葉 桜 5       202句

葉桜のうへに赤しや塔二重   唯人   「古句を観る」

作品
作者
掲載誌
掲載年月
葉桜のピンクのかけら手で包む 村田望 201006
葉桜や鳴らしつつ拭くピアノの鍵盤キー 荒井千佐代 201006
葉桜や老いねばならぬ齢なり 篠田純子 あを 201006
葉桜や診察室の夫を待つ 石川かおり 201007
葉桜や湯滝のしぶき木椅子まで 川崎俊子 馬醉木 201007
ひよひよの赤き葉櫻にごり空 加藤みき 201007
葉桜の朝の翳りを風が梳く 遠藤真砂明 201007
葉桜やパウラスさんの保育園 井上信子 201007
葉桜やたつたきのふのこと忘れ 遠山みち子 201007
葉桜や母には長き昔とも 高倉和子 201007
葉桜の樹蔭に風の棲むベンチ 上原重一 201007
葉桜のたしかこの角曲がるはず 杉浦典子 火星 201007
葉櫻の城下にいまも鷹匠町 中山純子 万象 201007
葉桜や何もなくなる身のまはり 十川たかし 201008
葉ざくらや父に抱かれて滑り台 内海はるか 201008
葉桜のはればれと風受けにけり 武智しのぶ 201008
葉桜へテント伸して献血車 阪野徹 201008
葉桜となりて雑木にまぎれけり 松田泰子 末黒野 201008
葉桜や錆ゆくままの貨車溜り 椎名文子 末黒野 201008
葉櫻となりて海鳴りばかりなる 木山杏理 京鹿子 201008
葉桜を見上げて静か池の鯉 松嶋一洋 201008
葉桜になでられてをり街路灯 荻野加壽子 万象 201008
妙見へ葉桜一駅づつ停車 小原登志春 雨月 201008
葉桜になりしと聞きて籠りけり 中原敏雄 雨月 201008
葉桜をまつ正面に裁判所 高田令子 201008
葉桜や歩巾の合はぬ二人なり 榎本マサ子 201008
葉桜に破れ提灯ありにけり 田尻勝子 六花 201008
葉桜となりて憩の場所となり 立川タカ子 酸奬 201008
葉桜のいささか暗し寺領道 伊東和子 201009
葉桜や木漏れ日揺れる遊歩道 笠井清佑 201009
堰眩し風の葉桜なほ眩し 山下美典 ホトトギス 201009
鬱然と葉桜男盛りかな 三村純也 ホトトギス 201009
葉桜や駅まで千歩友誘ひ 畑田増江 春燈 201009
葉桜や失敗も手の大道芸 時田義勝 やぶれ傘 201009
真田山葉桜被い幼寄る 島純子 ぐろっけ 201009
葉桜や白壁黒き施錠して 瀬川流一 六花 201009
葉桜の闇の入口見つからぬ 大西順子 ろんど 201009
葉桜や膝に木洩日の揺れゐたる 矢崎暉文 酸奬 201009
葉桜や寄進瓦を高く積み 中条さゆり 201010
葉桜や死が分かつとは何年後 高橋秋子 201011
葉桜やとてとて走る二歳半 柿沼盟子 風土 201101
存在をひそめたるより葉桜に 稲畑汀子 ホトトギス 201105
葉桜の影を貰ひて通りけり 稲畑汀子 ホトトギス 201105
葉ざくらを包む葉ざくら遠筑波 布川直幸 201105
一天を潮騒となす葉櫻は 鳥居おさむ ろんど 201105
葉桜や埋木新たな仁王像 山田六甲 六花 201105
葉桜となりし夜風のかたちかな 山尾玉藻 火星 201106
葉桜や子育地蔵上の坂 須賀敏子 あを 201106
葉桜や鉄剤をのむ水の味 竹内弘子 あを 201106
葉ざくらやぽつりとありし朝礼台 森理和 あを 201106
