夕 桜  1   328句


作品
作者
掲載誌
掲載年月
木のもとを霊のただよふ夕櫻 小澤克己 遠嶺 199806
跳箱を銃座としたる夕櫻 井上信子 199807
水あれば水に反りたる夕桜 栗栖恵通子 199807
神杉に水声こもる夕桜 北村完爾 京鹿子 199808
看取り来しあまたの命夕桜 中沢三省 風土 199901
木綿から絹に着替へて夕桜 村田冨美子 京鹿子 199901
考へし脳を休めん夕桜 稲畑汀子 ホトトギス 199903

 手術せし慶太氏に吉野より電話

汝が麻醉醒めたるころか夕櫻

中原道夫 銀化 199906
裏庭に病後の一歩夕ざくら 相沢有理子 風土 199906
てつぺんが濡れてゐるなり夕櫻 飯塚ゑ子 火星 199907
ひとひらは羅漢の口へ夕櫻 川端実 寒昴 199907
世阿弥寺風立ちやすし夕桜 岩滝カヅミ 春耕 199907
立ちどまり振り返り見る夕櫻 村川雅子 199907
吟醸をしじまに待たす夕ざくら 甲州千草 199907
繋留の青き小舟や夕ざくら 環順子 遠嶺 199907
退けどきの県庁舎かな夕桜 橋本みず枝 199907
悠久の翳をしだるる夕桜 加藤汀 馬醉木 199907
かくし絵のごとく鳩ゐる夕桜 千田百里 巴里発 199911
しだれともしなだれかとも夕桜 千田百里 巴里発 199911
夕櫻あまりに多き屋形船 長屋せい子 馬醉木 200006
帯揚げの鹿の子絞りや夕ざくら 環順子 遠嶺 200007
裏方は裏口に出る夕桜 華明日香 銀化 200007
身のどこかほどけてゆきぬ夕櫻 環順子 遠嶺 200007
庭にまた別の猫来る夕桜 宮原利代 ぐろっけ 200008
夕桜講演会のレジメ見る 中林明美 船団 200010
夕桜枝垂れて風のなかにかな 朝妻力 春耕 200012
船笛の尾のきれぎれに夕ざくら 磯田富久子 200104
夕桜ぼんぼりの灯を思い出し 河合笑子 あを 200105
老いてなほ愛する心夕桜 栢森敏子 あを 200105
夕桜一年前をふと思ふ 侭田伊都希 いろり 200106
夕桜西へ東へ人散りて 山田弘子 円虹 200106
夕ざくら夜ざくら篝まだ入れず 鷹羽狩行 200106
「一力」に盛り塩聳てり夕ざくら 神蔵器 風土 200106
小羊のうすうす紅し夕桜 荻島雪子 百鳥 200107
鐘の音や母の歩ゆるむ夕櫻 高瀬チエ子 遠嶺 200107
夕ざくら寂寥すこし持ち重る 林多佳子 200107
搾乳に牛の目つむる夕ざくら 橋添やよひ 風土 200107
夕桜夕とは空の色のこと 後藤立夫 ホトトギス 200108
夕櫻ちる御影堂のすかし窓 曷川克 遠嶺 200108
夕ざくら肺美しき湿りかな 矢野千佳子 京鹿子 200108
たたずめば何かかなしき夕桜 浮田胤子 ぐろっけ 200109
ひたひたと殺し文句の夕ざくら 荒川美邦 京鹿子 200109
夕桜家名が重い八代目 朝日彩湖 船団 200110
朱の泛きし弥陀の衣紋や夕ざくら 橋添やよひ 風土 200111
風呂敷を飼ひ慣らしたり夕桜 山田六甲 六花 200204
夕桜犬がスキップして来るよ 山田六甲 六花 200205
所縁ある幾橋くぐる夕ざくら 長屋せい子 馬醉木 200205
夕ざくら正一合が血を巡る 中原道夫 銀化 200205
夕桜さつきの人が戻りくる 山田六甲 六花 200205
十枚の皿の足りぬと夕桜 片山由美子 200205
オカリナの聞こゆる湖畔夕桜 大柳篤子 雲の峰 200206
雨傘をたたみて仰ぐ夕桜 岸野美知子 酸漿 200206
四万川の風を誘ひし夕桜 井口初江 酸漿 200206
「幾松」の宿の長持夕ざくら 神蔵器 風土 200206
秘宝展出て夕桜夕心 山田弘子 円虹 200206
夕桜戸ごとに水を使ふ音 冨田みのる 200206
西行の歌碑旧る関の夕桜 鎌田茂 春耕 200206
