沈 丁 2     148句

沈丁や夜でなければ逢へぬひと    五所平之助

沈丁  丁字 

作品
作者
掲載誌
掲載年月
歩み来て沈丁の香に足とむる
岡村容子
築港
200306
沈丁の香に合掌と文結ぶ
出口賀律子
雨月
200306
沈丁花会ひたくて入る細き道
長崎桂子
あを
200306
沈丁の匂へり雲の底びかり
鳴海清美
六花
200307
沈丁の香に躓ける思ひかな
加藤あけみ
円虹
200307
押し寄せて来る夕闇や沈丁花
加藤あけみ
円虹
200307
夕刊の声の若さや沈丁花
林友次郎
遠嶺
200307
人込みを避けて抜け道沈丁花
木村冨美子
遠嶺
200307
沈丁花見逃さず招く煙だし
吉弘恭子
あを
200307
沈丁の闇に止まりし男下駄
荒井千佐代
200307
沈丁花無言の列に加はりぬ
滝本香世
百鳥
200307
沈丁花父は無口を通し逝く
苑実耶
200308
沈丁や吾子と恋愛論交す
松本きみ枝
遠嶺
200308
沈丁の香をまとひゐるシルバーカー
野村智恵子
八千草
200309
花終へしときは知られず沈丁花
稲畑汀子
ホトトギス
200404
沈丁花香の無き花とならびをり
赤座典子
あを
200404
沈丁花ブロック塀のあちら側
須賀敏子
あを
200404
大誤植して心地よき沈丁花
山田六甲
六花
200404
沈丁香日々好日に日々新た
安西静
帆船
200404
沈丁は通学鞄置くところ
岡本眸
200404
沈丁の香にあり闇になじみをり
岡淑子
雨月
200405
沈丁や絵踏のありし町の雨
木村てる代
雲の峰
200405
沈丁に庭の砂利石濡れてをり
木野本加寿江
火星
200405
二冊目の看取りのノート沈丁花
久保田妙
百鳥
200405
のんぼりを晒す川の辺沈丁花
土川照恵
栴檀
200405
沈丁花蔵戸ぶ厚く開きたる
斉藤利枝子
対岸
200406
沈丁の一花一花に雨滴
荻野みゆき
対岸
200406
袖ふれて沈丁の香の乱れけり
村重香霞
200406
庭雀流るゝ読経沈丁花
西村咲子
六花
200406
ヨハネ五島に浜沈丁の香は昇る
福永みち子
馬醉木
200406
沈丁の香につきあたる露地の闇
前田青紀
馬醉木
200406
磯びらき浜沈丁のひそと咲く
内藤順子
酸漿
200406
沈丁の花咲く家に退院す
阿久沢きく子
草の花
200406
沈丁に仕掛けてありし睡魔かな
早乙女信
対岸
200406
その香とぞ目凝らすも闇沈丁花
木村風師
馬醉木
200407
沈丁花多忙を老の生き甲斐に
橘澄男
山景
200408
わが家より他の沈丁たくましく
堀内一郎
あを
200502
沈丁や廊下の木目美しき
滝沢伊代次
万象
200503
沈丁の香りに母を諭しをり
城孝子
火星
200504
百年の孤独の耳よ沈丁花
山田六甲
六花
200504
梅の香と沈丁の香のはざまかな
高橋将夫
200505
妻癒ゆる日の待たれをり沈丁花
徳田正樹
河鹿
200505
ひと日ごと蕾ふくらむ沈丁花
田辺哲子
帆船
200505
納税期終へ沈丁花みな開く
松崎鉄之介
200505
腓もて沈丁の闇ぬけにけり
山尾玉藻
火星
200505
沈丁の寒きに咲くも香は立たず
平田公彦
200505
沈丁花江戸をさしたる標石
木内徴子
万象
200505
息大きく吸ひ込みし道沈丁花
斉藤裕子
あを
200505
ネオンの灯逃れてよりの沈丁花
淵脇護
河鹿
200506
沈丁花ふと立ち止る漢ゐて
