秋涼し     165句

秋涼し  涼新た

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秋涼し一気に上ぐる背のファスナー 三輪温子 雨月 199811
仮の世を生き人の輪の秋涼し 森脇恵香 俳句通信 199910
観音の吾に笑みたまふ秋涼し 大橋敦子 雨月 199910
秋涼し大き御仏くらがりに 柳沢杏 酸漿 199911
研ぎ上げて包丁すすぐ秋涼し 松原到 ぐろっけ 199911
雨過ぎし朝の一気に秋涼し 安原葉 ホトトギス 200001
秋涼し古本に佳き蔵書印 田中藤穂 「水瓶座」 200002
白絹を音たてて裁つ秋涼し 辻享子 ヒッポ千番地 200003
雀ゐて分け隔てなく秋涼し 村越化石 200010
水際の赤松の影秋涼し 新関澄子 遠嶺 200012
取戻す睡眠時間秋涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200108
浪音に磯鵯の声秋涼し 金子つとむ 俳句通信 200110
秋涼し若き晋作馬上像 能村研三 200110
みんみんがまだ鳴く高尾秋涼し 阿部ひろし 酸漿 200110
秋涼し手斧梁てふ煤け梁 中川晴美 俳句通信 200111
ログハウス吹きぬくる風秋涼し 指尾直子 雨月 200201
秋涼し通りを睨む鍾馗像 朝妻力 雲の峰 200210
秋涼し宿坊に張る大根注連 朝妻力 雲の峰 200210
秋涼し常闇の身の敷布替へ 村越化石 200210
能舞の息をぴたりと秋涼し 小澤克己 遠嶺 200211
大雲院祇園閣上秋涼し 谷村幸子 200211
せめて庭へと出でたまへ秋涼し 黒川悦子 円虹 200212
ぎりぎりの稿書き上げて秋涼し 稲畑汀子 ホトトギス 200308
清貧の画家の一枚秋涼し 小林恵子 遠嶺 200311
秋涼し巫女緋袴の背を正す 梶島邦子 築港 200311
目覚め見る窓辺の火星秋涼し 小峯雅子 酸漿 200311
秋涼の座敷に旅鞄ふたつ 清水晃子 遠嶺 200311
裾野てふ大いなる闇秋涼し 柴原保佳 ホトトギス 200312
秋涼し学びし町の古本屋 村上喜代子 百鳥 200312
船頭のピアスの光秋涼し 浅井美子 遠嶺 200312
小さき事きっちりと終えて秋涼し 林裕美子 六花 200401
秋涼の客の一人として池畔 朝妻力 京鹿子 200409
子が三人その子が二人秋涼し 朝妻力 京鹿子 200409
秋涼し歌詞も楽譜も刻む歌碑 原茂美 雲の峰 200410
秋涼しおわらすぎゆく枕元 朝妻力 雲の峰 200410
秋涼し甲乙丙の乙くらゐ 山田六甲 六花 200411
備前物の刺身包丁秋涼し 大森道生 春燈 200411
頷きて法話を聞くや秋涼し 青垣和子 雨月 200412
針の先ほどの嬰の歯秋涼し 苑実耶 200501
秋涼し心許なき便り受く 大槻球子 遠嶺 200501
一つづつ片付けて債秋涼し 吉年虹二 ホトトギス 200502
結納品の水引細工秋涼し 菅沢陽子 春燈 200510
手轆轤の土立ちあがる秋涼し 永田二三子 酸漿 200511
秋涼し嬰可憐なる団子鼻 佐藤嗣二 築港 200511
秋涼やきりりと帯を締めてみる 東亜未 あを 200511
マネキンの細き手足や秋涼し 河村靖子 築港 200511
滝音の風にのりきて秋涼し 渡辺暁 酸漿 200512
説法に深くうなづき秋涼し 中條睦子 栴檀 200512
秋涼しはじめて銀の耳飾り 藤井久仁子 ぐろっけ 200512
秋涼の敷居越えたる鳩車 飯塚ゑ子 火星 200512
秋涼し仰ぎきれざる大樹もて 木内憲子 200512
秋涼し通りすがりに飴供へ 森早和世 ぐろっけ 200601
潮騒の安乗文楽秋涼し 古賀勇理央 百鳥 200601
山上の秋涼遽かなりしかな 保田晃 ホトトギス 200603
街路樹を玻璃に映して秋涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608
薙刀の袴の乙女秋涼し 松林順子 雨月 200611
椰子の実で洗ふテラスや秋涼し 井村和子 万象 200612
秋涼しバイオリンの音のしみじみと 渡辺玄子 酸漿 200612
秋涼や眠りを誘ふ波の音 菊地惠子 酸漿 200612
秋涼や赤い看板気にならず 浜田南風 200612
深熊野の神域の径秋涼し 宮崎正 ホトトギス 200701
