柘 榴 2     157句

幾刻ぞ月と石榴の位置かはる   加藤楸邨   ザ・俳句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
三叉路に迷へば柘榴笑ひけり
村田みちな
200212
吾も呵々柘榴も呵々と笑ひけり
泉田秋硯
200301
がむしゃらが私の個性柘榴の実
塩路隆子
200301
鄙歌に酌むや石榴の食前酒
山中宏子
200301
柘榴の実予報にはなき山雨かな
降矢郊二
百鳥
200301
思ひ切り笑ふ日もあり石榴割け
木下栄子
築港
200301
石榴の実宙より下ろす棹の先
城戸愛子
酸漿
200301
画材の柘榴裂けたると裂けざるを
小西瑞穂
ぐろっけ
200301
石榴の実割れ目に沿って半分こ
井上綾
ぐろっけ
200301
実石榴に京の日差しのありにけり
堀義志郎
火星
200302
実柘榴の裂けやうをまた風趣とふ
久保晴子
雨月
200302
実柘榴や自我といふ手におへぬもの
藤井淑子
百鳥
200302
小さき掌につつむ大きな裂け石榴
二瓶洋子
六花
200303
高台に産院の跡石榴笑む
陶山泰子
ぐろっけ
200303
日の中の石榴三つに裂けてをり
松下八重美
200304
サルバドル・ダリが嗤へり裂け柘榴
山元志津香
八千草
200305
「一緒に来い」柘榴のやうな顔で言ふ
男波弘志
200307
実石榴の落ちてルビーに成りきれず
上石哲男
築港
200310
実石榴の真つ赤棟方志功展
山崎桂
帆船
200311
石榴の実一粒ごとを味はへり
早崎泰江
あを
200312
石榴割る越後訛のゆるく過ぐ
吉弘恭子
あを
200312
まろきまま朱を強むる石榴かな
赤座典子
あを
200312
石榴の実落ちてルビーを弾けさす
廣島啓子
雲の峰
200312
実石榴や格子戸越の毘沙門天
竹中一花
200312
土の上に裂けし石榴や烏骨鶏
井上静子
200312
貰ひたる柘榴しばらく飾りけり
秋千晴
200312
実柘榴の一粒ごとに友の顔
秋千晴
200312
お向かひの庭師のくれし柘榴の実
あさなが捷
200312
くれなゐに口の割れ出す石榴の実
中村洋子
風土
200401
礼砲やもうすぐ割れる石榴の実
天野きく江
200401
実石榴や歩調合はぬは見込済み
伊藤早苗
200401
柘榴斯く割れしや遠き秦の世も
泉田秋硯
200401
絵筆手に熟れし石榴となつてゐる
田中矢水
遠嶺
200401
石榴爆ずどうしていいかわからない
森理和
あを
200401
しくしくと冬の雨あり石榴の実
安部里子
あを
200401
銭湯の焚き口近き柘榴かな
青山丈
200401
木彫の呵々大笑や石榴の実
石見邦慧
200402
真青なる空に割れたる柘榴の実
山村修
築港
200402
めつたには鳴らぬ踏切石榴熟る
谷野由紀子
雲の峰
200402
指染めて柘榴もぎ行く故宮かな
小林登喜枝
万象
200410
骨壺やまだ青くして石榴の実
竹内悦子
200410
鬼子母神にあをき石榴の太りつつ
中村洋子
風土
200410
実ざくろやぬるき目薬こぼれける
赤座典子
あを
200410
黒光る階段箪笥ざくろの実
植松美根子
200411
実柘榴の粒透かし見るかな女の忌
中川晴美
雲の峰
200411
過ぎし日は追はず陽の恩ざくろ熟る
鈴鹿仁
京鹿子
200411
連れ立ちて女芭蕉や柘榴裂け
堀内一郎
あを
200411
実柘榴に浅間の灰のうつすらと
赤座典子
あを
200411
ざくろの実はぜて真昼の蟹満寺
谷村幸子
200412
発心のざくろに噛まるはぐれ雲
宇都宮滴水
京鹿子
200412
湯の宿の料理石榴を散らしあり
高木智
京鹿子
200412
