春一番 4       156句

春一番ひと文字にして大誤植   塚原哲   歳時記(講談社)

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春一番ドーナツの穴通りけり 吉田希望 201004
ガチャ万のむかし問屋や春一番 増田一代 201004
春一番言葉忘じし鸚鵡かな 塩路五郎 201004
春一番晩年といふ坂長し 水原春郎 馬醉木 201004
春一番気高き紫衣の尼の声 小林成子 201005
表札の名は旧姓へ春一番 中島玉五郎 201005
春一番二番やひかり野に山に 大島翠木 201005
春一番自転車あまた薙ぎ倒し 芝宮須磨子 あを 201005
錻力屋の向ひ豆腐屋春一番 田中藤穂 あを 201005
らーめんの旗にことさら春一番 木村茂登子 あを 201005
ビル街を春一番が駆け巡る 三川美代子 201006
烏帽子岩春一番に曝されり 鈴木一三 末黒野 201006
春一番杖つく妻を抱へけり 鈴木一三 末黒野 201006
今もなほ多陀用弊流国ただよへるくに春一番 相良牧人 201006
打ち返すハングルメール春一番 村戸弥生 万象 201006
艫綱の軋む音なり春一番 浜田南風 201006
春一番無用の黄沙伴ひて 仙石君子 雨月 201006
春一番毀れし傘を攫ひゆく 生田喬也 201006
春一番この世にあれば世を憂ひ 守屋井蛙 酸漿 201006
双肩とおもき言の葉春一番 吉弘恭子 あを 201006
愚図ぐずと返事ためらふ春一番 吉弘恭子 あを 201006
春一番メタセコイアの毅然たる 渡辺和夫 ろんど 201007
春一番やみし岩礁九絵ねむる 佐藤美紀 ろんど 201007
野に山に春一番が運ぶもの 小川みゆき ホトトギス 201012
電線を春一番がこえてゆく 安部里子 あを 201103
春一番鳴つてゐるのは山祠 豊田都峰 京鹿子 201104
春一番浅草橋の行交ひに 芝宮須磨子 あを 201104
太極拳春一番に動ぜざる 北尾章郎 201105
待望の雨連れて来し春一番 落合晃 201105
春一番花粉まみれとなりにけり 粟倉昌子 201105
春一番スカイツリーは風の上 松崎雨休 風土 201105
春一番だんまりといふ反論も 北川孝子 京鹿子 201105
春一番一機ぐんぐん天頂へ 上原重一 201105
ペダル漕ぐ春一番が背中押す 中山静枝 201105
荒川に春一番の波立てり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201105
春一番踊子草の乱舞あり 伊藤一枝 酸漿 201105
今日やる気春一番が押し戻す 伊東和子 201106
雪国の春一番といふ便り 安原葉 ホトトギス 201106
春一番嬰児腕に微睡めり 石川孝子 酸漿 201106
空焦す春一番の吹返し 根岸善行 風土 201106
リビングのどこかざらりと春一番 今橋眞理子 ホトトギス 201107
春一番地震に消えたる生活の灯 大場ひろみ 馬醉木 201110
目から鱗春一番が落しゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
庭の景春一番に歪みゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
春一番虚子百三十七歳に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
狼籍は春一番か野良猫か 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
この先は春一番も拒む丘 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
昨日春一番今日はつくば冷 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
春一番六甲颪押し返す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
海峡を渡る大橋春一番 稻畑汀子 ホトトギス 201202
春一番吹きて昨日のなかりけり 稻畑汀子 ホトトギス 201202
弑逆の春一番といふ狂気 山﨑青史 ろんど 201202
春一番水が光となる流れ 田村加代 末黒野句集 201203
ペン皿のうすき埃や春一番 渡辺つる子 末黒野句集 201203
見得を切る役者の目力春一番 遠藤実 あを 201204
春一番吹かれ歩きの小猫かな 塩路隆子 201205
春一番花粉対策おこたらず 本郷宗祥 かさね 201205
春一番夜に入りてから静まりぬ 松岡利秋 かさね 201205
またひとつ笑ひ皺ふえ春一番 コ田千鶴子 馬醉木 201205
春一番二番三番ペン走る 水原春郎 馬醉木 201205
春一番過疎集落を責めに責め 青野安佐子 201205
春一番生命あるもの動き出す 石脇みはる 201205
産声を春一番へ放ちけり 松尾芳子 万象選集 201205
春一番二番三番花吹雪 神蔵器 風土 201205
千回目春一番の欅かな 浅田光代 風土 201205
春一番身体髪膚江戸つ子だい 古川夏子 201206
春一番音なき修羅をガラス越し 市川玲子 馬醉木 201206
春一番飛ばされさうな昼の月 熊川暁子 201206
地鎮祭玉串飛ばす春一番 松井洋子 ぐろっけ 201206
春一番助走して来る紙コップ 松本恒子 ぐろっけ 201206
春一番千畳閣を吹き抜けて 直井たつろ 風土 201206
ブールデルのベートーヴェン像や春一番 杉本薬王子 風土 201206
春一番雷門の大提灯 波田美智子 火星 201206
関取が風呂敷下ぐる春一番 助口もも 火星 201206
父といふ背番号あり春一番 小堀寛 京鹿子 201206
代筆となりし手紙や春一番 中山静枝 201206
真夜中を春一番の駈け抜ける 仁平則子 201206
那須岳を渦巻くごとく春一番 仁平則子 201206
笑ひ合ふ春一番の山の宿 仁平則子 201206
いくたびも電話るるるる春一番 鈴木セツ 201206
病む列島素通りしたる春一番 和田政子 201206
春一番誰が呼びしか父が逝く 吉野夢宙 201206
春一番過ぐ放射能を道ずれに 吉野夢宙 201206
春一番蕾はほぐるることこばみ 吉野夢宙 201206
植樹杉花粉ふりまく春一番 鎌田慶子 ろんど 201206
春一番ねぢれ棒疾き理髪店 服部早苗 201207
春一番根上り松の気迫かな 新保ふじ子 万象 201208
窓なき部屋ナースの告ぐる春一番 酒井秀郎 返り花 201211
四ツ足の爪たててくる春一番 鈴鹿けい子 京鹿子 201301
春一番汐木の嵩は貧の嵩 田中貞雄 田中貞雄句集 201301
春一番素顔どこかに飛ばされり 布川直幸 201303
共に詠み皆病み堪へて春一番 渕上千津 201304
値引札を重ね貼りして春一番 七田文子 201304
春一番別れ話は短くて 亀井紀子 201304
ビル街をいっ気に抜けて春一番 森下康子 201305
からからと空き缶寄りし春一番 柳田晧一 かさね 201305
ビル角に春一番のほこり舞ふ 柳田晧一 かさね 201305
竹やぶの乱舞となりし春一番 橋本修平 かさね 201305
春一番瞬くもなく露座仏 小島禾汀 春燈 201305
北浦の波の青さや春一番 石橋邦子 春燈 201305
春一番心の塵を払ひけり 大湊栄子 春燈 201305
春一番うすめあけてる道祖神 松井登与子 京鹿子 201305
春一番婆娑羅髪して友の来る 松井登与子 京鹿子 201305
大袈裟にはためいている春一番 鈴木初音 201305
障子穴鳴るがたのしげ春一番 中山純子 万象 201305
春一番銀のスプーンの鈍曇り 杉本光祥 201305
西安の路上の床屋春一番 仲田眞輔 ぐろっけ 201305
六地蔵の間を抜けし春一番 藤本千鶴子 火星 201305
春一番核医学室前に座す 和田政子 201305
春一番いぢめの元をさらひゆく 池田光子 201305
春一番砂塵まみれの過疎の村 青野安佐子 201305
風神の袋全開春一番 山中サク子 201305
妙齢の赤い靴下春一番 吉弘恭子 あを 201305
春一番吹きたるあとや春の風 きくちきみえ やぶれ傘 201305
壱岐白く丸く沸き立つ春一番 吉村摂護 201305
返す波龍のごとくや春一番 井手本恭子 201305
春一番梵天上がる南座に 中島陽華 201306
開梛の三毒さんぬの玉や春一番 中野京子 201306
春一番予後の検査の日なりけり 小林正史 201306
春一番西郷像に異議のあり 松川悠乃 ろんど 201306
全局がホワイトノイズ春一番 松川悠乃 ろんど 201306
春一番吹きこんでくる金物屋 松本正生 やぶれ傘 201306
春一番隠れし塵を散らしけり 三角よね子 やぶれ傘 201306
ビルの壁伝ひ歩きて春一番 松岡悠喜夫 ぐろっけ 201307
武蔵野の春一番に蘆花旧居 瀧春一 花石榴 201312
春一番一拍はやき唄ひ出し 吉田政江 201401
矯声と裏声をもつ春一番 田中貞雄 ろんど 201403
学寮の木の階軋む春一番 品川鈴子 ぐろっけ 201403
春一番近江は水のいろを立て 山尾玉藻 火星 201404
地玉子の黄身こんもりと春一番 石田阿畏子 馬醉木 201405
体当たり春一番の力かな 川南隆 ろんど 201405
春一番北山杉の砂磨き 秦和子 201405
春一番豆腐屋の腕ふやけゐる 西村節子 火星 201405
国盗りのあれよあれよと春一番 北川英子 201405
荒神を祀りたる宮春一番 黒住康晴 201405

