冬の川 1     200句

冬の川  冬の河

作品
作者 掲載誌 掲載年月
冬の川となりて深さの知られけり
保坂加津夫
自在抄
199600
冬川の湯氣立ちあげて一人逝く
中原道夫
銀化
199901
冬の川いま水いろとなるところ
行川行人
藍の刻
199901
冬の川考へ深く流れをり
岡本眸
199904
門前の町すぐ尽きて冬の川
丸川越司
円虹
199905
冬の川洋傘の柄の突出せり
神蔵器
199905
冬の川もうここからは一人ぞな
佐伯のぶこ
船団
199908
冬の川曲れば音も曲りけり
白幡千草
円虹
199912
茫々と邑を二つに冬の川
能勢京子
船団
199912
冬の川生者のための橋かかる
中原道夫
銀化
200001
おだやかに烏鷺すれちがふ冬の川
玉川悠
遠嶺
200003
なきがらの如き太陽冬の川
本橋怜加
冬牡丹
200003
ゆらゆらと舟をつなぎて冬の川
星野椿
ホトトギス
200004
白鷺の不動の姿冬の川
木原不二夫
酸漿
200006
冬の川日本海に和してをり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200012
武蔵野に良き名を持ちて冬の川
稲畑廣太郎
ホトトギス
200012
その中に哀史沈めて冬の川
稲畑廣太郎
ホトトギス
200012
冬の川渡れば稲城野の展け
稲畑廣太郎
ホトトギス
200012
冬の川芥をまとへる杭幾つ
保坂さよ
いろり
200012
ひそかとは冬川の鳴るひとところ
岡本眸
200103
蹼の色鮮やかに冬の川
森理和
あを
200103
冬の川夜は村の灯を映しをり
小泉晴露
酸漿
200105
新世紀とは冬川も急ぎゐる
岩岡中正
ホトトギス
200107
京紅とわがてのひらと冬の川
岡井省二
200110
戦災の痕を留めて冬の川
稲畑廣太郎
ホトトギス
200111
冬の川日射を纏ひつつありぬ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200111
トロ箱の傾ぎ流るる冬の川
川瀬里江
雲の峰
200202
一枚の羽のただよふ冬の川
西村しげ子
雨月
200202
冬川の合流あたり何か跳ね
大東由美子
火星
200203
冬川原手をとり歩む老夫婦
家塚洋子
酸漿
200203
日々に見て色忘じをり冬の川
岡本眸
200203
曲るべく勢ひ見せけり冬の川
加藤暢一
200203
映るもの何も無きをもて冬の川
山田美保
200203
ここよりは淀と呼ばるる冬の川
高野清風
雲の峰
200204
小さき渦臍のごとくに冬の川
関洋子
200204
浮石の乾く白さよ冬の川
東芳子
酸漿
200204
冬川の無韻にこころ許すなり
田原陽子
200302
透析の始まる體内冬の川
中原道夫
銀化
200302
喧騒の町を曲れる冬の川
加藤あけみ
円虹
200303
音も無く光を返す冬の川
三澤福泉
雲の峰
200303
夕風に冬の川音ゆらぎけり
上野孝行
百鳥
200304
冬の川風が逆らふ鱗波
渕江千代
酸漿
200401
大聖堂出づ冬川のまぶしさへ
伊藤白潮
200402
縛りある冬川の辺の屋台かな
山尾玉藻
火星
200403
遠く見て水煙めける冬の川
若本彰子
酸漿
200403
二枚舌持ちて持たされ冬の川
本間魚太郎
風土
200403
冬の川もつれしままの投網干す
鈴木多枝子
あを
200403
どこよりの魚煮る匂ひ冬の川
今瀬剛一
対岸
200403
捨自転車車輪突き出す冬の川
梶島邦子
築港
200404
ゆらゆらと軽き舟浮く冬の川
秋岡朝子
200405
嵯峨がらすゐて冬川を眠らせず
鈴鹿仁
京鹿子
200502
冬川を跨ぐ一橋陽がすべる
鈴鹿仁
京鹿子
200502
川肌の丸つと見えし冬の川
鈴木勢津子
200503
冬の川我が身に沿ふて河口まで
鎌倉喜久恵
あを
200503
かき舟の浮かび冬川親しめり
仲村洋子
百鳥
200503
モノクロの播磨貫く冬の川
塩路隆子
200503
蔵の影写す冬川夫が里
田代ヨシ
河鹿
200503
冬の川中洲の石の乾きをり
朱宮史郎
六花
200504
冬川を渡る最終列車の灯
桑島啓司
200504
一枚の今日の空入れ冬の川
間島あきら
風土
200505
冬川いくつ越えき喪ごころ深めつつ
伊藤白潮
200601
大小の水門を置き冬の川
吉田三保
200601
冬川の銀の一線海へ注ぐ
柳生千枝子
火星
200602
石投げて孤独の残る冬川原
鈴鹿仁
京鹿子
200602
冬の川渡りはるかへ来るかな
杉浦典子
火星
200603
ひとところ風に押さるる冬の川
戸栗末廣
火星
