112句

唯今只蒲生ふるなり院の池  高浜虚子  虚子百句

  蒲の穂絮

作品
作者
掲載誌
掲載年月
たましひの少し離れし蒲の花 神蔵器 風土 199809
蒲の穂の御用提灯勢揃ひ 鷹羽狩行 199812
蒲の穂や灯を点したるもどり舟 岩谷昭三 199901
蒲の穂の寄りたくなくて寄りてゐる 山尾玉藻 火星 199906
隠沼の蒲に日照雨の到りけり 葛馬房夫 雨月 199910
蒲の穂の呆けはじめは光りけり 服部幸 200002
古綿に似て蒲の穂の耄けけり 宮津昭彦 200008
大水輪湧きて何棲む蒲は穂に 湯橋喜美 200011
蒲の花夕山風に息づきぬ 鳴海清美 六花 200012
姫蒲の穂をひとつ揺る風の道 西山美枝子 酸漿 200108
蒲は穂に水音迅し和賀盆地 寺田善樹 風土 200110
池の辺は風吹くところ蒲は穂に 大槻久美 円虹 200112
でこぼこの道続きをり蒲の花 加藤みき 200208
擦傷を思はず蒲の穂で叩く 塩出眞一 ぐろっけ 200208
地下茎に結ばる蒲の雄花飛ぶ 須賀悦子 ぐろっけ 200209
蒲の池八大竜王立ち寄りたまへ 高橋将夫 200209
蒲の穂の刈り残りたる二タ穂かな 石脇みはる 200211
つんつんと蒲の穂日かげ欲しくをり 田所節子 200212
さゞ波の里山揺るる蒲の風 松木桂子 200212
ソーセージ屋台因幡の蒲は穂に 品川鈴子 ぐろっけ 200310
蒲の穂にありし日ざしのいま山に 石脇みはる 200311
蒲の穂を数へ直して倦まぬなり 宮津昭彦 200311
蒲の穂の立ち枯れの宇陀思ふかな 鈴木沙万沙 草の花 200403
蒲の穂に蝶の触れたる梅雨入かな 山尾玉藻 火星 200408
蒲の穂の高さを風のひとわたり 矢崎すみ子 200409
蒲の穂やけふ湖の波高く 細井紫幸 草の花 200410
夕暮れの蒲を揺らして鳥発てり 木野本加寿江 火星 200410
高だかとのびし蒲の穂ホテルロビー 山荘慶子 あを 200411
蒲は穂となる食べながら笑みながら 山尾玉藻 火星 200411
蒲の穂のほほけて倍にふくらめる 宮津昭彦 200412
蒲の穂が逢魔が時を先に来て 井上菜摘子 京鹿子 200501
蒲の晴一位の箸を出されける 延広禎一 200508
蒲の花神代につづく渚かな 中道愛子 200508
蒲の穂の傷むはほぐれ初むるなり 宮津昭彦 200509
蒲の穂や水輪の先へこころ置く 穴澤光江 遠嶺 200510
飾らざる河内の言葉蒲は穂に 田所洋子 雨月 200511
姫蒲の穂と穂擦りあふ別れかな 大坪景章 万象 200511
蒲の穂の風過ぎてなほ揺れてをり 宮津昭彦 200611
蒲の穂のぶつきら棒にゆれてをり 菊池ふじ子 馬醉木 200612
蒲の葉でつくる雪沓網代編み 阿部月山子 万象 200704
自然体とは蒲の穂の乱れやう 伊藤早苗 200709
蒲の穂に夕日とどまる隠沼 落合絹代 風土 200710
蒲の穂やナウマンゾウの眠る湖 和田照海 京鹿子 200712
揃ひ立つ蒲の穂見事とは思ふ 宮津昭彦 200810
蒲の穂をたとへば巫女のやうに持ち 前川明子 200810
薄端に蒲の穂いけてかしこまる 谷村幸子 200810
蒲の穂やこころの軸を立てなほす 冨松寛子 200909
蒲吹かる会ひたきひとは川向かう 石井浩美 炎環 200910
蒲は穂に放生池に巣箱浮く 飯田ひでを 200910
蒲の穂や泥んこ遊び泥だらけ 有賀昌子 やぶれ傘 200912
蒲の綿色なき風のそそり立ち 福富みさ子 201003
夕づくや蒲の穂揺るる棄て田圃 鈴木礼子 末黒野 201004
蒲の穂を片手に語る古事記かな 鈴木阿久 201009
蒲の穂の育ち病院跡地とよ 白神知恵子 春燈 201010
力抜けば広き空あり蒲の如糸 田所節子 201011
つんつんと蒲の穂日ざし傾きぬ 田所節子 201101
蒲の穂や探検好きの一年生 鈴木照子 201109
蒲の穂の弾けむばかり硫黄の香 鈴木千恵子 万象 201109
蒲の花水に風筋見えて来し 林いづみ 風土 201109
蒲の穂に雄蕊の長し地震の国 三枝正子 万象 201110
佇めば蒲の風立つ神の池 坂口夫佐子 火星 201110
野の川のゆるき流れや蒲の花 廣瀬雅男 やぶれ傘 201111