石榴噛みつぶして時を計りけり
高木智
京鹿子
200412
実柘榴や本堂に釣る巨き魚鼓
芦澤一醒
200412
実石榴のステンドグラスに影映す
菊池ゆう子
200412
少年の日の匂ひなり柘榴食ぶ
中野智子
春耕
200412
聖天の日差しゆたかや石榴熟る
谷野由紀子
春耕
200412
実ざくろの裂け目に凝りし露の玉
大坪景章
万象
200501
校庭のおしくらまんぢゆう石榴の実
玉川悠
遠嶺
200501
実石榴や情で語れぬことのあり
大曽根育代
遠嶺
200501
新しき友は快活石榴の実
村瀬八千代
遠嶺
200501
何迷ひゐると石榴の実が笑ふ
亀ヶ谷照子
遠嶺
200501
塩害の石榴は褪せて誓子の居
藤田京子
ぐろっけ
200501
実柘榴に夕日とどむる蔵の街
松本恒子
ぐろっけ
200501
実石榴の影遊ばせて阿弥陀堂
米沢しげる
春燈
200501
どの顔で死ぬかセピアの石榴の実
丸井巴水
京鹿子
200501
ほのぼのの生涯たのめり石榴実に
北川孝子
京鹿子
200501
絶頂にゐて不安なり裂け石榴
柴田朱美
京鹿子
200501
石榴裂け内部構造さらしたる
塩川雄三
築港
200501
石榴一つ弾けるまでを木に残す
山田圓子
築港
200501
貰ひたる柘榴をしばし飾り置く
秋千晴
200502
テーブルに弾けし柘榴残されし
あさなが捷
200502
特大の父のげんこつ石榴の実
亀澤淑子
万象
200502
裂けざくろ入り日の赤さ捕へをり
高橋美智子
200502
口裂けし石榴の微笑とは言へず
長谷柑生
200502
画家の眼で熟れし石榴を見上げゐる
二瓶洋子
六花
200502
石榴割れ宝石数多きらめかす
金國久子
遠嶺
200502
実石榴のブリキの硬さ見せて枯れ
藤井智恵子
百鳥
200503
鳥の餌となる前に捥ぐ柘榴の実
立花かほる
六花
200503
石榴の実弾けて母の傘寿なる
立花かほる
六花
200503
石榴の実程良く実れ出発(たびだち)に
遠塚青嵐
200503
小春日や女が描いて裂け石榴
朝倉富次
酸漿
200504
のぞいてみたい頭脳ありけり柘榴の実
大山夏子
200505
石榴の実内々だけの葬りにて
中村房枝
六花
200510
裂くるまではと文机に置く石榴
鷹羽狩行
200511
実石榴に割れよ割れよと日の光
犬塚芳子
200511
海光やダリの石榴となつてをり
近藤喜子
200511
石榴裂け地球にテロの無くなる日
堀内一郎
あを
200511
磁石北指して石榴の割れにけり
太田佳代子
春燈
200512
石榴の実怺へきれずに口開く
須藤美智子
風土
200512
ころころと二つ実をつけ姫ざくろ
藤岡紫水
京鹿子
200601
実柘榴や聞かぬ振りして聞く話
坂本ひさ子
遠嶺
200601
空論の果て卓上に石榴の実
関口幹雄
遠嶺
200601
満を持し五裂の石榴贈りけり
磯崎清
200601
石榴にもこぼるる風情ありにけり
藤崎和子
四葩
200601
捥ぎとりて片面温き石榴の実
伊藤以玖子
対岸
200601
朝市の媼の石榴みな笑まふ
飯塚ゑ子
火星
200601
離乳の児の前歯二本や白石榴
住田千代子
200601
見上げたる空の広さに石榴の実
飯田角子
酸漿
200601
とある家の大あけび爆ぜざくろ爆ぜ
石垣幸子
雨月
200602
鬼子母神怖れ柘榴の実に触れず
下平しづ子
雨月
200602
紅の実に日の透きとほる柘榴かな
夏目満子
酸漿
200602
石榴の実眞赤にはぜて伊吹晴れ
森樹夫
栴檀
200603
柘榴固しさみしく笑ふ女かな
山元志津香
八千草
200604
一月の赤紫の石榴の顆
石脇みはる
200604
風雲(かざぐも)の一片とある柘榴の實
瀧春一
常念