水音は鯉の音より夕さくら 鈴木多枝子 あを 200206
しんしんと吹雪きて谿の夕桜 熊岡俊子 雨月 200206
夕桜いきなり駈くる手足かな 松本桂子 200207
夕桜港に黒きロシア船 青砥真貴子 200207
夭折の忌を修したる夕桜 阪上多恵子 雨月 200207
夕桜落人の名も墓標もなく 中島知恵子 雨月 200207
燈の入りし高灯籠や夕桜 岩瀬操舟 円虹 200207
この坂に爆死の兄や夕桜 辻本みえ子 馬醉木 200207
瑠璃光寺の池に映りて夕桜 岡本直子 雨月 200207
潮の香に雨意ありありと夕桜 青砥真貴子 200207
大いなる樹幹の捩れ夕櫻 水野あき子 遠嶺 200207
月いまだ和紙の淡さや夕桜 手島靖一 馬醉木 200207
花びらに花びらの影夕ざくら 阪上多恵子 雨月 200208
逝きし兄在す御社夕ざくら 大谷茂 飛白 200208
夕ざくら湖の碧潭濃かりけり 阪上多恵子 雨月 200208
飛鳥川水より暮れて夕桜 門伝史会 風土 200211
佇めば川の冷えくる夕桜 加藤暢一 200302
子の姿消えし砂場の夕桜 佐藤瑛 帆船 200304
一さしの舞こそ佳けれ夕櫻 小澤克己 春の庵 200305
その辺に父がゐさうな夕桜 長坂ヤス子 酸漿 200306
二分咲に湖の風呼ぶ夕ざくら 阿部悦子 酸漿 200306
夕桜雲ゆつくりと流れゆく 久保田喜代 雲の峯 200306
夕桜百の提灯点り初む 檀原さち子 酸漿 200306
瀬田川を前にして泊つ夕桜 松崎鉄之介 200306
産土に住み朝ざくら夕ざくら 十河波津 200307
夕櫻歴史のままの五重塔 野口香葉 遠嶺 200307
象山の空より白し夕桜 山田弘子 円虹 200307
自転車に犬乗せてくる夕ざくら 戸栗末廣 火星 200307
お迎へのまだ来ぬ園児夕ざくら 長屋璃子 火星 200307
出来事の夢まぼろしか夕桜 黒川悦子 円虹 200307
白を濃く紅を濃くして夕桜 山田弘子 円虹 200307
良寛さん日が暮れますよ夕桜 岩瀬操舟 円虹 200307
夕桜子のひとりゐる滑り台 影山わこ 百鳥 200307
夕桜阿蘇より高く天守閣 十河波津 200307
夕桜見に行く化粧待たさるる 西川五郎 馬醉木 200307
はるか来て異国に仰ぐ夕桜 石井邦子 酸漿 200309
シャンパンの栓の飛びたる夕桜 後藤比奈夫 ホトトギス 200310
一人旅とは一人見る夕桜 西川五郎 馬醉木 200405
夕桜知多半島の見ゆる駅 福井隆子 つぎつぎと 200405
土地の名を家名としたり夕桜 杉沢とみを 百鳥 200406
友来る着きもあへずに夕桜 鎌倉喜久恵 あを 200406
釣竿を袋に納め夕桜 大串章 百鳥 200406
オカリナを吹き合ふ少女夕桜 中島寿美 万象 200407
夕桜曳山の山車町を練り 高橋照子 雨月 200407
夕桜歌劇生徒のダンディズム 安達加寿子 200407
その奥の空真青なる夕桜 矢崎すみ子 200407
つつましき母の食卓夕桜 中谷喜美子 六花 200407
夕さくら書棚に置きしうつせ貝 大島翠木 200407
歩いてゆける距離に死があり夕櫻 若泉真樹 「瑠璃」 200407
万の枝風遊ばせて夕桜 高橋瑛子 河鹿 200407
わが町の医師急逝す夕櫻 渡辺民親 遠嶺 200407
ハンガーを鴉が運ぶ夕ざくら 戸栗末廣 火星 200408
のぼり来し月に暈あり夕桜 三村純也 ホトトギス 200408
夕ざくら子を呼ぶ双手筒にして 岡本眸 200412
仏堂やうしろの正面夕ざくら 沼田巴字 京鹿子 200501
あの鳥の名はあいうの鵜夕ざくら 安嶋都峯 対岸 200502
まだ話足らざる如く夕桜 稲畑汀子 ホトトギス 200504
老夫婦手をとり合うて夕桜 水田清子 200504
地球一自転朝桜夕桜 稲畑廣太郎 ホトトギス 200504