200603
冬川のゆくへ大阪烟りをり
大山文子
火星
200603
冬の川明治以来の石の橋
合川月林子
ぐろっけ
200603
投網打つ場所狭まりし冬の川
合川月林子
ぐろっけ
200603
冬の川群青の色深めたる
渡辺玄子
酸漿
200604
冬の川町はづれにて蛇行せり
上林孝子
200605
冬川へ出て極道のよみがへる
伊藤白潮
200701
筆一本買ふために越す冬の川
伊藤白潮
200703
堰の水片寄りて落つ冬の川
吉沢陽子
200703
一天のもと一水の冬川原
安原葉
ホトトギス
200704
冬川の細身に一流木の堰
布川直幸
200705
冬川の尖る波間に尖る波
布川直幸
200705
黒帯の列が曲げゆく冬の川
小山徳夫
遠嶺
200705
蛇行して消えたる光冬の川
須藤常央
ホトトギス
200707
水ここで地下にもぐりぬ冬の川
稲畑汀子
ホトトギス
200712
山と海つなぐ芦屋の冬の川
稲畑汀子
ホトトギス
200712
冬の川水の起伏のつながらず
稲畑汀子
ホトトギス
200712
冬の川揺れて日の斑を散らしけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200801
冬の川楮をつけて洗ひをり
石脇みはる
200802
石は皆黙りこくりて冬の川
川畑はるか
遠嶺
200803
新しき橋架かりたり冬の川
平ふみ子
酸漿
200803
千の窓揺らし真冬の川しづか
星井千恵子
遠嶺
200806
冬の川暗し人形焼き甘し
湯浅夏以
樹も鳥も
200806
冬川原看とりの足を馴らしけり
城孝子
飛火野
200808
来歴のやうにいつぽん冬の川
伊藤白潮
200811
ときに澄みときに濁れる冬の川
宮崎左智子
200901
冬川にかかりて紅き阿弥陀橋
吉沢陽子
200901
冬の川たぐり寄せたき師の色紙
和田政子
200901
電車の灯とほりすぎゆく冬の川
三代川玲子
春燈
200901
冬の川こだはり少し減つてをり
笠真木
炎環
200902
冬の川ほとほと杭の緊りたる
井上信子
200902
流木の卍の形に冬の川
相良牧人
200902
うごくもの動かざるもの冬の川
冨松寛子
200903
冬川の波は舟べりたたきけり
白石正躬
やぶれ傘
200903
冬川のうねりゆるりと故郷かな
山本信子
200904
冬の川眠るがごとく流れけり
高橋将夫
200904
たんぽぽの穂絮全き冬の川
生田恵美子
風土
200904
横顔の変はらずにをり冬の川
新井みゆき
炎環
200904
幾何学のトラス綾なす冬川原
能村研三
200904
冬の川船頭の棹ゆらゆらと
飯田ひでを
201001
さざなみの濃くうすくなる冬の川
吉弘恭子
あを
201001
声を殺してすすむ冬川も我も
荒井千佐代
201002
コンクリを張られ淋しや冬の川
中川すみ子
201003
冬の川一両列車写しけり
島玲子
風土
201004
冬川の中州に鴨の親子かな
池田いつ子
酸漿
201004
昏れ初むる冬川の鷺動かざり
木下和代
末黒野
201005
手を入れて日輪くづし冬の川
新堀満寿美
末黒野
201005
橋脚に日の斑を流す冬の川
きくちきみえ
やぶれ傘
201102
冬の川色生むために小波す
江澤弘子
201103
流れゐて流れなきごと冬の川
小寺ふく子
六花
201103
耳痛くなるほどの風冬の川
森高さよこ
風土
201104
冬の川閉ぢしホテルを映しけり
久松和子
万象
201105
四五人の影を映して冬の川
柳澤宗正
万象
201108
国栖奏の社奈落に冬の川
中條睦子
万象
201110
冬の川二つ越えきし旅ごころ 田中藤穂 あを 201201
冬の川嘴の咥へしもの光る 杉浦典子 火星 201202
冬川に沿ひて上流峡の宿 坂根宏子 201203
冬川の念ひたぐれば風の立つ 鈴鹿仁 京鹿子 201203
冬川原水際にとほく舟かわき 大崎紀夫 やぶれ傘 201203
悼み文書くささめきて冬の川 井上信子 201204
みな海に出づる安らぎ冬の川 荒井千瑳子 201204
冬の川薄き光が流れ行く 佐藤喜仙 かさね 201206
冬の川脛をあらはに鷺立ちぬ 森山暁湖 万象 201206
冬の川渡れば稲城すぐ其処に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
紅きもの流して固し冬の川 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
枯れ尽すものを褥に冬川原 稲畑廣太郎 ホトトギス 201212
冬川の底に写りて魚の渦 永田万年青 六花 201212
