雲 雀 6       214句

初ひばり胸の奥處といふ言葉   細見綾子   冬薔薇

 雲雀  

作品
作者
掲載誌
掲載年月
執念の違ひの釣果夕ひばり 永峰久比古 馬醉木 201107
追風のサイクリングや揚雲雀 村高卯 201107
揚ひばり朱雀門前町あたり 豊田都峰 京鹿子 201107
雲雀野に雲雀降りたる行方かな 國保八江 やぶれ傘 201107
雲雀野となりたる河口埋立地 近藤南麓 万象 201107
碧天に雲雀溶けたるひと処 古川忠利 ろんど 201107
曇天にあげて雲雀の高音かな 西田美ち ろんど 201107
啼きながら雲雀の好きな流れ橋 西田美ち ろんど 201107
ひばり三羽それぞれの空あるらしく 浜口高子 火星 201107
揚雲雀ただ今護岸工事中 中道愛子 201107
浮雲の天井桟敷ひばり舞ふ 木山白洋 馬醉木 201108
三山の妻恋の歌揚雲雀 坂上香菜 201108
中空に声を残して雲雀落つ 笠井敦子 201108
放射線まみれなれども揚雲雀 泉田秋硯 201109
ひばりひばり開けっぱなしの藤樹塾 坪内稔典 船団 201110
雲雀野や一人おもらし一人駄々 火箱ひろ 船団 201110
雲雀笛大権現の森越えて コ田千鶴子 花の翼 201111
老医師の逝きて無医村雲雀鳴く 雲所誠子 風土 201201
揚雲雀宇和奈辺小奈辺方円 小瀧洋子 ろんど 201202
息吸つてゐると思へず揚雲雀 岡崎伸 遠眼鏡 201203
青空へ拠り出されし初雲雀 高倉和子 夜のプール 201203
太陽に突つ込んでゆく揚雲雀 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
揚雲雀かなたに聳ゆる浅間山 松本信子 かさね 201205
青空の一点ゆらし揚げひばり 小谷延子 万象選集 201205
此処いらが総のまほろば初雲雀 中村恭子 201205
初雲雀身を吊り上げてつりあげて 中村恭子 201205
揚雲雀空の青さを踏み外し 鶴濱節子 始祖鳥 201206
屋根を葺く若き棟梁揚雲雀 鈴木照子 201206
揚ひばり平城宮をほしいまま 笠井清佑 201206
草に寝て雲はろばろと揚雲雀 小池清司 かさね 201206
揚雲雀スカイツリーの高さまで 吉田博行 かさね 201206
初雲雀平城宮址統べにけり 服部鹿頭矢 馬醉木 201206
揚ひばり飛鳥の空を鋤き返す 久染康子 201206
まほろばの雲の上より初雲雀 山田春生 万象 201206
富士望み雲雀の声を浴びゐたり 小川玉泉 末黒野 201206
枯色の残るくさはら揚雲雀 清水和子 末黒野 201206
揚げ雲雀雲掻き回し掻き回し 根岸善行 風土 201207
陶酔の雫となりて落雲雀 相良牧人 201207
島を出て島へ落ちゆく夕雲雀 柴田佐知子 201207
棟木より頭梁の声揚雲雀 田代貞枝 201207
初雲雀天領の空思ふまま 倉谷紫龍 万象 201207
中天のエリア挾しと揚雲雀 荻龍雲 201207
天上の声を伝へむ揚雲雀 谷岡尚美 201207
雲雀歩きまだ濡れてゐる石磧 大山文子 火星 201207
揚雲雀あらがふもののある如し 辻美奈子 201207
風に耐へ空に一点揚雲雀 大橋晄 雨月 201207
雲雀ひばり走れば風が泪ふき 岡澤田鶴 201208
幾度も挑む空あり揚雲雀 山田佳乃 ホトトギス 201208
人ひとり沈む明るさ落雲雀 佐々木紗知 京鹿子 201208
寝転んで広き額や揚雲雀 涼野海音 火星 201208
揚雲雀声の落ち来る川地蔵 吉野美智子 万象 201208
大いなる利根の流れや揚雲雀 北崎展江 くりから 201209
見はるかす福原京趾揚雲雀 塩見治郎 雨月 201209
