秋の暮(秋のくれ) 4      122句

癌の妻より遠き声出づる秋の暮   斎藤玄

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秋の暮より明日へと繋ぐ旅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201009
愛犬の白髪しろかみちらほら秋の暮 安永圭子 風土 201011
捨てきれぬ写真の整理秋の暮 遠藤実 あを 201011
秋の暮歩きゐるうち川に出て 定梶じょう あを 201011
窓に灯の匂ひ溢るる秋の暮 森理和 あを 201011
けんけんの落書残る秋の暮 宮田香 201012
母弱り「世話煌々になるね」と秋の暮 山崎里美 201012
東塔の水煙けぶる秋の暮 和田森早苗 201012
校庭に声の高まる秋の暮 松下八重美 201012
秋の暮夫のむかしと擦れ違ふ 森茉明 京鹿子 201012
秋の暮梢を鳴らす風の音 渡辺安酔 201012
帰宅路の人も車も秋の暮 鈴木セツ 201012
大鴉ひたと鳴き止む秋の暮 池田光子 201012
銭湯の一番風呂や秋の暮 石川かおり 201101
躓きし石ふりかへる秋の暮 伊藤敦子 末黒野 201101
風を見に道に出でけり秋の暮 竪山道助 風土 201101
足早に戻る主婦の座秋の暮 和田政子 201101
往来にこゑ聞きに出る秋の暮 蘭定かず子 火星 201101
霊山や耳遠くなる秋の暮 笹村政子 六花 201101
閉ざされし山門粛と秋の暮 桂敦子 201102
捨舟に竿の残され秋の暮 岡井マスミ 末黒野 201102
田の面やかげ長々と秋の暮 菊谷潔 六花 201102
もみを焼く田づらしぐぐる秋の暮れ 菊谷潔 六花 201102
メモをしてゐていつの間に秋の暮 浅井靑陽子 ホトトギス 201103
雑踏にゐても孤愁の秋の暮 布川直幸 201109
何事もなき一と日過ぐ秋の暮 早崎泰江 あを 201110
吠ゆ犬の止処なく吠ゆ秋の暮 森理和 あを 201110
熱の子のおんぶをせがむ秋の暮 伊藤純子 201112
秋の暮通夜へと過ぎる一里塚 上原重一 201112
別れ来し口乾きをり秋の暮 松本三千夫 末黒野 201112
半生を風と過ぎたり秋の暮 能村研三 201112
雑踏の中に顔置く秋の暮 山田六甲 六花 201112
古書市の本を両手に秋の暮 五十嵐勉 201201
白樺の林に翳り秋の暮 谷口俊郎 201201
不自由な足を撫でゐる秋の暮 高倉恵美子 201201
秋の暮人込みに捜す待ち合せ 本郷宗祥 かさね 201201
橡の木の下は殻のみ秋の暮 田島昭久 かさね 201201
畑仕事終へた笑顔や秋の暮 青木英林 かさね 201201
うしろより追はれてゐたり秋の暮 雨宮桂子 風土 201201
子をせかす声大きかり秋の暮 岡田満喜子 ぐろっけ 201201
結界石の縄の緩びて秋の暮 岸本久栄 雨月 201201
メキシコの友の引越し秋の暮 伊吹之博 京鹿子 201201
待たれゐるわが家のありて秋の暮 田所節子 201201
戯れに妻の影踏む秋の暮 貝森光洋 六花 201201
釣り人に猫寄り添うて秋の暮 田中信行 201202
湖に一筋の日矢秋の暮 西川みほ 末黒野 201202
雲の端に鴇色滲み秋の暮 森清信子 末黒野 201202
思ひ出せぬ歌詞をハミング秋の暮 中原敏雄 雨月 201202
言ひ忘れ聞き忘れはたと秋の暮 中山純子 万象 201202
脇街道じゃらんじゃらんと秋の暮れ 陽山道子 船団 201203
名画のやう農婦屈める秋の暮 赤座典子 あを 201210
パンパスの大きく揺るる秋の暮れ 青木英林 かさね 201211
秋の暮茶室に残る香りかな 吉田啓悟 かさね 201211
秋の暮水琴窟の音聞きて 吉田啓悟 かさね 201211
湯煙の道に溢るる秋の暮 後藤克彦 かさね 201211
秋の暮友に誘はれ名湯へ 後藤克彦 かさね 201211
足早に迫まる夕闇秋の暮 吉田博行 かさね 201211
鳴きながら飛び去る鳥や秋の暮 吉田博行 かさね 201211
蝉の声樹の上高き秋の暮 田中清秀 かさね 201211
背山より秋の暮れゆく棚田村 工藤ミネ子 風土 201211
焼売の骨に歯の欠け秋の暮 小川玉泉 末黒野 201211
角曲がるまで付きくる猫や秋の暮 生田高子 春燈 201211