島元文
遠嶺
200506
断腸亭日乗閉づる沈丁花
荒木甫
200506
沈丁花嫌ひと言うて微笑めり
波田美智子
火星
200506
沈丁花おもき扉の控へ室
藤井智恵子
百鳥
200506
沈丁やすぐに集まる姉妹
若本彰子
酸漿
200506
雲外をゆきつもどりつ沈丁花
吉弘恭子
あを
200506
沈丁花猫から貰ふ生欠伸
吉弘恭子
あを
200506
湯浴み後の沈丁の香や叙勲の日
沼口蓬風
河鹿
200507
陰日向なく沈丁の香りけり
磯崎清
200507
この辺り曲りし記憶沈丁花
佐藤弥生
200507
沈丁や風とはならぬ気のうごき
島谷征良
風土
200507
沈丁花雨後の匂ひのなほ強し
福田千代子
築港
200507
沈丁花万の蕾のしづかなる
福田千代子
築港
200507
沈丁の香の澱みゐて雨近し
森脇貞子
雨月
200507
衣擦れの音の密かに沈丁花
ことり
六花
200507
沈丁の香年々に通学路
小林むつみ
200507
沈丁や友の背の闇夕闇へ
鈴木国子
200507
沈丁や歩み返せば風移り
十文字慶子
200507
五分搗きの米のとぎ汁沈丁花
伊嶋淡々
200508
暗がりに涙を溜めて沈丁花
あさなが捷
200508
まちがへし雨の道なり沈丁花
永利枕郷
河鹿
200509
意に添はぬことはせぬなり沈丁花
あさなが捷
200511
沈丁花その存在を闇に置く
稲畑汀子
ホトトギス
200604
まづ白が香りをたてり沈丁花
鎌倉喜久恵
あを
200605
昨日一分今日は五分咲き沈丁花
中上照代
火星
200605
子の恋は見守るばかり沈丁花
苑実耶
200605
住む人の変るふるさと沈丁花
松元末則
酸漿
200605
戦場になき香りとも沈丁花
松村多美
四葩
200605
沈丁や居留地跡の空狭し
高畠陽子
河鹿
200605
沈丁花戻つてみたき胎内期
木寺仙游
四葩
200605
廃校のへのへのもへじ沈丁花
安部里子
あを
200605
薬局のそばの沈丁ひらき初む
中上照代
火星
200605
隣人の吾より眠く沈丁花
秋岡朝子
200605
揉みほぐす母の十指や沈丁花
窪田粧子
馬醉木
200605
ゆるやかに闇の動きぬ沈丁花
徳永亜希
馬醉木
200606
下駄好きの友の庭なり沈丁花
梅田秀子
酸漿
200606
青い夜の風におきある沈丁花
中野京子
200606
沈丁の匂を生けて一呼吸
伊藤セキ
酸漿
200606
沈丁花井戸の深さに吸はれそう
犬塚芳子
200606
沈丁花道に匂へば吾が家にも
瀧春一
常念
200606
沈丁匂へば蔭の女で生きる幸
瀧春一
瓦礫
200606
沈丁の香りかきたて家壊す
水上貞子
ぐろっけ
200607
沈丁花星の光に触るるとき
金澤明子
火星
200607
突風をやりすごすかに沈丁花
浅井よしみ
八千草
200609
吠える犬宥めていたり沈丁花
物江晴子
八千草
200610
沈丁の香りいや増す日の入りは
高崎武義
200702
沈丁花旅の正座のよかりけり
佐々木幸
200702
香をほどくよりの存在沈丁花
稲畑汀子
ホトトギス
200704
沈丁花香のほどけゐし旅帰り
稲畑汀子
ホトトギス
200704
沈丁花掃き寄せられし金平糖
池崎るり子
六花
200704
路地籠り沈丁ごもりつづく雨
工藤義夫
馬醉木
200705
沈丁花蕾濃くして天を差し
澤浦緑
ぐろっけ
200705
宿直の挨拶笑顔沈丁花
松下幸恵
六花
200705
