月 光 4   129句

月光にいのち死にゆくひとと寝る   橋本多佳子   海燕

作品
作者
掲載誌
掲載年月
初選句終へ月光に身を晒す 小澤克己 遠嶺 200904
月光の理科室に棲み着いてをり 田尻勝子 六花 200909
月光に晒されてゆく母郷かな 小林朱夏 200910
万葉に月光重く散るもあり 寺半畳子 炎環 200911
昭和史の終ふクレーンやふる月光 須田千鶴子 炎環 200911
月光の主宰すなはち編集長 小澤克己 遠嶺 200911
月光もゆがむ明治の板ガラス 松本圭司 200911
月光を浴び寸劇のごとき生 辻直美 200911
月光の曳くしだり尾とおもひけり 井上信子 200911
白紙一枚月光の机上澄み 岡本まち子 馬醉木 200912
薄き紙開けば針となる月光 近恵 炎環 200912
ふるさとがないのに帰りたい月光 山田庫夫 炎環 200912
月光の漣なして砂漠なり 北川英子 200912
月光が降る切株のうすじめり 辻美奈子 200912
月光がからの鳥籠射貫きけり 久染康子 200912
投げ入れの壺月光へ差し出しぬ 甲州千草 200912
月光を浴びに項を結ひ上げて 植村よし子 雨月 200912
月光は慈愛のひかり神の苑 上原恒子 雨月 200912
月光に死にゆく力もらひけり 竪山道助 風土 200912
青白き月光の人影を踏む 正能浩子 200912
月光の一と間に殺気走りけり 柴田佐知子 201001
身の芯に月光の青垂涎す 本多俊子 201001
月光や肺しろがねに染まるまで 冨松寛子 201001
月光がはやくほとけになれといふ 沼田巴字 京鹿子 201001
月光にかはいてゐたる鵜籠かな 城孝子 火星 201001
月光のあたごふるみちたれも見ず 天谷翔子 火星 201001
月光の中散髪を終へ帰る 坂口三保子 ぐろっけ 201001
雲間より月光至る歓喜天 藤井美晴 やぶれ傘 201001
月光の波打つてゐる大阿蘇野 柴田佐知子 201003
月光や致死量浴ぶるために佇ち 七田文子 201011
月光やそぞろ心のハーモニカ 内田和子 酸漿 201011
月光を手繰り常念小屋泊り 松岡和子 201012
玻璃越しに届く月光真夜なれば 山口キミコ 201012
通夜戻り月光浴の靴濡れて 山中宏子 201012
月絶えて月光土を冷やしをり 柳生千枝子 火星 201012
月光の十字となりぬ屋根の上 出口誠 六花 201012
開け放つこの月光を傍らに 飯田角子 酸漿 201012
前方後円墳月光のただ中に 岡本まち子 馬醉木 201101
月光やかたちなきもの照らすかに 雨村敏子 201101
月光の隈なくいのち睡りける 雨村敏子 201101
触媒は月光クロスカップリング 柳川晋 201101
月光がレールを磨く過疎の町 松田泰子 末黒野 201101
月光や刃するどき裏妙義 重田修 末黒野 201101
月光の照らす三千黒酢甕 吉村摂護 201101
月光やブラックホールに父の部屋 古川忠利 ろんど 201102
月光にシテ罷り出づ野外能 横山昭子 雨月 201102
月光に小面光る野外能 横山昭子 雨月 201102
月光のとどく限りをこの世とも 柴田佐知子 201111
月光の凛々として津波跡 阪本哲弘 201112
かぐや姫ジュリエットも浴びし月光 中田のぶ子 ろんど 201112
月光の清めし塩を舐めにけり 西村純太 201201
月光の届かぬところ魑魅のこゑ 中田禎子 201201
月光といふみほとけのみそなはす 中杉隆世 ホトトギス 201201
月光に攫はれてゐる村ひとつ 高倉和子 201201
月光の湖にさざ波明日帰る 陽山道子 船団 201201
月光や玩具の汽車のふいに発つ 栗原公子 201201
月光や川を漂ふ鞠ひとつ 永田万年青 六花 201201
月光や道の裂け目に力芝 永田万年青 六花 201201
月光をなみなみ湛へ屋根瓦 田中藤穂 あを 201112
月光のたつぷりと降る嬥歌かな 水野恒彦 201202
月光を呑んで発光体となる 山崎青史 ろんど 201202
月光の鏡に月の柱あり 柴田佐知子 201203
月光や夫には夫の母の影 岩永はるみ 白雨 201203
月光にずぶ濡れとなり干し忘れ 中野陽路 末黒野句集 201203
校倉や月光すでに太古より 桂樟蹊子 201209
月光のにじむ肩幅たのもしく 丸山佳子 京鹿子 201209