善人のふりは疲るる秋の暮 上田雪夫 ぐろっけ 201211
伝言の納得いかず秋の暮 菅野蒔子 末黒野 201211
年輪を重ねし皺や秋の暮 丸山酔宵子 かさね 201212
稲刈りの煙たなびく秋の暮 吉田博行 かさね 201212
通勤バス次々帰る秋の暮 若江千萱 雨月 201212
つまだちて夫探しゐる秋の暮 山城孝子 火星 201212
前を行く人の影踏む秋の暮 波田美智子 火星 201212
鰡跳ねて己が輪に入る秋の暮 矢野百合子 201212
遊ぶ子の声の散りゆく秋の暮 田中浅子 201301
何となく家へ携帯電話けいたい秋の暮 北尾章郎 201301
幽霊飴ひとつ貰ふて秋の暮 栗栖恵通子 201301
擦れ違ふ人々の目にも秋の暮れ 柴田靖子 201301
ゆく船のうしろ明るき秋の暮 城孝子 火星 201301
行商の先急ぎをり秋の暮れ 荒木稔 ぐろっけ 201301
一輪車の子等の散りぢり秋の暮 菅野日出子 末黒野 201301
はんなりと雲鴇色に秋の暮 中野久雄 末黒野 201301
御神燈整へられて秋の暮 出口誠 六花 201301
秋の暮奥歯にセメン詰めらるる 篠田純子 あを 201301
瑠璃色の湯呑が二つ秋の暮 吉成美代子 あを 201301
戸障子の音の増えゆく秋の暮 黒滝志麻子 末黒野 201302
帝都の旅乗りかへ多し秋の暮 森礼子 雨月 201302
秋の暮町の奥より太鼓の音 渡邊孝彦 やぶれ傘 201302
待つとなく門に佇む秋の暮 柴田志津子 201302
父なくて位牌生まるる秋の暮 柴田佐知子 201303
名画座のここも閉館秋の暮 織田高暢 201303
散らばつて友は貝殻秋の暮 谷さやん 船団 201304
踏切のすぐそばの家秋の暮 山尾玉藻 火星 201309
秋の暮五人家族が今一人 竹貫示虹 京鹿子 201310
箒目の道門へ入る秋の暮 山尾玉藻 火星 201310
秋の暮風が運ぶか馬頭琴 丸山酔宵子 かさね 201311
農の焚く煙ひとすぢ秋の暮 森岡正作 201311
割り算の合はぬ勘定秋の暮 森下康子 201311
せんべいを畳に踏みし秋の暮 山尾玉藻 火星 201311
蝉の声小さくなりて秋の暮 田島昭久 かさね 201311
長湯せし足風におく秋の暮 山田六甲 六花 201311
異人墓は石の明るさ秋の暮 瀧春一 花石榴 201312
大伽藍鐘の音重し秋の暮 池内とほる かさね 201312
まだ鳴くか蝉一匹の秋の暮 田島昭久 かさね 201312
喫煙所どこか檻めく秋の暮 田所節子 201312
わが翳になにか急かさる秋の暮 寺田すず江 201401
嘘少し日記に書いて秋の暮 田村すゝむ 風土 201401
ローラーの道均しゐる秋の暮 丑久保勲 やぶれ傘 201401
おもむろに吐息をひとつ秋の暮 和田郁子 201401
捨つべき書棚に戻して秋の暮 千手和子 馬醉木 201401
又来ると歩み早めて秋の暮 居内真澄 ぐろっけ 201401
酒断ちは医者の口癖秋の暮 松嶋一洋 201401
秋の暮一湖は深き水湛へ 黒滝志麻子 末黒野 201401
路地裏の琴の音洩るる秋の暮 山口登 末黒野 201401
老いてみて道面白き秋の暮 菊谷潔 六花 201401
人絶えし裏参道や秋の暮 鈴木芙蓉 末黒野 201401
肩痛み通う整形秋の暮 植田雅代 ぐろっけ 201401
とろみつけ水飲む体調秋の暮 池田久恵 ぐろっけ 201401
振り向けば又遠会釈秋の暮 津野洋子 京鹿子 201402
街の灯や明星淡き秋の暮 竹内涼子 末黒野 201402
秋の暮鋏忘れし植木職 明石文子 ぐろっけ 201402
宵の明星輝き初むる秋の暮 植村よし子 雨月 201403
今年又講話聞く午後秋の暮 稲畑汀子 ホトトギス 201410
首輪なき犬のつきくる秋の暮 白数康弘 火星 201410
自転車の空気を入るる秋の暮 白数康弘 火星 201410
家にまだだあれもゐない秋の暮 白数康弘 火星 201410
マンホールの蓋踏めば鳴る秋の暮 白数康弘 火星 201410
秋の暮舳先もたげて舟戻る 白数康弘 火星 201410
秋の暮→5      

2021年10月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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