 心筋梗塞とや緊急入院

電線のごと管貼りつけて春一番

千田敬 201405
書斎てふ男の巣穴春一番 堀口希望 201406
春一番二番いつ来る母の家 梶浦玲良子 六花 201406
春一番虫の知らせはよく当たる 柳川晋 201406
春一番新幹線が突つ走る 久世孝雄 やぶれ傘 201406
春一番上着一枚剥がしけり 松村光典 やぶれ傘 201406
春一番妻を阿修羅にモンローに 原友子 201406
春一番鎌倉街道まつしぐら 小林清彦 末黒野 201406
洋上の未来風車や春一番 鳥居美智子 ろんど 201406
バカでしょとサーファーがゆく春一番 佐藤千重子 201406
バックシャン別れた背に春一番 梨地ことこ 船団 201406
春一番小学生は駈けたがる 今橋眞理子 ホトトギス 201407
春一番山鳴いまだ消えざりし 河野美奇 ホトトギス 201407
春一番過ぎたる星座移りをり 河野美奇 ホトトギス 201407
春一番引き連れ空母帰港せり 佐藤満智子 ろんど 201407
春一番ドーナツの穴通りけり 常田希望 璦別冊 201408
春一番傍若無人に通り直ぐ 塩千恵子 201405
子供等の声さらひゆく春一番 黒澤登美枝 201405
春一番東京タワー突き抜けて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201502
春一番→ 5      

 

2021年3月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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