花 冷 6       200句

生誕も死も花冷えの寝間ひとつ   福田甲子雄   藁火

作品
作者
掲載誌
掲載年月
花冷やノブに映れる己の掌 林昭太郎 201006
しづく毎色を深めて花冷す 豊田都峰 京鹿子 201006
花冷の三日続きて満開に 高木智 京鹿子 201006
花冷の夜半のラジオに李香蘭 安立公彦 春燈 201006
花冷の息に曇りしカフェの窓 小田明美 春燈 201006
花冷えや書庫にヘッセの初版本 塩田博久 風土 201006
花冷えや猫もくしやみをとばしけり 関根喜美 201006
花冷や誰にも会はぬ山の道 松永房子 201006
花冷やシフォンケーキの泡たてる 鈴木多枝子 あを 201006
花冷の喪服の列に加はりぬ 和田森早苗 201007
花冷や人恋しげに緋毛氈 宇治重郎 201007
花冷にぬくもる茶店吉野葛 坂根宏子 201007
花冷の身体ほぐせりストレッチ 桂敦子 201007
花冷や曜変天目彩放ち 伊藤ふみ 馬醉木 201007
花冷えの法然院の磴上る 中村洋子 風土 201007
花冷えの足下に拝す忿怒仏 南宮桂子 風土 201007
花冷えの鏡にうつる鏡かな 安食守 201007
花冷えやひとの声するしもうた屋 小堀寛 京鹿子 201007
花冷えや緋鯉にひそむ水のあり 小堀寛 京鹿子 201007
花冷えや人形焼きに鳩の型 きくちきみえ やぶれ傘 201007
花冷や孔雀は羽を閉ぢしまま 齋藤朋子 やぶれ傘 201007
花冷や闇の切れ目に二条城 望月晴美 201007
花冷や一刷毛の雲動かざり 峰幸子 201007
花冷やワイングラスの脚線美 鶴見遊太 201007
丑三つの秘佛に浴湯花冷す 佐藤凉宇子 ろんど 201007
花冷えの風に書院を開け放す 丸井冬星 201007
花冷の樹下青年の白き杖 田村園子 201007
花冷や休ませてある手織機 小林愛子 万象 201007
花冷やずしり重たき夫の骨 加山ひさ子 万象 201007
花冷や幌深くして乳母車 柴田良二 雨月 201007
空席の有りと花冷えレンガ坂 静寿美子 ぐろっけ 201007
花冷えにすらと卆寿の共白髪 島純子 ぐろっけ 201007
花冷えにレガッタ漕ぎ出す大川へ 島純子 ぐろっけ 201007
花冷えや隣りのビルのボヤ騒ぎ 島本知子 ぐろっけ 201007
花冷に燗付け直す老夫婦 近藤てるよ 酸漿 201007
花冷や身になじまざるものまとひ 遠藤節子 201008
花冷えの神田古本市へかな 中村洋子 風土 201008
花冷えや鉄骨飲料てふしやいなもの 北村香朗 京鹿子 201008
花冷えや骨の節々痛みけり 北村香朗 京鹿子 201008
花冷えの遺品に異国案内書 鳳蛮華 201008
花冷えの上野二丁目借着して 松川悠乃 ろんど 201008
カレンダー剥ぐ花冷えの手なりけり 佐藤美紀 ろんど 201008
花冷えのほとけの金をくもらする 佐藤美紀 ろんど 201008
花冷に佇つ哨兵の逞しき 山口博通 ぐろっけ 201008
花冷えの廊下軋ませ本堂へ 國保八江 やぶれ傘 201008
窓越しに花冷えの街望むのみ 松村光典 やぶれ傘 201008
襟正せとの花冷の虚子忌かな 安原葉 ホトトギス 201009
花冷の花の下なる昼餉かな 河野千恵子 酸奬 201009
天地に花冷の貼りつきしまま 木村享史 ホトトギス 201010
花冷えの暗き御堂や観世音 川村亘子 末黒野 201104
花冷えのベンチに残る週刊誌 近藤幸三郎 風土 201105
花冷の逃避行めき療養めき 鈴木榮子 繭玉 201105

 娘、美菜子二十二歳にて中学卒業

花冷や父娘にことば少なくて

成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
花冷の鏡にこぼす愚痴あまた 小林成子 201106
花冷えに不安半分歯科の椅子 伊東和子 201106
花冷や地震あとの灯を慎みて 丹羽啓子 馬醉木 201106
花冷の小江戸の寺を訪ひにけり 八木岡博江 酸漿 201106
花冷えの空やむかしの石畳 山田暢子 風土 201106
花冷えの日々なり君の一周忌 山田暢子 風土 201106
花冷えや茶柱立ちしこと告げず 山田暢子 風土 201106
花冷えを断ちて心療内科室 山田暢子 風土 201106

