日の盛 1      224句

養護生徒ひとり手をふる日の盛り   高島茂  麞域

作品
作者
掲載誌
掲載年月
跳梁を思ふ木草の日の盛り 丸山海道 京鹿子 199808
能面の昏き口中日の盛り 大野英美 風土 199811
ぽぽの実のぽぽぽぽさがる日の盛 しおやきみこ 船団 199812
手離しで思ひ切り泣く日の盛り 能城檀 船団 199812
荒縄で囲む古墳や日の盛り 金子きくえ 春耕 199908
馴染みたる街騒ねむき日の盛 坪井洋子 199908
佇めば一歩が難し日の盛 木村風師 馬醉木 199909
口あけて埴輪の並ぶ日の盛り 江原正子 春耕 199910
電柱の影さへ拾ふ日の盛 粕谷澄 馬醉木 199912
椎の葉の密なるくらさ日の盛 加瀬美代子 199912
眦に黄河の光る日の盛り 大石喜美子 雨月 200009
幹なべて池へ傾き日の盛り 伊藤妙 200010
黒猫の影も黒ねこ日の盛り 牛田修嗣 200010
樹の匂ひ芝の匂ひや日の盛 盛良孝 200101
生き生きと子規の脳味噌日の盛り 桐木榮子 船団 200101
遠山は靄脱ぎきらず日の盛 坪井洋子 200108
人かげの路地に消えたる日の盛り 池田光子 風土 200109
通信簿見せ合ひ帰る日の盛り 内山芳子 ぐろっけ 200110
鐘楼に蝶の入りたる日の盛り 水越洋三 百鳥 200111
城門の刻字黒々日の盛り 佐藤京子 百鳥 200111
採尿のコップ渡さる日の盛 津田経子 火星 200111
ほつれ糸引けば止まらぬ日の盛り 松永典子 船団 200112
深海の水売りに来る日の盛り 阪本哲弘 200202
異教徒の夫に蹤きゆく日の盛り 荒井千佐代 系図 200203
後生より前生熱き日の盛り 川名将義 銀化 200208
千年の氷河を舐める日の盛り 吉成美代子 あを 200208
夫見舞ふ着替へ携へ日の盛り 相沢有理子 風土 200209
ロケ隊が主役呼びゐる日の盛 岡田万壽美 雲の峰 200210
日の盛檄飛ばす筆走りけり 平田倫子 百鳥 200211
白装の群れにゆきあふ日の盛 櫻井多恵 200211
水牛の尻に鞭鳴る日の盛 藤井明子 馬醉木 200309
閼伽桶の乾ききつたる日の盛り 川村政枝 築港 200309
分岐して名の変る川日の盛り 蓮井崇男 対岸 200309
焼く草の炎は見えず日の盛り 南うみを 風土 200310
獅子を彫る鑿百本や日の盛り 近藤幸三郎 風土 200310
「レンガ倉庫」一塊となる日の盛り 布施まさ子 風土 200310
こきと首廻す四ツ辻日の盛 玄内栄 帆船 200310
菓子ひさぐ七軒長屋日の盛り 森田蝌蚪 200310
赤ん坊の全身で泣く日の盛り 海老原信男 築港 200311
濁り江の動きてゐたる日の盛り 鳴海清美 六花 200311
筆ペンの墨の掠れし日の盛り 二瓶洋子 六花 200311
木洩れ日の届かぬ上水日の盛り 岡野恵美子 遠嶺 200311
日の盛りぼんぼん時計抱へ来し 米澤光子 火星 200311
人形の白首並ぶ日の盛り 伊藤白潮 200408
赤んぼをただ笑はせて日の盛り 中村房江 六花 200408