200606
ひとつづつ秋の日色や柘榴の實
瀧春一
常念
200606
綻ばずじまひ柘榴の固噤(つぐ)み
品川鈴子
ぐろっけ
200609
なべて遠し夕燒石榴見て佇てば
岡本眸
200610
釣竿のゆらしてゆきし青石榴
吉田康子
火星
200611
何のための柘榴の枝の棘なりや
大橋敦子
雨月
200611
実ざくろに日裏日表ありにけり
大橋敦子
雨月
200611
柘榴の棘ふれて侮れざる痛さ
大橋敦子
雨月
200611
割れ石榴携帯電話の圏外に
大川ゆかり
200611
紅唇に実石榴透明歯並に似
鈴木榮子
春燈
200612
疎まれてゐるを知りをり石榴の実
中村恭子
200612
実石榴の校庭に線しつらへぬ
中村恭子
200612
うつちやらかす恋の重荷やざくろの実
延広禎一
200612
父の忌の近むに石榴裂けにけり
平田美知子
200612
裂くる前よりてらてらと柘榴照る
大橋敦子
雨月
200612
実柘榴の口を割らさむはかりごと
山田夏子
雨月
200612
俳味とはかくや石榴の裂けにける
高橋照子
雨月
200612
夕日なほ留まつてゐる柘榴かな
荒井千佐代
200612
太陽がいつぱい柘榴実がはじけ
池田かよ
ぐろっけ
200701
笑み柘榴ひと粒ごとの自己主張
塩路隆子
200702
金語楼の墓を間近に石榴熟れ
鈴木朗月
万象
200702
青空と触れ合ふ紅や石榴の実
山村修
酸漿
200702
冬の夜のはじけてゐたるざくろかな
竹内悦子
200703
石榴枯れをり美しき葉を落し
柳生千枝子
火星
200703
石榴赤し白寿までには間のありぬ
松崎鉄之介
200708
石榴くわつと割れて原爆ゆるすまじ
上原重一
200709
父の戦地母の戦後や柘榴の実
高倉和子
200709
水子抱く観音像や柘榴の実
四條進
200710
眞赤かな石榴ころげて廻るパンテノン
新関一杜
京鹿子
200710
実石榴や校門は元櫓門
大橋晄
雨月
200710
お不動の石榴の青実雫せり
佐藤晴子
万象
200711
翳りなく光もなくて石榴の実
小澤克己
遠嶺
200711
細き枝撓ふ石榴に足を止め
鈴木多枝子
あを
200711
下校児の石榴の笑むに立ち止る
西形佐太郎
200712
ざくろ落つ途中といふは仄白し
井上信子
200712
覗き込み石榴の口を開けにけり
山口ひろよ
200712
一と抱へ柘榴の実摘み坊が妻
鎌田篤
雨月
200712
石榴の実割るるや白眉呵呵大笑
中島陽華
200801
実ざくろの口開いてをり鬼子母神
栗栖恵通子
200801
実石榴の割れゐる昼の郭町
坂口夫佐子
火星
200801
寸分の隙さへおかず石榴の実
栗城静子
200801
柘榴割れ実のこぼれゐし父母の声
鈴木多枝子
あを
200801
妊りし時の懐かし柘榴食む
和田絢子
春燈
200802
身の奥に燃ゆるものあり柘榴裂け
村田文一
遠嶺
200802
実柘榴の笑ひて人を引寄せり
近藤公子
200802
石榴手に二河白道ゆく途中
南一雄
200802
石榴赤触るれば弾けさうな赤
安部和子
雨月
200802
夜のざくろポップコーンの弾けだす
貝森光洋
六花
200802
ひやびやと日のさしてゐる石榴かな
安住敦
春燈
200803
この石榴ブルートレインだったのよ
坪内稔典
稔典句集
200804
神戸まで行く気かしらんこの石榴
坪内稔典
稔典句集
200804
東寺まで行く気石榴を食べながら
坪内稔典
稔典句集
200804
思ひ余りて実柘榴の爆ぜにけり
宮崎すみ
神々の交信
200808
柘榴 →3      

2021年10月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。