 放哉終ひの居にて

花冷や昔の音で鳴る時計

中田みなみ 201107
花冷や鏡に愚痴をこぼしたり 小林成子 201107
花冷や音に遅れて鯉の波 大谷昌子 馬醉木 201107
花冷えを歩き続けてゐたりけり 高田令子 201107
花冷えや所在なき膝もて余す 小倉正穂 末黒野 201107
花冷や尾崎記念館に鳩の住む 深川敏子 春燈 201107
花冷えの余震ごもりとなりにけり 門伝史会 風土 201107
花冷やあをみて見ゆる盧舎那仏 上辻蒼人 風土 201107
花冷えやそばやのだしをとる匂ひ 上林富子 やぶれ傘 201107
花冷や城は静かに刻重ね 奥野初枝 万象 201107
花冷えの雲隠れにし塩の壼 福永尚子 ろんど 201107
濃れる空のみづいろ花冷ゆる 溝内健乃 雨月 201107
花冷や母に月日のまたたくま 笹村政子 六花 201107
花冷やいつもの坂を引返し 池崎るり子 六花 201107
花冷の回廊に琴並べあり 渡辺数子 火星 201107
花冷や祖母のベッドのきしむ音 涼野海音 火星 201107
葬列は花冷えの坂のぼりけり 藤井美晴 やぶれ傘 201108
花冷えのむしろに坐る宴かな 高橋均 やぶれ傘 201108
花冷えや真夜中の酒ひとり酒 高柳正幸 やぶれ傘 201108
花冷やこけしの首はきこと鳴る 能美昌二郎 201108
花冷えや塔影揺るる心字池 中野久雄 末黒野 201108
花冷の竪琴抱く飛天の図 鷹崎由未子 花野 201112
花冷えや青みて見ゆる盧舎那仏 上辻蒼人 風土 201201
自転車で走る花冷えの君のため 上村美翔 うらら 201202
花冷や母の手に手を重ねをり 松下八重美 夢見の鐘 201203
一杯に花冷解いてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
花冷や共には行けぬ別れ道 松岡利秋 かさね 201204
花冷や平成の世の刀鍛冶 水原春郎 馬醉木 201204
花冷や難病の子をかかへ住む 坂上じゅん かさね 201205
花冷えの夜は大宰の津軽読む 長田一臣 万象選集 201205
花冷や大社にジャズのコンサート 竹内悦子 201206
花冷えや夕星うるむ喪に服す 久保東海司 201206
傷を癒すと花冷えの荒療治 遠藤真砂明 201206
花冷や画鋲にのこる紙の角 林昭太郎 201206
深呼吸して花冷えの試合場 史あかり ぐろっけ 201206
花冷えの診療台にドリル音 向江醇子 ぐろっけ 201206
花冷や皿の生肝うすしうすし 天谷翔子 火星 201206
花冷の湯殿へ急ぐ長廊下 木村茂登子 あを 201206
花冷えや父のうしろを知り尽す 田中貞雄 万華鏡 201206
花冷えのポンポン船や聖橋 竹久みなみ 風土 201207
花冷えや観音さまの一張羅 吉田葎 201207
花冷の坊に賜る白湯うまし 山田春生 万象 201207
爪立ちでゆく花冷の鏡の間 小谷延子 万象 201207
花冷えや江戸崎羅漢にある品位 鴨下昭 201207
花冷えや混み合つてゐるもんじや焼 岡野ひろ子 201207
花冷えやふたたびみたび鴉なく 飯田ひでを 201207
花冷やうしろめたさの背のほてり 中野英伴 春燈 201207
花冷の祭り終へたる獅子頭 西村純太 201207
花冷の何も映らぬ神獣鏡 杉浦典子 火星 201207
花冷や歌劇へ急ぐ靴の音 藤本千鶴子 火星 201207
花冷えにおくるみの嬰児抱きしめる 藤田京子 ぐろっけ 201207
花冷えや解体新書にある胃の腑 竹田ひろ子 ろんど 201207
花冷えの小さき釦に手間取りぬ 中田のぶ子 ろんど 201207
花冷や我にわからぬ子の痛み 河村啓花 ろんど 201207
花冷や寄り添ひて読む辞世句碑 磯野しをり 雨月 201207
旅病みの句碑と花冷まとひをり 磯野しをり 雨月 201207
花冷や病院よりの友の声 山口天木 雨月 201207
須弥壇の螺鈿のひかり花冷えて 乗光雅子 雨月 201207
検診や花冷の息又止めて 乗光雅子 雨月 201207
花冷えや電動ミシンきしみをり 岡田史女 末黒野 201207
冠省と書き花冷の中にをり 高橋明 末黒野 201207
花冷えの川辺に椅子のごとき石 きくちきみえ やぶれ傘 201207
花冷えや鴨居に父のソフト帽 野畑さゆり 201208
近松の硯矢立や花冷ゆる 北村淳子 ろんど 201208
突然に襲ふ人の訃花冷ゆる 隅田恵子 雨月 201208
ただならぬ花冷上人入定地 尾崎みつ子 雨月 201208
南朝の玉座をいまに花冷えす 北崎展江 くりから 201209
花冷えや手足の痺る佛かな 五ヶ瀬川流一 六花 201212
花冷や丸まりて紅鉋屑 広渡敬雄 201303
花冷も雨も除幕の心添ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201304