煎餅を黙々と焼く日の盛り 橘澄男 山景 200408
シーサーの口中まつ赤日の盛り 松尾濤子 春燈 200409
絹の道に桑の木残る日の盛 東口博美 酸漿 200409
何もせず何も思はず日の盛り 伊藤賢三 春燈 200410
雲水の佇つ山門や日の盛り 鈴木清子 遠嶺 200410
コピー機の熱を吐き出す日の盛り 布施まさ子 風土 200410
梅花藻の流れ音なし日の盛 辻恵美子 栴檀 200410
金網を栗鼠の手つかむ日の盛 永田二三子 酸漿 200410
とくとくと田に水流れ日の盛り 藤井美智子 対岸 200410
しろがねの雨脚見ゆる日の盛り 橋口礼子 河鹿 200411
街路樹に小鳥とび込む日の盛り 青山悠 200411
ながながと貨物の通る日の盛り 伊藤早苗 200411
朽ち舟に木の影届く日の盛り 宮澤美和子 百鳥 200411
鷺舞の赤き蹴出しや日の盛 植木戴子 200411
国宝仏の胎内に入る日の盛り 大石よし子 雨月 200411
土佐電に「後免」の駅や日の盛り 菅沢陽子 春燈 200509
蹠に岩肌添はす日の盛り 瀬下るか 200509
戦ひのあとの轍や日の盛り 高倉和子 200509
古本に紐かけてゐる日の盛り 中田みなみ 200509
雛三羽連れ鳰泳ぐ日の盛 沢聰 馬醉木 200510
検査後の渇きいや増す日の盛り 永塚尚代 ぐろっけ 200510
マンモスにまみえし後の日の盛り 河合佳代子 栴檀 200510
人の動く影を遠きに日の盛 溝内健乃 雨月 200510
魚籠の藻の乾ぶを剥がす日の盛り 中根美保 風土 200510
原爆も地震も恐し日の盛 早崎泰江 あを 200510
手のなかに泥鰌の鳴いて日の盛 渡邉友七 あを 200510
鉄塔を見上げてめまひ日の盛り 伊藤トキノ 200511
玄関に車横付け日の盛り 伊藤トキノ 200511
華やかに柩を飾る日の盛り 苑実耶 200511
トラックにのり貨車にのり日の盛 久保田万太郎 春燈 200603
水楊かはやなぎさやぐ川洲や日の盛り 瀧春一 常念 200606
コンパスに少しの歪み日の盛り 小林朱夏 200607
ビリケンの頭のとんがれる日の盛 丸山照子 火星 200609
走り根の岩にかみつく日の盛り 青柳雅子 春燈 200610
日の盛り取り込むシーツ音たてて 岡部三和江 ぐろっけ 200610
バーコード読み取る音や日の盛り 柿沼盟子 風土 200611
頭でつかち菩薩よろめく日の盛り 松本俊介 春燈 200706
始祖鳥の化石レプリカ日の盛り 中谷葉留 風土 200708
墨汁を過度に含ませ日の盛 瀬下るか 200710
白く泛く流木の根や日の盛り 林いづみ 風土 200710
日の盛り浮き桟橋の軋みかな 下山田美江 風土 200710
点滴の音なきリズム日の盛り 木村茂登子 あを 200710
日の盛り一舟音もなく過ぐる 藤井昌治 200710
城垣の反り美しき日の盛 松岡隆子 200710
日の盛り軒連ねたるもんじや焼 福田雅子 万象 200711
浮御堂の柱四本や日の盛 浜口高子 火星 200711
貨車駅に鋼のにほひ日の盛り 大川ゆかり 炎帝 200804
舟溜り静まり返る日の盛り 遠藤実 あを 200808
