春の土      170句

春の土  土の春  土匂う

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春の土踏めば崩るる畦を行く 稲畑汀子 ホトトギス 199903
稲城野に降り立ちてより春の土 稲畑廣太郎 ホトトギス 199903
火山灰地帯黒々として春の土 稲畑汀子 ホトトギス 199903
幼子を受け止め春の土柔く 稲畑廣太郎 ホトトギス 199903
春の土ヒールを少し低くして 稲畑廣太郎 ホトトギス 199903
彩少しほぐれ初めたる春の土 稲畑廣太郎 ホトトギス 199903
無農薬野菜は春の土の味 辻享子 ヒッポ千番地 199908
万物の創世秘めて春の土 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
新しき靴の馴染みて春の土 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
ひそめたる命の気配春の土 稲畑汀子 ホトトギス 200003
庭師来て少し加へぬ春の土 稲畑汀子 ホトトギス 200003
春の土軽々と娘は入院す 稲畑廣太郎 ホトトギス 200003
薔薇色の目薬こぼる春の土 志方桜子 六花 200005
篩三たびくぐりし春の土なりし 奥田節子 火星 200005
春の土石を包みてにほふなり 仲村青彦 200006
ペンをとる爪の中から春の土 水野範子 ぐろっけ 200007
鶏が歩みてゆるぶ春の土 佐渡美佐子 ヒッポ千番地 200008
スカートをちょっと短く春の土 塩見恵介 船団 200008
ふすふすと斜面流れる春の土 葉月ひさ子 船団 200008
脚出して飛行機の着く春の土 中原幸子 「遠くの山」 200010
皆おりる私もおりる春の土 中原幸子 「遠くの山」 200010
とんがりコーンぽろぽろこぼれ春の土 小林恵美子 船団 200010
くすぐったいくちばしだよね春の土 小林恵美子 船団 200010
春の土何か植ゑんとほぐしをり 能村登四郎 200104
春の土手犬に欠伸を流行(うつ)さるる 篠田純子 あを 200104
鋤き込みし日射匂ふや春の土 増田松枝 馬酔木 200106
十本の指がひらくよ春の土 笠学 船団 200108
春の土をママさんバレー荒らしけり 笠学 船団 200108
ひそかなる湿りがよけれ春の土 能村登四郎 羽化 200110
春の土もてあそびゐて充つるこころ 能村登四郎 羽化 200110
しづしづと鉄骨刺さる春の土 内田美紗 船団 200110
春の土何か植ゑむとほぐしをり 能村登四郎 羽化 200110
春の土起こして鉄の匂ひせり 広渡紀子 200202
春の土こぼしてゆくよ猫車 柳沢杏 酸漿 200204
早春の土の匂いぞ庭仕事 延川五十昭 六花 200205
石積の段々畑や春の土 谷合青洋 酸漿 200205
放たれし犬の掻き出す春の土 山下青坡 200205
春の土恃みて植うるもののあり 小田ひろ 円虹 200205
春の土犬の鼻先よろこべる 杉浦典子 火星 200206
春の土踏んで癒えたき心切 下田水心子 円虹 200206
公園の花壇に満たす春の土 田中武彦 六花 200207
雌鶏がひよこに掘れる春の土 小松鈴子 酸漿 200207
首を振りては馬が掻く春の土 高橋将夫 200207
スパイクの跡はつきりと春の土 高橋三界 200207
土手のぼる足にほくほく春の土 早崎泰江 あを 200304
老犬の歩みに合はせ春の土 佐藤瑛 帆船 200304
切り爪に少し残りし春の土 佐方敏明 ぐろっけ 200306
春の土本降り吸つてふくらんで 廣島泰三 200307
誰にでも話しかけるよ春の土 山田六甲 六花 200403
春の土靴底からの弾みあり 長谷川鮎 ぐろっけ 200403
記憶みな父とつながる春の土手 橘沙希 月の雫 200404
春の土広々として黒々と 高木武人 百鳥 200405
春の土手ころぶ仔犬の毛むくじやら 那須淳男 馬醉木 200405
早春の土手にオカリナ吹く少女 榊原百合子 ホトトギス 200406
