石 榴 4    100句

海流へ口あけてをり石榴の実   高島茂

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冷笑のごとく石榴の裂けゐたり 布川直幸 201411
実柘榴や地球はマグマ噴きこぼす 齊藤實 201411
ざくろの実夕日の中で笑ひけり 岩佐ヨシエ 201412
実柘榴や角無き鬼の祀らるる 萩庭一幹 馬醉木 201412
まだ青き口を尖らせ柘榴の実 菅野蒔子 末黒野 201412
仁王の面めき実石榴の四つに裂け 江木紀子 雨月 201412
病むという言葉似合わぬざくろの実 波戸辺のばら 201412
石榴噛み遊びごころは尼僧らも 堀内一郎 堀内一郎集 201412
実柘榴と庭井の景や書院窓 塩路隆子 201412
石榴裂け崖の家の姥つつがなし 相沢有理子 風土 201412
祖父からの五代の柘榴実を弾く 森屋慶基 風土 201412
実石榴や土蔵づくりの小画廊 箕輪カオル 201501
実柘榴や子を呼んでゐる母のこゑ 柴田志津子 201501
異人館出でて三鬼の柘榴割れ 田村すゝむ 風土 201501
破れ塀をたどれば石榴口開けて 乗光雅子 雨月 201501
荒凡夫兜太の生家石榴笑む 山田春生 万象 201501
手に取ればかろき重さの石榴かな 中村千久 万象 201501
掌にのせて淋しくなりぬ石榴の実 本多俊子 201501
大壷に挿し勝ち誇る柘榴の実 神戸京子 ろんど 201501
口開かぬ石榴やどことなくわれ似 田中貞雄 ろんど 201501
まうしろは何もない空石榴の実 藤岡紫水 京鹿子 201501
ざくろの実煮出すくれなゐ染工房 人見洋子 201502
青空市どこか祖母似の柘榴売り 今井春生 201502
ざくろ裂け鬼の顔とも笑顔とも 及川照子 末黒野 201502
昼の月われにふるさと柘榴の実 鴨下昭 201502
柘榴重し爆ずる力を内に籠め 山田夏子 雨月 201502
石榴の朱殊に艶やかなる一顆 溝内健乃 雨月 201502
爆ぜ石榴小鳥の後をいただきぬ 溝内健乃 雨月 201502
柘榴/割れ/少年の飢え/赤きシャツ 阪野基道 船団 201502
ひとでなし真ッ赤に柘榴割つてみよ 鳥居真里子 船団 201502
笑み柘榴手にほほゑみの自づから 杉山瑞恵 雨月 201503
うどん屋の柘榴くちあく遠囃子 山本久江 201503
柘榴熟れ日躍弥撒の始まりぬ 遠藤迫遙子 風土 201507
種ばかり実の無き石榴美しく 高橋泰子 201510
割柘榴地球何かが狂ひをり 田所節子 201511
今でしよと言はれしごとく割れ石榴 甕秀麿 201512
柘榴描く和紙の滲みや風通る 白水良子 201512
青天に柘榴ぽたりと絵具垂れ 七郎衛門吉保 あを 201512
供華とする子規の墓へと石榴の実 中村洋子 風土 201512
秘め事の口を衝きさう柘榴の実 佐藤みち子 京鹿子 201601
実石榴や師の一喝を語り継ぐ 荒木甫 201601
嗤とも怒りとも見ゆ石榴落つ 遠山みち子 201601
実石榴や路地に並べし陶器市 山田佳子 201601
諍ひや口を割りたる石榴食む 江島照美 201602
縁側に四五個の柘榴転がされ 白石正躬 やぶれ傘 201602
実石榴の裂けたる口に牙見えず 原田達夫 201602
廃屋や柘榴のかつと割るるまま 奥名房子 201602
石榴爆ぜ山気放つてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201610
実石榴や西にいくさの火種あり 植田桂子 馬醉木 201610
石榴酸つぱしもう戻らない時間 菊川俊朗 201612