蒲の穂の身を持ち崩し吹かれけり 石崎浄 風土 201202
心地よき湖辺の風や蒲茂る 福本すみ子 201209
蒲の穂の丈より低し遠比叡 小澤菜美 201210
蒲の穂のゆれて水辺の祭祠址 塩見英子 雨月 201210
蒲の穂の虚空に吊られゐるやうに 平田恵美子 ぐろっけ 201211
蒲の花を教はることに彳ち 嶋田一歩 ホトトギス 201211
沼けぶり蒲の穂に凝る小糠雨 岡野里子 末黒野 201211
蒲の穂ののっぺらぼうに見とれゐる 中島知恵子 雨月 201302
灯台へ荒磯つたひ蒲芽吹く 福島せいぎ 万象 201306
蒲の穂のまだ大きさの整はず 大橋晄 雨月 201310
棒立ちの蒲の穂風に固き揺れ 丸尾和子 雨月 201310
蒲の穂やマリンビストと芋焼酎 瀬川公馨 201310
蒲の穂や沼の淀みに影揺らす 安斎久英 末黒野 201311
蒲の穂の根方の水の盛り上る 森理和 あを 201311
蒲の穂を徳利に挿して灯さうか 山本久江 201401
粗籠をつき出てゐたる蒲の花 加藤みき 201407
蒲の穂やこんな所に植えられて 山荘慶子 あを 201407
蒲刈られ水の景色を失くしたる 熊川暁子 201409
蒲の穂に色出て水の祭り来る 綱川恵子 万象 201409
蒲の穂や旧き名残る職人町 石川かおり 201410
堰落つる音の高まり蒲の花 加藤静江 末黒野 201411
蒲の穂の丈を違へて繁りけり 住田千代子 六花 201411
蒲の穂に風ありメトロノームかな 岩月優美子 グピドの瞳 201506
蒲の穂を揺らす筑波嶺よりの風 田中素直 201511
蒲の鉾こんなところに鞠ひとつ 竹内悦子 201611
蒲の穂の色深まりぬ真昼時 安部和子 雨月 201709
球場に沼風とどく蒲の花 箕輪カオル 201710
黄昏て蒲の花より語り来る 丸井巴水 京鹿子 201710
蒲の穂を仰ぐ憂ひの眼かな 安斎久英 末黒野 201711
西の畑刈られてゐたる蒲の鉾 竹内悦子 201809
白兎みそぎし池の蒲の花 延川五十昭 六花 201809
蒲の穂の待合室に話の盛ん 長崎桂子 あを 201809
蒲の穂を掲げ人ごゑ探しけり 中田みなみ 201811
蒲の穂の池面に重き影映し 安部和子 雨月 201811
蒲が咲き女七人葦となる 苗田苗 船団 201812
蒲の穂の白くほぐれし秋の駅 田中藤穂 あを 201812
蒲の穂の百が百羽の鳥となる 増成栗人 201909
蒲の穂や信濃は色を深めたる 林未生 201909
鎧はずに生きたし蒲の花固し 吉田政江 201909
直立の堅きに揺れて風の蒲 丸尾和子 雨月 201909
蒲の穂やかつてなにはの台所 前田美恵子 201911
蒲の穂の池端過る風に揺れ 安部和子 雨月 201912
蒲の穂をほぐして風に遊びけリ 永田万年青 六花 201912
蒲の穂絮おとぎ話しを風にのせ 柴田靖子 202001
あるなしの風にはじけて蒲の絮 森清堯 末黒野 202001
からまりて魂とびぬ蒲の絮 平居澪子 六花 202003
蒲の絮歪になりて枯残る 永田万年青 六花 202004
蒲の穂の揺れて地軸を傾ける 稲畑廣太郎 ホトトギス 202007
滔々と坂東太郎蒲は穂に 増成栗人 202011
円墳を囲む蒲の穂獣めく 平居澪子 六花 202011
キャンプ場は弾薬庫跡蒲の風 小原芙美子 風土 202011
石橋に風が来てゐて蒲の絮 住田千代子 六花 202101
蒲の穂のうち揃ひたる静寂かな 加藤静江 末黒野 202111
中島を隠す蒲の穂鯉の影 森清信子 末黒野 202201
蒲の穂の身をやつしたる汀かな 善野行 六花 202201
蒲の穂のモクと綿吹く日差しかな 篠田純子 あを 202202
ふと飛べる蒲の穂絮や沼平ら 升田ヤス子 六花 202202
泥沼は干涸びかけて蒲の花 藤井美晴 やぶれ傘 202209
蒲の穂や谷戸田の隅に際立ちて 岡田史女 末黒野 202210
蒲の穂の泰然自若城の中 草場つくし 六花 202210

 

2023年7月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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