月光や山の匂ひの川流れ 山田六甲 六花 201210
月光の濡らせしテントたたみけり 平居澪子 六花 201210
月光に一人称として欅 服部早苗 201210
心にもつもる月光源義忌 神蔵器 風土 201211
月光に裁かれてをりリベラ・メ 瀬川公馨 201211
月光の額は賢さうに見ゆ 柴田佐知子 201211
山間を渡る月光寝台車 大内由紀 末黒野 201211
月光やグラスに音のありにける 中田禎子 201211
月光に波たちあがる野分前 那須淳男 馬醉木 201212
来島の渦月光の綾なせり 五領田幸子 馬醉木 201212
月光に青く浮立つ大氷河 吉田博行 かさね 201212
月光やわれに戦後の貌一つ 福田周草 風土 201212
異文化の話題は尽きぬ月光下 丸田信宏 京鹿子 201212
月光を巻き込んでゐる大鳴門 高瀬博子 六花 201212
月光に砲台跡の口開く 矢野百合子 201212
不動の面目を凝らすなり月光す 本多俊子 201301
月光やくびれ忘れし青ふくべ 谷村幸子 201301
月光が『マルドロールの歌』に来る 藤井美晴 やぶれ傘 201301
月光をたつぷり浴びて猫戻る 大川ゆかり 201301
眼光鋭き月光に見えたり 細川洋子 201301
月光のすすきが原は分けもせず 豊田都峰 京鹿子 201301
水際を照らす月光生と死と 古俣万里 ろんど 201301
月光の野に座すごとく床に座す 古川忠利 ろんど 201301
街を出る橋を揺らすは月光か 古川忠利 ろんど 201301
月光を踏みゆきにけり僧の列 西村節子 火星 201301
横笛の指に月光走りけり 原友子 201301
右側は月光の窓今日も臥す 神谷耕輔 201301
月光の音となりたる下り簗 大場町子 馬醉木 201302
月光もすべり込ませて投函す 杉本綾 201302
月光に干し烏賊ひらと返りたる 松山直美 火星 201302
月光をペルシアの杯にあふれしむ 近藤紀子 201302
幾万の月光ひとひらづつ浴びる 水野恒彦 夢寐 201306
食べ頃は月光に聴けラフランス 広渡敬雄 201310
磨かれし廊下月光走り来る あさなが捷 201310
月光の帯にて我を束ねたき 吉田希望 201311
地震走りけり月光の降りやまず 辻美奈子 201312
月光やさびしきときは肌さすり 菅谷たけし 201312
月光の菩薩三尊凛々と 三川美代子 201312
月光の一葉一葉に及びけり 原田達夫 201312
月光のじつとしてゐる蝉の羽化 原友子 201312
枯蓮となりて月光欲しいまま 杉本薬王子 風土 201401
月光の転がつてゐる崩れ簗 上谷昌憲 201401
枕元に及ぶ月光寝つかれず 石黒興平 末黒野 201401
四五本の月光こぼすすすきの穂 豊田都峰 京鹿子 201401
月光の押し寄せてくる敗荷田 原田しずえ 万象 201402
人に月光海溝に古代鮫 鳥居美智子 ろんど 201402
雨戸繰る胸に受けたる冬月光 坂口夫佐子 火星 201402
枯れきつて月光浄衣に適ひけり 井原美鳥 201403
月光も日光も染み冬の鴟尾 狭川青史 馬醉木 201403
寒月光に罪はなかりし己が思惟 犬塚芳子 201403
冷凍の月光漬けのわが家かな 石田きよし 201403
遠吠を打ち返したる寒月光 野坂民子 馬醉木 201403
冬月光海の干満響き合ふ 渡辺安酔 201404
月光を浴びて影無し雪女郎 藤岡紫水 京鹿子 201404
月光の漣たちぬ浮寝鳥 齋藤晴夫 春燈 201404
月光に犀角の坏(つき)ありにけり 本多俊子 光のうつは 201404
欅こそ武蔵の木なり寒月光 清水節子 馬醉木 201404
温泉浴みより冬の月光浴みしこと 河野美奇 ホトトギス 201404
月光をこぼし檜皮の雪雫 高久正 201405
寒月光はじめしろがね黄金色 熊谷ふみを ろんど 201405
立て掛けし丸太を磨く寒月光 石田厚子 馬醉木 201405
種まきし土月光に預けけり 城孝子 火星 201406
月光にメロンは網目紡ぎをり 大谷昌子 馬醉木 201409
月光→ 5      

 

2021年9月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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