枇杷の花 3          201句

枇杷の花人のわするゝ木陰かな    一髪

枇杷の花  枇杷

作品
作者
掲載誌
掲載年月
香の先に来て花枇杷と判るまで 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012
枇杷の花里にまだあるつるべ井戸 並河富有野 京鹿子 201101
枇杷の花ほどよき日なり立話 長崎桂子 あを 201101
つつましく生きて明るし枇杷の花 竹内慶子 春燈 201102
安けしや枇杷の花咲く母生家 中村紀美子 春燈 201102
住む人の去りゆく庭に枇杷の花 佐野つたえ 風土 201102
花柄の野良着干されて枇杷の花 内海保子 万象 201102
母の忌の算へて近し枇杷の花 永見嘉敏 酸漿 201102
克明な武士の家計簿枇杷の花 田中藤穂 あを 201102
天鵞絨の夕日を浦に枇杷の花 小野恵美子 馬醉木 201103
海からの日を集めをり枇杷の花 大橋伊佐子 末黒野 201103
下足札渡し勘定枇杷の花 柿沼盟子 風土 201103
波音を子守歌とも枇杷の花 箕輪カオル 201103
ゆたかなる葉を楯として枇杷の花 西村しげ子 雨月 201103
枇杷の花翁立志の地はここぞ 武田ともこ ぐろっけ 201103
戸袋は網代編みなり枇杷の花 高木篤子 ぐろっけ 201103
花枇杷や史蹟の家に人棲めり 名取袿子 201104
花枇杷や蒼むまで拭く窓硝子 小倉正穂 末黒野 201104
枇杷の花繋がれてゐる犬の声 秋千晴 201106
聖玻璃に海光もゆる枇杷の花 水原秋櫻子 馬醉木 201111
仙者長者よりも律儀に枇杷の花 品川鈴子 ぐろっけ 201112
島一つ浮かぶ海原枇杷の花 森理和 あを 201112
気が乗らぬやうさきがけの枇杷の花 田中貞雄 ろんど 201201
野心など疾つくの昔枇杷の花 安居正浩 201201
花枇杷の日向譲りて良き香り 山荘慶子 あを 201201
墨染を重しと思ふ枇杷の花 熊川暁子 201202
躙口ふと見上ぐれば枇杷の花 岡野安雅 かさね 201202
出格子のつづく家並枇杷の花 永島雅子 春燈 201203
人の住む気配はみえず枇杷の花 都丸美陽子 春燈 201203
枇杷の花言葉少なき寧けさに 藤原若莱 春燈 201203
海峡に警笛長し枇杷の花 代田青鳥 風土 201203
神殿は海へ向きをり枇杷の花 代田青鳥 風土 201203
枇杷の花散り急ぐなと浦のみち 田中富有能 風土 201203
かたまりて雨寄せつけぬ枇杷の花 苑実耶 大河 201203
海女が家に遠き潮騒枇杷の花 河口仁志 201204
笑むごとく妣の匂ひも枇杷の花 高木篤子 ぐろっけ 201205
裏木戸のもろき閂枇杷の花 中山純子 万象 201206
安房風土記枇杷の花どき書き洩らす 成瀬櫻桃子 春燈 201207
沙汰やみの話が生きる枇杷の花 林昭太郎 あまねく 201210
友逝きてさびしき米寿枇杷の花 酒井秀郎 返り花 201211
樋の口に寄する川波枇杷の花 コ田千鶴子 馬醉木 201301
余生とて又とない時枇杷の花 田中貞雄 ろんど 201301
口にせぬ思ひ募りて枇杷の花 コ田千鶴子 馬醉木 201302
煎茶席の軸にとけこむ枇杷の花 石川かおり 201302
句敵も病んでゐるなり枇杷の花 安居正浩 201302
枇杷咲きて棟方志功美術館 安永圭子 風土 201302
