沈 丁 3     100句

沈丁や気おくれしつつ案内乞ふ   星野立子

沈丁  丁字 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
沈丁花の赤き蕾や路地晴れて
廣瀬雅男
やぶれ傘
201102
雨に香を閉ざすことなく沈丁花
稲畑汀子
ホトトギス
201104
沈丁や領主の墓碑に辞世の句
落合晃
201105
沈丁へ暫し佇む白き杖
落合晃
201105
庭石のこぼれ沈丁香の強し
杉本綾
201105
沈丁の辻を左へ三軒目
鈴木とおる
風土
201105
集客の一つ二つと沈丁咲く
伊藤希眸
京鹿子
201105
天災の恐怖沈丁の香をきかず
四條進
201105
遠き地震知る由もなし沈丁花
小松渓水
酸漿
201105
沈丁花に守つてもらふ母の墓
鈴木榮子
繭玉
201105
沈丁の香のたかぶる日子に逢ひに
成瀬櫻桃子
櫻桃子選集
201105
沈丁花相合傘に肩濡らす
斉藤裕子
あを
201105
沈丁や豆煮て心落ち着かせ
須賀敏子
あを
201105
沈丁の蕾びっしり立ち止る
芝尚子
あを
201105
沈丁に声かける人出勤時
竹内悦子
201106
沈丁や闇に色ある祇園路地
児玉寛幸
馬醉木
201106
強運を信じたき日の沈丁花
高田令子
201106
住職に無沙汰を詑びぬ沈丁花
小川玉泉
末黒野
201106
雨霧らふ夜は沈丁の香の高き
隅田恵子
雨月
201106
地震やまぬ夜や沈丁の香の淀
中田のぶ子
ろんど
201106
下町の路地巡り来て沈丁花
青木政江
酸漿
201106
沈丁の香と玉砂利を踏む音と
荒井千佐代
201107
心身の震ふ日夜や沈丁花
田中臥石
末黒野
201107
路地も奥沈丁花の香にさそはれて
細川コマヱ
雨月
201107
沈丁の香に迎へられ夜の深む
安藤久美子
やぶれ傘
201108
遺影にも照る日曇る日沈丁花
コ田千鶴子
花の翼
201111
沈丁花恋知り初めし色香かな 茂木なつ 春燈 201204
沈丁花かたき花芽の目立ちをる 本郷宗祥 かさね 201205
裏の戸を開け沈丁の香を入れぬ 岡野安雅 かさね 201205
沈丁花十字切るかに咲き初むる 山田夏子 雨月 201205
母の字なき母恋の歌沈丁花 山田夏子 雨月 201205
沈丁の蕾解きて香を散らす 大泉美千代 雨月 201205
沈丁花わが家訪ねず帰りきし 堀内一郎 あを 201205
沈丁花匂ふ垣ごし立話 川井素山 かさね 201206
鏡台や母の好みし沈丁花 岡野安雅 かさね 201206
息深く吸へり何処かに沈丁花 荒井千瑳子 201206
沈丁の弾けそめたるざんざ降り 森田尚宏 201205
沈丁花クローゼットを開け放つ 宮崎高根 201205
沈丁の闇に手探る鍵の穴 野口喜久子 ぐろっけ 201206
病臥せる母目を開けぬ沈丁花 藤原冬人 火星 201206
腹からの声を噤みて沈丁花 田中貞雄 ろんど 201206
沈丁のこぞる蕾の匂ひかな 塚越弥栄子 末黒野 201206
沈丁花門毎の香や雨の夜 田島昭久 かさね 201207
深酔ひの帰宅の道の沈丁花 橋本修平 かさね 201207
告げざりし事や沈丁強き香に 大島翠木 201207
沈丁花今宵もぶらり六千歩 林哲夫 ぐろっけ 201207
日や月や沈丁露地を咲かせゐる 伊藤希眸 京鹿子 201207
沈丁の香が昇りつめ月の暈 鳥居おさむ 鳥居おさむの、背骨。 201207
沈丁花昨日と違ふ今日の風 川上久美 ろんど 201207
沈丁花窓打つ雨の横なぐり 吉田きみえ 末黒野 201207
車椅子用のスロープ沈丁花 飯塚ゑ子 火星 201208
讃美歌に沈丁の嘴揃ふべし 田中貞雄 ろんど 201302
夕闇を誘ふばかり沈丁花 神田恵琳 跫音 201303
沈丁の目覚めうながせ夜の風 山田六甲 六花 201303
沈丁の香と潮の香の混じりたる 荒井千佐代 201304
沈丁花つぶやくやうに蕾みたる 戸栗末廣 201304
沈丁の匂ふ仏や派手好み 大場光よし 風土 201305
真夜中も乱舞止まざる沈丁花 黒澤登美枝 201305
沈丁の挿し木に蕾友逝きぬ 早崎泰江 あを 201305
しなやかな雨の吾が町沈丁花 井上石動 あを 201305
ここの子も嫁ぎしらしや沈丁花 山本孝夫 201306
身の奥の毒ぬけてゆく沈丁花 近藤喜子 201306
