走り蕎麦   122句

木曽川の縹色増す走り蕎麦    清水保

走り蕎麦  新蕎麦

作品
作者
掲載誌
掲載年月
大川の船の音きく走り蕎麦 藤井昌治 199912
蕎麦湯にもそれと分かる香走り蕎麦 伊藤トキノ 200002
よろこびて暖簾はためく走り蕎麦 林翔 200010
三人前二人に賜ふ走り蕎麦 二瓶洋子 六花 200103
杣人に帽子見られつ走り蕎麦 大山文子 火星 200201
茶屋床几据り悪しくて走り蕎麦 高見岳子 雨月 200201
アルプスの冷迫り来る走り蕎麦 高見岳子 雨月 200201
乗換の駅で立ち喰ひ走り蕎麦 久保恵子 200202
夕風の吹き入る佐久や走り蕎麦 水原春郎 馬醉木 200210
与謝見ゆる峠の茶屋の走り蕎麦 長谷川通子 雲の峰 200212
十人ほど相席となる走り蕎麦 竹内弘子 あを 200212
赤坂やビルのはざまの走り蕎麦 佐藤千代子 帆船 200301
走り蕎麦風の道なる峠茶屋 飯塚久美子 対岸 200310
庭竹の影を障子に走り蕎麦 鷹羽狩行 200311
太白や限定二十の走り蕎麦 佐々木悦子 帆船 200311
テーブルを何度も拭けり走り蕎麦 斉藤利枝子 対岸 200312
久慈川に風波のたち走り蕎麦 五十嵐暢子 対岸 200403
伊賀越えに一息つきて走り蕎麦 中山勢都子 200412
降りて来し峯正面に走り蕎麦 金子孝子 200412
武蔵野は風のひと葉の走り蕎麦 原嶋光代 草の花 200412
走り蕎麦一と日じまひの客となる 中谷葉留 風土 200412
鼻外しピエロのすする走り蕎麦 亀澤淑子 万象 200502
走り蕎麦東夷で良かりけり 渡辺隆 遠嶺 200502
挨拶の温き下町走り蕎麦 田中矢水 遠嶺 200503
街道を御嶽颪走り蕎麦 渡辺淳子 八千草 200504
永らへていくたびの秋走り蕎麦 生方ふよう 200512
相席に笑顔賜り走り蕎麦 永田歌子 遠嶺 200601
喉ごしで味はへといふ走り蕎麦 鷹羽狩行 200610
走り蕎麦むかし陣屋の煤けやう 館容子 200611
幟立つ平家の里の走り蕎麦 浜福恵 風土 200611
草葺に媼の鬻ぐ走り蕎麦 石川龍士 春燈 200612
終着の駅に大釜走り蕎麦 佐藤哲 万象 200701
格子風気儘に通し走り蕎麦 鈴鹿仁 京鹿子 200701
鬼平のゐさうな小路走り蕎麦 小林眞彦 遠嶺 200702
江戸前の口して走り蕎麦啜る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200710
走り蕎麦生国知らず氏知らず 水原春郎 馬醉木 200711
胡弓聴きつつ「風庵」の走り蕎麦 小山徳夫 遠嶺 200712
古びたる卓のよろしさ走り蕎麦 木内憲子 200712
杉箸の水平に割れ走り蕎麦 中坪一子 200801
天領の鼻筋高し走り蕎麦 高田令子 200801
熱ある日素直に啜る走り蕎麦 猪爪皆子 200812
蔵町に連れとはぐれて走り蕎麦 佐藤雄二 万象 200812
馬産地の馬の銅像走り蕎麦 中田禎子 白猪 200901
入れ込みの縞座布団や走り蕎麦 根橋宏次 やぶれ傘 200901
大玻璃の向うは浅間走り蕎麦 齋藤朋子 やぶれ傘 200901
つま先にせまる山影走り蕎麦 峰幸子 200912
吹き冷ます電車待つ間の走り蕎麦 外山節子 末黒野 201001
渓流をのぞむ老舗の走り蕎麦 今井松子 遠嶺 201001
白黒の映画のあとの走り蕎麦 半澤正子 馬醉木 201001
千社札べたべた貼られ走り蕎麦 深川敏子 春燈 201001
飛騨の昼少し固めの走り蕎麦 古田かつみ 201001
昼酒の一合に足り走り蕎麦 水原春郎 馬醉木 201011
走り蕎麦水は水車を駈けのぼる 柴田久子 風土 201011
しもたや風の二階に上る走り蕎麦 竹内弘子 あを 201012
タクシーの奨めの昼餉走り蕎麦 北尾章郎 201101
山里の無二の豊楽走り蕎麦 岩永充三 201101
箸置にあけびの蔓を走り蕎麦 安藤久美子 やぶれ傘 201101
木漏日の箸にこぼるる走り蕎麦 西山美枝子 酸漿 201101
水音の止まぬ戸隠走り蕎麦 有賀昌子 やぶれ傘 201101
骨董のそば猪口添へてはしり蕎麦 丹生をだまき 京鹿子 201102
走り蕎麦眼下に碧き奥多摩湖 渡辺玄子 酸漿 201102
竹笊にぼつち盛りする走り蕎麦 有賀昌子 やぶれ傘 201104
相席の講釈もきき走り蕎麦 コ田千鶴子 花の翼 201111
走り蕎麦つもる話はさて置いて 金山雅江 春燈 201112
軒連ねいづれも元祖走り蕎麦 城戸緑 末黒野 201112
走り蕎麦田舎にもある予約席 松田泰子 末黒野 201112
信濃への旅一つには走り蕎麦 赤座典子 あを 201112