早春の土手ゆく歩数かぞへつつ 辻千緑 ホトトギス 200406
春の土丸めて捏てをりにけり 岩下芳子 200406
雨ほしき日日でありけり春の土 小松崎緑 対岸 200406
鋤き返す春の土くれすぐ乾く 井之口貢久 対岸 200407
不可能の不をころがしぬ春の土手 山元志津香 八千草 200409
人間は二足歩行や春の土 稲畑廣太郎 ホトトギス 200503
喝食の掘りおこしをる春の土 延広禎一 200505
雄鶏の立春の土浴びてをり 藤田満枝 万象 200505
春の土均せしシャベル立てておく 杉浦典子 火星 200505
春の土鼬の骸さらしけり 大串章 百鳥 200506
春の土野球に励む子らの声 飛山ますみ 遠嶺 200506
春の土掘りかへしては笑顔かな 甲斐のぞみ 百鳥 200507
ビニール袋の春の土買ひにけり 浜口高子 火星 200507
牛の喉おほどかにたるみ春の土 瀧春一 菜園 200509
風折れの枝束ねおく春の土 竹内弘子 あを 200604
菜園のほくほく返す春の土 窪田粧子 馬醉木 200606
こごみ採る両手に春の土匂ふ 国永靖子 ぐろっけ 200607
佇めば見えて来るもの春の土堤 丹生をだまき 京鹿子 200607
春の土ほぐせば気持ほぐるるや 亀ヶ谷照子 遠嶺 200607
朝の間のしめり乾きて春の土 稲畑汀子 ホトトギス 200703
坪庭のくらしにゆとり春の土 池崎るり子 六花 200704
立春の土もり上がる歓喜かも 松原仲子 200704
横たふる身にしめり来る春の土 ことり 六花 200704
立春の土を返せば凭れ合ひ 戸栗末廣 火星 200705
平成の生れ子ばかり春の土 加藤君子 火星 200707
菩提寺の命継ぎゆく春の土 野村邦男 八千草 200709
手や足の喜んでゐる春の土 白井爽風 馬醉木 200711
産土の春の土より水の音 雨村敏子 200801
子(ね)の春の土鈴鳴らして見るもひとり 大橋敦子 雨月 200803
足跡の壊れ易さや春の土 大島英昭 やぶれ傘 200806
球児等の踏み固めたる春の土 安田久太朗 遠嶺 200806
誕生も死もみな春の土の中 高橋将夫 200806
竹林の絆よろこぶ春の土 鈴木直充 素影 200811
にはとりのこつこつコッコッ春の土 西宮舞 200906
春の土手行くまんまんの下心 小形さとる 200906
春の土石けり遊び切りもなし 佐藤喜仙 壁炉 200911
春の土手船が出るぞの声欲しき 清水伊代乃 酸漿 201005
春の土隅のすみまで土竜塚 中村恭子 201005
春の土積んでおろして猫車 松田明子 201006
もうもうと息を吐きたる春の土 山口裕子 万象 201007
川下る荷船に匂ふ春の土 橋本くに彦 ホトトギス 201009
膝つきてひざの形に春の土 樋口みのぶ 201104
昨夜よりの雨に膨らむ春の土 川村亘子 末黒野 201104
春の土汝が待つ墓へやはらかし 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
兄と行く昔語りの春の土手 斉藤裕子 あを 201105
転倒の膝ににほへり春の土 井口初江 酸漿 201105
春の土しなやかに雀舞ひ降りぬ 金森涼 春燈 201106
春の土見るさへむごき津波来し 稲岡長 ホトトギス 201107
農園に掘り起されて春の土 秋山信行 やぶれ傘 201107
鍬入れて十指のほぐす春の土 大川暉美 末黒野 201204
躍動やささら獅子ける春の土 辺見侑子 万象選集 201205
カンパニュラの名札立てられ春の土 高尾豊子 火星 201205
スコップに伝はる温さ春の土 笠井清佑 201206
春の土均せしシャベルぬれてをり 杉浦典子 火星 201206
春の土蹴りてかろがろ逆上がり 藤田かもめ ぐろっけ 201207
春の土盛り上げてをるショベルカー 前田美恵子 201207
新句碑を据ゑて寄せけり春の土 安原葉 ホトトギス 201208
ひと鍬ごと風に乾きて春の土 大内幸子 六花 201212
春の土耳傾ける薬師の目 篠田純子 あを 201305
二羽三羽鴉の遊ぶ春の土 早崎泰江 あを 201305