冬川の光るや海に入りてなほ 川端俊雄 火星 201302
冬の川見尽くしけふは翁の日 浅田光代 風土 201302
下総と武蔵と隣る冬の川 井上信子 201302
冬川や夜は窓から灯をもらひ 山田六甲 六花 201303
冬の川来歴を捨て海に入る 阿部綾子 ろんど 201303
木の橋の影の落ちたる冬の川 藤井美晴 やぶれ傘 201303
橋脚に満水の跡冬の川 久世孝雄 やぶれ傘 201304
天空に城野に冬川のきらめきて 浜福惠 風土 201304
絹綾となりて真白き冬の川 平子公一 馬醉木 201402
冬の川氾濫後の岩動き 竹内悦子 201402
鳥声や街の静寂に冬の川 笹井康夫 201403
夕闇は川風とくる冬の川 白石正躬 やぶれ傘 201403
くしやくしやに空映しゐる冬の川 きくちきみえ やぶれ傘 201403
冬川を借景として鷺一羽 田中淺子 201404
木下河岸跡と標識一つ冬の川 中村紀美子 春燈 201501
たそがれを運んでをりぬ冬の川 佐藤喜孝 あを 201502
夜景きららに多感なる冬の川 服部早苗 201503
冬の川水草は水にさからはず 山本久江 201503
冬の川黙てふ力もて下る 甕秀磨 201504
投げし萱ほどけつつ行く冬の川 宇都宮敦子 金玉羹 105404
吹き荒ぶ風に波立つ冬の川 羽賀恭子 201505
冬川に浸せし魚籠が何か云ふ 原友子 201505
点景の白鷺なりし冬の川 鈴木静恵 花こぶし 201508
冬の川黙とふ力もて下る 甕秀麿 201602
冬の川あさきゆめ見て瀬の乾く 伊東淑子 京鹿子 201603
曲りきて光あらたに冬の川 笹村政子 六花 201603
冬川原晴れたる空にグライダー 白石正躬 やぶれ傘 201604
立木みな個々の姿や冬の川 吉田順子 201604
流るるを怠つてをり冬の川 根岸善行 風土 201604
ゆく川の木々映しつつ冬へかな 武藤嘉子 201702
対岸のビルの灯映す冬の川 秋川泉 あを 201702
筋金といふは銀色冬の川 細川洋子 201703
冬川の音立ててゐるひとところ 岩岡中正 ホトトギス 201704
冬の川月日流してをりにけり 熊川暁子 201704
朝日浴び飛び発つ鷺や冬の川 東小薗美千律 末黒野 201704
絶え間なく岩を禊げる冬の川 永田万年青 六花 201704
冬川の岩を縫ひつつ白濁す 永田万年青 六花 201704
川の冬影より黝き空の色 二俣和歌子 馬醉木 201704
淀屋橋より渦巻く冬の土佐堀川 大橋晄 雨月 201704
第九の余韻濃紺の冬の川 服部早苗 201705
冬川の岩間の音のまどかなる- 住田千代子 六花 201705
砂利白く乾きて広し冬の川 中村弘 末黒野 201705
立冬の風に川音調和する 長崎桂子 あを 201712
京の北川の流れも冬の音 鈴鹿仁 京鹿子 201801
初冬の川のささやき聞きもらす 西村白杼 京鹿子 201802
流木と鷺を離さぬ冬の川 瀬川公馨 201802
けあらしや冬立つ今朝の雄物川 園部蕗郷 春燈 201803
久々に五位鷺に遇ふ冬の川 黒澤次郎 やぶれ傘 201804
冬川の外灯揺らぎをりにけり 永田万年青 六花 201805
棒読みの独語を流す冬の川 鈴鹿仁 京鹿子 201901
濠川の十石舟や冬に入る 田中美恵子 201903
冬晴や航跡一路隅田川 山浦紀子 春燈 201903
堰落つるまでのつたりと冬の川 大島英昭 やぶれ傘 201903
冬深む川の流れに浮くあぶく 天野美登里 やぶれ傘 201903
冬川原凹い所に日を溜める 岩下芳子 201904
翻へる小魚光る冬の川 時田義勝 やぶれ傘 201904
外灯の歪みてをりし冬の川 永田万年青 六花 201905
冬の川みつめ日暮れの底にゐる 近藤喜子 202002
冬の川暗渠は都市のラビリンス 森村江風 202003
冬の川ぼんやり空をうつすのみ 柴田靖子 202003
手を取りて母を渡せる冬の川 平居澪子 六花 202004
冬川の波紋静寂の闇に消ゆ 永田万年青 六花 202005
流水の忽然と消え冬の川 新沢伸夫 202101
冬の川富士くつきりと映しけり 木村みどり 春燈 202102
母の忌のいくたび来ても冬の川 宮崎紗伎 春燈 202102
瀬の石にネオンをうつす冬の川 大槻祐二 春燈 202102
ゆるやかに日を返しゐる冬の川 川井真理子 春燈 202103
色づく葉夕日に映ゆる冬の川 玉川利江 末黒野 202103
冬の川 →2      

 

2022年12月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。