実石榴の爆けはじむや子等のこゑ 杉原ツタ子 201612
朝日より夕日に赤き石榴かな 飛高隆夫 万象 201612
八幡産松田さんちの柘榴買ひ 辻水音 201612
不機嫌な割れ方ですね石榴の実 たかはしすなお 201612
つひぞ家人見えざる庭の石榴裂け 堀田こう 雨月 201701
この石榴笑はぬことに徹したる 本多俊子 201701
実石榴をかたはらに置き音読す 井上静子 201701
雨脚の音たて来りざくろの実 松尾芳子 万象 201701
柘榴の実恋に溺れしごと裂けて 高倉和子 201612
石榴割れ男の黙の始まりぬ 林昭太郎 201701
大き石榴に手が届くかも知れず 大崎紀夫 やぶれ傘 201701
口あけて鮮血したたるザクロかな 七郎衛門吉保 あを 201701
余震なほ実石榴はいよいよ赤く 岩岡中正 ホトトギス 201702
末生りの石榴は落ちで踏まれけり 大湾宗弘 万象 201702
実石榴や百寿越す樹に二つ生り 落合由季女 雨月 201709
つややけく柘榴の萼散り敷ける 田中藤穂 あを 201709
柘榴かがやく混沌の裂け目より 辻美奈子 201711
細枝に実石榴三つぶら下がり 亀岡睦子 やぶれ傘 201712
実石榴や落ちても子安地蔵ふう 七郎衛門吉保 あを 201712
日輪の重たさに裂け柘榴の実 近藤喜子 201712
持て余すひとりの時間石榴熟れ 松井季湖 201712
良寛像托鉢にある熟柘榴 佐藤三男 万象 201712
漱石山房ざくと割れたる柘榴の実 篠田純子 あを 201801
紅き実の何たくらむや柘榴笑む 北村梢 京鹿子 201801
真実は一つ石榴の割れ目かな 伊藤希眸 京鹿子 201801
石榴爆ぜ呵々と大笑夕鴉 堀井英子 雨月 201801
石榴熟れ腹の中まで割つて見せ 樋口英子 201801
み仏の前に口あく石榴かな 石川裕子 万象 201802
柘榴の実爆ぜてこの世に喝入るる 大橋晄 雨月 201802
まだ口を割らぬ石榴や科何ぞ 松本三千夫 末黒野 201802
石榴割れ種ひとつづつ光もつ 河原敬子 201804
ザビエルの杖高々と石榴爆ず 林徹也 201804
沈思黙考石榴の吽の艶殊に 山田夏子 雨月 201804
柘榴割れ真っ赤な嘘をつく……き□ぶ□ん 阪野基道 船団 201805
柘榴の実爆ぜてこの世に喝入るる 大橋胱 ホトトギス 201805
利き腕を使わぬ書道石榴の実 林せり 船団 201806
ドラキュラが笑ふ石榴が三つ爆ぜ 塩貝朱千 京鹿子 201810
柘榴割れ日常にある狂気かな 藤田美耶子 201812
石榴の実置けば独り夜とならず 本多俊子 201812
血の色に裂けし石榴や鬼子母神 夏生一暁 馬醉木 201812
譬ふれば実石榴の裂け遠き日を 鈴鹿仁 京鹿子 201812
太郎冠者の笑ひ声する石榴の実 平田初音 京鹿子 201901
金剛力士眼を剥く寺の裂石榴 山口誠 馬醉木 201901
あかときの歌届きをり石榴の実 中島陽華 201902
石の上に仮説が落ちて柘榴の実 鳥居美代 京鹿子 201902
建前はここまで柘榴裂けにけり 村田あを衣 京鹿子 201902
もう後へ戻れぬ冬の石榴かな 南奉栄蓮 風土 201902
実柘榴を山盛りにせよ火焔土器 服部早苗 201904
石榴裂けいつも留守なる古物商 田岡千章 201905
雨多き日々に咲き継ぐ石榴かな 稲畑汀子 ホトトギス 201906
石榴→5      

2021年10月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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