花枇杷や空家の主は今いづこ 田村加代 末黒野 201302
越し方は大波小波枇杷の花 井上静子 201302
愛しさにふれてみるなり枇杷の花 大日向幸江 あを 201302
枇杷の咲く北窓の辺のぬくみかな 浜口高子 火星 201303
母ひとり子ひとり枇杷の花寡黙 鈴木撫足 春燈 201303
人の住めさうな犬小屋枇杷の花 松本三千夫 末黒野 201303
枇杷の花静かに小蜂通ひをり 加藤八重子 末黒野 201303
一番に暮れてしまひぬ枇杷の花 尾崎みつ子 雨月 201303
花枇杷の盛り槌音ひびく坂 上原重一 201304
待つことも待たせることも枇杷の花 陽山道子 おーい雲 201304
待つことに慣れし病室枇杷の花 高倉恵美子 201303
抽斗に亡夫の匂ひや枇杷の花 杉本綾 201305
旅便りコアラの絵葉書枇杷の花 藤田宣子 ぐろっけ 201305
枇杷の花歩幅合はせてくれにけり 田嶋洋子 七線譜 201306
梅に座をしぶしぶ渡す枇杷の花 田中一美 ろんど 201306
いささかも媚びぬ暗さに枇杷の花 瀧春一 花石榴 201312
じんわりと保湿クリーム枇杷の花 大日向幸江 あを 201401
枇杷の花咲けるを告ぐ夫在さず 山田愛子 201402
枇杷咲いて朝のスープの実沢山 千手和子 馬醉木 201402
雨上がり知らする鳥語枇杷の花 大内由紀 末黒野 201403
猫のゐてにはとりのゐて枇杷の花 根橋宏次 やぶれ傘 201403
枇杷の花微かに残る過去の人 江島照美 201403
花枇杷や男世帯の味気なさ 藤岡紫水 京鹿子 201403
花枇杷をおもはず髪にココシャネル 瀬川公馨 201403
貸家札ひと角はがれ枇杷の花 丸井巴水 京鹿子 201403
枇杷は花今歯軋りの歯の白さ 柳本渓光 末黒野 201404
子育ては自分育てや枇杷の花 山崎稔子 末黒野 201404
愁ひとも違ふ無口や枇杷の花 小倉正穂 末黒野 201404
身の丈に適ふ日々なり枇杷の花 川上久美 末黒野 201404
退屈を至福としたり枇杷の花 田岡千章 201404
枇杷咲いて海の日和のつづきをり 島谷征良 風土 201405
かすむとき沖思いけり枇杷の花 津波古江津 船団 201406
蒸発の人間みんな枇杷の花 鳥居真里子 船団 201406
日かげにも倖せ枇杷はずるい花 堀内一郎 堀内一郎集 201412
枇杷咲いて日々の暮しの流れゆく 田中佐知子 風土 201501
近道に得した気分枇杷の花 森下康子 201502
年輪の五重に枇杷の花育つ 吉田政江 201502
結界の先の昏みの枇杷の花 入江節子 ろんど 201502
記念樹の背丈はるかに枇杷の花 大内幸子 六花 201503
垣に干す繋ぎへ枇杷の落花かな だいじみどり 201503
聞き役に徹してをりぬ枇杷の花 雲所誠子 風土 201503
枇杷咲くや路傍の石の黙りに 柳本渓光 ろんど 201503
枇杷の花空濠の日の褪めやすく 徳井節子 馬醉木 201503
花枇杷や藁屋の瀬戸の釣瓶井戸 岡野里子 末黒野 201503
花枇杷や像の一指は天を指し 河本功 201503
枇杷の花ひととせ過ぐるその早さ 折橋綾子 201504
しばらくは聞き役なりぬ枇杷の花 村田岳洋 ろんど 201504
枇杷の花に近道をして出会ひけり 伊庭玲子 201504
薄き日を好む含差枇杷の花 松原三枝子 万象 201504
枇杷の花身近になりし戦かな 山荘慶子 あを 201504