匿名の基金受く秋涼しかり 伊藤白潮 200710
カーテンのかすかに揺れて秋涼し 渡辺安酔 200711
秋涼し香水瓶に野の花を 平田紀美子 風土 200711
樹齢二千超ゆる神杉秋涼し 久保晴子 雨月 200712
ひと夜さの雨秋涼をもたらし来 佐藤淑子 雨月 200712
給水塔の傾きて見ゆ秋涼し 赤座典子 あをかき 200810
一灯をイコンに献じ秋涼し 久本久美子 春燈 200811
新発意の経の復習秋涼し 古田考鵬 雨月 200811
秋涼し朱塗りの膳のひとそろへ 目黒慧 遠嶺 200812
秋涼しむくりと起きる路地の犬 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200812
秋涼や般若心経めく狂書 小澤克己 遠嶺 200812
秋涼し窓全開のバスのゆく 有賀昌子 やぶれ傘 200901
旅かさね来しみちのくは秋涼し 安原葉 ホトトギス 200901
秋涼し約束成りしコンサート 岡本直子 雨月 200901
みどり児はことりと睡り秋涼し 山田弘子 ホトトギス 200901
秋涼の石鹸の香に浸りをり 長崎桂子 あを 200911
秋涼し印押す父の手に力 坂場章子 200911
秋涼や阿修羅の六臂しなやかに 小林成子 200912
始発待つ列長ながと秋涼し 佐藤静子 やぶれ傘 201002
うつむける馬の睫毛や秋涼し 片山由美子 201009
そぞろゆく陶器まつりの秋涼し 石川かおり 201010
大日は己が守護仏秋涼し 村上悦子 雨月 201011
白鳥のヨガなるポーズ秋涼し 片岡久美子 201011
久々の雨の香にをり秋涼し 上原光代 酸漿 201011
白樺の湿原歩み秋涼し 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 201012
石積みに笑ひありけり秋涼し 中島陽華 201012
湖風にジュピターを聞く秋涼し 増田一代 201110
日暮まで開放つ窓秋涼し 坂本依誌子 春燈 201110
をさな追ふ祖父のまなざし秋涼し 和田郁子 201110
染抜きの店の装飾秋涼し 長崎桂子 あを 201111
外人に席をゆづられ秋涼し 渡邉京子 あを 201112
秋涼の風に出会へり今日の坂 松村光典 やぶれ傘 201112
秋涼し仏千体みな美人 細川知子 ぐろっけ 201112
秋涼し白絹に置く翁面 藤岡紫水 京鹿子 201112
千一体の千手をろがみ秋涼し 酒井秀郎 返り花 201211
湯上りを抜けゆく風の秋涼し 坂口郁子 末黒野 201211
十年の旅券更新秋涼し 塩見英子 雨月 201211
秋涼しサラダボールを木に変へて 栗原公子 201211
秋涼し伝ひ歩きの妻の音 酒井秀郎 返り花 201211
釣銭にまざる新札秋涼し 生方義紹 春燈 201212
諷詠の心に寄れば秋涼し 水田むつみ ホトトギス 201302
秋涼や森の明るきひとところ 山田六甲 六花 201310
秋涼し牧場を分つ朝日影 小柳千美子 かさね 201310
釣人の眠る始発や秋涼し 川井素山 かさね 201311
湧き水に苔洗はれて秋涼し 田中清秀 かさね 201311
秋涼し水琴窟に耳を当つ 和田勝信 かさね 201312
駿河湾望む御廟所秋涼し 内藤庫江 末黒野 201401
秋涼や部屋住みの犬街へ出る 舩山東子 ろんど 201401
秋涼や手触りの良き皮手帳 石塚涼 船団 201401
晩鐘につと腰伸ばす秋涼し 菊谷潔 六花 201401
秋涼の旅路なるべし着陸す 稲畑汀子 ホトトギス 201408
曲屋の農具展示や秋涼し 石井雲雀 末黒野 201411
秋涼の浜に足あと虚貝 安藤久美子 やぶれ傘 201412
正面に甲斐駒ヶ岳秋涼し 野畑さゆり 201412
信号の青連なりて秋涼し 森田尚宏 201412
酔芙蓉観音の御手秋涼し 笹村恵美子 201412
秋涼や一番風呂の湯の匂ひ 小巻若菜 やぶれ傘 201502
家よりは徒歩一時間秋涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
秋涼し山風に揺れ垂あらた 黒滝志麻子 末黒野 201511
秋涼の夜々育ちゆく月ありて 今橋眞理子 ホトトギス 201602
秋涼し衣の船上レストラン 有賀昌子 やぶれ傘 201602