遠景は母郷と重なり夕桜 小林朱夏 200505
一対といふ寧しさや夕ざくら 岡部名保子 馬醉木 200506
咲き満ちて風に震へる夕桜 福嶋紀子 築港 200506
渋滞は分岐点より夕桜 矢島三榮代 帆船 200506
夕桜悲しみいつか止まるはず 倉持梨恵 200506
涙腺のいつより涸れし夕ざくら 藤原照子 200506
真間山や小雀の集ふ夕桜 松崎鉄之介 200506
まだときがあるとも思ふ夕ざくら 得田武市 河鹿 200507
やさしかりし風もありけむ夕ざくら 堂上靖子 春燈 200507
ふつくらと赤子の育ち夕ざくら 高橋紀子 対岸 200507
夕桜死んだつもりで生きてゐる 片山タケ子 200507
夕桜今年も見上ぐ我ひとり 数藤弥太郎 200507
憂ひ醒め落日に染む夕桜 荻野千枝 京鹿子 200507
夕ざくら思ひがけなき訪問者 高尾幸子 遠嶺 200507
夕桜落暉をうつす大和川 松崎鉄之介 200507
夕ざくら読み書き母に教はりし 小山内巌 百鳥 200507
南座を出でて祇園の夕ざくら 岡淑子 雨月 200507
退院の夫と見上ぐる夕桜 波田美智子 火星 200507
うなじよりはじまる微熱夕桜 櫛原希伊子 百鳥 200507
滝音の空にひびくや夕桜 橋口礼子 河鹿 200507
そこまでと言ひて見にゆく夕桜 尾辻のり子 河鹿 200508
唱名の吸はれてゆきぬ夕桜 河内桜人 京鹿子 200508
したゝかに水をうちたる夕ざくら 久保田万太郎 春燈 200603
夕ざくら誰にともなく声の出て 中村房枝 六花 200604
夕桜夜桜となる身拵へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200604
喪へ急ぐ髭剃つてをり夕桜 淵脇護 河鹿 200604
触れあはぬまま一と日過ぐ夕ざくら 鈴鹿仁 京鹿子 200605
音もなく雲か霞か夕桜 落合絹代 風土 200606
筆おこすあたりにともる夕ざくら 豊田都峰 京鹿子 200606
夕桜ベンチ一つの無人駅 内山巳代子 酸漿 200606
夕桜男の下駄に蹤いてをり 城孝子 火星 200606
夕桜肩寄せ合ひて樽と娘と 鈴木歌子 四葩 200606
照らされて濠へなだるる夕桜 上谷昌憲 200606
水の尾の湖心に消えて夕櫻 小澤克己 遠嶺 200606
遠く遠くマンション灯る夕桜俳誌のsalon 林翔 200606
またもやふものをふやして夕ざくら 豊田都峰 京鹿子 200606
円山へ京を引き寄す夕櫻 岩崎憲二 京鹿子 200607
湯の溢れのぞくばかりに夕桜 得田武市 河鹿 200607
手作りのきらずを提げて夕桜 大城戸みさ子 火星 200607
夕櫻見上ぐる人に邪心なし 岩崎憲二 京鹿子 200607
渋滞の街道並木夕桜 高木智 京鹿子 200607
老いてなほ紅引くゆとり夕櫻 窪田米子 遠嶺 200607
水かさの増えし堤の夕桜 根本ひろ子 火星 200607
三井寺の鐘撞き料や夕ざくら 後條さと子 200607
西空に明るさ残る夕ざくら 西屋敷峰水 河鹿 200607
西行の現れさうな夕櫻 鈴木久香 遠嶺 200607
空揺する風の立ちそめ夕桜 宿谷晃弘 200607
行き逢ふは美女とかぎらず夕桜 八木柊一郎 ぐろっけ 200607
子らの声残す運梯夕桜 大竹淑子 風土 200607
大正の灯のまた一つ消え夕桜 木原紀幸 河鹿 200608
はるか来し初瀬の山の夕桜 橋本光子 酸漿 200608
夕桜浜の男の桶がゆく 南一雄 200609
門柱に紙の表札夕桜 大山文子 火星 200609
夕桜ポケットにある陀羅尼助 服部早苗 200610
伊予ことば二つ覚ゆる夕ざくら 林いづみ 風土 200611
堂守が枢落せし夕ざくら 山尾玉藻 火星 200703
一の枝二の枝と咲き夕桜 百瀬七生子 海光 200705
