湯冷め 1   100句

天眼鏡ぞくと湯ざめのおそしろき   櫻井博道   椅子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
背筋よりはじまつてゐし湯ざめかな 稲畑汀子 ホトトギス 199812
書き上げて湯ざめ心地のペンを置く 稲畑汀子 ホトトギス 199812
気づきたるときは湯ざめをしてをりし 稲畑汀子 ホトトギス 199812
弔電を打ち終へしより湯ざめかな 稲畑汀子 ホトトギス 199812
湯ざめしてしし座流星痕とらふ 神蔵器 風土 199901
蜂蜜に花の香湯ざめ心地かな 中根美保 風土 199904
星屑の降りて来さうな湯ざめかな 村田近子 遠嶺 199905
稿債を崩せし湯ざめなりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 199912
片づきし机辺を立ちし湯ざめかな 稲畑汀子 ホトトギス 199912
湯ざめせしよりの恙と伝はりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 199912
天体の神秘に触れし湯ざめかな 稲畑汀子 ホトトギス 199912
寝不足の引きずつてゐし湯ざめかな 稲畑汀子 ホトトギス 199912
寒明けて湯冷めのやうな京の街 藤岡紫水 京鹿子 200001
湯ざめして亡妻に言葉を待たれをり 神蔵器 風土 200001
湯ざめして身の芯他愛なかりけり 坂本俊子 200002
湯ざめして宿着ほとほと袖広き 岡本眸 200002
冬瓜の倒れてをりし湯ざめかな 奥田節子 火星 200004
湯ざめして二本の足で佇ちてをり 加藤真起子 火星 200004
つきまとふ越の波音湯ざめせり 稲葉ちよこ 風土 200004
湯ざめして声のささくれ立ちてきし 小菅暢子 200004
眉うすき湯ざめの顔と出合ひけり 橋場千舟 船団 200007
パソコンの将棋に負けて湯冷めせり 堀田政弘 200102
まつたうな湯ざめなりけり母の死後 大場佳子 銀化 200102
湯ざめしてワインに染する不倫中 三池泉 船団 200103
湯冷めして鷺の膝裏ひかがみなど思ふ 柳生正名 海程 200108
白鳥のそばに湯冷めをしてをりぬ 石橋翠 いろり 200112
メルヘンを閉ぢてうつつの湯冷めかな 清水晃子 遠嶺 200202
狐火を三つ四つ見ての湯ざめかな 岡本久也 200202
わが崇に温れし湯ざめ心地かな 田中英子 火星 200202
白鳥と離れて湯ざめしてをりぬ 石橋翠 いろり 200202
湯ざめ顔にて母と逢ひ父と遭ふ 松本康司 銀化 200202
漱石が悄然とゐる湯ざめかな 浜崎良彦 円虹 200203
湯ざめして思ひ出すこと皆なつかし 林翔 200203
寝そびれしことに気の付く湯冷めかな 山口まさやす 銀化 200204
寸一寸編みておろかに湯ざめせる 半田順子 馬醉木 200204
本を持つ左手からの湯ざめかな 柿沼盟子 風土 200204
猫の貌尖りはじめし湯ざめかな 嵯峨根鈴子 火星 200207
渋茶呑む背より湯ざめの忍び寄る 関口ゆき あを 200212
湯ざめして犀川の灯を見てゐたり 斉藤由美子 ぐろっけ 200212
湯ざめして早くも妻の掠れ声 北原東洋男 200302
湯ざめせぬてふ菜の風呂に風を聞く 辰巳陽子 雲の峰 200302
不忍池や湯ざめのごとく夕日見て 木内憲子 200302
足裏にイエス来てをる湯ざめかな 栗栖恵通子 200303
血が水にかはりしごとき湯ざめかな 長岡新一 200303
老いてなほネットサーフィンとふ湯ざめ 鈴掛穂 200303
湯冷めして古き歌など思ひ出す 片山由美子 200304
労りの一番風呂に湯ざめせり 有田蟻太 200304
湯ざめして長き電話を納めけり 檀原さち子 酸漿 200304
湯ざめして電話の訃報聞いてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200305
校正に湯ざめの心地ありにけり 藤田あけ烏 草の花 200401
湯冷めして影を大きく引摺れり 今瀬剛一 対岸 200402
今日の日を鮮明にして湯冷めせり 今瀬剛一 対岸 200402
句の推敲重ねし果ての湯ざめかな 福山広秋 200402