丈揃ふ北信五岳走り蕎麦 白神 かさね 201201
風変り六根清浄走りそば 宮崎左智子 201211
山寺や旅の終りの走り蕎麦 川井素山 かさね 201211
落葉松の風聴いてをり走り蕎麦 徳田千鶴子 馬醉木 201211
関所跡訪ねてよりの走り蕎麦 三好かほる 万象 201211
北斎の雨の斜めや走り蕎麦 金山雅江 春燈 201212
小石ふむ路地のまだあり走り蕎麦 菊地光子 201212
走り蕎麦打つ名水を惜しみなく 上田玲子 201212
火の山の水を先づほめ走り蕎麦 浜口高子 火星 201301
昼席の寄席の戻りや走り蕎麦 水原春郎 馬醉木 201312
山里の香りの強き走り蕎麦 青木英林 かさね 201312
走り蕎麦信濃訛も味のうち 小倉正穂 末黒野 201401
合掌の屋根に誘はれ走り蕎麦 中田みなみ 201401
品書の紙の白さや走り蕎麦 前田忍 火星 201402
古書街の戻りの神田走り蕎麦 水原春郎 馬醉木 201403
走り蕎麦通のふりして十割を 斉藤裕子 あを 201409
浅間嶺の煙あはあは走り蕎麦 浜口高子 火星 201411
走り蕎麦延命そばと呼ばれゐて 安藤久美子 やぶれ傘 201412
稿終へて何はともあれ走り蕎麦 園部早智子 ろんど 201412
村道の古暖簾押し走り蕎麦 相沢有理子 風土 201412
打ち粉振る量も勢ひも走り蕎麦 三留早苗 201501
戸隠の奥杜に詣で走り蕎麦 齋藤朋子 やぶれ傘 201502
将門の在所にすする走り蕎麦 佐渡谷秀一 対座 201505
戸隠の山気まとふや走り蕎麦 鈴木静恵 花こぶし 201508
走り蕎麦水車は湖の風まはし 田中珠生 馬醉木 201511
走り蕎麦富士湧水を存分に 鈴木齊夫 201512
美味しさに言葉もなくて走り蕎麦 岡山敦子 京鹿子 201512
教会も出前頼むか走り蕎麦 名和政代 万象 201512
浅間から小諸に抜けて走り蕎麦 柿沼盟子 風土 201512
信濃路や走る目当ての走り蕎麦 宮ア他異雅 末黒野 201601
もう出たか神田の藪の走り蕎麦 遠藤逍遙子 風土 201602
古びたる魚拓に見入り走り蕎麦 加藤季代 万象 201602
石臼の粉引く匂ひ走り蕎麦 山本無蓋 201602
卓ごとに違ふ野の花走り蕎麦 田代民子 201602
走り蕎麦虚子も訪ひたる老舗かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
走り蕎麦虚子も訪ひたる老舗かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
客二人増えて準備の走り蕎麦 稲畑汀子 ホトトギス 201610
火を噴きし後の御嶽走り蕎麦 室伏みどり 雨月 201611
走り蕎麦主のくせ字太きかな 鈴鹿呂仁 京鹿子 201611
相席の講釈すする走り蕎麦 鈴鹿呂仁 京鹿子 201611
太梁の下に待たされ走り蕎麦 笹村政子 六花 201612
こともなき晩年とこそ走り蕎麦 田中珠生 馬醉木 201701
寄席の後小路老舗の走り蕎麦 鈴木漱玉 馬醉木 201701
山国の水の切れ味走り蕎麦 木村美翠 201701
走り蕎麦家並みは梲競ふごと 有賀昌子 やぶれ傘 201712
考と酌む蓮玉庵の走り蕎麦 小林共代 風土 201801
光国の此度の旅は走り蕎麦 植村蘇星 京鹿子 201802
左曲りの神田つ子走り蕎麦 中島陽華 201802
走り蕎麦山の香ほのとまとひけり 持田信子 春燈 201812
手の甲の皺また増えて走り蕎麦 遠山悟史 京鹿子 201901
保安帽ごろりと横に走り蕎麦 岸洋子 201907
殿様の借入文書走り蕎麦 延川五十昭 六花 201911
本門寺茶屋に啜りし走り蕎麦 稲畑廣太郎 ホトトギス 201911
地酒酌み塩で頂く走り蕎麦 田中信行 201912
走り蕎麦手ざはり荒き伊賀の猪口 岡尚 風土 202001
吟行や昼餉に啜る走り蕎麦 池谷鹿次 末黒野 202002
ちよいと汁つけて御岳の走り蕎麦 秋山信行 やぶれ傘 202002
湧き水や武州門前走り蕎麦 吉清和代 202011
噺家の手繰りの粋や走り蕎麦 吉村涼子 202201
固茄でと一声掛ける走り蕎麦 吉村涼子 202201
走り蕎麦庭に足踏み脱穀機 瀬島洒望 やぶれ傘 202201
相席は若狭ことばよ走り蕎麦 小原芙美子 風土 202202
子の暮し親の暮しや走り蕎麦 三井所美智子 202210

 

2023年10月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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