雲雀鳴く大河を前に蕪村の碑 北村淳子 ろんど 201209
鉄塔の彼方に鳴けり揚雲雀 齋藤博 やぶれ傘 201211
揚雲雀声で大空引き締めり 布川直幸 201303
雲雀鳴くその一点に空緊まる 布川直幸 201304
大空を声で広げる揚雲雀 布川直幸 201304
野にひらふ詩の一片や初ひばり 西村博子 馬醉木 201304
揚雲雀声看残して日に紛る 小山直子 末黒野 201304
隠し事出来ぬ質です揚雲雀 山本孝夫 201305
日のかけら銜へ一気に落雲雀 平田はつみ 馬醉木 201305
揚雲雀セシウム消ゆるところまで 笠井敦子 201305
揚雲雀の恋の片道切符かな 七田文子 201305
飛蚊症なれや落雲雀見るを得ず 大橋晄 雨月 201305
啼き過ぎて揚がり過ぎたる雲雀かな 小川滋 やぶれ傘 201305
野を翔てるときより見えて初雲雀 大島英昭 やぶれ傘 201305
忽ちに空にとけこむ揚雲雀 窪田粧子 馬醉木 201306
げんこつで叩くグローブ揚雲雀 佐野ときは 201306
落雲雀雲のポケット裏返す 安藤しおん 201306
こともなし常陸風土記の野に雲雀 塙誠一郎 201306
日輪のてのひらにあり雲雀待つ 神蔵器 風土 201306
声出して己はげます揚雲雀 中山皓雪 201306
雲雀野にパンの袋を開きけり 涼野海音 火星 201306
雲雀野に煉瓦のサイロ崩れけり 松原智津子 万象 201306
突然に空を破るや揚雲雀 柳田晧一 かさね 201307
揚雲雀空は大手を広げたる 定梶じょう あを 201307
揚雲雀通過列車は点となり 阿部綾子 ろんど 201309
目の前にすとんと落ちし夕雲雀 瀧春一 花石榴 201312
天空を啄き鳴くかに揚雲雀 坂根宏子 野山の道 201404
揚雲雀毛馬まで下る舟にをり 山本耀子 絵襖 201404
大利根や眼を閉ぢて聴く初雲雀 山崎刀水 春燈 201405
牛小屋の跡のあか土初雲雀 大島英昭 やぶれ傘 201405
老いてなほ漁網繕ふ雲雀東風 柴田志津子 201405
利根川に潮止めの堰初ひばり 大崎紀夫 やぶれ傘 201405
揚雲雀野に人影のなかりけり 白石正躬 やぶれ傘 201405
揚雲雀牛は勝手にあるきけり 山田六甲 六花 201405
疾く癒えよ友に会ひたし揚雲雀 長谷仁子 春燈 201405
耳鳴りの耳に雲雀を聴きにけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201405
果のなきをんなの話揚雲雀 石川かおり 201405
天地をつなぐ雲雀のこゑあふれ 平田はつみ 馬醉木 201405
対岸に江口の里や初雲雀 谷村祐治 雨月 201406
足裏に柔らかき畦揚げ雲雀 平松うさぎ 201406
仰向けにねてこそ野原初雲雀 井原美鳥 201406
胸反らし吹くサックスや雲雀東風 能勢俊子 馬醉木 201406
初ひばり授乳の胸を惜しげなく 植村一雄 201406
櫂立てて覚ます釉薬初雲雀 柴田志津子 201406
揚ひばり飛行機雲の他はなし 二宮一知 万象 201406
りるりると天空占める揚雲雀 青野安佐子 201406
農園の朝を謳うて揚雲雀 川崎利子 201406
雲雀野をわがものに即興詩人 近藤喜子 201406
雲雀野に日の膨らみて乱れなし 犬塚芳子 201406
わが道を行ける雲雀の寄せ付けず 永田万年青 六花 201406
ひばり揚がる声がひかりに変はるまで 南うみを 風土 201406
鳥打帽のあたり雲雀のさわがしき 坂口夫佐子 火星 201407
ひばり東風対岸の上手眩しかり 楠原幹子 201407
空の青声に染めたる揚雲雀 西村将昭 201407
ふるさとの山みなまろし揚雲雀 矢野百合子 201407
