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鬼柚子をもらひそこねし手ぶらかな     川崎展宏

作品
作者
掲載誌
掲載年月
格子戸の中は柚子の香おくどさん 松田和子 200901
宅配の原稿に添へ柚子ふたつ 道坂春雄 炎環 200901
柚子の実の日に日に変はる黄色かな 黒澤登美枝 200901
柚子黄なり峡に朝日の射しわたり 阿部ひろし 酸漿 200901
柚子照りて日暮のおそき水尾村 森ひろ 馬醉木 200902
柚子を捥ぐ媼に雲のあふれけり 原田しずえ 万象 200902
柚の皮を一片削ぎし雪もよひ 山尾玉藻 火星 200902
柚子ふたつもらひ両の手よろこべり 杉浦典子 火星 200902
獅子柚の影のこぼるる目笊かな 米澤光子 火星 200902
レグホンのころがるやうに柚の下 米澤光子 火星 200902
柚子しぼる力加減でありにけり 大東由美子 火星 200902
人は人己はおのれ柚子は黄に 沼田巴字 京鹿子 200902
廃業の置屋の土塀柚子明り 藤原はる美 200902
本陣の部屋ぬち暗し柚子熟るる 永田二三子 酸漿 200902
人の手の届かぬとこに柚子の黄 中山静枝 200903
獅子柚子の庭の明るさ屋敷神 中島陽華 200903
メールボックスより葉付き柚子一つ 野澤あき 火星 200903
歪みたる庭の柚子捥ぐ冬至かな 南原正子 酸漿 200903
銀杏祭色よき柚子も求めけり 池田いつ子 酸漿 200903
大柚子の色浮びたる日暮坂 井口初江 酸漿 200903
柚子香る鍋に団欒ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
柚子の皮落し一椀出来上る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
蓋取りて先づ柚子の香といふ馳走 稲畑廣太郎 ホトトギス 200910
好日や籠あをあをと柚子届く 鷹羽狩行 200910
枝つきの棘つきのまま柚子を活け 鷹羽狩行 200910
賞めどきを逸して柚子の二度絞り 木村公子 花貝母 200911
届きたる新聞包み柚子匂ふ 吉沢陽子 200911
柚子買へば幸せ一つ付ゐてくる 大木清美子 200912
生傷を一つ増やして柚子を捥ぐ 鈴木さと子 末黒野 201001
数へ日の柚子の黄まぶし風木舎 大坪景章 万象 201001
雨音のはつかとなりし柚釜かな 大山文子 火星 201001
庭に来て喋る柄長や柚子を採る 長田秋男 酸漿 201001
夕映の柚子の木柚子をちりばめし 坂本知子 酸漿 201001
歪なる柚子と浮きたり爺の顔 福田かよ子 ぐろっけ 201001
多宝塔朱色の垂木柚子は黄に 服部早苗 201002
遠慮がちに柚子を賜ひぬ一葉忌 小野口正江 末黒野 201002
いただきに夕日あつめし木守柚子 海村禮子 春燈 201002
柚子一本ひとりが守る一戸建 舘泰生 風土 201002
シリウスの雫や獅子柚子の太る 雨村敏子 201002
群青の空へ柚子の実黄を誇示す 細川コマヱ 雨月 201002
職員室の机に柚子をひとつづつ 山尾玉藻 火星 201002
かづら橋のへだたりにある柚のいろ 米澤光子 火星 201002
朝日燦々柚子のしづくの柚子いろに 高尾豊子 火星 201002
次々と顔出すごとし柚子明かり 中緒和子 酸奬 201002
語りかけ初捥ぎの柚子供へけり 中緒和子 酸奬 201002
月光に柚子の黄闇を深めをり 矢崎暉文 酸奬 201002
明智越え柚子成る里を遠望し 坂根宏子 201003
獅子柚子の窪み窪みに日の溜まる 雨村敏子 201003
蒼天に柚子の量感結実期 白髭美佐子 201003
水尾のどの径行くも柚子明り 田村すゝむ 風土 201003
今日の日を山に傾げて柚子明り 田村すゝむ 風土 201003
たわたわと渡る板橋柚子摘みに 白神知恵子 春燈 201003