葉桜のざはめく力漲りて 宮田香 201107
葉桜の公園喫茶ハーブティー 和田郁子 201107
葉桜の風のささやき川に沿ひ 和田郁子 201107
静けさの葉桜もよし遊歩道 長濱順子 201107
葉桜を仰ぐも旅の愁ひかな 安立公彦 春燈 201107
葉桜や礼節守る陸奥の人 小山繁子 春燈 201107
葉ざくらや病む友遠く移り行く 西躰いとの ぐろっけ 201107
葉桜の道ひとすぢに神座す 豊田都峰 京鹿子 201107
図書館を出でて葉桜仰ぎけり 戸谷たみ子 酸漿 201107
葉桜のそよぎに見ゆる一花あり 松元末則 酸漿 201107
葉桜や髪ととのへて女坂 橋本正二 201107
墨堤の葉桜の蔭濃かりけり 丑久保勲 やぶれ傘 201108
弘法寺や句碑の桜は葉桜に 久世孝雄 やぶれ傘 201108
葉桜や母の形見の帯を締め 門伝史会 風土 201108
葉桜や女人高野の乳房絵馬 田中佐知子 風土 201108
葉桜の奥や少年太子像 内藤静 風土 201108
葉桜の声賑々し夜の道 中島節子 春燈 201108
葉ざくらや谷戸塞ぐ雲広がりて 小川涼 201108
葉桜や医師として診る我が子の歯 白木原裕毅 201108
葉桜や採決万場一致にて 渕田則子 201108
葉桜やもぐらのやうなバス通る 大場ましら 201108
葉桜の風の日和や父恋し 城孝子 火星 201108
葉桜や氏を違へてあねいもと 大山文子 火星 201108
葉桜になりて米寿に近づきぬ 久津見風牛 201108
玄室にゐるやうな葉桜の下 近藤喜子 201108
葉桜や忘れおもちやの砂まみれ 松下八重美 201108
葉桜の風音変はるたび光る 笹村政子 六花 201108
葉桜の山の一樹となりにけり 藤生昇三 六花 201108
葉桜や墓地の坂道空晴れて 増田一代 201109
葉桜や道にせり出す小物売 渡邊英子 馬醉木 201109
葉桜の影の飛白の続く道 宮崎高根 201109
葉桜や蓮如残せし正信偈 尾崎みつ子 雨月 201109
葉桜の木洩れ日余震なほ潜む 中島讃良 ろんど 201110
木洩日を攫ひ行く風葉桜に 稲畑汀子 ホトトギス 201205
葉桜の庭に水音風の音 稲畑汀子 ホトトギス 201205
葉櫻のまつ只中に残されし 竹貫示虹 京鹿子 201205
葉桜の夜は夜で痩せし空也かな 山尾玉藻 火星 201205
葉櫻の夜みちは遠出せし思ひ 井上信子 201205
葉桜や膠の煮ゆる三味線屋 小林愛子 辻楽師 201206
葉櫻に山肌若くなりにけり 安藤虎酔 かさね 201206
葉桜や午後は睡たき女学生 徳田千鶴子 馬醉木 201206
葉桜や作務衣着こなす僧侶なり 中山静枝 201206
葉脈の歯応への美し桜餅 石倉千賀子 ろんど 201206
参籠の七日を過ぎて葉桜に 木村茂登子 あを 201206
葉桜や出奔も家出もせず 竹内弘子 あを 201206
葉桜や鐙いくたび踏み外す 瀬戸悠 風土 201207
葉ざくらや成東不動長勝寺 小林共代 風土 201207
葉桜や十三回忌の案内受く 米田文彦 かさね 201207
葉桜や小学生の金釦 鈴木鳳来 春燈 201207
葉ざくらやマヌカン上目がちに佇つ 小山繁子 春燈 201207
葉桜の静かな下となりにけり 堀志皋 火星 201207
葉桜の径の翳りに身を添はす 宮内とし子 201207
葉ざくらとなり露座仏のやすらげり 藤原照子 201207