正直に齢をかさね枇杷の花 野澤あき 火星 201505
褐色の生毛の褥枇杷の花 園部早智子 ろんど 201505
枇杷の花靴音かわき始めけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
萱葺の堂に落暉や枇杷の花 中島玉五郎 201511
ははの日記文箱にねむる枇杷の花 平田はつみ 馬醉木 201602
寺町に枇杷の花咲く築地塀 鶴岡紀代 春燈 201602
偲ぶこと多き齢や枇杷の花 久保久子 春燈 201602
商人宿らしき屋号や枇杷の花 原田達夫 201602
枇杷の花空紺碧に山日和 飯田ひでを 201602
枇杷の花己が美学に徹しけり 荒井慈 春燈 201602
傍らに誰も居ぬ日や枇杷の花 宮田豊子 春燈 201602
雲重き舞鶴湾や枇杷の花 森清堯 末黒野 201603
捨てられぬ空き箱幾つ枇杷の花 奥田茶々 風土 201603
初恋の形状記憶枇杷の花 のざきまみこ 201603
昼の黙夜の饒舌枇杷の花 竪山道助 風土 201603
沈む日の温みを宿す枇杷の花 田村園子 201603
枇杷の花密かに兄を連れ戻す 井上菜摘子 京鹿子 201603
暮れ色のままのひと日や枇杷の花 清水美恵 馬醉木 201604
うすほこり被つて枇杷の花咲けり 住田千代子 六花 201604
花枇杷や一軒おいて回覧板 内田美紗 船団 201612
やはらかき山の日差しに枇杷の花 大石喜美子 雨月 201701
人去りてまた寡黙なる枇杷の花 間宮あや子 馬醉木 201701
人の名をすぐに忘れで枇杷の花 柴田志津子 201701
主ゐしままの窓辺や枇杷の花 宮井知英 201701
家紋ある塀のみ残り枇杷の花 横田敬子 201701
雲少し増えてきたかも枇杷の花 大島英昭 やぶれ傘 201701
枇杷の花骨董趣味の家主ゐて 福島茂 201702
水のごと過ぎゆく日々や枇杷の花 本多俊子 201702
城山に沿ふ武家屋敷枇杷の花 斉藤マキ子 末黒野 201703
枇杷の花静かに雨の降る日かな 藤井美晴 やぶれ傘 201703
聞こえぬといふは言ひ訳枇杷の花 柴田志津子 201703
古家の高くに咲ける枇杷の花 廣畑育子 六花 201704
今日よりは初学の心枇杷の花 和田華凛 ホトトギス 201705
縁側に猫がねてゐる枇杷の花 青谷小枝 やぶれ傘 201705
にはとりに砕く貝がら枇杷の花 根橋宏次 やぶれ傘 201711
やはらかき山の日差しに枇杷の花 大石喜美子 雨月 201802
病篤き友をおとなふ枇杷の花 藤丸誠巴 春燈 201802
枇杷の花はにかむやうに咲きにけり 上辻蒼人 風土 201802
昏れ際を光放てり枇杷の花 松井季湖 201803
敷地とも道ともつかず枇杷の花 大島英昭 やぶれ傘 201803
花枇杷や庚申塚は三差路に 瀬島洒望 やぶれ傘 201803
枇杷の花かをる裏木戸開けにけり 片桐紀美子 風土 201803
窯裏へ廻る午後の日枇杷の花 コ井節子 馬醉木 201803
多聞寺やももけてゐたる枇杷の花 赤松赤彦 六花 201804
折り摘みし花白々と枇杷の山 齊藤陽子 201804
砲台は昔のままに枇杷の花 佐藤稲子 やぶれ傘 201804
淡き陽の集まつてゐる枇杷の花 宮井知英 201803
八十一年前の産声枇杷の花 大畑善昭 201805
希望とは道のほとりの枇杷の花 坪内稔典 船団 201806
長崎に住もう枇杷咲く五、六日 坪内稔典 船団 201806
