうかと駐車違反を十二月 代田青鳥 風土 201003
一力の赤の漆喰十二月 西村雪園 風土 201003
十二月のまん中にある五里の塔 浅田光代 風土 201003
十二月八日の山を灯の過る 戸栗末廣 火星 201003
陸橋や動物園の十二月 深澤鱶 火星 201003
なにがしの寄付を母校へ十二月 伊東湘三 春燈 201003
真宗の誦経声高十二月 生方義紹 春燈 201003
干し竿の零ドレミファ十二月 沼田桂子 春燈 201003
「切絵図」で江戸を辿りし十二月 佐田昭子 ぐろっけ 201003
咲き初めし金魚椿よ十二月 網野茂子 酸漿 201003
身辺りをほつほつ片す十二月 飯田角子 酸漿 201003
堂前の知恵の水汲む十二月 石井邦子 酸漿 201003
老幹の松に朝光十二月 今井松子 遠嶺 201004
電柱でカラスの喧嘩十二月 白石正躬 やぶれ傘 201004
禅林に薪割る音や十二月 國保八江 やぶれ傘 201004
十二月鉢に植ゑきし赤き花 松田明子 201004
潮木焚く煙の重き十二月 吉村摂護 201004
十二月八日MRI検査に身を委ね 北村香朗 京鹿子 201004
男とは死ぬまで道化十二月 松田都青 京鹿子 201004
智恵の水口にふふむや十二月 川島澄子 酸漿 201004
青空や地球丸ごと十二月 橋本くに彦 ホトトギス 201005
星空と遊ぶいとまも十二月 山田弘子 ホトトギス 201005
少し泣き少し笑つて十二月 今井肖子 ホトトギス 201005
年金の窓口の混む十二月 谷渡末枝 万象 201005
目の失せし魚は深きに十二月 柴田佐知子 201005
蝋細工の仏飯洗う十二月 衣斐ちづ子 201007
水ぎはの一所日当たる十二月 間島あきら 風土 201011

十二月→ 4

     

 

2021年12月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。