葉桜の木洩れ日浴びる気功かな 高橋和枝 201207
葉桜や湖北に隠れ観世音 柴田朱美 京鹿子 201207
葉桜や木椅子ひとつの駐在所 柴田朱美 京鹿子 201207
葉桜となつて言葉を濁すのみ 柴田朱美 京鹿子 201207
葉桜や余生は歩幅ゆつくりと 柴田朱美 京鹿子 201207
葉桜や古塔にをとこの一挿話 柴田朱美 京鹿子 201207
葉桜や扉大きく格納庫 根橋宏次 やぶれ傘 201207
葉桜や何かと言へば公民館 柴田志津子 201208
葉桜や旧姓で呼ぶ同期会 田代貞枝 201208
葉桜の隈取り太し隅田川 久染康子 201208
葉ざくらや母はかの世も黒髪か 礒貝尚孝 201208
葉桜の風こまやかに五月来る 田中佐知子 風土 201208
葉桜の中へ奥へと郵便車 高村令子 風土 201208
葉桜や湖のほとりに舟干され 黒滝志麻子 末黒野 201208
葉桜や社への道幾曲り 吉田きみえ 末黒野 201208
葉桜やさらり断捨離完了す 土居通子 ろんど 201208
葉桜や新聞を読み本を読み 川上久美 ろんど 201208
葉桜やまんなかといふことはなく 豊田都峰 京鹿子 201208
葉桜や紙縒りで綴ぢし祖父の文 山本耀子 火星 201208
乱雑に日が過ぎ桜葉となれり 中條睦子 万象 201208
葉桜に陰生まれつつ昼深し 今井千鶴子 ホトトギス 201209
葉桜や心礎は子らの鬼の陣 小森泰子 馬醉木 201209
葉桜や老人体操背を曲げて 柴田志津子 201209
葉桜や語るに遠きことばかり 松田明子 201209
葉桜やドラムヘ拍手なりやまず 室谷幸子 万象 201209
葉桜や足より拾ふ姉の骨 白水良子 201210
葉桜に青き地球の深まりぬ 森田子月 ぐろっけ 201210
葉桜や帰国叶へど単身に 小川龍雄 ホトトギス 201301
葉桜となり素通りの道となる 稲畑汀子 ホトトギス 201305
葉桜やさらでも青き墓の径 竹内弘子 あを 201305
旧友と飲み語らひて葉桜や 柳田晧一 かさね 201306
葉ざくらや三面鏡をひらくころ 佐藤喜孝 あを 201306
葉櫻や請負業に遠図あり 吉弘恭子 あを 201306
葉櫻の蕊の色香を満喫す 吉弘恭子 あを 201306
葉桜やさうでがんすと風そよぐ コ田千鶴子 馬醉木 201307
葉桜や大道芸の切り口上 持田信子 春燈 201307
葉桜や護岸工事の始まれり 青木英林 かさね 201307
葉桜の天ひかりをり利根堤 柳田晧一 かさね 201307
葉桜に喧噪遠くなりにけり 小柳千美子 かさね 201307
葉桜に忍びのごとく毛虫這ふ 後藤克彦 かさね 201307
葉桜の合間にみゆる白き富士 吉田博行 かさね 201307
葉桜の根方に野花咲き乱れ 吉田博行 かさね 201307
葉桜や朝の散歩の身は軽し 菊地崇之 かさね 201307
葉桜に一番乗りの若木なり 長崎桂子 あを 201307
葉桜やいつも誰かが石の椅子 長崎桂子 あを 201307
葉桜の木漏れ日なれば疑はず 長崎桂子 あを 201307
葉桜や上り下りの電車過ぐ 長崎桂子 あを 201307
葉桜を通り抜けたり祖父の墓 長崎桂子 あを 201307
葉桜や木枯句碑に影生まれ 渡辺数子 火星 201309
葉桜や会ふより別れ多くなり 五十嵐章子 201401
葉桜の過去は語らずしづもれる 稲畑汀子 ホトトギス 201405