沈丁の香のほのぼのと朝日影 加藤八重子 末黒野 201306
黄昏に解れ初めたる沈丁花 堀田恵美子 雨月 201306
抜け道を来て沈丁花の香に迷ふ 平居澪子 六花 201306
この先は行き止まりとや沈丁花 久世孝雄 やぶれ傘 201306
沈丁の香りて人を待つ日なり コ田千鶴子 馬醉木 201402
居残りの夜の白雲沈丁花 井上石動 あを 201403
沈丁花朝寝朝風呂朝ワイン 平井奇散人 船団 201403
その辺に零せし香あり沈丁花 稲畑汀子 ホトトギス 201404
雨に香を秘めてをりしや沈丁花 稲畑汀子 ホトトギス 201404
朝はまだ秘めてゐし香の沈丁花 稲畑汀子 ホトトギス 201404
沈丁の香に空降りて来りけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
ベル押して君のこゑ待つ沈丁花 中田みなみ 201405
咲き初めの傷みなき白沈丁花 斉藤裕子 あを 201405
辻守る神はつつまし沈丁花 柴田佐知子 201405
煩悩を絡めて行きし沈丁花 柳本渓光 ろんど 201406
沈丁の香り纏ひし過客かな 岩月優美子 201406
沈丁花悟りの門の細く開き 平松うさぎ 201406
沈丁花葬の出入りに香りけり 波田美智子 火星 201406
沈丁花離れてよりの深呼吸 柴田久子 風土 201406
ともがらの尽きぬ挽歌や沈丁花 加藤峰子 201407
沈丁の香の流れ来る土均し 福永みち子 馬醉木 201407
沈丁や水木邸への角いくつ 秋山ユキ子 201407
喪の家のこまごま咲きぬ沈丁花 松田泰子 末黒野 201408
沈丁花一行書くや一行消ゆ 堀内一郎 堀内一郎集 201412
沈丁の香に万物の動かざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
沈丁の香りは過去を閉ぢ込めて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
山里の地を這ふ雲や沈丁花 森田利和 201504
はやともる玄関灯や沈丁花 吉村さよ子 春燈 201505
沈丁花夜の団地に迷ひをり 天谷翔子 201505
暮れ方の雨は細しや沈丁花 井上石動 あを 201505
沈丁花紅のつぼみをふくらます 松村光典 やぶれ傘 201506
校門を帰る一人や沈丁花 江見悦子 万象 201506
沈丁のそぞろ歩きに香を引けり 大坪あきら 万象 201506
沈丁花の匂ふ夜風となりにけり 宮本加津代 万象 201506
沈丁は誕生花吾も香らばや 及川照子 末黒野 201506
点滴に酒含ませよ沈丁花 荒木甫 201506
沈丁の香を着て講義流暢に 湯橋喜美 201506
沈丁花身より出でたる母の声 青木朋子 201506
沈丁花身より出でたる母の声 青木朋子 201506
沈丁花に社の神の眠りをり 安野眞澄 201507
寺町の辻暮れのこる沈丁花 石川倜子 馬醉木 201507
沈丁のつぼみながらに匂ひけり 松田泰子 末黒野 201507
沈丁や古民家カフエの赤ワイン 高島正比古 京鹿子 201508
何気なく通りし路の沈丁花 江口九星 201508
沈丁の香の誘ないし幼き日 渡辺節子 201508
日ざしより闇を匂ひて沈丁花 今橋眞理子 ホトトギス 201509
沈丁の香は迷はずにやつて来る 湖東紀子 ホトトギス 201509
瞑れば山河濃くなる沈丁花 永峰久比古 馬醉木 201604
沈丁や佛いぢりに明け暮れて 山田六甲 六花 201604
ゆふぐれに少し止む風沈丁花 大川ゆかり 201605
沈丁のほど良き距離に風と会ふ 坂本徹 201605
忌日近し沈丁しかとふふみ初め 服部早苗 201605
沈丁に佇つや北方領土の日 岡田史女 末黒野 201605
骨納むほの泣く声や沈丁花 藤丸誠旨 春燈 201605
朝四ツに小窓をあけし沈丁花 庄司久美子 201605
雨催ひ沈丁の香に灯の点る 今井妙子 雨月 201605
香の甘し逢魔が時の沈丁花 高木邦雄 末黒野 201606
沈丁 →4      

 

2022年3月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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