初七日の窓を開けたり沈丁花
佐野和子
万象
200706
万太郎句碑を尋めゆく径の沈丁花
鈴木榮子
春燈
200706
沈丁の闇にささくれ立ちし声
高橋澄子
200706
沈丁を咲かせて奥に病む人よ
加古みちよ
火星
200706
沈丁のはたして咲けり古籬
瀧春一
200706
沈丁の紅きつぼみに寒ながく
瀧春一
200706
月あげて空昏れきらず沈丁花
伊藤美音子
万象
200707
沈丁花香り振り撒く夜の妖精
平野きぬ子
八千草
200708
沈丁に触れきし風とおもひけり
森ひろ
馬醉木
200710
沈丁の香に振り向けば路地昏れて
染谷晴子
200801
沈丁のちらほら恐る恐る咲く
杉良介
200802
沈丁花風といつしよについてくる
あさなが捷
200804
香を包み陽にふくれくる沈丁花
小城綾子
200805
税還付を出すに匂へり沈丁花
松崎鉄之介
200805
沈丁や胸に泡立つ過去一つ
小山徳夫
遠嶺
200806
もてなしは茅葺茶屋の沈丁花
佐野静子
遠嶺
200806
隠れん坊沈丁の香を揺らしをり
國保八江
やぶれ傘
200807
沈丁の蕾つぎつぎわらひだす
片山由美子
200903
肉厚の益子の器沈丁花
遠藤実
あを
200904
沈丁花能面かすかに笑みてをり
遠藤実
あを
200904
沈丁は香のみ夕闇うつつなし
浅野洋子
春燈
200905
一弁のはねて香となる沈丁花
園多佳女
雨月
200905
沈丁の匂ふ歯科医の自動扉
荒木甫
200906
沈丁の香り溜まりへ引き返す
大場ましら
200906
沈丁の濡るる夜明けを夫逝けり
片井久子
春燈
200906
沈丁の香りに沿へば勝手口
羽生きよみ
ぐろっけ
200906
沈丁の花に滴や昨夜の雨
飯田角子
酸漿
200906
いづこやら風に香の乗る沈丁花
赤司美智子
酸漿
200906
沈丁の香を置きざりにして通る
嶋田摩耶子
ホトトギス
200907
沈丁やうつそ身にして香りある
小形さとる
200907
沈丁の香りふくらむ夜のくだち
青木ラ子
200907
影踏みの影は木陰に沈丁花
國保八江
やぶれ傘
200907
沈丁の闇に分け入る安堵かな 秋葉雅治 201004
沈丁花路地の仏の貌暗し 渡辺数子 火星 201005
鬱の夜を沈丁の香に咎めらる 横山義恭 201005
沈丁の匂ひの雨のひもすがら 芝尚子 あを 201005
沈丁の風が誘へる忙中閑 伊東和子 201006
沈丁に道行く人の振り返る 飯田ひでを 201006
板を干し終へてひととき沈丁花 木杉千保子 万象 201006
飛び石をひとつ跳び越え沈丁花 秋葉貞子 やぶれ傘 201006
髪ほぐす鏡の中も沈丁花 秋千晴 201006
靴音のつきくる夜の沈丁花 栗原公子 201006
夕星や沈丁の香のいづくより 峰幸子 201006
沈丁の雨意の兆しや濃く匂ふ 古田考鵬 雨月 201006
沈丁の匂満ちたる坂下る 小野良高 酸漿 201006
沈丁の闇衣擦れを思ひ出づ 小山ミツ子 末黒野 201007
沈丁の香りに垣の無かりけり 渡辺崖花 末黒野 201007
沈丁花にむせて自分史改行す 山中志津子 京鹿子 201007
隣家より沈丁の香とどきたり 福島悠紀 ぐろっけ 201007
沈丁のかをりや雨の佃島 田中道江 万象 201008
沈丁 →3      

 

2022年3月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。