青春を引き寄す句友秋涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201608
東山魁夷の白馬秋涼し 永井恵子 春燈 201611
結縁縷に畏み触れて秋涼し 森脇貞子 雨月 201612
教会の堅き木椅子や秋涼し 石黒興平 末黒野 201612
塔頭の門扉全開秋涼し 神谷さうび 末黒野 201612
秋涼し弁天島へ小さき橋 神谷さうび 末黒野 201612
友に会ふみちのくの旅秋涼し 安原葉 ホトトギス 201701
気休めがほどの体操秋涼し 中村房子 馬醉木 201701
地獄絵の前の読経や秋涼し 田中とし江 201612
秋涼し猫によく会ふ日なりけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201708
石段の文字躍らせて秋涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201708
一日に二つの句会秋涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201708
人の輪を大切にして秋涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201708
真つ先に開く後書き秋涼し 坂場章子 201711
秋涼しぱおんと象の鳴きにけり 鎌田光恵 201712
朝空を占むる葉叢や秋涼し 安立公彦 春燈 201712
秋涼し旅の小物に小筆かな 小林はじめ 六花 201712
虚子句碑に御礼申して秋涼し 安原葉 ホトトギス 201802
秋涼の星弾き出すピアノ曲 中田みなみ 201801
米国へ旅立つ友に秋涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201808
虚子句碑を訪ふみちのくの秋涼し 稲畑汀子 ホトトギス 201808
昨日もう思ひ出となり秋涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
虚子の文字解読もして秋涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
階段の一段毎に秋涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
竣工の終のすみかも秋涼し 荻布貢 201811
秋涼し影より黒きオーケストラ 上谷昌憲 201812
翁の跡慕ひきし旅秋涼し 安原葉 ホトトギス 201901
沁み透るやうに入り来て秋涼し 秋葉雅治 201910
新築の柱のにほふ秋涼し 広瀬済 やぶれ傘 201912
ケーブルの軋む勾配秋涼し 森田節子 風土 202001
虚子龍子茅舎を繋ぐ秋涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
秋涼の順路の影を拾ひつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
秋涼し小犬にじつと見つめられ 大島英昭 やぶれ傘 202010
秋涼しハトに米撒く人のあり 松村光典 やぶれ傘 202010
つくづくと白き豆腐や秋涼し 小田嶋野笛 末黒野 202012
途中より連れ立つ旅や秋涼し 安原葉 ホトトギス 202101
生きてゐてこその再会秋涼し 安原葉 ホトトギス 202101
窯出しの貫入の音秋涼し 吉田幸恵 やぶれ傘 202101
余裕ある乗換駅や秋涼し 安原葉 ホトトギス 202103
一瞬の秋涼の風雨誘ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202109
シーサーの鼻腔の白き秋涼し 今井肖子 ホトトギス 202109
久々の火の入るバイク秋涼し 河寄祐二 202111
秋涼し髭を当たつて歩きに出 丑久保勲 やぶれ傘 202111
秋涼し群れ咲く花の小さきにも 安立公彦 春燈 202111
西の嶺秋涼の雲のたなびく 長崎桂子 あを 202111
秋涼し笑める男の子の名はアトム 小沼ゑみ子 末黒野 202112
虚子句碑に偲ぶ面影秋涼し 安原葉 ホトトギス 202201

 

2022年8月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。