飲食のことりことりと日の盛 岡本眸 200808
歩道橋におのが足音日の盛り 塩田博久 風土 200809
流し台ぽこんと鳴れり日の盛 緒方佳子 火星 200809
音消えて一村閑と日の盛り 清水淑子 炎環 200809
日の盛り音の消えたる交差点 加藤みき 200809
すつぽんの腹に苔ある日の盛り 栗栖恵通子 200809
泰然と在す大仏日の盛 斉木永久 馬醉木 200810
P波とも立ち眩みとも日の盛り 高橋亮二 春燈 200810
我が影の小さく蹤き来る日の盛り 藤岡紫水 京鹿子 200810
ゆるゆると上がる遮断機日の盛り 岩淵彰 遠嶺 200811
雲水の笠黙しゆく日の盛り 金森教子 雨月 200811
白き帆の沖を見てをり日の盛り 勝見玲子 200811
公園の蛇口上向く日の盛 加藤季代 万象 200812
六波羅の公衆電話日の盛り 火箱游歩 船団 200901
寝そべつてをりし牛なり日の盛 白数康弘 火星 200907
鳰の巣を艪音の過ぐる日の盛 山本耀子 火星 200908
みささぎに鵜のとんでゐる日の盛 城孝子 火星 200909
漣を亀のよぎれる日の盛 川端俊雄 火星 200909
日の盛り骨董市に古き句誌 早崎泰江 あを 200909
日の盛り過ぎて海風涼しかり 清水伊代乃 酸漿 200909
雑貨屋の音ひとつなし日の盛り 榎本佐智子 末黒野 200910
紅のアオザイ映ゆる日の盛り 松田和子 200910
醤油屋の桶塩噴いて日の盛り 池田光子 風土 200910
釘抜きに釘曲り出る日の盛り 柴田佐知子 200910
瀬のひかり岩に動げり日の盛り 清海信子 末黒野 200911
献血車に僧の入りゆく日の盛 松山直美 火星 200911
信号機律儀にそろう日の盛り 桑名さつき ろんど 200911
手に痛き鉾の曳き綱日の盛り 鈴木圭子 200911
日の盛り手で合図する運転手 丑久保勲 やぶれ傘 200911
駅蕎麦に七味ふりかけ日の盛り 天野美登里 やぶれ傘 200911
水屋の戸開いてをりたる日の盛 山尾玉藻 火星 201006
睡蓮の咲き始めたる日の盛り 五ケ瀬川流一 六花 201008
大峡谷に地球の息吹日の盛り 松田和子 201009
図書室の脚立を使ふ日の盛り 山口輝雄 201009
海底へ熔岩原つづく日の盛り 柴田佐知子 201009
廃船に草伸び切つて日の盛り 荒井千佐代 201009
くすり撒くコンプレッサー日の盛り 丑久保勲 やぶれ傘 201009
布袋さんの腹のつめたき日の盛 城孝子 火星 201009
巡視艇もやふ運河や日の盛り 上家弘子 ろんど 201009
道を問ふたびに道延ぶ日の盛り 清海信子 末黒野 201010
日の盛りこはごは覗く城の井戸 森清堯 末黒野 201010
赤飯の秘伝いただく日の盛 和田政子 201010
天王寺に祈願札漬く日の盛 飯塚ゑ子 火星 201011
気がかりの稿投函す日の盛 井口初江 酸奬 201011
石を切る水の刃や日の盛り 田口紅子 201012
預りし子に泣かれゐる日の盛り 苑実耶 201012
日の盛り胸中を行く柩かな 古川夏子 201012