死におくれ千鳥ヶ淵に夕桜 神蔵器 風土 200705
扇屋のガラス囲ひに夕桜 山尾玉藻 火星 200705
けものらの速歩はじまる夕桜 百瀬七生子 海光 200705
夕ざくら酒樽に擬す酒仙墓碑 西村琢 200706
回廊の山肌に添ふ夕桜 代田青鳥 風土 200706
夕桜人影の無き庄屋跡 堀すみ恵 200706
補陀落の父母に鐘搗く夕ざくら 石田厚子 馬醉木 200706
夕桜少女と犬の物がたり 平島利男 酸漿 200707
夕桜このアルバムは封印す 田原陽子 200707
牛肉のつめたく重し夕桜 林昭太郎 200707
オルセー展の余韻を胸に夕櫻 二羽永治 遠嶺 200708
二書を手に大路を急ぐ夕ざくら 横松しげる 遠嶺 200708
明日は明日二人で仰ぐ夕桜 土屋啓 馬醉木 200710
夕桜トリネギネツクツクネキモ 平きみえ 船団 200710
のつそりと呑むは十兵衛夕桜 俵藤正克 春燈 200804
建和美穂女青虎よ夕桜 稲畑廣太郎 ホトトギス 200804
犬のため人も散歩し夕ざくら 林翔 200804
顧みてすでに晩年夕桜 熊岡俊子 雨月 200805
夕桜入り江見下ろす露天風呂 齋藤朋子 やぶれ傘 200806
買物と離れ身を置く夕桜 原田信治 酸漿 200806
夕桜母と子に散るすべり台 印南美紀子 酸漿 200806
老母と共に眺むる夕桜 八木岡博江 酸漿 200806
杖で指す向かひの山の夕桜 布村松景 春燈 200806
人とゐてひとりの時間夕ざくら 武藤嘉子 200806
久々の琴爪かたし夕桜 築城京 馬醉木 200806
早々と象は象舎へ夕桜 瀬島洒望 やぶれ傘 200806
ブーメラン投げ合ふ親子夕桜 坂上香奈 200806
夕桜黒塀長き記念館 五十嵐章子 200807
夕桜舳先を回す屋形船 丑久保勲 やぶれ傘 200807
夕桜母をほとけとまだ呼べず 岡田真澄 風土 200807
魚の目の濡れて売らるる夕櫻 野口香葉 遠嶺 200807
辿り来て城址閉門夕ざくら 中原敏雄 雨月 200807
知らぬ子にぢいぢと呼ばれ夕桜 小田切明義 春燈 200807
中天はシャガールの青夕桜 片山博介 春燈 200807
これよりは距離ちぢまらず夕桜 あさなが捷 200808
砂濡らすほどの波くる夕ざくら 宮崎すみ 神々の交信 200808
異次元の扉あるやも夕ざくら 篠藤千佳子 200808
来年も仰ぎたきかな夕桜 加藤克 200904
母山羊と子ヤギ呼び合ふ夕桜 早崎泰江 あを 200906
夕ざくらまたぶりかへす目眩あり 小澤克己 遠嶺 200906
夕桜ショールはづして仰ぎけり 丸山照子 火星 200906
夕桜見にと出でたる夕散歩 鈴木幾子 酸漿 200906
夕桜生まれ来し者死する者 和田政子 200906
夕桜満つるに近き月かかげ 鈴木幾子 酸漿 200906
夕櫻恋のごとくに夫に蹤く ほんだゆき 馬醉木 200906
夕桜独りのボート漂へる 小林碧郎 馬醉木 200906
月ありて夜へとさそふ夕桜 鈴木幾子 酸漿 200906
雨上る武家街並の夕ざくら 増田一代 200906
ひとり来て思ひ自在に夕桜 鈴木幾子 酸漿 200906
ジョギングをやめウォーキング夕桜 嶋田摩耶子 ホトトギス 200907
ご夫婦に見送られけり夕桜 城孝子 火星 200907
風起ちて子をとろ子とろ夕桜 冨松寛子 200907
次の世はあるかもしれぬ夕桜 苑実耶 200907
幽霊にせしは男ぞ夕桜 柴田佐知子 垂直 200907
夕ざくら仰ぐ眼鏡を外しけり 小嶋恵美 春燈 200907
夕桜まだ日の残るテニスコート 坂口三保子 ぐろっけ 200907
夕桜雨にしだれて咲きにけり 山本うらら 炎環 200907
目瞑れば神佛近し夕桜 西川五郎 馬醉木 200907
精霊の浮き立つ白き夕さくら 本多俊子 200907