水郷の雲雀に天の広さかな 水谷文謝子 雨月 201407
梨棚のここに途切れて揚雲雀 小林愛子 万象 201407
揚雲雀野を割つて建つ菓子工場 菊地葉子 やぶれ傘 201407
揚雲雀シャツの袖口折り返す 野上杳 201407
野の風にさらす素顔や初ひばり 渡部良子 馬醉木 201407
夏ひばり風不揃ひに学習田 コ田千鶴子 馬醉木 201407
塩田の一里四方の夕雲雀 碇天牛 雨月 201407
雲雀野や日輪斜めに過ぎてゆく 寺田すず江 201407
雲雀野の風の匂に里ごころ 長沼恒子 馬醉木 201407
天上の師を恋ふるかな揚雲雀 丸尾和子 雨月 201407
一湾を一望せむと揚雲雀 横山昭子 雨月 201407
昼月へ一直線や揚雲雀 森清堯 末黒野 201408
大声のなき家となり揚げひばり 熊川暁子 201408
落日の空を惜しむや揚雲雀 宮地静雄 末黒野 201408
草むらが母の掌になり雲雀待つ 古川忠利 ろんど 201408
揚雲雀今とは違ふ海女の像 栗原京子 201503
雲雀野を掬ひ上げたる疾風かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
揚雲雀地球の自転速めをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
イカロスの翼を捨ててより雲雀 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
雲雀野を最後に仕上げたる一羽 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
天帝に文を託して揚雲雀 稲畑廣太郎 ホトトギス 201503
初ひばり捨て田の荒れの生々し 布川直幸 201503
揚ひばり野原広げて鳴きにけり 松嶋一洋 201504
クレーンの先の高みに揚雲雀 西郷慶子 201504
ひばり野に結婚式の園児たち 西郷慶子 201504
雲雀より大河をのぼる笠智衆 神蔵器 風土 201505
気に掛かる地軸のずれや初ひばり 中田とも子 201505
雲雀野を来て薄墨の一遍像 小林愛子 万象 201506
揚雲雀さきたま前方後円墳 原田しずえ 万象 201506
靴先の雲雀さへづる野へ向けり 生田恵美子 風土 201506
亡き友に文ことづけむ揚雲雀 松崎雨休 風土 201506
草むらに湧く鳴き声や夕雲雀 土江比蕗 春燈 201506
揚雲雀城址に残る物見台 吉田きみえ 末黒野 201506
雲雀落つしばらく空のきらきらす 菊川俊朗 201506
なだらかな山並なりき揚雲雀 中田禎子 201507
揚雲雀降り来る時も囀れり 原田達夫 201507
雲雀鳴くと青空さらに広がりぬ 杉本薬王子 風土 201507
揚雲雀注文だけの村鍛冶屋 和田照海 京鹿子 201507
日の入りの快楽の中へ雲雀落つ 加藤翅英 京鹿子 201507
途方もない空を信じて揚雲雀 加藤翅英 京鹿子 201507
雲雀鳴くそこそこ広き貸し畑 瀬島洒望 やぶれ傘 201507
雲雀消え首を擦りて原に立つ 松嶋一洋 201507
畦ゆくや突とし雲雀けたたまし 浅井青二 雨月 201507
天界へ呼ばれたるごと揚雲雀 宮平静子 雨月 201507
声残し雲となりたる揚雲雀 山本ひろ 雨月 201507
雲雀鳴く卑弥呼の国と思ひけり 山田春生 万象 201507
天空も縄張りありて初雲雀 亀井紀子 201508
夕雲雀そろそろ点る夕爾の灯 和田照海 京鹿子 201508
かたく巻く卒業証書遠ひばり 木下夕爾 春燈 201508
問ひかける雲雀に天の黙つづく 甕秀麿 201508
揚雲雀いのちは天が預かれり 酒本八重 201508
空へ行く梯子の欲しや雲雀鳴く 松嶋一洋 201508