 教練といふ授業ありて

思ひ出す匍匐前進日の盛り

辰巳比呂史 201012
境内の瀬戸物市や日の盛り 稲垣佳子 末黒野 201104
骨密度ほめられてゐる日の盛り 宮崎左智子 201109
往還の紙屋石屋や日の盛 近藤暁代 馬醉木 201110
青信号待つ交差点日の盛り 鈴木石花 風土 201110
先輩とバス乗り合はす日の盛 高田令子 201110
講座は今芭蕉と其角日の盛り 天野正子 201110
鶏の首で息する日の盛り 宮井知英 201110
波音に蘇鉄太れる日の盛 城孝子 火星 201110
信号の色のけだるき日のさかり 吉村さよ子 春燈 201110
日の盛り鴉の声の間延びせり 早崎泰江 あを 201110
警官の姿の板絵日の盛り 丑久保勲 やぶれ傘 201110
図書館の静けさにゐて日の盛 武生喜玖乃 雨月 201110
山割つて男出てくる日の盛り 柴田佐知子 201111
托鉢の僧の熔けゆく日の盛り 前川明子 201111
亀の首同じ角度に日の盛り 坂場章子 201111
紙切れの吹かれゆく道日の盛り 大崎紀夫 やぶれ傘 201111
船小屋に舟の納まる日の盛り 廣瀬雅男 やぶれ傘 201111
舟べりに水のかぎろひ日の盛 山路紀子 風土 201111
リハビリは探ることより日の盛り 吉村摂護 201112
バグパイプ吹きの大き赤鼻日の盛り 岩永はるみ 白雨 201203
怒らせて牛闘はす日の盛り 高倉和子 夜のプール 201203
絞め足らぬ鶏が逃げ出す日の盛り 小林朱夏 201204
神鶏の胸張り通す日の盛り 石川笙児 馬込百坂 201206
瓦師の屋根から消える日の盛り 赤座典子 あを 201208
呟きつ人引き返す日の盛 山尾玉藻 火星 201208
矢が的を外れたる音日の盛 田中文治 火星 201208
五分刈りのサッカー少年日の盛 佐々木薫 かさね 201209
神童は素数好めり日の盛 栗原京子 201209
歌声に手拍子おこる日の盛り 室谷幸子 万象 201209
テラスより蔓直ぐに垂る日の盛 根本ひろ子 火星 201209
不動尊の火焔となりぬ日の盛り 齊藤實 201210
海還らずビルの群像日の盛り 村上すみ子 201210
鴉の影よぎる中州や日の盛り 國保八江 やぶれ傘 201210
石室のしづくしてゐる日の盛 松井倫子 火星 201210
日の盛り少女の声の回収車 中山酷霊 201210
一三おも五度の子午線に立つ日の盛り 塩路隆子 201210
水音の無き川渡る日の盛り 今井肖子 ホトトギス 201211
鴉の影よぎる中州や日の盛り 國保八江 やぶれ傘 201211
唐破風の古りし氏神日の盛 石井一石 京鹿子 201301
築山に草のひれ伏す日の盛り 安田とし子 ぐろっけ 201310
遅刻者ののつそりと来る日の盛り 師岡洋子 ぐろっけ 201310
雪組の開演を待つ日の盛 高田令子 201310
清流に木洩日散らす日の盛 青柳雅子 春燈 201310
弓絞る音ぎりぎりと日の盛 池田光子 風土 201310
歳時記と籠城したる日の盛り 石川かおり 201310
日の盛り十六切にする西瓜 吉弘恭子 あを 201310
大香炉ときに火を上ぐ日の盛 内藤静 風土 201310
底厚き車夫の地下足袋日の盛り 山本久江 201310
護送車のカーテン揺るる日の盛 涼野海音 火星 201311
てるてる坊主吊ししままや日の盛 小泉貴弘 春燈 201311
揺らぎ来る人や車や日の盛 能勢俊子 馬醉木 201311
MRIの音に囚はれ日の盛り 吉村摂護 201311
日の盛り黒猫舌を出しにけり 北本奈津子 万象 201311
日の盛り会話ねじれし母娘 石川裕美 ぐろっけ 201311
己がじし傾ぐ浮標や日の盛り 岡野里子 末黒野 201311
ガラス戸に鴉ぶつかる日の盛 三井尚美 ぐろっけ 201311
胸板のうすい若者日の盛り 陽山道子 船団 201401
神童は素数好めり日の盛 栗原京子 201405
よく見れば頑是無き苗日の盛り 篠田純子 あを 201406
先づ杖が一歩踏み出す日の盛り 前田美恵子 201407
円柱とドーナツの影日の盛り 雨村敏子 201408
あべかはを食してをりけり日の盛 前田美恵子 201409
龍のやうな参道マップ日の盛 上原悦子 火星 201409
路地裏にひっそり質屋日の盛り 定梶じょう あを 201409
勝鬨橋の綴ぢ目じぐざぐ日の盛 大沢美智子 201410
伐採の木口水吐く日の盛り 藤本節子 万象 201410
屋上にボーリングのピン日の盛 安積亮子 火星 201410
給水に走る審判日の盛り 石黒興平 末黒野 201411
電柱の影伝ひゆく日の盛り 齋藤朋子 やぶれ傘 201412
思ひ出のちんちん電車日の盛り 鈴木セツ 201509
我が影を追ひて急ぎぬ日の盛り 荒井千瑳子 201509
病院の前のバス停日の盛り 丑久保勲 やぶれ傘 201509
測量器の置かれつぱなし日の盛り 丑久保勲 やぶれ傘 201509
警策の絶妙の間や日の盛 鷹崎由未子 春燈 201509
紙切れの道をころがる日の盛り 大崎紀夫 虻の昼 201510
百穴をのぞく暗さも日の盛 米山のり子 馬醉木 201510
蜑路地にまうしまうしと日の盛 吉田葎 201510
訓練の警察犬や日の盛り 森田節子 風土 201510
古都奈良の築地息づく日の盛り 落合絹代 風土 201510
己が影踏み踏み歩く日の盛り 須藤美智子 風土 201510
錆びつきし非常階段日の盛 井上和子 201511
闘犬の肉球ぶあつく日の盛り のざきまみこ 201512
日の盛 →2      

 

2021年8月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。