遠き日の母の夜なべや柚煮詰め 阿部悦子 酸漿 201003
柚子の黄のたわわなる径野面積 水谷洋子 201003
柚子坊主ひとが通れば葉に化けよ 伊藤憲子 201004
柚子の香にまみれて夫のジャム作り 鈴木浩子 ぐろっけ 201004
今朝の雨したたり柚子の重たげな 有賀昌子 やぶれ傘 201006
獅子柚子の子の頭のほどを掌に受けて 有賀昌子 やぶれ傘 201006
柚子の軒傷つき匂ふ里訛り 鴨下昭 201011
鬼柚子や笑ひだしそな憤怒像 高橋将夫 201011
柚子釜やありありと師の来てをりぬ 神蔵器 風土 201011
竿足して柚子の黄色を捥ぎにけり 内山タエ 末黒野 201012
柚子匂ふ水尾の里の帝の碑 中村洋子 風土 201012
吸物に柚子の一片匂ひけり 杉本綾 201101
柚子もぎて艶やかな香に喧びけり 渡辺安酔 201101
葉隠れの柚子ひそひそと太りけり 久染康子 201101
揺れながら乳房に柚子の近づけり 苑実耶 201101
日々捥ぎてやうやく木守柚子となる 阿部ひろし 酸漿 201101
家消えて鈴成りの柚子残りをり 八木岡博江 酸漿 201101
文机に見目よき葉付柚子ひとつ 松岡和子 201102
望郷のめもじとなりぬ残り柚子 木山杏理 京鹿子 201102
仰山の柚子や菜つぱやおとうと来 大山文子 火星 201102
枝の柚子警察官の嗅ぎて去る 清海信子 末黒野 201102
冬至過ぎ残るいくつは木守柚子 阿部ひろし 酸漿 201102
葉の繁み抜け出て柚子の熟れにけり 柳田和子 酸漿 201102
厨にも山の水引き柚子の里 田中藤穂 あを 201102
柚子姫と混浴一つ指弾く 泉田秋硯 201103
電飾のつづきに柚子の香りをり 成田美代 201103
夕まぐれ伴侶と植ゑし柚子を剪る 森さち子 201103
吸口の柚子の香立つも二十日かな 竹内弘子 あを 201103
柚子釜やしづかに移る夜の雲 浜口高子 火星 201104
柚子香るコーヒー香る冬籠 上野かりん ろんど 201104
柚子ジャムの煮ゆる日風の窓打つ日 川上久美 ろんど 201104
みやげ屋に柚を比べる冬至前 大西まりゑ 酸漿 201106
急に柚子匂はす夜の波がしら 伊藤白潮 201110
柚子の村地圖に勾配なき遠さ 竹貫示虹 京鹿子 201110
鬼柚子の秩父囃子に太りたる コ田千鶴子 花の翼 201111
時織り込むやうに煮詰むる柚子のジャム 川崎真樹子 春燈 201112
久に訪ふ家に声無し柚子たわわ 青野安佐子 201112
見上ぐればほのかに匂ふ柚子たわわ 早崎泰江 あを 201112
盗みたる柚子ゆふぐれの手に点る 定梶じょう あを 201112
柚子山の出会約せし君いづこ 大坪景章 万象 201201
柚子一つ掌に晩年を見詰めをり 藤岡紫水 京鹿子 201201
水尾の里の黄昏れ柚子たわわ 坂根宏子 201202
鬼柚子の観音の手にあるごとく 辻美奈子 201202
月蝕に鬼柚子の相極まれり 上谷昌憲 201202
夕暮に少し間のあり柚子を摘む 宮平静子 雨月 201202
児の頭より大きな乳房柚子香る 小林朱夏 201203
色付きてより知る柚子の数多かな 河合とき 末黒野 201203
獅子柚の十顆が雨の川照す 滝川あい子 雨月 201203
武骨なる容チ愛され柚子香る 東野鈴子 雨月 201203
柚子寿司に母の坐りし座につきぬ 松下八重美 夢見の鐘 201203
柚子に刃を入れて許さうと思ふ 直江裕子 京鹿子 201204
笊いつぱい不揃ひの柚子貰ひけり 國保八江 やぶれ傘 201204
生きしろはまだまだ柚子の香りほど 直江裕子 京鹿子 201205
柚子は黄に偕老契り六十年 遠藤けんじ 万華鏡 201206
柚 →5      

2021年11月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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