音だけの海を見てゐる湯ざめかな 戸栗末廣 火星 200403
内定を知らされてゐる湯ざめかな 高尾豊子 火星 200403
湯ざめしてテレビドラマの中に居り 折田京子 風土 200404
中七の一字に迷う湯ざめかな 芦川まり 八千草 200406
湯ざめかな東京砂漠見おろして 山元志津香 八千草 200406
足もとに蛸足配線湯冷めせる 山尾玉藻 火星 200502
湯ざめして花の名前を忘れたる 高倉和子 200503
湯ざめして一筆荒き日記かな 尾辻のり子 河鹿 200503
人肌に湯冷めを忘れさせられり ことり 六花 200504
星空や鼻から湯ざめ始まりぬ 後閑達雄 対岸 200504
湯冷めして幽明境にゐるやうな 伊藤白潮 200512
湯ざめして鞄に戻す書類束 田中春生 200512
湯ざめせし吾子の寝息を確かむる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200512
湯冷めして重松清読み倦かず 伊藤白潮 200601
湯ざめせる壷の椿のみな蕾 浜口高子 火星 200604
湯ざめして男の泪見てゐたり 片山タケ子 200604
湯ざめして地球にひとりゐるごとし 坂本緑 200611
湯ざめして欄間に透かし彫の鶴 鷹羽狩行 200701
湯冷めして逆発想を引き出さむ 伊藤白潮 200703
湯冷めして独りに余る部屋の数 白井友梨 馬醉木 200704
湯冷めして芯だけ熱き恋のこる 菅原健一 200704
寒の明け湖は湯冷めの靄込みに 藤岡紫水 京鹿子 200705
湯ざめせしごと五月雨の森よぎる 小島みつ代 200709
湯冷めして悪尉にさも似てきたる 伊藤白潮 200712
湯冷めして聞くあらくれの男の訃 伊藤白潮 200712
湯ざめして世間を遠くしてをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200712
湯ざめして君の星見る空であり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200712
湯ざめして眼鏡重たくなりにけり 片山由美子 200802
立読みの本屋の奥に湯冷めせり 戸田春月 火星 200803
湯ざめして訃報の電話置きにけり 柳生千枝子 火星 200804
湯ざめせぬやう火の色のバスタオル 小林奈穂 200804
紅さして湯ざめごこちを封じけり 長谷川翠 馬醉木 200902
足首に湯ざめの気配長電話 中山静枝 200903
湯ざめすなと声かけらるるそびらより 田原陽子 200903
湯ざめするをとこの爪の短かかり 森さち子 200903
湯冷めしてしまふメールのやりとりに 倉持梨恵 200904
紅のこる鯵の干ものに湯ざめせる 山本耀子 火星 200904
湯ざめして終結間際のミステリー 大泉美干代 雨月 200905
見えぬもの耳より入り湯冷めかな 常田創 201001
垂乳根の母に湯冷めのなかりけり 吉田希望 201001
踏切の音の聞こゆる湯冷めかな 涼野海音 火星 201002
明日留守の厨を行き来して湯ざめ 田所節子 201002
湯冷めして常より近き列車音 中田みなみ 201003
首もとに湯ざめの気配字引閉づ 小林玲子 ぐろっけ 201003
湯ざめしつなほも終らぬ電話なり 坂本知子 酸漿 201003
全集の付箋の数に湯ざめせり 蘭定かず子 火星 201004
湯ざめせる妻に自愛を諭しけり 坂本哲弘 山ざくら 201009
湯ざめすや寿限無寿限無の仮の宿 庄司久美子 201104
湯ざめしてをりぬ日記を書き終り 柳生千枝子 火星 201104
歳時記を旅にしあれば湯ざめせり 石田きよし 201105
猿の子の湯冷めせしともまだ聞かず 細野恵久 ぐろっけ 201112
湯ざめしてでも見たき星空であり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201201
湯冷め →2      

 

2023年11月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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