花冷や十二神将に燭七つ 水原秋櫻子 馬醉木 201304
花冷えは亀の井の辺のこくらがり 豊田都峰 京鹿子 201305
花冷やぷすんと抜ける烏賊の腸 林昭太郎 201305
花冷えの動くものなきくもり空 木村茂登子 あを 201305
花冷えや天井までも弥撤の声 あさなが捷 201305
花冷やアールグレイに銀の茶器 岡汀子 馬醉木 201306
花冷えや手を擦りつつバスを待つ 吉田博行 かさね 201306
花冷や死者の鼻梁の粋なこと 上谷昌憲 201306
花冷の古文書に置く湿度計 宮内とし子 201306
花冷の野点に膝を詰め合へり 森岡正作 201306
花冷えと思ふカーテン開けながら 山田暢子 風土 201306
花冷のこぼれて紅き鉋屑 杉浦典子 火星 201306
花冷えにダイオウイカはどこへ行く 中谷仁美 船団 201306
言霊の布沙女の絶句花冷ゆる 奈辺慶子 雨月 201306
花冷や磨き込まれし歪み鍋 林八重子 馬醉木 201307
花冷えや列車待つ間の長足湯 粟倉昌子 201307
花冷や三和土の隅の種火の火 松本峰春 春燈 201307
花冷や櫛にさからふ髪のくせ 中野英伴 春燈 201307
しあはせの裏の花冷怖れけり 中野英伴 春燈 201307
花冷やはんぺん箸で角に切る 瀧春一 花石榴 201312
花冷や屡々靴の踵踏まれ 瀧春一 花石榴 201312
タイガース勝つて花冷解けゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403
み吉野の朝の花冷ただならず 稲畑汀子 ホトトギス 201404
花冷の神獣鏡に映りけり 山本耀子 絵襖 201404
花冷の朝となりたる夜半の風 稲畑汀子 ホトトギス 201404
花冷えや花に小言を言ふごとく 黒澤登美枝 201405
大岩も小岩も石楠花冷えの中 布川直幸 201405
花冷の一と間に僧と墨の香と 柴田佐知子 201405
花冷の養蜂箱に日の射せる 山尾玉藻 火星 201405
花冷やうどんすするに箸を割る 山田六甲 六花 201405
花冷や馬脚つとめる一役者 栗山よし子 馬醉木 201405
並べたり積んだり花冷えの本棚 はしもと風里 201406
花冷えの工都で友と一献す 仁平則子 201406
花冷や回診医師の靴の音 西田史郎 201406
花冷や句碑ばかり立つ寶厳寺 二宮一知 万象 201406
花冷や己がのぞきて心電図 神蔵器 風土 201406
花冷や光はくだけつつ散りぬ 有松洋子 201406
花冷や小鼓を打つ指の反り 浅木ノヱ 春燈 201406
花冷や眉間にちから入れにけり 有松洋子 201406
満開の花冷えもよし日曜日 仁平則子 201406
花冷えのそこら許多く磨硝子 柳本渓光 ろんど 201407
花冷えの町や洋菓子店に寄り 渡邊孝彦 やぶれ傘 201407
花冷えや行方不明の鍵ふたつ 山田暢子 風土 201407
花冷えや昭和の家具はみな重し 宮崎高根 201407
花冷えや丹念に溶く吉野葛 河合とき 末黒野 201407
花冷にわりした切らしゐたりけり 瀬川公馨 201407
花冷やコントラバスは右肩に 庄司久美子 201407
花冷や言葉少なの夕仕舞 水田壽子 雨月 201407
花冷や湖のにほひの遊覧船 中里よし子 春燈 201407
花冷や鹿の鼓動を手の平に 湯谷良 火星 201407
花冷や天狗の鼻の剥落す 松橋利雄 春燈 201407
聴診器胸にひやりと花冷ゆる 岡淑子 雨月 201407
偉らさうな人と居る夜は花冷えす 松田都青 京鹿子 201408
花冷えの川にボート部水飛沫 藤波松山 京鹿子 201408
花冷えや浅智慧のみで生きられる 松田都青 京鹿子 201408
花冷の山を揺らして射撃音 藤本節子 万象 201408
花冷の鳥居の奥の砂利踏む音 杉浦典子 火星 201408
花冷や遊具の音もせぬ広場 江島照美 201408
釣果待つ花冷えの水面動かさず 布川直幸 201503
花冷や深川飯の長つ尻 佐渡谷秀一 対座 201505
花冷えて頸のあたりの油断あり 鈴鹿仁 京鹿子 201505
花冷や箸の袋に楊枝あり 加藤みき 201506
花冷えをがしがし踏んでマラソンマン のざきまみこ 201506
花冷えやエレベーターに息満ちて はしもと風里 201506
白湯を飲む花冷の夜の湯ざめかな 田中藤穂 あを 201506
花冷や魔除に立てし男傘 米山のり子 馬醉木 201506
花冷の口の小暗き素焼壺 羽根嘉津 201506
花冷えの万年筆の重さかな 大川ゆかり 201507
花冷や夜の川面の満ちてをり 高田令子 201507
花冷→7      

 

2021年4月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。