曝 書      58句

惜命の一冊その他曝書せり   堀内一郎   飛行船

虫干  曝書

作品
作者
掲載誌
掲載年月
母子手帳曝書の端に加へけり 勝田公子 199909
寺の廊使ひ切つたる曝書かな 宮津昭彦 199910
読まざりし本多かりし曝書かな 稲岡長 ホトトギス 199911
般若経六百巻の曝書かな 伊田和風 円虹 200012
経典は寛政のもの大曝書 伊田和風 円虹 200012
花頭窓の書院の曝書昼寂と 仲安敏雄 200101
曝書のなか一枚の写真声立てり 阿辺一葉 海程 200110
百畳に波打つごとく曝書かな 小島和子 百鳥 200111
曝書して誤植一つを見つけたり 川端和子 星月夜 200112
黄ばみたる五円の葉書曝書かな 酒井康正 百鳥 200210
蔵書印古りて曝書に耐へざるも 熊岡俊子 雨月 200210
曝書して鼠骨著季寄せ見出でたる 片山喜久子 雨月 200211
曝書して小さな寺を守りをり 藤井昌治 200310
曝書して初心の自句を懐しむ 永井孔雀 200411
全集の一冊欠けてゐし曝書 高橋笛美 ホトトギス 200501
脈絡にこだはりつつの曝書かな 能村研三 200508
茂吉の字添へて父の字曝書せり 長谷川史郊 馬醉木 200510
曝書して育児日記は吾が宝 坪井洋子 200510
曝書して栞の写真母恋し 白澤よし子 馬酔木 200511
ルノワールの女只今曝書中 白神知恵子 春燈 200511
開きては読み積んでは読みて曝書かな 鈴木榮子 春燈 200610
風ありて曝書の中の列女伝 岩下芳子 200610
書きこみを読み進まざる曝書かな 山口天木 雨月 200610
大寺の曝書比叡の風抜くる 安達風越 雨月 200610
自分史に加ゆ曝書の芳書数 禰寝瓶史 京鹿子 200709
曝書かな「更級日記」開きゐて しばかやこ 風土 200712
改めし遺書も曝書に加へけり 深町まさこ 馬醉木 200810
ケインズに朱線曝書の金融論 森竹昭夫 遠嶺 200810
曝書して青春時代たぐりよす 上林孝子 200811
曝書してあの人もこの人も故人 岩岡中正 ホトトギス 200901
のらくろも団吉も来る曝書かな 土屋啓 馬醉木 200901
奴隷史の一節長し曝書かな 増田守 炎環 200909
創刊号は八十八人曝書して 能村研三 200909
末広に並べ楽しむ曝書かな 野口光江 遠嶺 200911
古日記曝書ついでにひろひ読む 山岸治子 馬醉木 200912
年毎に嵩減らせきし曝書かな 倉科紫光 馬醉木 201010
芥川全集曝書の頁を繰りゐたり 安立公彦 春燈 201010
『街道をゆく』に道草して曝書 石橋公代 春燈 201010
曝書てふ慣ひ廃れず電子本 中本吉信 201110
曝書して子の参考書捨てられず 紀川和子 うらら 201202
生還のありてけふある曝書かな 甘田正翠 末黒野句集 201203
内親王の恋露はるる曝書かな 吉田葎 201204
曝書せる明治ものにも栞あり 鈴鹿仁 京鹿子 201208
汀女句集拾壹圓の曝書かな 生田恵美子 風土 201310
捨てきれぬものに埋れて曝書かな 熊川暁子 201408
二十年の嵩の俳誌の曝書かな 戸田澄子 末黒野 201410
曝書する中に懐かし創刊号 河口仁志 201508
曝書して時の遡上におぼれけり 川田好子 風土 201508
喜八詩集・老人の海・曝書 津川かほる 風土 201512
曝書せり読まず捨てずの考の書架 能勢俊子 馬醉木 201708
光燦々図書館の曝書せる 大日向幸江 あを 201908
曝書して紙魚跡残る和綴本 小林和子 201910
「アマデウス」の半券が出る我が曝書 柴崎和男 やぶれ傘 202110
若き日を拾ひ読みする曝書かな 石原孝人 京鹿子 202110
漱石の坊つちやんに会ふ曝書かな 京極久也 末黒野 202208
若き日の写真飛び出す曝書かな 太田良一 末黒野 202210
曝書して書棚の本を並べ替へ 尾崎千代一 末黒野 202211
師系譜に一辺倒なる曝書かな 能村研三 202307

 

2023年8月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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