濃むらさきうすむらさきの夕桜 三村純也 ホトトギス 200908
夕桜散るや碓氷の関所跡 増田幸子 万象 200908
七千日吾子は世に在り夕桜 白水良子 200908
夕桜爪の先までやはらかい 直江裕子 京鹿子 201001
巻き戻す月日ありけり夕ざくら 林いづみ 風土 201001
鐘の音のあらばなほよき夕桜 川崎良平 雨月 201001
かへろかへろ天神様の夕桜 柴田志津子 201005
水煙の日にそびえをり夕桜 阿部ひろし 酸漿 201005
あさざくら夕ざくらこの夕桜 阿部ひろし 酸漿 201005
アイロンにまだある余熱夕桜 林昭太郎 201006
巡る世を五度ひとりの夕桜 青野安佐子 201006
胸中に今誰も居ず夕ざくら 小山紫乃布 末黒野 201006
総会の長引いてゐる夕桜 秋千晴 201006
杭打ちの男のしなふ夕ざくら 森さち子 201007
しばらくは閉ざすに惜しき夕桜 武藤嘉子 201007
夕桜少し恋めく待ち合はせ 岡佳代子 201007
夕桜われに楽器を与へかし 久津見風牛 201007
噛むほどにミント冷たき夕ざくら 鶴見遊太 201007
城跡の石垣そびゆ夕桜 青木政江 酸漿 201007
夕桜犬亡くなりしことを告げ 島内美佳 ぐろっけ 201008
妻さびしがらせてならぬ夕桜 岩岡中正 ホトトギス 201009
粗壁に淡き影あり夕ざくら 外川玲子 風土 201104
夕ざくら散りこむ坂本マムシ店 山尾玉藻 火星 201105
青年が地下足袋をぬぐ夕桜 山尾玉藻 火星 201105
この峡の奥へとさそふ夕桜 阿部ひろし 酸漿 201105
御当所や締は一ぽん夕桜 山本鬼之介 201105
露天湯に望む吉野の夕桜 大西裕 酸漿 201106
焙じ茶をゆつくりと淹れ夕桜 岡部名保子 馬醉木 201106
神南備に山気おりくる夕桜 清水節子 馬醉木 201106
大寺にひびく鐘の音夕桜 小林成子 201106
堂裏の風の荒びや夕桜 高倉和子 201107
催しを終へたるテント夕桜 大崎紀夫 やぶれ傘 201107
末娘嫁ぎゆきけり夕桜 織田高暢 201107
幽かなる焔を残しつ夕桜 上野民子 京鹿子 201107
夕ざくら軒より翳り回忌終ふ 水田壽子 雨月 201107
夕桜スカイツリーをなじませて 篠原幸子 春燈 201107
夕桜逢ひたくなれば来るがよい 柴田佐知子 201107
夕桜寂と半月いただける 溝内健乃 雨月 201107
そこにだけ風吹いてゐる夕桜 藤田素子 火星 201107
首塚に瀬音かむさる夕桜 奥田順子 火星 201107
かはほりに音なかりけり夕桜 山本耀子 火星 201107
掌に包む志野のぬくみや夕ざくら 藤岡紫水 京鹿子 201107
香り高き白き花々夕櫻 西垣順子 201107
川よりの風に乱るる夕桜 藤井美晴 やぶれ傘 201107
見返りておのが果報や夕ざくら 有田蟻太 201107
滝音の高まり来たる夕桜 山本とく江 万象 201107
半月の俯き様や夕ざくら 小川玉泉 末黒野 201108
病院食きれいに食べて夕桜 城戸緑 末黒野 201108
夕桜停車の窓を塞ぎをり 苑実耶 201108
み寺より笛復習ふ音や夕桜 杉山瑞恵 雨月 201108
工事場に無人の重機夕桜 野沢しの武 風土 201110
夕ざくら竈火燠となりにけり 武井美代子 万象 201110
帯にはさむ乗船切符夕ざくら 岩永はるみ 白雨 201203
夕桜止めしバイクに微熱あり 荒井千佐代 201205
横顔といふもの人に夕ざくら 近藤牧男 六月 201206
夕桜見舞ひ帰りの街明かり 松本周二 かさね 201206
やはらかく父に飯炊く夕桜 柴田佐知子 201207
同期会果てて散りぢり夕桜 平居澪子 六花 201207
独り占めして公園の夕桜 金森教子 雨月 201207