移植ごて入れ柔らかき春の土 福田房子 末黒野 201306
春の土除染と言ひて囲はるる 相良牧人 201306
春の土えいと持ち上げ運びおり 中居由美 船団 201306
骨壺やいのち抱ける春の土 雨村敏子 201306
初陣の牝馬荒ぶる春の土 森岡正作 201404
日当るも日当らざるも春の土 川崎良平 雨月 201404
西行も母も混じりで春の土 熊川暁子 201405
海からの日差し鋤き込む春の土 武政礼子 雨月 201405
春の土耕してをる寿限無かな 雨村敏子 201406
四季といふ生命感ずる春の土 江島照美 201406
駆ける子の白靴にちょと春の土 岡崎禎子 201406
太陽へ裏返されて春の土 松田泰子 末黒野 201407
春の土子らの軍手の真新し 古川夏子 201408
ポケットにオカリナ覗く春の土手 三木千代 201502
ごろごろと根っこ載せてる春の土 赤座典子 あを 201505
早春の土手を人声通りけり 白石正躬 やぶれ傘 201506
手にとつて春の土嗅ぐ農夫かな 山田春生 万象 201506
夕暮や象の背中の春の土 高田留美 船団 201508
馬跳びのうまよろけをり春の土 原田達夫 箱火鉢 201511
春の土活断層を宥めつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
春の土地球の底は忙しく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
群雀下りきてしばし春の土 佐藤良二 末黒野 201604
朝の日にほつこり動く春の土 阪倉孝子 201605
存分に日を鋤き込みし春の土 久保東海司 201606
指穴に種をひと粒春の土 荒井和昭 201606
春の土へ下ろす稚歯の二本生え 松本三千夫 末黒野 201606
春の土とは出来たての土竜塚 松井志津子 201704
こんなにも碧空立春の土を掘る 上野紫泉 京鹿子 201705
故郷と思ひて春の土を踏む 安居正浩 201705
春の土猫車より躍り出づ 辻由紀 雨月 201707
にはとりの掻く蹲る春の土 内藤静 風土 201706
春の土踏みつつ節記念館 竪山道助 風土 201706
靴下を脱ぎ確かめむ春の土 志方章子 六花 201707
春の土手なないろ日和となりにけり 赤岡茂子 春燈 201707
走り根の鷲掴みせる春の土 志方章子 六花 201708
春の土水惑星の目覚かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
春の土より立ち上る志 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
マニキュアの指ざつくりと春の土 中田禎子 201805
掌にふはりと掴む春の土 志方章子 六花 201807
春の土匂ふ石蹴り遊びの子 工藤ミネ子 風土 201905
地下足袋の親指その他春の土 つじあきこ 201906
倒木の根に春の土柔らかに つじあきこ 201907
膝ついててのひらついて春の土 佐藤喜孝 あを 202005
草の根のほろほろ春の土匂う つじあきこ 202006
何の墓かしらこんもりと春の土 辻水音 202007
パラと来て色変はりたる春の土 丑久保勲 やぶれ傘 202105
黒々と生気みなぎる春の土 後藤眞由美 春燈 202105
一回の二失点追ふ春の土 森なほ子 あを 202105
春の土掘りすぎて地球の匂ひ 三木亨 202106
靴底にかすかな温み春の土 相川健 202110
春の土掬ひおもちやのショベルカー 中根美保 風土 202206
垣手入されて舗道へ春の土 渡邊孝彦 やぶれ傘 202206
跡継ぎの畑の足袋跡春の土 平澤侃 末黒野 202206
春の土一歩一歩に弾みけり 根岸善行 風土 202207
道産子の蹄濡れをり春の土 小坂尚子 202210
姿見せぬ土竜の起こす春の土 横田敬子空 202211

 

2023年2月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。