さわがしき鳥がときをり枇杷の花 戸栗末廣 201806
耐へてゐる想ひふかぶか枇杷の花 沼田巴字 京鹿子 201812
山峡に朝日集めて枇杷の花 伊藤よし江 201901
軒先の日和つづきに枇杷の花 片桐紀美子 風土 201902
枇杷の花散らして叔父の屋敷跡 四方由紀子 風土 201902
花枇杷に適ふその香と思ひけり 竹内喜代子 雨月 201902
小祠の百度石古り枇杷の花 辻田玲子 雨月 201902
枇杷摘花脚立に白き花零し 福岡かがり 雨月 201902
枇杷の花枝のたわたわ風やさし 篠田純子 あを 201902
尼寺のひかげり易き枇杷の花 今橋虞理子 ホトトギス 201903
夕暮の風の誘ひ枇杷の花 今井弘雄 春燈 201903
久闊を叙する姉妹や枇杷の花 中上馥子 春燈 201903
待たるるとふことなく咲きて枇杷の花 阪上多恵子 雨月 201903
枇杷の花淋しく咲いて勝手口 田村すゝむ 風土 201903
不器用に生きて八十路や枇杷の花 外山生子 末黒野 201903
枝道の先に枝道枇杷の花 大島英昭 やぶれ傘 201903
平成の終り近づく枇杷の花 谷口摩耶 201903
鳥ごゑの午後よりかはる枇杷の花 戸栗末廣 201904
気のつけば猫の差し足枇杷の花 中澤弘 春燈 201904
学童の列乱れけり枇杷の花 高橋均 やぶれ傘 201904
何となく過ぎ行くひと日枇杷の花 萩原渓人 やぶれ傘 201904
幕を引くやうに日暮るる枇杷の花 岸洋子 201906
匂ひたつ女身に似たり枇杷の花 沼田巴字 京鹿子 201912
川に雨川の向うに枇杷の花 藤井美晴 やぶれ傘 202002
二階までまた探し物枇杷の花 深川敏子 京鹿子 202002
池の面に映る大様枇杷の花 中澤弘 京鹿子 202002
何事も日にち薬や枇杷の花 高木典子 雨月 202003
講義中静かに眠る枇杷の花 高木典子 雨月 202003
洋館の一家は帰国枇杷の花 瀬島洒望 やぶれ傘 202003
天上は真青なりけり枇杷の花 竹内悦子 202003
山国の日の入りはやし枇杷の花 松田多朗 馬醉木 202003
烏の目の見え隠れする枇杷の花 熊谷成子 202004
ひつそりと生きて卒寿や枇杷の花 菅野日出子 末黒野 202005
枇杷の花母が遺影の話など 吉田悦子 202006
枇杷の花父より怖き伯父居りし 田岡千章 202007
公園の厠の脇の枇杷の花 佐藤喜孝 あを 202012
鉢植の六個ほどなる枇杷の花 柳田秀子 202102
枇杷の花抱かせてもらふ隣の児 青谷小枝 やぶれ傘 202103
枇杷の花にほひ雀の来てゐたる 天野美登里 やぶれ傘 202103
虚ろなる日の傾けり枇杷の花 藤生不二男 六花 202104
虚ろなる日の傾けり枇杷の花 藤生不二男 六花 202104
来年の手帖を買ひに枇杷の花 谷口摩耶 202201
母ありし頃のゆふぐれ枇杷の花 栗坪和子 202202
殉難碑に午後の日ざしや枇杷の花 浜福恵 風土 202203
納骨の骨のことんと枇杷の花 小原芙美子 風土 202203
病得し友との一会枇杷の花 渡辺美智子 末黒野 202203
尼寺の郵便受けや枇杷の花 川井真理子 春燈 202204
路地抜けて日当たるところ枇杷の花 白石正躬 やぶれ傘 202205
枇杷の花 →1

 

2022年12月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。