突と来る夫の病や夕桜 占部美弥子 末黒野 201207
白き月一つ浮かせて夕桜 松井洋子 ぐろっけ 201207
病去りて浮きたつままの夕桜 山口天木 雨月 201207
持ち上げし猫がだらりと夕桜 柴田佐知子 201207
門扉閉づ浄水場の夕ざくら 藤田かもめ ぐろっけ 201207
外濠を二駅歩く夕ざくら 上谷昌憲 201207
空壕の影が手をふる夕桜 井上淳子 火星 201207
言問ひのやうに散り来る夕桜 金森教子 雨月 201207
この先に思ひ人住む夕ざくら 綱徳女 春燈 201207
夕桜猫呼ぶ甘き声聞こゆ 山内碧 201208
一調を謡ひ納めし夕桜 千原叡子 ホトトギス 201209
髪切つてくるる嫁ゐて夕桜 長節子 201212
行きずりに夕桜見て居酒屋へ 藤井美晴 やぶれ傘 201305
人通りなきしじまの中の夕桜 早崎泰江 あを 201305
胸の猫するりと降りる夕桜 甲州千草 201305
メトロヘとサラリーマンの夕桜 荒木甫 201306
目薬の一滴沁みぬ夕ざくら 小川玉泉 末黒野 201306
夕桜みづから光発しをり 大橋晄 雨月 201306
夕桜カレーのにほひ流れきし 西谷良樹 春燈 201306
瓔珞のやうに枝重るる夕ざくら 塩貝朱千 京鹿子 201306
朝よりの雨上がりけり夕桜 藤丸誠旨 春燈 201306
帰る背に母の視線や夕桜 宮元陽子 末黒野 201404
夕桜大道芸人炎吐く 山田六甲 六花 201405
咲き満ちて川にせり出す夕桜 辻知代子 201406
樹に満つる水こそ佳けれ夕桜 林昭太郎 201406
夕桜仲良し友とハイタッチ 羽賀恭子 201406
ここに師と立ちし旅あり夕ざくら 中島知恵子 雨月 201406
肩に手を置かるる気配夕桜 松田洋子 201406
もう帰ろ天神さまの夕ざくら 柴田志津子 201407
ゆさゆさと枝差し交はす夕桜 今井洋子 雨月 201407
座布団と湯呑み持ち寄る夕桜 井上淳子 火星 201407
夢見草現となりぬ夕桜 江島照美 201407
夕ざくら影絵のごとき塔を負ひ 森清堯 末黒野 201407
夕ざくら気はむらさきの淵に棲む 鈴鹿けい子 京鹿子 201407
夕ざくら風の運べる遠汽笛 庵原敏典 末黒野 201407
夕桜手を取り給ふ老夫婦 川村文英 ろんど 201407
瓦斯灯の大正ロマン夕桜 辻井ミナミ 末黒野 201407
夕桜胸に届きし母のこゑ コ田千鶴子 馬醉木 201505
スカーフの黄を結びある夕桜 山田六甲 六花 201505
地霊いま昇りつめたる夕桜 水野恒彦 201506
城址を頂として夕ざくら 豊田都峰 京鹿子 201506
母でもない妻でもない とき 夕桜 種田果歩 201506
夕さくら夫の電話の来るころか 杉本薬王子 風土 201506
天上に百花の吐息夕ざくら 安立公彦 春燈 201506
なにもかか身をはなれゆく夕桜 齋藤晴夫 春燈 201506
過去の酒これよりの酒夕桜 甲州千草 201506
病床の鏡に入るる夕ざくら 柴田志津子 201506
夕桜一切の音封じをる 近藤紀子 201507
反故となる言葉を抱へ夕桜 一民江 馬醉木 201507
城山に惹かれさまよふ夕桜 渡部良子 馬醉木 201507
夕桜逢瀬めきたる深帽子 加藤峰子 201507
移り行く雲に日のある夕桜 渡邉孝彦 やぶれ傘 201507
膝に来て目をつむる猫夕ざくら 青木朋子 201508
まねく風さそふ雨あり夕桜 元橋孝之 京鹿子 201508
夕桜祈りの色となりゆけり 岩村惠子 ホトトギス 201509
夕桜 →2      

 

2021年3月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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