浮雲に声を預けて雲雀落つ 松嶋一洋 201508
少年のゆびに撃たるる揚雲雀 八木健 八木健俳句集 201509
揚雲雀岸の蛇籠の泥乾き 大崎紀夫 虻の昼 201510
岩ひばり前もうしろも岩襖 山田春生 万象 201510
揚雲雀降り来るときも囀れり 原田達夫 箱火鉢 201511
雲ひらく空の群青岩ひばり 岡田貞峰 馬醉木 201511
仮説また閃く朝や揚雲雀 近藤真啓 春燈 201512
稿債を半分果たし雲雀野へ 稲畑汀子 ホトトギス 201603
正論を吐けば嫌はれ落雲雀 布川直幸 201603
この穢土へ福音のごと雲雀鳴く 南光翠峰 馬醉木 201605
天心へこゑを残して落雲雀 平田はつみ 馬醉木 201605
曇れどもひばりの丘となりにけり 小川玉泉 末黒野 201605
ままならぬ足の運びや揚雲雀 小川玉泉 末黒野 201605
天網に飛び込みさうな揚雲雀 中島昌子 201605
揚ひばり無縫の天の緩みけり 水野恒彦 201606
働けと言はむばかりに揚雲雀 森岡正作 201606
揚ひばり高天原の高さまで 樋口英子 201606
飛び代は雲の高さよ揚ひばり 七種年男 201606
首痛くなるまで探す揚雲雀 荒井和昭 201606
おばちやんのお喋りほどの揚雲雀 原田達夫 201606
金色の声ひらひらと夕ひばり 山田六甲 六花 201606
揚雲雀石の水切るひいふうみい 松本文一郎 六花 201606
朝の日に雲なき空や揚雲雀 吉田きみえ 末黒野 201606
初ひばり瑞雲生るる平城京 山田春生 万象 201606
揚雲雀六年背負ふランドセル 阿久津勝利 万象 201606
雲裂きて雲雀のこゑの落ち来る 玉置かよ子 雨月 201606
揚雲雀仏塔の天晴れ渡り 滝澤圭子 雨月 201606
雲雀鳴く葛城の嶺の神近く 山田由利枝 雨月 201606
宮址の草の波打つ雲雀東風 長谷川翠 馬醉木 201606
雲雀東風渡しに自転車乳母車 山口順子 馬醉木 201606
多弁なる媼の巧み雲雀笛 山口ひろよ 201607
山羊のゐる精神病棟揚雲雀 成田美代 201607
雲雀野に正午のチャイム届きけり 宮内とし子 201607
揚雲雀鵜殿の空を私し 森脇貞子 雨月 201607
蕪村像成ると歎喜の揚雲雀 森脇貞子 雨月 201607
揚雲雀よりも高くに観覧車 中原吟子 雨月 201607
雲雀野のぐんぐん下に観覧車 中原吟子 雨月 201607
野の中に校舎落成揚雲雀 中原吟子 雨月 201607
揚雲雀息継ぎをするところまで 根岸善行 風土 201607
借景に城おく園や雲雀東風 黒滝志麻子 末黒野 201607
太陽の黒点となる揚雲雀 松田泰子 末黒野 201607
鳶の笛越ゆる高さの雲雀笛 甕秀麿 201608
境内は子らの遊び場揚雲雀 河原敬子 201608
揚ひばり少年野球の中継中 七田文子 201608
揚げひばり絶頂からのプロポーズ 熊川暁子 201608
天帝とあそんでをりし雲雀かな 竹下陶子 ホトトギス 201609
金色の日の輪に眩む揚雲雀 押田裕見子 201610
点となり光となりて揚雲雀 久保東海司 201611
畦雲雀駆ける真っ赤なトラクター 辻響子 201612
落ちさうに飛んでゐるなり揚雲雀 内海良太 青嶺 201612
揚げひばり声は欠片となつて落つ 内海良太 青嶺 201612
空間を吊り上げてゐる雲雀かな 七種年男 輪中の空 201612
雲雀野に秘密を育て十二歳 火箱ひろ 船団 201701
揚雲雀称ふ高さを植樹了ふ 和田照海 京鹿子 201704
雲雀 →7      

 

2021年4月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。