葉桜になりてしづけき心かな 稲畑汀子 ホトトギス 201405
黄桜も枝垂桜も葉桜に 稲畑汀子 ホトトギス 201405
零すもの木洩日ばかり葉桜に 稲畑汀子 ホトトギス 201405
葉桜の木洩日さへも消えしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201405
快晴の影葉桜に置き初めし 稲畑汀子 ホトトギス 201405
葉櫻の道のかたへに住み古りて 井上信子 201406
葉桜や古稀の月日は銀色に 豊田信子 201406
葉桜や見知らぬひとが手を振るよ はしもと風里 201406
葉桜やためらひもなく夜爪切る 宮崎左智子 201406
葉桜に降りそそぐ日のやはらかな 辰巳あした 雨月 201406
葉櫻に泌み泌みといふ音の雨 井上信子 201407
葉桜や流るる雲を透かし見て 塩路五郎 201407
葉桜や有機卵の特売日 常田創 201407
葉桜や昭和引き摺る駐屯地 前田美恵子 201407
葉桜や子捕ろ子捕ろと鬼子母神 柴田志津子 201407
葉桜やコーヒータイムの午後三時 山田暢子 風土 201407
葉桜の昔失くせし腕時計 藤原冬人 火星 201407
葉桜の渦へ迫り出す吉野建 長谷川翠 馬醉木 201407
葉桜となりて制服板につき 榎本ふじえ 風土 201407
葉桜となりてをさまる並木かな 大坪景章 万象 201407
葉桜となりてより日の過ぐるまま 松村光典 やぶれ傘 201407
葉桜となりて重たき並木かな 中里よし子 春燈 201407
葉桜の影落とす夜の幼稚園 常田希望 201407
葉櫻に雨来て夜闇うすれたる 井上信子 201407
葉桜や日の斑の揺るる石の椅子 福山和枝 201408
葉桜や特攻兵の征きし町 坂上香菜 201408
葉桜や金の揚羽の釘隠し 生田恵美子 風土 201408
葉桜や音痴の抜くる路地の奥 西谷良樹 春燈 201408
葉桜や一人足らぬを思ひをり 青山正生 201408
葉桜の道をたどりて初夏の風 筒井八重子 六花 201408
葉桜の歓声あげて風弾く 石川寿夫 ろんど 201408
葉桜に糠雨降らす隅田川 中島玉五郎 201408
葉桜となりて山風湿りたり 田賀楳恵 万象 201408
葉ざくらや父の名刻む碑に佇ちて 堀田こう 雨月 201408
葉ざくらや捨てられてある魔法瓶 竹内悦子 201408
葉ざくらの影の深きに停留所 礒貝尚孝 201408
葉桜にかこまれて身を養へり 中山純子 万象 201408
葉桜の天蓋一葉文学碑 林いづみ 風土 201408
陸橋に届く葉桜小さき実も 宮地静雄 末黒野 201408
葉桜や宴の後の佇ひ 藤波松山 京鹿子 201409
葉桜の包みこみたる志 熊谷ふみを ろんど 201409
葉桜の洩れ日の音に待ち合はす 河村啓花 ろんど 201409
葉ざくらのその後だはだは風の道 内山萬壽 京鹿子 201409
葉桜や二朝の御座を画す塀 原田達夫 201409
葉桜の日の斑を散らし少女像 田岡千章 201410
葉桜に雨ゝゝゝゝぽつぽつぽつぽつ 高橋龍 201410
話題なき葉桜の道素通す 鈴鹿仁 京鹿子 201411
葉ざくらや束ねて厚き父の文 戸栗末廣 201503
葉桜 →6      

 

2021年5月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。